24 / 27
第24話 「庭の景観が悪くなるなぁ」 俺、スコップ片手にお出かけ
しおりを挟む
「グオォォォォォォォォォォォッ!!!」
空が裂けるような咆哮が、魔の森に響き渡った。
先ほどまで宴会ムード一色だったノエルの村の広場は、一瞬にして凍りついた静寂に包まれた。
空を見上げる一万の王国兵士たち。
彼らの顔から、血の気が引いていく。
「あ、あれは……!」
「伝説の『終焉の竜王(バハムート)』……!?」
北の空を覆い尽くすほどの巨大な翼。
漆黒の鱗は、太陽の光さえも飲み込み、その周囲には空間の歪みのような紫電が走っている。
全長数百メートル。
先ほど倒された『星喰らいの魔花』が「植物の王」だとすれば、こちらは正真正銘の「生物の頂点」に君臨する存在だ。
「ば、馬鹿な……。なぜ竜王がこんな場所に……」
ボルギス将軍が、手にしたワイングラスを取り落とした。
ガシャーン、という音が虚しく響く。
竜王バハムート。
それは、国家が総力を挙げても勝てないと言われる、SSランク指定の災害そのものだ。
気まぐれに空を飛ぶだけで暴風を起こし、欠伸一つで山脈を消し飛ばす。
「ひぃッ……! 目が……目が合った!」
兵士の一人が悲鳴を上げた。
上空に静止した竜王の、黄金色に輝く巨大な瞳が、眼下の小さな村を見下ろしていた。
そこには、知性ある者特有の、冷徹な観察眼があった。
『……ほう』
脳内に直接響く、重厚で威圧的な念話。
それだけで、数千人の兵士が気絶して倒れた。
『我が宿敵、星喰らいの気配が消えたと思えば……人間ごときが倒したというのか?』
竜王の声には、驚きと、それ以上の侮蔑が含まれていた。
『面白い。だが、身の程知らずの代償は払ってもらわねばな。星喰らいを倒したその力、我が糧とするに相応しい』
竜王が口を大きく開けた。
喉の奥で、太陽のごとき灼熱のエネルギーが圧縮されていく。
『終焉の吐息(アポカリプス・ブレス)』。
一撃で大陸の地図を書き換えるほどの威力を誇る、最強の攻撃だ。
「お、終わりだ……」
「逃げ場なんてない……」
兵士たちが絶望に膝をつく。
アイリスやヴァニアたちでさえ、顔を強張らせていた。
『魔花』との戦いで、彼女たちも消耗している。
連戦で、しかも相手は格上の竜王。
勝算は限りなくゼロに近かった。
「……あ、あぁ……」
村の隅で皿洗いをさせられていた元勇者ジークは、泡だらけの手を震わせて空を見上げていた。
彼にはわかる。
あの竜王の力は、先ほどの魔花や、自分が変身した魔勇者など比較にならない次元にあると。
(死ぬ……今度こそ死ぬ……! ノエルがいくら強くても、あんな空飛ぶ要塞みたいな奴に勝てるわけがない!)
世界が絶望に染まる中。
カチャン。
静かな音が響いた。
それは、誰かがコーヒーカップをソーサーに置く音だった。
「……たく、やっと静かになったと思ったら」
テラス席から、一人の男が立ち上がった。
ノエルだ。
彼はナプキンで口を拭うと、呆れたように空を見上げた。
「またデカいのが来たな。今度は『カラス』か?」
「「「カラスッ!?」」」
その場にいた全員(意識がある者)が心の中で突っ込んだ。
あれをカラスと呼ぶには、サイズと威圧感が数億倍ほど違う。
「いや、カラスにしちゃあ派手だな。……まあいいや、庭の景観が悪くなるし、フンでも落とされたらたまらん」
ノエルは、まるで「庭木に止まった鳥を追い払う」くらいのテンションで言った。
そして、彼は視線を巡らせ、震えているジークを見つけた。
「おい、ジーク」
「ひっ!?」
「散歩の時間だ。ついてこい」
「は……? さ、散歩……?」
ジークは耳を疑った。
空には世界を滅ぼす竜王がいる。
今にもブレスが放たれようとしている。
この状況で散歩?
「ほら、さっさと行くぞ。ウルフの散歩も兼ねてな」
ノエルは犬小屋からフェンリルのウルフ(現在は子犬サイズ)を連れ出し、片手にはいつもの愛用農具『ミスリルのスコップ』を握った。
そして、もう片方の手で、腰を抜かしているジークの襟首を掴んだ。
「い、嫌だァァァッ! 行きたくない! あんなの無理だァァァッ!」
「わがまま言うな。新入りの仕事だろ」
ノエルはずるずるとジークを引きずりながら、村の出口へと歩き出した。
「主様! お供します!」
アイリスが剣を取ろうとする。
「いや、いいよ。みんなは宴会の続きを楽しんでてくれ。肉が冷めるぞ」
ノエルは笑顔で手を振った。
「ちょっと行ってくる。……『害鳥駆除』にな」
その背中は、あまりにも軽やかで、そして頼もしかった。
だが、連れて行かれるジークにとっては、地獄への連行でしかなかった。
◇
村を出て、少し歩いた開けた場所。
かつて森だった場所は、先の戦闘と竜王のプレッシャーで更地になっていた。
『……ン?』
上空の竜王が、地上を歩く豆粒のような存在に気づいた。
スコップを担いだ男と、犬、そして泣き叫ぶ男。
『なんだ、あの人間は……。我のブレスの前で、逃げも隠れもしないとは』
竜王は訝しんだ。
恐怖で動けないのか?
いや、あの男からは恐怖の感情が一切感じられない。
むしろ、「やれやれ」といった呆れと、「早く終わらせて帰りたい」という日常的な感情しか伝わってこない。
『小賢しい。塵となれ!』
竜王は、溜め込んでいたブレスを一気に放出した。
ズドオォォォォォォォォォッ!!!
極太の熱線が、天から地へと降り注ぐ。
その熱量は太陽の表面温度に匹敵し、触れるもの全てを原子分解する。
「ギャアアアアアッ! 来たァァァッ! 死ぬぅぅぅッ!」
ジークが絶叫し、ノエルの足にしがみつく。
だが、ノエルは止まらなかった。
彼は空を見上げ、眩しそうに目を細めた。
「うわ、眩しいな。……日差しが強すぎる」
彼はスコップを構えた。
いや、構えたというよりは、日傘のように掲げただけだ。
「ちょっと遮光するか」
ノエルはイメージする。
強すぎる直射日光を遮り、作物に適度な光だけを届ける『遮光ネット』。
あるいは、雨除けの『ビニールハウス』。
空から降り注ぐ「過剰なエネルギー」を、「不要なもの(雑草)」として認識し、弾く。
スキル発動、『草むしり』――応用・『天蓋(キャノピー)』。
カッ!!!
熱線がノエルの頭上数メートルで激突した。
だが、そこには見えない透明な傘が存在していた。
最強のブレスは、その傘に当たった瞬間、プリズムを通した光のように七色に分散し、四方八方へと綺麗に逸れていった。
チュドォォォォォンッ!!
遠くの山々が消し飛び、地平線の彼方で爆発が起きる。
だが、ノエルとジークがいる場所だけは、そよ風が吹く平和な空間が保たれていた。
「……へ?」
ジークが空を見上げて固まった。
自分たちが生きている。
あの世界の終わりみたいな攻撃を受けて、無傷で。
『な、何ィィィッ!?』
上空の竜王が驚愕に声を荒らげる。
『我が最強のブレスを……弾いただと!? 魔法障壁ではない……あの透明な壁はなんだ!? 理(ことわり)そのものを歪めているというのか!?』
「よし、防げたな」
ノエルはスコップを下ろした。
「さて、ジーク。仕事だ」
「えっ、仕事……?」
「あのでっかい鳥、うるさいし邪魔だろ。追い払うぞ」
ノエルは足元の小石を拾った。
そして、それをジークに渡した。
「これを投げてこい」
「はぁ!? 石!? 竜王に石を!?」
「鳥を追い払うには石ころが一番だ。ほら、当ててみろ」
無茶苦茶だ。
神話級の怪物に、石ころを投げて何になるというのか。
だが、ノエルの目は真剣だった。
逆らえば何をされるかわからない。
「く、くそぉッ! どうにでもなれッ!」
ジークはヤケクソになって、握らされた小石を空に向かって投げた。
へなちょこな投擲。
石はふらふらと上がり、竜王には到底届きそうにない軌道を描いた。
「よし、サポートしてやる」
ノエルが、ジークが投げた石に向かって指を弾いた。
デコピンの要領で、空気を弾く。
その指先には、『草むしり』による『超・加速(ブースト)』と『必中(ホーミング)』の概念が付与されていた。
バシュッ!!!
ノエルの指パッチンと共に、へなちょこだった石ころが、音速を超えて加速した。
それは赤熱し、流星のような輝きを纏って、一直線に竜王へと向かう。
『ムッ? なんだその豆粒は』
竜王は鼻で笑った。
石ころ?
人間の投石など、我が鱗の前では埃以下だ。
避けるまでもない。
『愚かな……』
ガギィィィィィンッ!!!
「ギャオッ!?」
竜王の悲鳴が轟いた。
たった一つの小石が、竜王の自慢の鱗(絶対防御)を貫通し、眉間に突き刺さったのだ。
いや、突き刺さっただけではない。
その衝撃で、竜王の巨体が仰け反り、バランスを崩して空中できりもみ回転を始めた。
『グ、グオォッ!? 痛いッ! なんだ今の威力はァッ!? 隕石か!?』
「あ、当たった……?」
ジークは自分の手を見た。
俺が投げた石が、竜王を撃墜しかけている?
「ナイスコントロールだ、ジーク。今のうちに落とすぞ」
ノエルは地面を蹴った。
ドォン!
爆発的な跳躍力で、彼は空へと舞い上がった。
まるで重力など存在しないかのように、一足飛びで竜王と同じ高度まで達する。
「よお、デカいの」
ノエルは空中で、竜王の顔の前に躍り出た。
『キ、貴様は……! さっきの農夫!』
「ここは飛行禁止区域だ。降りてもらうぞ」
ノエルはスコップを振りかぶった。
狙うは竜王の頭頂部。
イメージするのは『杭打ち』。
暴れる枝を地面に固定するための杭を、ハンマーで打ち込む。
「落ちろ!」
ガゴォォォォォォォォンッ!!!
スコップの平らな面が、竜王の脳天を直撃した。
それは、物理的な打撃を超えた、『強制落下』の概念攻撃だった。
「空を飛ぶ」という竜の特権(スキル)を、その一撃が「不要な機能」として一時的に『むしり取った』のだ。
『ア、翼が……動かぬッ!?』
竜王は浮力を失い、真っ逆さまに墜落した。
ズドオォォォォォォォォォンッ!!!
巨大な質量が地面に激突し、マグニチュード級の地震が発生する。
森の木々がなぎ倒され、巨大なクレーターが生まれた。
「さて、着地成功っと」
ノエルはふわりと舞い降り、倒れている竜王の鼻先に立った。
竜王は目を回し、口から煙を吐いてピクピクしている。
圧倒的だった。
SSランクの竜王が、スコップ一本で撃墜されたのだ。
「ひぃぃ……」
近くで見ていたジークは、もう腰を抜かす気力も残っていなかった。
ただ、笑うしかなかった。
この男に勝とうとしていた自分が、どれほど滑稽だったか。
相手は、竜王すらも「庭の害鳥」扱いする規格外なのだ。
『……グ……ウゥ……』
竜王が呻き声を上げて意識を取り戻した。
さすがは最強種、タフだ。
彼はよろよろと頭を持ち上げ、目の前の小さな人間を睨みつけた。
『キ、貴様……よくも我を……! 許さん……この屈辱、魂ごと焼き尽くして……』
「まだやるのか?」
ノエルがスコップを構え直した。
その目には、殺意はない。
ただ、「まだ仕事が終わらないのか」という、面倒くさそうな色が浮かんでいるだけだ。
「いい加減にしてくれよ。まだ皿洗いが残ってるんだ」
ノエルが一歩近づく。
その瞬間、竜王は見た。
ノエルの背後に揺らめく、巨大な幻影を。
それは、世界樹よりも巨大な鎌を持ち、星そのものを『収穫』しようとする、絶対的な死神――いや、『農神』の姿だった。
『ヒッ……!』
竜王の瞳孔が収縮した。
本能が叫んだ。
『逆らえば、死ぬ』。
いや、死ぬだけではない。『根絶やし』にされる。
存在そのものを、宇宙の理から『雑草』として引き抜かれ、消滅させられる。
『ま、待て! 待ってくれ!』
竜王の態度が一変した。
彼は巨大な体を小さく縮こまらせ、地面に頭を擦り付けた。
見事な土下座(ドラゴン・ドゲザ)だった。
『降参だ! 我が負けだ! 何でもする! 命だけは助けてくれ!』
「ん? もう暴れないか?」
『暴れん! 二度とこの空は飛ばん! だから、そのスコップをしまってくれ!』
プライドの高い竜族の王が、涙目で命乞いをしている。
その様子を見ていたジークは、妙な親近感を覚えた。
(ああ……俺と同じだ……。こいつも、ノエルの前ではただの『被害者』なんだ……)
「そうか。わかってくれればいいんだ」
ノエルはあっさりと殺気を消した。
スコップを下ろし、いつもの穏やかな青年の顔に戻る。
「じゃあ、罰として……そうだな」
ノエルは竜王の体をじろじろと見た。
その視線に、竜王はビクビクと震える。
解体されるのか? 素材にされるのか?
「お前、火を吐けるよな?」
『は? あ、ああ……吐けるが……』
「火力調整はできるか? 弱火とか、とろ火とか」
『……は? まあ、造作もないが……』
「よし、採用だ」
ノエルはポンと手を打った。
「うちの村、最近ガスコンロの火力が足りなくて困ってたんだ。お前、今日から『給湯器』兼『調理用バーナー』な」
『……は?』
竜王は耳を疑った。
給湯器? バーナー?
我は終焉の竜王ぞ? 世界を滅ぼす炎の使い手ぞ?
それを、お湯を沸かす道具に?
「嫌か?」
ノエルがスコップを持ち上げる。
『や、やります! やらせてください! 最高のお湯を沸かしてみせます!』
竜王は即答した。
プライドよりも命が大事だ。
「よし。名前は……黒いし、デカいし、『クロ』でいいか」
『ク、クロ……!? 安直すぎぬか!?』
「文句あるか?」
『ありません! 素晴らしい名前です! ワン!』
恐怖のあまり、フェンリルの真似をして鳴いてしまう竜王。
こうして、世界最強の生物兵器が、ノエル村の新しい家電(?)として採用されたのだった。
◇
村に戻ると、兵士たちはまだ震えていた。
遠くで起きた爆発と地響きに、世界の終わりを覚悟していたのだ。
だが、帰ってきたノエルの後ろには、小さくなった(人間サイズに擬態した)黒いドラゴンが、しおらしく付いてきていた。
「主様! ご無事ですか!」
「あの竜王は……?」
ヴァニアたちが駆け寄る。
「ああ、こいつ? 『クロ』っていうんだ。今日からお風呂係になってもらうから、仲良くしてやってくれ」
「……」
全員が絶句した。
ヴァニアが、擬態したクロを見て、引きつった笑いを浮かべた。
「お、お前……まさかバハムートか? その首輪はなんだ?」
「……触れるな。今はただのクロだ」
クロ(元竜王)は、死んだ魚のような目をしていた。
その首には、ノエルが『草むしり』で作った『しめ縄(絶対服従の首輪)』が巻かれていた。
「さあ、ジーク。仕事に戻るぞ。クロもお湯を沸かす練習だ」
ノエルは手際よく指示を出す。
ジークとクロは、顔を見合わせ、深いため息をついた。
そこには、種族を超えた奇妙な連帯感――『ノエル被害者の会』の絆が生まれていた。
◇
その夜。
村の広場では、再び宴が開かれた。
今度は『竜王が沸かした極上の露天風呂』付きだ。
「うひょー! 竜の火で沸かした風呂、最高だぜ!」
「腰痛が治った!」
「俺、この村に永住したい……」
王国兵士たちは、極楽気分で湯に浸かっていた。
湯加減を調整しているのは、エプロン姿のクロだ。
「ぬるくないか? 熱すぎたら言え……殺すぞ(小声)」
プライドはまだ残っているようだが、仕事は完璧だった。
ボルギス将軍は、風呂上がりのコーヒー牛乳(マッド・バイソン印)を飲みながら、ノエルに話しかけた。
「ノエル殿……。貴方は、本当に何者なのですか? 竜王さえも従えるとは……」
「だから、農家ですって」
ノエルは苦笑した。
「ただ、自分の畑を守りたいだけですよ。虫が来たら払うし、鳥が来たら追い返す。それだけのことです」
ボルギスは、その言葉に深い畏敬の念を抱いた。
欲を持わず、ただ守るべきものを守る強さ。
これこそが、真の王者の風格なのかもしれない。
「……わかりました。私が王都に戻ったら、国王陛下にありのままを報告しましょう。貴方の村は、王国にとって最大の友好国であり、決して敵に回してはならない『聖域』であると」
「ええ、よろしくお願いします。……あ、ついでにジークの借金のこと、なんとかなりませんかね? あいつ、給料なしで働いてるんで、返す当てがないんですよ」
ノエルが指差した先では、ジークが風呂掃除をしていた。
ボルギスは苦笑した。
「善処しましょう。彼もまた、貴方の『更生プログラム』を受けているようですし、ある意味で十分な罰を受けていると言えるでしょうから」
こうして、竜王襲来という世界的危機は、露天風呂の湯気と共に平和的に解決した。
ノエルの村は、名実ともに『世界最強の自治区』となり、その名は伝説として大陸中に轟くことになる。
だが、ノエルの物語はまだ終わらない。
次なる脅威は、外からではなく、意外な形でもたらされようとしていた。
それは、彼を慕う美女たちによる、『正妻戦争』の勃発だった――。
続く
空が裂けるような咆哮が、魔の森に響き渡った。
先ほどまで宴会ムード一色だったノエルの村の広場は、一瞬にして凍りついた静寂に包まれた。
空を見上げる一万の王国兵士たち。
彼らの顔から、血の気が引いていく。
「あ、あれは……!」
「伝説の『終焉の竜王(バハムート)』……!?」
北の空を覆い尽くすほどの巨大な翼。
漆黒の鱗は、太陽の光さえも飲み込み、その周囲には空間の歪みのような紫電が走っている。
全長数百メートル。
先ほど倒された『星喰らいの魔花』が「植物の王」だとすれば、こちらは正真正銘の「生物の頂点」に君臨する存在だ。
「ば、馬鹿な……。なぜ竜王がこんな場所に……」
ボルギス将軍が、手にしたワイングラスを取り落とした。
ガシャーン、という音が虚しく響く。
竜王バハムート。
それは、国家が総力を挙げても勝てないと言われる、SSランク指定の災害そのものだ。
気まぐれに空を飛ぶだけで暴風を起こし、欠伸一つで山脈を消し飛ばす。
「ひぃッ……! 目が……目が合った!」
兵士の一人が悲鳴を上げた。
上空に静止した竜王の、黄金色に輝く巨大な瞳が、眼下の小さな村を見下ろしていた。
そこには、知性ある者特有の、冷徹な観察眼があった。
『……ほう』
脳内に直接響く、重厚で威圧的な念話。
それだけで、数千人の兵士が気絶して倒れた。
『我が宿敵、星喰らいの気配が消えたと思えば……人間ごときが倒したというのか?』
竜王の声には、驚きと、それ以上の侮蔑が含まれていた。
『面白い。だが、身の程知らずの代償は払ってもらわねばな。星喰らいを倒したその力、我が糧とするに相応しい』
竜王が口を大きく開けた。
喉の奥で、太陽のごとき灼熱のエネルギーが圧縮されていく。
『終焉の吐息(アポカリプス・ブレス)』。
一撃で大陸の地図を書き換えるほどの威力を誇る、最強の攻撃だ。
「お、終わりだ……」
「逃げ場なんてない……」
兵士たちが絶望に膝をつく。
アイリスやヴァニアたちでさえ、顔を強張らせていた。
『魔花』との戦いで、彼女たちも消耗している。
連戦で、しかも相手は格上の竜王。
勝算は限りなくゼロに近かった。
「……あ、あぁ……」
村の隅で皿洗いをさせられていた元勇者ジークは、泡だらけの手を震わせて空を見上げていた。
彼にはわかる。
あの竜王の力は、先ほどの魔花や、自分が変身した魔勇者など比較にならない次元にあると。
(死ぬ……今度こそ死ぬ……! ノエルがいくら強くても、あんな空飛ぶ要塞みたいな奴に勝てるわけがない!)
世界が絶望に染まる中。
カチャン。
静かな音が響いた。
それは、誰かがコーヒーカップをソーサーに置く音だった。
「……たく、やっと静かになったと思ったら」
テラス席から、一人の男が立ち上がった。
ノエルだ。
彼はナプキンで口を拭うと、呆れたように空を見上げた。
「またデカいのが来たな。今度は『カラス』か?」
「「「カラスッ!?」」」
その場にいた全員(意識がある者)が心の中で突っ込んだ。
あれをカラスと呼ぶには、サイズと威圧感が数億倍ほど違う。
「いや、カラスにしちゃあ派手だな。……まあいいや、庭の景観が悪くなるし、フンでも落とされたらたまらん」
ノエルは、まるで「庭木に止まった鳥を追い払う」くらいのテンションで言った。
そして、彼は視線を巡らせ、震えているジークを見つけた。
「おい、ジーク」
「ひっ!?」
「散歩の時間だ。ついてこい」
「は……? さ、散歩……?」
ジークは耳を疑った。
空には世界を滅ぼす竜王がいる。
今にもブレスが放たれようとしている。
この状況で散歩?
「ほら、さっさと行くぞ。ウルフの散歩も兼ねてな」
ノエルは犬小屋からフェンリルのウルフ(現在は子犬サイズ)を連れ出し、片手にはいつもの愛用農具『ミスリルのスコップ』を握った。
そして、もう片方の手で、腰を抜かしているジークの襟首を掴んだ。
「い、嫌だァァァッ! 行きたくない! あんなの無理だァァァッ!」
「わがまま言うな。新入りの仕事だろ」
ノエルはずるずるとジークを引きずりながら、村の出口へと歩き出した。
「主様! お供します!」
アイリスが剣を取ろうとする。
「いや、いいよ。みんなは宴会の続きを楽しんでてくれ。肉が冷めるぞ」
ノエルは笑顔で手を振った。
「ちょっと行ってくる。……『害鳥駆除』にな」
その背中は、あまりにも軽やかで、そして頼もしかった。
だが、連れて行かれるジークにとっては、地獄への連行でしかなかった。
◇
村を出て、少し歩いた開けた場所。
かつて森だった場所は、先の戦闘と竜王のプレッシャーで更地になっていた。
『……ン?』
上空の竜王が、地上を歩く豆粒のような存在に気づいた。
スコップを担いだ男と、犬、そして泣き叫ぶ男。
『なんだ、あの人間は……。我のブレスの前で、逃げも隠れもしないとは』
竜王は訝しんだ。
恐怖で動けないのか?
いや、あの男からは恐怖の感情が一切感じられない。
むしろ、「やれやれ」といった呆れと、「早く終わらせて帰りたい」という日常的な感情しか伝わってこない。
『小賢しい。塵となれ!』
竜王は、溜め込んでいたブレスを一気に放出した。
ズドオォォォォォォォォォッ!!!
極太の熱線が、天から地へと降り注ぐ。
その熱量は太陽の表面温度に匹敵し、触れるもの全てを原子分解する。
「ギャアアアアアッ! 来たァァァッ! 死ぬぅぅぅッ!」
ジークが絶叫し、ノエルの足にしがみつく。
だが、ノエルは止まらなかった。
彼は空を見上げ、眩しそうに目を細めた。
「うわ、眩しいな。……日差しが強すぎる」
彼はスコップを構えた。
いや、構えたというよりは、日傘のように掲げただけだ。
「ちょっと遮光するか」
ノエルはイメージする。
強すぎる直射日光を遮り、作物に適度な光だけを届ける『遮光ネット』。
あるいは、雨除けの『ビニールハウス』。
空から降り注ぐ「過剰なエネルギー」を、「不要なもの(雑草)」として認識し、弾く。
スキル発動、『草むしり』――応用・『天蓋(キャノピー)』。
カッ!!!
熱線がノエルの頭上数メートルで激突した。
だが、そこには見えない透明な傘が存在していた。
最強のブレスは、その傘に当たった瞬間、プリズムを通した光のように七色に分散し、四方八方へと綺麗に逸れていった。
チュドォォォォォンッ!!
遠くの山々が消し飛び、地平線の彼方で爆発が起きる。
だが、ノエルとジークがいる場所だけは、そよ風が吹く平和な空間が保たれていた。
「……へ?」
ジークが空を見上げて固まった。
自分たちが生きている。
あの世界の終わりみたいな攻撃を受けて、無傷で。
『な、何ィィィッ!?』
上空の竜王が驚愕に声を荒らげる。
『我が最強のブレスを……弾いただと!? 魔法障壁ではない……あの透明な壁はなんだ!? 理(ことわり)そのものを歪めているというのか!?』
「よし、防げたな」
ノエルはスコップを下ろした。
「さて、ジーク。仕事だ」
「えっ、仕事……?」
「あのでっかい鳥、うるさいし邪魔だろ。追い払うぞ」
ノエルは足元の小石を拾った。
そして、それをジークに渡した。
「これを投げてこい」
「はぁ!? 石!? 竜王に石を!?」
「鳥を追い払うには石ころが一番だ。ほら、当ててみろ」
無茶苦茶だ。
神話級の怪物に、石ころを投げて何になるというのか。
だが、ノエルの目は真剣だった。
逆らえば何をされるかわからない。
「く、くそぉッ! どうにでもなれッ!」
ジークはヤケクソになって、握らされた小石を空に向かって投げた。
へなちょこな投擲。
石はふらふらと上がり、竜王には到底届きそうにない軌道を描いた。
「よし、サポートしてやる」
ノエルが、ジークが投げた石に向かって指を弾いた。
デコピンの要領で、空気を弾く。
その指先には、『草むしり』による『超・加速(ブースト)』と『必中(ホーミング)』の概念が付与されていた。
バシュッ!!!
ノエルの指パッチンと共に、へなちょこだった石ころが、音速を超えて加速した。
それは赤熱し、流星のような輝きを纏って、一直線に竜王へと向かう。
『ムッ? なんだその豆粒は』
竜王は鼻で笑った。
石ころ?
人間の投石など、我が鱗の前では埃以下だ。
避けるまでもない。
『愚かな……』
ガギィィィィィンッ!!!
「ギャオッ!?」
竜王の悲鳴が轟いた。
たった一つの小石が、竜王の自慢の鱗(絶対防御)を貫通し、眉間に突き刺さったのだ。
いや、突き刺さっただけではない。
その衝撃で、竜王の巨体が仰け反り、バランスを崩して空中できりもみ回転を始めた。
『グ、グオォッ!? 痛いッ! なんだ今の威力はァッ!? 隕石か!?』
「あ、当たった……?」
ジークは自分の手を見た。
俺が投げた石が、竜王を撃墜しかけている?
「ナイスコントロールだ、ジーク。今のうちに落とすぞ」
ノエルは地面を蹴った。
ドォン!
爆発的な跳躍力で、彼は空へと舞い上がった。
まるで重力など存在しないかのように、一足飛びで竜王と同じ高度まで達する。
「よお、デカいの」
ノエルは空中で、竜王の顔の前に躍り出た。
『キ、貴様は……! さっきの農夫!』
「ここは飛行禁止区域だ。降りてもらうぞ」
ノエルはスコップを振りかぶった。
狙うは竜王の頭頂部。
イメージするのは『杭打ち』。
暴れる枝を地面に固定するための杭を、ハンマーで打ち込む。
「落ちろ!」
ガゴォォォォォォォォンッ!!!
スコップの平らな面が、竜王の脳天を直撃した。
それは、物理的な打撃を超えた、『強制落下』の概念攻撃だった。
「空を飛ぶ」という竜の特権(スキル)を、その一撃が「不要な機能」として一時的に『むしり取った』のだ。
『ア、翼が……動かぬッ!?』
竜王は浮力を失い、真っ逆さまに墜落した。
ズドオォォォォォォォォォンッ!!!
巨大な質量が地面に激突し、マグニチュード級の地震が発生する。
森の木々がなぎ倒され、巨大なクレーターが生まれた。
「さて、着地成功っと」
ノエルはふわりと舞い降り、倒れている竜王の鼻先に立った。
竜王は目を回し、口から煙を吐いてピクピクしている。
圧倒的だった。
SSランクの竜王が、スコップ一本で撃墜されたのだ。
「ひぃぃ……」
近くで見ていたジークは、もう腰を抜かす気力も残っていなかった。
ただ、笑うしかなかった。
この男に勝とうとしていた自分が、どれほど滑稽だったか。
相手は、竜王すらも「庭の害鳥」扱いする規格外なのだ。
『……グ……ウゥ……』
竜王が呻き声を上げて意識を取り戻した。
さすがは最強種、タフだ。
彼はよろよろと頭を持ち上げ、目の前の小さな人間を睨みつけた。
『キ、貴様……よくも我を……! 許さん……この屈辱、魂ごと焼き尽くして……』
「まだやるのか?」
ノエルがスコップを構え直した。
その目には、殺意はない。
ただ、「まだ仕事が終わらないのか」という、面倒くさそうな色が浮かんでいるだけだ。
「いい加減にしてくれよ。まだ皿洗いが残ってるんだ」
ノエルが一歩近づく。
その瞬間、竜王は見た。
ノエルの背後に揺らめく、巨大な幻影を。
それは、世界樹よりも巨大な鎌を持ち、星そのものを『収穫』しようとする、絶対的な死神――いや、『農神』の姿だった。
『ヒッ……!』
竜王の瞳孔が収縮した。
本能が叫んだ。
『逆らえば、死ぬ』。
いや、死ぬだけではない。『根絶やし』にされる。
存在そのものを、宇宙の理から『雑草』として引き抜かれ、消滅させられる。
『ま、待て! 待ってくれ!』
竜王の態度が一変した。
彼は巨大な体を小さく縮こまらせ、地面に頭を擦り付けた。
見事な土下座(ドラゴン・ドゲザ)だった。
『降参だ! 我が負けだ! 何でもする! 命だけは助けてくれ!』
「ん? もう暴れないか?」
『暴れん! 二度とこの空は飛ばん! だから、そのスコップをしまってくれ!』
プライドの高い竜族の王が、涙目で命乞いをしている。
その様子を見ていたジークは、妙な親近感を覚えた。
(ああ……俺と同じだ……。こいつも、ノエルの前ではただの『被害者』なんだ……)
「そうか。わかってくれればいいんだ」
ノエルはあっさりと殺気を消した。
スコップを下ろし、いつもの穏やかな青年の顔に戻る。
「じゃあ、罰として……そうだな」
ノエルは竜王の体をじろじろと見た。
その視線に、竜王はビクビクと震える。
解体されるのか? 素材にされるのか?
「お前、火を吐けるよな?」
『は? あ、ああ……吐けるが……』
「火力調整はできるか? 弱火とか、とろ火とか」
『……は? まあ、造作もないが……』
「よし、採用だ」
ノエルはポンと手を打った。
「うちの村、最近ガスコンロの火力が足りなくて困ってたんだ。お前、今日から『給湯器』兼『調理用バーナー』な」
『……は?』
竜王は耳を疑った。
給湯器? バーナー?
我は終焉の竜王ぞ? 世界を滅ぼす炎の使い手ぞ?
それを、お湯を沸かす道具に?
「嫌か?」
ノエルがスコップを持ち上げる。
『や、やります! やらせてください! 最高のお湯を沸かしてみせます!』
竜王は即答した。
プライドよりも命が大事だ。
「よし。名前は……黒いし、デカいし、『クロ』でいいか」
『ク、クロ……!? 安直すぎぬか!?』
「文句あるか?」
『ありません! 素晴らしい名前です! ワン!』
恐怖のあまり、フェンリルの真似をして鳴いてしまう竜王。
こうして、世界最強の生物兵器が、ノエル村の新しい家電(?)として採用されたのだった。
◇
村に戻ると、兵士たちはまだ震えていた。
遠くで起きた爆発と地響きに、世界の終わりを覚悟していたのだ。
だが、帰ってきたノエルの後ろには、小さくなった(人間サイズに擬態した)黒いドラゴンが、しおらしく付いてきていた。
「主様! ご無事ですか!」
「あの竜王は……?」
ヴァニアたちが駆け寄る。
「ああ、こいつ? 『クロ』っていうんだ。今日からお風呂係になってもらうから、仲良くしてやってくれ」
「……」
全員が絶句した。
ヴァニアが、擬態したクロを見て、引きつった笑いを浮かべた。
「お、お前……まさかバハムートか? その首輪はなんだ?」
「……触れるな。今はただのクロだ」
クロ(元竜王)は、死んだ魚のような目をしていた。
その首には、ノエルが『草むしり』で作った『しめ縄(絶対服従の首輪)』が巻かれていた。
「さあ、ジーク。仕事に戻るぞ。クロもお湯を沸かす練習だ」
ノエルは手際よく指示を出す。
ジークとクロは、顔を見合わせ、深いため息をついた。
そこには、種族を超えた奇妙な連帯感――『ノエル被害者の会』の絆が生まれていた。
◇
その夜。
村の広場では、再び宴が開かれた。
今度は『竜王が沸かした極上の露天風呂』付きだ。
「うひょー! 竜の火で沸かした風呂、最高だぜ!」
「腰痛が治った!」
「俺、この村に永住したい……」
王国兵士たちは、極楽気分で湯に浸かっていた。
湯加減を調整しているのは、エプロン姿のクロだ。
「ぬるくないか? 熱すぎたら言え……殺すぞ(小声)」
プライドはまだ残っているようだが、仕事は完璧だった。
ボルギス将軍は、風呂上がりのコーヒー牛乳(マッド・バイソン印)を飲みながら、ノエルに話しかけた。
「ノエル殿……。貴方は、本当に何者なのですか? 竜王さえも従えるとは……」
「だから、農家ですって」
ノエルは苦笑した。
「ただ、自分の畑を守りたいだけですよ。虫が来たら払うし、鳥が来たら追い返す。それだけのことです」
ボルギスは、その言葉に深い畏敬の念を抱いた。
欲を持わず、ただ守るべきものを守る強さ。
これこそが、真の王者の風格なのかもしれない。
「……わかりました。私が王都に戻ったら、国王陛下にありのままを報告しましょう。貴方の村は、王国にとって最大の友好国であり、決して敵に回してはならない『聖域』であると」
「ええ、よろしくお願いします。……あ、ついでにジークの借金のこと、なんとかなりませんかね? あいつ、給料なしで働いてるんで、返す当てがないんですよ」
ノエルが指差した先では、ジークが風呂掃除をしていた。
ボルギスは苦笑した。
「善処しましょう。彼もまた、貴方の『更生プログラム』を受けているようですし、ある意味で十分な罰を受けていると言えるでしょうから」
こうして、竜王襲来という世界的危機は、露天風呂の湯気と共に平和的に解決した。
ノエルの村は、名実ともに『世界最強の自治区』となり、その名は伝説として大陸中に轟くことになる。
だが、ノエルの物語はまだ終わらない。
次なる脅威は、外からではなく、意外な形でもたらされようとしていた。
それは、彼を慕う美女たちによる、『正妻戦争』の勃発だった――。
続く
46
あなたにおすすめの小説
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
追放されたので辺境でスローライフしてたら、いつの間にか世界最強の無自覚賢者になっていて元婚約者たちが土下座してきた件
にゃ-さん
ファンタジー
王都で「無能」と蔑まれ、婚約破棄と追放を言い渡された青年リオン。
唯一の取り柄は、古代語でびっしり書かれたボロ本を黙々と読み続けることだけ。
辺境で静かに暮らすはずが、その本が実は「失われた大魔導書」だったことから、世界の常識がひっくり返る。
本人は「ちょっと魔法が得意なだけ」と思っているのに、
・竜を一撃で黙らせ
・災厄級ダンジョンを散歩感覚で踏破し
・国家レベルの結界を片手間で張り直し
気づけば、訳あり美少女たちに囲まれたハーレム状態に。
やがて、かつて彼を笑い、切り捨てた王都の貴族や元仲間たちが、
国家存亡の危機を前に「助けてくれ」と縋りついてくる。
だがリオンは、領民と仲間の笑顔を守るためだけに、淡々と「本気」を解放していくのだった——。
無自覚最強×追放×ざまぁ×ハーレム。
辺境から始まる、ゆるくて激しいファンタジー無双譚!
追放された凡人魔導士ですが、実は世界最強の隠しステ持ちでした〜気づかないうちに英雄扱いされて、美少女たちに囲まれていました〜
にゃ-さん
ファンタジー
「お前は凡人だ。パーティから追放だ」
勇者パーティの役立たずと蔑まれ、辺境へと追放された下級魔導士エイル。
自分でも平凡だと信じて疑わなかった彼は、辺境でのんびり暮らそうと決意する。
だが、偶然鑑定を受けたことで判明する。
「……え?俺のステータス、バグってないか?」
魔力無限、全属性適性、成長率無限大。
常識外れどころか、世界の理そのものを揺るがす「世界最強の隠しステ」を抱えた、規格外のチートだった。
自覚がないまま災厄級の魔物をワンパンし、滅亡寸前の国を片手間で救い、さらには救われた美少女たちから慕われ、いつの間にかハーレム状態に。
一方、エイルを追放した勇者たちは、守ってもらっていた無自覚チートを失い、あっという間に泥沼へと転落していく。
「俺、本当に凡人なんだけどなあ……」
本人だけが自分を凡人だと思い込んでいる、無自覚最強魔導士の、追放から始まる自由気ままな英雄譚。
ざまぁ上等、主人公最強&ハーレム要素たっぷりでお届けします。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~
しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、
「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。
理由は単純。
彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。
森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、
彼女は必死に召喚を行う。
呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。
だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。
【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。
喋らないが最強の熊、
空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、
敬語で語る伝説級聖剣、
そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。
彼女自身は戦わない。
努力もしない。
頑張らない。
ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、
気づけば魔物の軍勢は消え、
王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、
――しかし人々は、なぜか生きていた。
英雄になることを拒み、
責任を背負うこともせず、
彼女は再び森へ帰る。
自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。
便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、
頑張らないスローライフが、今日も続いていく。
これは、
「世界を救ってしまったのに、何もしない」
追放聖女の物語。
-
大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!
向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。
土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。
とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。
こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。
土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど!
一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる