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第25話 「仕方ない、ちょっと行ってくるか」 散歩感覚で戦場へ
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ノエルの村に、一時の平穏が訪れていた。
竜王『クロ』が給湯器として就職し、元勇者ジークが下っ端労働者として定着してから数日が経ったある日のこと。
村の朝は、いつになく騒がしかった。
「主様! 今朝のパンには、私が作った特製ジャムを塗ってくださいまし!」
「いいえ、主様! わたくしが絞った新鮮なフルーツジュースが先ですわ!」
「ノエル殿! 私の焼いた目玉焼き(半熟)を!」
ダイニングテーブルを囲む美女たちによる、熾烈な『主様のお世話合戦』が勃発していた。
エプロン姿の元王女セラフィナ、大精霊ティターニア、騎士団長アイリス。
さらに、聖女ミリアと魔王の娘ヴァニアも加わり、俺の皿の上はとんでもないことになっていた。
「えーと、みんな落ち着いてくれ。全部食べるから」
俺は苦笑しながら、山盛りの料理を口に運んだ。
どれもこれも、素材がSランク級なので味は絶品だ。
一口食べるごとに魔力が溢れ、細胞が活性化していくのがわかる。
「うまーい! 今日も最高だ!」
俺が親指を立てると、彼女たちはパァッと花が咲いたような笑顔を見せた。
「恐悦至極にございます!」
「明日も頑張りますわ!」
平和だ。
窓の外では、フェンリルのウルフが庭を駆け回り、竜王クロが露天風呂の湯加減を調整し、ジークが涙目で牛小屋の掃除をしている。
このまま、のんびりと農作業をして暮らす。
それが俺の望みだった。
だが、そんな穏やかな朝食の時間は、一本の『緊急連絡』によって破られることになった。
バサササッ!
一羽の伝書鳩――ではなく、王家の紋章が入った首輪をつけた『速達便のグリフォン(小型種)』が、テラスに舞い降りたのだ。
その足には、赤い封蝋がされた手紙が結ばれている。
「あら? 王都からの緊急便ですわ」
アイリスが立ち上がり、手紙を受け取った。
封を開き、内容を読み進めるにつれ、彼女の顔色が蒼白になっていく。
「……どうした、アイリス。野菜の注文キャンセルか?」
「違います、主様。……戦争です」
アイリスは沈痛な面持ちで、手紙をテーブルに置いた。
「帝国が動き出しました。総勢二十万の大軍勢が、国境を越えて侵攻を開始したそうです」
「二十万!?」
その場にいた全員が息を呑んだ。
二十万といえば、この大陸でも最大級の戦力だ。
前回の『鋼鉄の甲虫』部隊や、ガレス率いる騎士団とは桁が違う。
「しかも、ただの進軍ではありません。彼らは『魔導兵器』や『合成魔獣(キメラ)』を大量に投入し、進路にある村や森を焼き払いながら、焦土作戦を展開しているとのことです」
「焼き払う……?」
俺の手がピタリと止まった。
パンを持つ手に、わずかに力が入る。
「はい。彼らの目的は、我が王国の首都制圧、そして……この『ノエル自治区』の確保です。先日逃げ帰った兵士たちの情報から、ここに『神の資源』があることを確信したのでしょう」
アイリスが悔しげに拳を握る。
「グランツ宰相やボルギス将軍が必死に防衛線を張っていますが、物量の差で押されているようです。このままでは、数日のうちに王都は火の海に……そして、この森にも戦火が及ぶでしょう」
室内が重苦しい空気に包まれる。
二十万の軍勢。
近代兵器と魔法を組み合わせた帝国の軍事力は、世界随一だ。
いくらこの村が強力な結界に守られているとはいえ、森全体を焼かれたら、生態系が崩れてしまう。
「……許せませんわ」
ティターニアが静かに怒りを露わにした。
「森を焼くなど、精霊として見過ごせません。わたくしが行って、彼らを森の藻屑にしてやりましょうか?」
「我も行こう。父上の軍勢を呼べば、帝国などひねり潰せるぞ」
ヴァニアも黒い炎を灯す。
頼もしい仲間たちだ。
だが、俺は首を横に振った。
「いや、みんなはここにいてくれ」
「主様?」
「せっかく育てた野菜たちの収穫時期なんだ。誰かが残って管理しないと、味が落ちる」
俺は最後のパンを口に放り込み、コーヒーを飲み干した。
そして、ゆっくりと立ち上がった。
「それに、あんまり派手にやり合うと、土が汚れるからな。血とか、機械の油とか、火薬とか。……農地にとっては毒だ」
俺は窓の外を見た。
遥か南の空が、微かに赤く染まっているのが見えた。
あれは夕焼けではない。
戦火による煙と炎の色だ。
風に乗って、焦げ臭い匂いが微かに漂ってくる。
「……空気が悪いな。トマトが息苦しがってる」
俺の我慢の限界だった。
自分の庭(村)だけでなく、その周辺環境(世界)まで汚されるのは我慢ならない。
近所で野焼きをされて洗濯物が臭くなる主婦の怒りに近いものがある。
だが、そのスケールは地球規模だ。
「仕方ない。ちょっと行ってくるか」
俺はエプロンを外し、いつもの作業着(ドラゴンレザー製)の襟を直した。
「えっ、主様がお一人で!?」
セラフィナが驚く。
「一人じゃないさ。……おい、ジーク!」
俺は窓を開けて、庭で掃除をしていたジークを呼んだ。
「ひぃッ!? は、はいっ!」
ジークがビクつきながら駆け寄ってくる。
「出かけるぞ。準備しろ」
「で、出かける? どこへ……?」
「ちょっと南まで。害虫駆除だ」
俺は農具小屋へ向かい、愛用の『ミスリルのスコップ』と『世界樹のクワ』、そして『断罪の剪定バサミ(改)』を亜空間収納(インベントリ)に放り込んだ。
ついでに、お弁当として『特製おにぎり(魔力爆弾級)』も持った。
「え、あ、あの……俺も行くんですか……?」
ジークが嫌な予感を察知して後ずさる。
「当たり前だ。荷物持ちが必要だろ。それに、お前も元勇者なら、戦争の一つや二つ、経験しておいた方がいい」
「いや、経験してますけど! っていうか、相手は帝国軍二十万ですよ!? 二人で行くなんて自殺行為だ!」
ジークの叫びは正論だった。
だが、俺の辞書に「多勢に無勢」という言葉はない。
あるのは「雑草の群生」か「一本の雑草」かの違いだけだ。
「安心しろ。夕飯までには戻る」
俺はジークの首根っこを掴んだ。
「留守は頼んだぞ、みんな。あ、風呂は沸かしておいてくれよ、クロ」
『御意! 最高の湯加減にしておきます!』
竜王クロが敬礼する。
アイリスたちが心配そうな、しかし信頼に満ちた眼差しで見送ってくれる。
「行ってらっしゃいませ、主様!」
「お気をつけて!」
俺は片手を上げて応え、ジークを引きずりながら村の門をくぐった。
まるで、近所のコンビニに買い物に行くような気軽さで。
これから向かう場所が、大陸の運命を決める激戦地であることなど、微塵も感じさせない足取りで。
◇
村を出て、俺たちは森の中を南下していた。
「あー、憂鬱だ……。なんで俺が……」
ジークはブツブツと文句を言いながら、俺の後ろをついてきていた。
背中には、予備の食料や水が入ったリュックを背負わされている。
「文句言うな。いい運動になるだろ」
「運動のレベルを超えてますよ! ここから戦場まで、馬車でも三日はかかりますよ!?」
「じゃあ、走るか」
俺は屈伸運動をした。
「は?」
「ついてこいよ。置いてくぞ」
ドンッ!
俺は地面を蹴った。
その瞬間、景色が後方へとすっ飛んだ。
音速などという生ぬるい速度ではない。
縮地。あるいは瞬間移動に近い超高速移動。
森の木々が残像となり、風圧が衝撃波となって道を切り開く。
「ギャアアアアアアアアアッ!?」
ジークの悲鳴が遠くで聞こえた気がしたが、俺は少し速度を落として、彼のエリ首を掴んで引っ張り上げた。
そのまま、凧のようにジークを引きずりながら疾走する。
「し、死ぬぅぅぅッ! 顔の皮が剥がれるぅぅぅッ!」
「口を閉じてろ、舌を噛むぞ」
俺たちは風になった。
川を飛び越え、山を駆け上がり、谷を一足飛びで越える。
本来なら数日かかる道のりを、俺たちはわずか数十分で踏破しようとしていた。
やがて、前方の空が黒く濁っているのが見えてきた。
黒煙だ。
そして、耳をつんざくような爆発音と、人々の悲鳴、金属がぶつかり合う音。
「着いたな」
俺は速度を緩め、小高い丘の上に止まった。
ジークが地面に投げ出され、ゲーゲーと嘔吐している。
「うえぇ……。の、乗り物酔いが……」
「しっかりしろ。ここが現場だ」
俺は丘の下を見下ろした。
そこには、地獄絵図が広がっていた。
広大な平原を埋め尽くす、黒い鉄の塊。
帝国軍の魔導戦車部隊だ。
さらに、空を覆う飛空艇の編隊。
地面を揺らす巨大な合成魔獣(キメラ)。
そして、蟻のように蠢く二十万の兵士たち。
対する王国軍は、すでに防衛線を突破され、壊滅寸前だった。
砦は燃え落ち、兵士たちは逃げ惑い、あるいは無惨に踏み潰されている。
「ひどいな……」
俺は眉をひそめた。
何がひどいって、地面だ。
戦車のキャタピラが大地を抉り、重油が垂れ流され、火薬の燃えカスが土を汚染している。
美しい草原だったはずの場所が、見るも無惨な泥沼に変わっている。
「これじゃあ、草一本生えないぞ」
俺の中に、静かな、しかし確かな怒りの炎が灯った。
農地を汚す者は、農家の敵だ。
「あ、あれを見ろノエル……! 王国の旗が……倒れそうだ!」
ジークが指差す先。
戦場の中心にある王国の本陣。
そこには、ボロボロになったボルギス将軍や、奮戦するグランツ宰相の姿があった。
彼らは必死に戦っていたが、周囲を巨大な魔導ゴーレムに囲まれ、絶体絶命の状況だった。
「諦めるな! 最後まで戦え!」
「我らが倒れれば、国は終わるぞ!」
悲痛な叫び。
だが、敵の巨大な鉄拳が、彼らの頭上に振り下ろされようとしていた。
「終わりだ……」
ジークが目を背ける。
「まだだ」
俺は足元の小石を拾った。
「え?」
「ちょっと挨拶代わりにな」
俺は指に魔力を込めた。
イメージするのは『害鳥駆除』の時と同じ。
狙いは、グランツ宰相たちを襲おうとしているゴーレムの頭部。
「デコピン」
バシュッ!!!
俺が弾いた小石は、赤い閃光となって戦場を駆け抜けた。
空気の壁を突き破り、雷鳴のような轟音と共に、数キロ先の標的へと吸い込まれる。
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!
「!?」
戦場にいた全員が動きを止めた。
突如として、巨大な魔導ゴーレムの頭部が爆発四散したからだ。
首から上を失った巨体は、ゆらりとバランスを崩し、ズシーンと音を立てて倒れた。
「な、何が起きた!?」
「どこからの砲撃だ!?」
帝国軍も王国軍も、何が起きたのか理解できず、呆然と周囲を見回す。
「よし、注目が集まったな」
俺はスコップを肩に担ぎ、丘を降り始めた。
「行くぞ、ジーク」
「は、はい……って、どこへ!?」
「最前線だ。あいつらに、正しい土の使い方を教えてやる」
俺は悠然と歩き出した。
その足取りは、これから二十万の大軍を相手にするとは思えないほど、軽く、そして日常的だった。
◇
戦場の只中。
混乱する両軍の間に、二人の男が現れた。
一人はスコップを持った農夫。
もう一人は、腰の引けた荷物持ち。
「だ、誰だ貴様らは! 民間人は下がれ!」
王国軍の兵士が叫ぶ。
だが、その兵士はすぐに目を見開いた。
「あ、あれは……! 『森の神』様!? ノエル様ではありませんか!」
「えっ、あの野菜をくれた!?」
「救世主様が来てくださったぞォォォッ!」
以前、森で俺に助けられた兵士たちが歓声を上げる。
ボルギス将軍も、血まみれの顔を上げて俺を見た。
「ノ、ノエル殿……! なぜここに……!」
「お困りのようだったんでね。ちょっと手伝いに来ました」
俺は将軍に軽く手を挙げ、帝国軍の方を向いた。
帝国軍の指揮官、禿頭の男が、拡声器を使って怒鳴ってきた。
「なんだそのふざけた格好は! 王国軍の増援かと思えば、農夫と浮浪者だと!? 舐めるな!」
「浮浪者じゃない、研修生だ」
俺は訂正した。ジークが「どっちも変わらねえよ」と泣いている。
「まあいい。貴様ら、まとめて挽肉にしてくれる! 全砲門、開け! あの小僧を吹き飛ばせ!」
指揮官の号令と共に、数百台の戦車と、空中の飛空艇が砲塔をこちらに向けた。
魔力充填の音が響き渡る。
「ひぃッ! ノエル! 逃げよう! あんなの一斉射撃されたら蒸発する!」
ジークが俺の後ろに隠れる。
「大丈夫だ。……土は、汚すものじゃなくて、守るものだからな」
俺はスコップを地面に突き刺した。
そして、大地に深く意識を潜らせる。
この戦場の下にある、悲鳴を上げている土の声を聞く。
油にまみれ、踏み固められ、窒息しそうな土壌。
それを『耕す』。
「みんな、ちょっと足元に気をつけてな」
俺はスコップの柄を握りしめ、一気にひねった。
スキル発動、『草むしり』――応用・『天地返し(グランド・フリップ)』。
ズズズズズズズズズ……ッ!!!
「な、なんだ!?」
「地面が……波打っている!?」
帝国軍の足元が、液状化したかのように揺らぎ始めた。
そして次の瞬間。
ドバァァァァァァァァァンッ!!!
大地が爆発した。
いや、爆発ではない。
土が生き物のように盛り上がり、巨大な津波となって帝国軍を襲ったのだ。
戦車も、ゴーレムも、兵士たちも。
全てが茶色い大波に飲み込まれ、ひっくり返され、そして優しく(?)埋められた。
「うわぁぁぁッ!?」
「助けてくれぇぇッ!」
数秒後。
そこには、綺麗に耕された広大な畑(のようなもの)が広がっていた。
戦車や兵器は土の底深くに沈み(不法投棄物として処理)、兵士たちは首から下だけ埋まった状態で、綺麗に整列していた。
まるで、キャベツ畑のように。
「な……な……」
生き残った帝国軍の指揮官(彼だけは高い所にいたので無事だった)が、顎が外れそうなほど口を開けていた。
王国軍も、ボルギス将軍も、言葉を失って固まっている。
ジークだけが、「またやったよコイツ……」と乾いた笑いを漏らしている。
「ふぅ。これで土も呼吸できるようになったな」
俺はスコップを引き抜いた。
一撃で数万の軍勢を『作付け』してしまったが、まあ殺してはいない。
土の中で頭を冷やしてもらおう。
「き、貴様……化け物か……!」
指揮官が震える声で叫んだ。
「まだだ! まだ我が軍には『空』がある! 飛空艇部隊、爆撃開始! この一帯を地図から消滅させろ!」
空を覆う飛空艇から、無数の爆弾が投下された。
雨のように降り注ぐ死の鉄塊。
「ああ、そういえば空にも害虫がいたな」
俺は空を見上げた。
スコップを構え直す。
今度は『ハエ叩き』の要領だ。
だが、俺が動く前に、空から別の影が降ってきた。
「主様の庭先で、騒々しい羽音を立てるな!」
ズバンッ!
黒い閃光が走り、先頭の飛空艇が一刀両断された。
爆発炎上し、墜落していく。
「なっ!?」
現れたのは、背中に黒い翼を生やした少女と、黄金の輝きを纏った女騎士だった。
「ヴァニア!? アイリス!? なんでここに!」
俺が驚くと、ヴァニアが空中で腕組みをして笑った。
「水臭いぞ、主様。面白いことが起きているのに、我らを置いていくとは」
「クロにお湯を沸かさせている間に、追いついてきました。……主様の手を煩わせるまでもなく、空の掃除は私たちが引き受けます」
アイリスが聖剣を構える。
「それに、私たちも働かないと、夕飯の『特盛り』がもらえませんからね!」
どうやら、俺の作ったお弁当だけでは足りなかったらしい。
食いしん坊な最強の助っ人たちの登場に、俺は苦笑した。
「わかった。じゃあ、空の『剪定』は任せる。俺は地上の雑草処理を続けるよ」
「御意!」
かくして、戦場は一方的な『農作業』へと変わった。
地上では俺が戦車を耕し、空ではヴァニアとアイリスが飛空艇を叩き落とす。
ジークは後ろで「ひぃぃ! 流れ弾が! 流れ弾が!」と叫びながら、落ちてくる素材(鉄くず)を回収させられている。
帝国軍二十万。
世界最強を誇った軍団が、たった数名の「農家一行」によって、解体されていく。
それは戦争ではなかった。
ただの、大規模な『環境美化活動』だった。
そして、その光景を遠くから見つめる、一つの影があった。
「……ほう。あれが噂の『農夫』か」
戦場の喧騒から離れた丘の上。
そこに立っていたのは、全身を真紅の鎧で覆った男だった。
帝国皇帝、ガイウス。
彼は自ら前線に赴き、この光景を冷静に観察していた。
「面白い。予言にあった『世界の理を書き換える者』……。まさか、あんな牧歌的な姿をしているとはな」
皇帝は不敵に笑った。
彼の背後には、異様な気配を放つ、人型の兵器が控えていた。
それは、古代文明の遺産であり、帝国の最終兵器『機神(デウス・マキナ)』。
「行け。神の力を試してみよう」
皇帝の命令と共に、機神が起動した。
その目は無機質な光を放ち、ターゲットをノエルに固定する。
戦場に、新たな、そして最後の脅威が降り立とうとしていた。
だが、俺はまだ気づいていない。
「あー、腹減ったな。おにぎり食うか」と、戦場のど真ん中でランチ休憩を始めようとしていたのだった。
続く
竜王『クロ』が給湯器として就職し、元勇者ジークが下っ端労働者として定着してから数日が経ったある日のこと。
村の朝は、いつになく騒がしかった。
「主様! 今朝のパンには、私が作った特製ジャムを塗ってくださいまし!」
「いいえ、主様! わたくしが絞った新鮮なフルーツジュースが先ですわ!」
「ノエル殿! 私の焼いた目玉焼き(半熟)を!」
ダイニングテーブルを囲む美女たちによる、熾烈な『主様のお世話合戦』が勃発していた。
エプロン姿の元王女セラフィナ、大精霊ティターニア、騎士団長アイリス。
さらに、聖女ミリアと魔王の娘ヴァニアも加わり、俺の皿の上はとんでもないことになっていた。
「えーと、みんな落ち着いてくれ。全部食べるから」
俺は苦笑しながら、山盛りの料理を口に運んだ。
どれもこれも、素材がSランク級なので味は絶品だ。
一口食べるごとに魔力が溢れ、細胞が活性化していくのがわかる。
「うまーい! 今日も最高だ!」
俺が親指を立てると、彼女たちはパァッと花が咲いたような笑顔を見せた。
「恐悦至極にございます!」
「明日も頑張りますわ!」
平和だ。
窓の外では、フェンリルのウルフが庭を駆け回り、竜王クロが露天風呂の湯加減を調整し、ジークが涙目で牛小屋の掃除をしている。
このまま、のんびりと農作業をして暮らす。
それが俺の望みだった。
だが、そんな穏やかな朝食の時間は、一本の『緊急連絡』によって破られることになった。
バサササッ!
一羽の伝書鳩――ではなく、王家の紋章が入った首輪をつけた『速達便のグリフォン(小型種)』が、テラスに舞い降りたのだ。
その足には、赤い封蝋がされた手紙が結ばれている。
「あら? 王都からの緊急便ですわ」
アイリスが立ち上がり、手紙を受け取った。
封を開き、内容を読み進めるにつれ、彼女の顔色が蒼白になっていく。
「……どうした、アイリス。野菜の注文キャンセルか?」
「違います、主様。……戦争です」
アイリスは沈痛な面持ちで、手紙をテーブルに置いた。
「帝国が動き出しました。総勢二十万の大軍勢が、国境を越えて侵攻を開始したそうです」
「二十万!?」
その場にいた全員が息を呑んだ。
二十万といえば、この大陸でも最大級の戦力だ。
前回の『鋼鉄の甲虫』部隊や、ガレス率いる騎士団とは桁が違う。
「しかも、ただの進軍ではありません。彼らは『魔導兵器』や『合成魔獣(キメラ)』を大量に投入し、進路にある村や森を焼き払いながら、焦土作戦を展開しているとのことです」
「焼き払う……?」
俺の手がピタリと止まった。
パンを持つ手に、わずかに力が入る。
「はい。彼らの目的は、我が王国の首都制圧、そして……この『ノエル自治区』の確保です。先日逃げ帰った兵士たちの情報から、ここに『神の資源』があることを確信したのでしょう」
アイリスが悔しげに拳を握る。
「グランツ宰相やボルギス将軍が必死に防衛線を張っていますが、物量の差で押されているようです。このままでは、数日のうちに王都は火の海に……そして、この森にも戦火が及ぶでしょう」
室内が重苦しい空気に包まれる。
二十万の軍勢。
近代兵器と魔法を組み合わせた帝国の軍事力は、世界随一だ。
いくらこの村が強力な結界に守られているとはいえ、森全体を焼かれたら、生態系が崩れてしまう。
「……許せませんわ」
ティターニアが静かに怒りを露わにした。
「森を焼くなど、精霊として見過ごせません。わたくしが行って、彼らを森の藻屑にしてやりましょうか?」
「我も行こう。父上の軍勢を呼べば、帝国などひねり潰せるぞ」
ヴァニアも黒い炎を灯す。
頼もしい仲間たちだ。
だが、俺は首を横に振った。
「いや、みんなはここにいてくれ」
「主様?」
「せっかく育てた野菜たちの収穫時期なんだ。誰かが残って管理しないと、味が落ちる」
俺は最後のパンを口に放り込み、コーヒーを飲み干した。
そして、ゆっくりと立ち上がった。
「それに、あんまり派手にやり合うと、土が汚れるからな。血とか、機械の油とか、火薬とか。……農地にとっては毒だ」
俺は窓の外を見た。
遥か南の空が、微かに赤く染まっているのが見えた。
あれは夕焼けではない。
戦火による煙と炎の色だ。
風に乗って、焦げ臭い匂いが微かに漂ってくる。
「……空気が悪いな。トマトが息苦しがってる」
俺の我慢の限界だった。
自分の庭(村)だけでなく、その周辺環境(世界)まで汚されるのは我慢ならない。
近所で野焼きをされて洗濯物が臭くなる主婦の怒りに近いものがある。
だが、そのスケールは地球規模だ。
「仕方ない。ちょっと行ってくるか」
俺はエプロンを外し、いつもの作業着(ドラゴンレザー製)の襟を直した。
「えっ、主様がお一人で!?」
セラフィナが驚く。
「一人じゃないさ。……おい、ジーク!」
俺は窓を開けて、庭で掃除をしていたジークを呼んだ。
「ひぃッ!? は、はいっ!」
ジークがビクつきながら駆け寄ってくる。
「出かけるぞ。準備しろ」
「で、出かける? どこへ……?」
「ちょっと南まで。害虫駆除だ」
俺は農具小屋へ向かい、愛用の『ミスリルのスコップ』と『世界樹のクワ』、そして『断罪の剪定バサミ(改)』を亜空間収納(インベントリ)に放り込んだ。
ついでに、お弁当として『特製おにぎり(魔力爆弾級)』も持った。
「え、あ、あの……俺も行くんですか……?」
ジークが嫌な予感を察知して後ずさる。
「当たり前だ。荷物持ちが必要だろ。それに、お前も元勇者なら、戦争の一つや二つ、経験しておいた方がいい」
「いや、経験してますけど! っていうか、相手は帝国軍二十万ですよ!? 二人で行くなんて自殺行為だ!」
ジークの叫びは正論だった。
だが、俺の辞書に「多勢に無勢」という言葉はない。
あるのは「雑草の群生」か「一本の雑草」かの違いだけだ。
「安心しろ。夕飯までには戻る」
俺はジークの首根っこを掴んだ。
「留守は頼んだぞ、みんな。あ、風呂は沸かしておいてくれよ、クロ」
『御意! 最高の湯加減にしておきます!』
竜王クロが敬礼する。
アイリスたちが心配そうな、しかし信頼に満ちた眼差しで見送ってくれる。
「行ってらっしゃいませ、主様!」
「お気をつけて!」
俺は片手を上げて応え、ジークを引きずりながら村の門をくぐった。
まるで、近所のコンビニに買い物に行くような気軽さで。
これから向かう場所が、大陸の運命を決める激戦地であることなど、微塵も感じさせない足取りで。
◇
村を出て、俺たちは森の中を南下していた。
「あー、憂鬱だ……。なんで俺が……」
ジークはブツブツと文句を言いながら、俺の後ろをついてきていた。
背中には、予備の食料や水が入ったリュックを背負わされている。
「文句言うな。いい運動になるだろ」
「運動のレベルを超えてますよ! ここから戦場まで、馬車でも三日はかかりますよ!?」
「じゃあ、走るか」
俺は屈伸運動をした。
「は?」
「ついてこいよ。置いてくぞ」
ドンッ!
俺は地面を蹴った。
その瞬間、景色が後方へとすっ飛んだ。
音速などという生ぬるい速度ではない。
縮地。あるいは瞬間移動に近い超高速移動。
森の木々が残像となり、風圧が衝撃波となって道を切り開く。
「ギャアアアアアアアアアッ!?」
ジークの悲鳴が遠くで聞こえた気がしたが、俺は少し速度を落として、彼のエリ首を掴んで引っ張り上げた。
そのまま、凧のようにジークを引きずりながら疾走する。
「し、死ぬぅぅぅッ! 顔の皮が剥がれるぅぅぅッ!」
「口を閉じてろ、舌を噛むぞ」
俺たちは風になった。
川を飛び越え、山を駆け上がり、谷を一足飛びで越える。
本来なら数日かかる道のりを、俺たちはわずか数十分で踏破しようとしていた。
やがて、前方の空が黒く濁っているのが見えてきた。
黒煙だ。
そして、耳をつんざくような爆発音と、人々の悲鳴、金属がぶつかり合う音。
「着いたな」
俺は速度を緩め、小高い丘の上に止まった。
ジークが地面に投げ出され、ゲーゲーと嘔吐している。
「うえぇ……。の、乗り物酔いが……」
「しっかりしろ。ここが現場だ」
俺は丘の下を見下ろした。
そこには、地獄絵図が広がっていた。
広大な平原を埋め尽くす、黒い鉄の塊。
帝国軍の魔導戦車部隊だ。
さらに、空を覆う飛空艇の編隊。
地面を揺らす巨大な合成魔獣(キメラ)。
そして、蟻のように蠢く二十万の兵士たち。
対する王国軍は、すでに防衛線を突破され、壊滅寸前だった。
砦は燃え落ち、兵士たちは逃げ惑い、あるいは無惨に踏み潰されている。
「ひどいな……」
俺は眉をひそめた。
何がひどいって、地面だ。
戦車のキャタピラが大地を抉り、重油が垂れ流され、火薬の燃えカスが土を汚染している。
美しい草原だったはずの場所が、見るも無惨な泥沼に変わっている。
「これじゃあ、草一本生えないぞ」
俺の中に、静かな、しかし確かな怒りの炎が灯った。
農地を汚す者は、農家の敵だ。
「あ、あれを見ろノエル……! 王国の旗が……倒れそうだ!」
ジークが指差す先。
戦場の中心にある王国の本陣。
そこには、ボロボロになったボルギス将軍や、奮戦するグランツ宰相の姿があった。
彼らは必死に戦っていたが、周囲を巨大な魔導ゴーレムに囲まれ、絶体絶命の状況だった。
「諦めるな! 最後まで戦え!」
「我らが倒れれば、国は終わるぞ!」
悲痛な叫び。
だが、敵の巨大な鉄拳が、彼らの頭上に振り下ろされようとしていた。
「終わりだ……」
ジークが目を背ける。
「まだだ」
俺は足元の小石を拾った。
「え?」
「ちょっと挨拶代わりにな」
俺は指に魔力を込めた。
イメージするのは『害鳥駆除』の時と同じ。
狙いは、グランツ宰相たちを襲おうとしているゴーレムの頭部。
「デコピン」
バシュッ!!!
俺が弾いた小石は、赤い閃光となって戦場を駆け抜けた。
空気の壁を突き破り、雷鳴のような轟音と共に、数キロ先の標的へと吸い込まれる。
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!
「!?」
戦場にいた全員が動きを止めた。
突如として、巨大な魔導ゴーレムの頭部が爆発四散したからだ。
首から上を失った巨体は、ゆらりとバランスを崩し、ズシーンと音を立てて倒れた。
「な、何が起きた!?」
「どこからの砲撃だ!?」
帝国軍も王国軍も、何が起きたのか理解できず、呆然と周囲を見回す。
「よし、注目が集まったな」
俺はスコップを肩に担ぎ、丘を降り始めた。
「行くぞ、ジーク」
「は、はい……って、どこへ!?」
「最前線だ。あいつらに、正しい土の使い方を教えてやる」
俺は悠然と歩き出した。
その足取りは、これから二十万の大軍を相手にするとは思えないほど、軽く、そして日常的だった。
◇
戦場の只中。
混乱する両軍の間に、二人の男が現れた。
一人はスコップを持った農夫。
もう一人は、腰の引けた荷物持ち。
「だ、誰だ貴様らは! 民間人は下がれ!」
王国軍の兵士が叫ぶ。
だが、その兵士はすぐに目を見開いた。
「あ、あれは……! 『森の神』様!? ノエル様ではありませんか!」
「えっ、あの野菜をくれた!?」
「救世主様が来てくださったぞォォォッ!」
以前、森で俺に助けられた兵士たちが歓声を上げる。
ボルギス将軍も、血まみれの顔を上げて俺を見た。
「ノ、ノエル殿……! なぜここに……!」
「お困りのようだったんでね。ちょっと手伝いに来ました」
俺は将軍に軽く手を挙げ、帝国軍の方を向いた。
帝国軍の指揮官、禿頭の男が、拡声器を使って怒鳴ってきた。
「なんだそのふざけた格好は! 王国軍の増援かと思えば、農夫と浮浪者だと!? 舐めるな!」
「浮浪者じゃない、研修生だ」
俺は訂正した。ジークが「どっちも変わらねえよ」と泣いている。
「まあいい。貴様ら、まとめて挽肉にしてくれる! 全砲門、開け! あの小僧を吹き飛ばせ!」
指揮官の号令と共に、数百台の戦車と、空中の飛空艇が砲塔をこちらに向けた。
魔力充填の音が響き渡る。
「ひぃッ! ノエル! 逃げよう! あんなの一斉射撃されたら蒸発する!」
ジークが俺の後ろに隠れる。
「大丈夫だ。……土は、汚すものじゃなくて、守るものだからな」
俺はスコップを地面に突き刺した。
そして、大地に深く意識を潜らせる。
この戦場の下にある、悲鳴を上げている土の声を聞く。
油にまみれ、踏み固められ、窒息しそうな土壌。
それを『耕す』。
「みんな、ちょっと足元に気をつけてな」
俺はスコップの柄を握りしめ、一気にひねった。
スキル発動、『草むしり』――応用・『天地返し(グランド・フリップ)』。
ズズズズズズズズズ……ッ!!!
「な、なんだ!?」
「地面が……波打っている!?」
帝国軍の足元が、液状化したかのように揺らぎ始めた。
そして次の瞬間。
ドバァァァァァァァァァンッ!!!
大地が爆発した。
いや、爆発ではない。
土が生き物のように盛り上がり、巨大な津波となって帝国軍を襲ったのだ。
戦車も、ゴーレムも、兵士たちも。
全てが茶色い大波に飲み込まれ、ひっくり返され、そして優しく(?)埋められた。
「うわぁぁぁッ!?」
「助けてくれぇぇッ!」
数秒後。
そこには、綺麗に耕された広大な畑(のようなもの)が広がっていた。
戦車や兵器は土の底深くに沈み(不法投棄物として処理)、兵士たちは首から下だけ埋まった状態で、綺麗に整列していた。
まるで、キャベツ畑のように。
「な……な……」
生き残った帝国軍の指揮官(彼だけは高い所にいたので無事だった)が、顎が外れそうなほど口を開けていた。
王国軍も、ボルギス将軍も、言葉を失って固まっている。
ジークだけが、「またやったよコイツ……」と乾いた笑いを漏らしている。
「ふぅ。これで土も呼吸できるようになったな」
俺はスコップを引き抜いた。
一撃で数万の軍勢を『作付け』してしまったが、まあ殺してはいない。
土の中で頭を冷やしてもらおう。
「き、貴様……化け物か……!」
指揮官が震える声で叫んだ。
「まだだ! まだ我が軍には『空』がある! 飛空艇部隊、爆撃開始! この一帯を地図から消滅させろ!」
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「ああ、そういえば空にも害虫がいたな」
俺は空を見上げた。
スコップを構え直す。
今度は『ハエ叩き』の要領だ。
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ズバンッ!
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爆発炎上し、墜落していく。
「なっ!?」
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「クロにお湯を沸かさせている間に、追いついてきました。……主様の手を煩わせるまでもなく、空の掃除は私たちが引き受けます」
アイリスが聖剣を構える。
「それに、私たちも働かないと、夕飯の『特盛り』がもらえませんからね!」
どうやら、俺の作ったお弁当だけでは足りなかったらしい。
食いしん坊な最強の助っ人たちの登場に、俺は苦笑した。
「わかった。じゃあ、空の『剪定』は任せる。俺は地上の雑草処理を続けるよ」
「御意!」
かくして、戦場は一方的な『農作業』へと変わった。
地上では俺が戦車を耕し、空ではヴァニアとアイリスが飛空艇を叩き落とす。
ジークは後ろで「ひぃぃ! 流れ弾が! 流れ弾が!」と叫びながら、落ちてくる素材(鉄くず)を回収させられている。
帝国軍二十万。
世界最強を誇った軍団が、たった数名の「農家一行」によって、解体されていく。
それは戦争ではなかった。
ただの、大規模な『環境美化活動』だった。
そして、その光景を遠くから見つめる、一つの影があった。
「……ほう。あれが噂の『農夫』か」
戦場の喧騒から離れた丘の上。
そこに立っていたのは、全身を真紅の鎧で覆った男だった。
帝国皇帝、ガイウス。
彼は自ら前線に赴き、この光景を冷静に観察していた。
「面白い。予言にあった『世界の理を書き換える者』……。まさか、あんな牧歌的な姿をしているとはな」
皇帝は不敵に笑った。
彼の背後には、異様な気配を放つ、人型の兵器が控えていた。
それは、古代文明の遺産であり、帝国の最終兵器『機神(デウス・マキナ)』。
「行け。神の力を試してみよう」
皇帝の命令と共に、機神が起動した。
その目は無機質な光を放ち、ターゲットをノエルに固定する。
戦場に、新たな、そして最後の脅威が降り立とうとしていた。
だが、俺はまだ気づいていない。
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続く
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