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第1話 会社帰りの満員電車で異世界へ
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終電間際の山手線は、一日の疲れを象徴するかのように重く淀んでいた。佐藤亮はドア付近に立たされ、前から押し寄せる人の波に身を任せるしかなかった。ネクタイは緩め、シャツの襟元は汗でじっとりと濡れている。二十六歳。都内の中堅商社で営業職を務めて五年。今日も定時を二時間過ぎて退社し、この満員電車に揺られている。
「はぁ……」
ため息が漏れる。隣のサラリーマンの肘が何度も肋骨に当たる。香水の匂いと汗の匂いが混ざった独特の臭いが鼻腔を刺激する。スマホの画面を眺める気力もなく、ただ天井の広告をぼんやりと見上げていた。新商品の清涼飲料水。楽しそうに笑うモデルたち。遠い世界の話だ。
「佐藤くん、今日も遅かったね。課長、また怒ってたよ」
同僚の声が頭の中でリプレイされる。いや、怒ってはいなかった。ただ溜め息をついただけだ。それなのに、なぜか自分が悪いことをしたような気分になる。これが社会人というものか。自分の人生、本当にこれでいいんだろうか。大学を出て、就活をして、内定をもらって、入社して、残業して、給料もらって、家賃払って、食費払って……。
電車がカーブを曲がり、体が大きく傾く。支えようとする手が誰かの背中に触れ、小さく謝罪の言葉を交わす。こんな日常が、あと四十年近く続くのかと思うと、胸が締め付けられるようだった。
「……最強になりたいな」
ふと、そんな子供じみた願望が頭をよぎる。漫画やアニメの主人公みたいに、誰にも縛られず、自分の力で道を切り開いていける存在。現実はそう甘くない。会議の資料一つ作るのにも、上司の顔色を窺い、先輩のやり方に倣い、お客様のご意向に沿わなければならない。自分の意思なんて、ほとんど通らない。
電車が次の駅に近づき、速度を落とし始める。ホームの明かりがトンネルの闇を切り裂いて差し込んでくる。その光が、なぜか普段より強く、白く輝いて見えた。
「あれ?」
違和感を覚えたのはその瞬間だった。周囲の喧騒が、かすかに遠のいていく。人の話し声、電車の走行音、スマホの通知音――すべてが水の中に沈めていくようにぼやけていく。代わりに、耳鳴りのような、いや、耳鳴りではない。もっと澄んだ、透明な音が聞こえてきた。
キーン――
視界が白く染まり始める。ホームの明かりが爆発したように輝き、まぶたの裏まで真っ白になる。
「うわっ!」
驚いて目を見開こうとするが、すでに視界は純白の世界に吞まれていた。体が浮いているような、沈んでいるような、不思議な感覚。重力の方向がわからなくなる。
「な、なんだこれは……」
声を出そうとするが、声帯が震えない。体の感覚が薄れていく。恐怖よりも先に、奇妙な安堵感が訪れた。これで、会社に行かなくて済むのかな。そんな馬鹿げた考えが頭をよぎる。
白い世界の奥から、ぼんやりとした人影が浮かび上がる。いや、人影というより、光そのものが人の形を取っているようだった。背が高く、やや細身。性別はわからないが、どこか優しげな雰囲気を纏っている。
「佐藤亮、二十六歳。地球出身。この三十二年間、誰一人傷つけることなく生きてきた稀有な魂」
声は直接頭の中に響いた。温かく、それでいて威厳のある声。神様の声って、こんな感じなのかもしれない、と亮はのんきに考えてしまう。
「えっ? 三十二年? 俺、二十六歳なんですけど……」
「魂の年齢である。肉体の年齢ではない。お前の魂は、幾多の転生を経て、この世に到達した。そして、その純粋さゆえに、我はお前を選びたまう」
光の存在がゆっくりと手を差し伸べる。その手のひらには、小さな星のような光の粒が輝いていた。
「この世界、アルテミアに転生せよ。そして、我より『絶対無双』の力を授けられん。この力はお前の意思に従い、お前をいかなる危機からも守り、いかなる願いも叶えるであろう」
「は、はい? 転生? 絶対無双? ちょっと待って、俺、今から明日の朝の会議の資料……」
「無用である。お前の前世の憂いは、すべて断ち切られた。新たな人生を歩むがよい」
光の粒が、ゆっくりと亮の胸元へと近づいてくる。触れると、温かい。それどころか、体の奥底から力が満ちてくるような感覚。だが、亮の頭の中は混乱そのものだった。
「待ってください! 転生って、死ぬってことですよね? 死にたくないです! まだ生きていたいです! 給料もそこそこもらえるし、好きなアニメも見られるし、たまには友達と飲みにも行けるし……」
「お前の魂はすでにこの世界を離れた。戻ることは叶わぬ」
「えっ? じゃあ、もう戻れないの? 会社はどうなるの? アパートの家賃は? スマホのローンは?」
「すべて、お前の前世の問題である。新たな世界で、新たな人生を築くがよい」
光が一気に強まり、視界が真っ白になる。体が分解されていくような、あるいは再構築されているような感覚。記憶が流れ、混ざり、新しい何かと融合していく。
最後に残ったのは、光の存在の優しい笑い声だった。
「安心せよ、佐藤亮。お前は最強である。ただ、それを自覚するには、少し時間がかかるであろうな」
***
意識が戻った。
まず感じたのは、柔らかい草の感触。背中がじんわりと地面に接している。空を見上げると、二つの月が浮かんでいた。一つは青白く、もう一つは淡いオレンジ色。どちらも地球の月より大きく、幻想的な美しさを湛えている。
「……ここは」
ゆっくりと体を起こす。周囲は草原。背の高い草が風に揺れ、虫のような生き物の鳴き声が聞こえる。空気は澄んでいて、都会の排気ガスの臭いはまったくない。むしろ、花の香りがほのかに漂っている。
「夢?」
頬をつねってみる。痛い。夢ではないらしい。
「あの光の人は……神様? 本当に転生させられたのか……」
記憶は鮮明だった。満員電車。白い光。光の存在。絶対無双の力。
「絶対無双……って、どういう力なんだ?」
とりあえず、立ってみる。体は軽い。むしろ、今まで重りをつけていたかのように軽やかだ。筋肉の一つ一つに、今まで感じたことのない力強さを感じる。
「とりあえず、歩いてみるか」
草原を歩き出す。足取りは軽やかで、疲れを感じない。一時間ほど歩いただろうか。やがて、草原の向こうに街道が見え、さらにその先に小さな集落らしきものが見えてきた。
「人がいる……よかった」
安堵しながら街道を歩く。やがて、集落の入り口に立つ看板が見えてくる。木製の看板には、奇妙な文字で何かが書かれている。読めない。だが、不思議と意味が頭に入ってくる。
「リバービュー村……か」
村の入り口には、木でできた簡素な門があり、その前に二人の男が立っていた。一人は鎧を着た兵士風の男。もう一人は農民風の格好をした年配の男だ。
「おや、旅人さんか?」
兵士風の男が声をかけてくる。亮の格好――スーツにネクタイ――を見て、少し怪訝そうな表情を浮かべている。
「あの……ここはどこでしょうか?」
「ここはリバービュー村だ。王都から南に三日の街道を下ったところにある。お前さん、どこから来たんだ? その格好は見たことないな」
「えっと……地球から来ました」
「ちきゅう? 聞いたことのない地名だな。難民か? 魔物に村を焼かれたのか?」
「いえ、違います。電車に乗っていて、光に包まれて……」
「光? もしかして、神々の導きか?」
年配の農民が身を乗り出す。
「神々の導きとは、時折、異郷から人を呼び寄せる光のことだ。十年に一度ほど、村に一人二人、そんな者がやってくる。皆、何かしらの才能を持っておる」
「才能? 俺には特に……」
「とりあえず、村長のところに連れて行こう。事情を話せば、何かしら手助けしてくれるはずだ」
兵士はそう言うと、亮を村の中へと案内し始めた。
村の中は活気に満ちていた。木造の家々が整然と並び、道を歩く人々は皆、明るい表情をしている。市場では野菜や果物、肉が売られており、いい匂いが漂っている。異世界とはいえ、どこかほっとするような、のどかな雰囲気だった。
「ところで、お前の名は?」
「佐藤亮です」
「サトウ・リョウ……か。変わった名前だな。俺はマルク、こいつは村の農民代表のトーマスだ」
「よろしくお願いします」
「ところでな、佐藤。戦えるか? 剣は使えるか? 魔法は?」
「え? 剣は高校の体育の授業以来です。魔法なんて使えませんよ」
「そうか……残念だな。最近、村の近くの森にゴブリンの群れが出没して困っておるんだ。できれば戦力になってほしかったのだが」
「すみません……」
亮は申し訳なさそうに頭を下げる。本当に、自分は何の役にも立たない凡人だ。異世界に転生したって、何も変わらない。いや、むしろ悪化した。少なくとも地球では、給料をもらえていたのに。
村長の家は、村の中央にある少し大きな木造の家だった。中に入ると、暖炉が赤々と燃えており、心地よい温もりに包まれる。村長は六十歳くらいの、白い髭をたくわえた優しげな老人だった。
「おお、新しい旅人が来たのか。ようこそリバービュー村へ」
村長はにこやかに迎えてくれた。
「私はこの村の村長、ハインリヒだ。話を聞こう。お前はどこから来たのだ?」
亮は、自分が満員電車で光に包まれ、目が覚めたら草原にいたこと。神様のような存在から「絶対無双の力」を授かったと言われたこと。しかし、その力が何かはわからないこと。すべてを正直に話した。
村長はしばらく考え込んだ後、静かに口を開いた。
「神々の導き……か。ならば、お前は特別な存在だ。だが、その力が何かは、お前自身が試してみなければわからない。まずは村にしばらく滞在するといい。食事と寝床は提供しよう。その代わり、できる範囲で村の仕事を手伝ってもらいたい」
「はい! ありがとうございます!」
胸の奥が熱くなる。こんなに優しくしてくれる人がいるなんて。地球では、新参者には冷たい目で見られるのが普通だったのに。
「ところで、佐藤。お腹は空いていないか? ちょうど夕食の時間だ。一緒にどうだ?」
「はい、ぜひ!」
村長の家で出された夕食は、シンプルながらも心のこもったものだった。スープにパン、チーズ、そして季節の野菜の煮物。どれも素材の味を生かした素朴な味付けだが、なぜか涙が出るほど美味しく感じられた。
「美味しいです。本当にありがとうございます」
「ほう、気に入ってくれたか。では、明日から村の仕事を手伝ってもらうとするか。まずは、井戸の水汲みから始めてみよう」
「はい、頑張ります!」
食事を終え、村長から与えられた小さな家の二階で、簡素なベッドに横たわる。窓から見える二つの月が、静かに光を放っている。
「俺、本当に異世界に来たんだ……」
現実感がない。明日目が覚めたら、自分のアパートのベッドで、目覚まし時計が鳴っているんじゃないか。そう思うほど、すべてが夢のように感じられた。
「絶対無双の力……って、結局なんなんだろ」
試しに、拳を握ってみる。特に変化はない。地面を蹴ってみる。跳躍力が上がったわけでもない。魔法を使うにはどうすればいいのかもわからない。
「やっぱり、ただのデマだったのかな。神様も、たまには冗談を言うんだな……」
少し落胆しながらも、ベッドの柔らかさに身を預ける。疲れていたのか、意識はすぐに遠のいていった。
***
翌朝、目が覚めた亮は、まず井戸の水汲みから始めた。木製の柄杓で水を汲み、桶に移す。単純作業だが、地球では経験したことのない労働に、最初は戸惑いながらも、徐々に慣れていく。
「佐藤さん、その桶、重くないですか?」
声をかけてきたのは、村の食堂で働く十五歳くらいの少女だった。名前はリナ。明るい茶色の髪を三つ編いにし、大きな瞳が印象的な少女だ。
「あ、大丈夫ですよ。意外と軽いし」
「え? あれ、普通の大人の男の人でも両手で持つのに苦労するんですよ?」
リナが不思議そうに首を傾げる。亮は桶を見つめる。たしかに、水が満タンに入った桶だ。地球なら、確かに重いはずだ。
「そういえば……軽いな」
昨日からずっと、違和感があった。スーツ姿で草原を歩いても疲れなかったし、この重い桶も片手で持てる。それに、朝起きたときも、まったく寝起きの悪さを感じなかった。むしろ、体が軽やかで、疲れという概念すら忘れてしまいそうだ。
「もしかして……これが絶対無双の力?」
試しに、近くの大きな岩に手をかけてみる。村の男たちが三人がかりでようやく動かせるという、直径一メートルほどの岩だ。
「うん……と」
力を込める。すると、岩はするすると地面を滑るように動いた。まるで、コロコロと転がる小石のように。
「わあ! すごーい! 佐藤さん、力持ちだね!」
リナが目を丸くして感心する。だが、亮の頭の中では別の考えが巡っていた。
「力持ち……だけじゃないな。昨日からずっと、疲れを感じていない。空腹もあまり感じない。視界も、以前より鮮明に見えるし……」
神様の言葉を思い出す。
『お前は最強である。ただ、それを自覚するには、少し時間がかかるであろうな』
「自覚する……か」
つまり、自分はすでに最強の力を持っているのに、それを認識していないということか。だから、岩を持ち上げても「ちょっと力持ち」程度にしか思わない。疲れを感じないのも「体調がいい日」程度にしか思わない。
「面白いな……」
亮は思わず笑ってしまった。まるで、自分が自分自身のことを一番わかっていないという皮肉。でも、悪い気分ではなかった。むしろ、これからどんなことが起こるのか、少し楽しみになってきた。
「リナさん、他に手伝えることありますか?」
「え? あ、うん! 市場の荷物運びを手伝ってくれると助かるな。村の外れにある倉庫から、市場まで野菜の箱を運ぶんだ。結構重いんだけど……」
「任せてください」
亮は軽々と野菜の箱を肩に担ぐ。リナが驚いた表情で見つめているのも気にせず、倉庫と市場を何往復もした。他の村人たちも、最初は怪訝そうな顔をしていたが、次第に亮の働きぶりに感心し始め、次々と仕事を依頼してくるようになった。
「佐藤さん、牛小屋の掃除お願い!」「井戸の浚渫手伝って!」「屋根の修理、高いところ登れる?」
どれも重労働のはずなのに、亮にとってはまるで遊びのようだった。疲れを感じないどころか、むしろ体を動かすのが楽しくなってくる。
「佐藤さん、本当にすごいね。まるで、何でもできるみたい」
夕方、再び食堂でリナが感心したように言う。亮は照れくさく頭を掻いた。
「いや、俺なんて大したことないですよ。普通にやってるだけです」
「普通じゃないよ! 昨日まで村にいた誰も、あんなにたくさん働けなかったよ」
「そうかな……」
亮は自分の手を見つめる。この手が、最強の力を持っているというのか。でも、自分にはまったくその自覚がない。ただ、ちょっと元気があるな、程度の感覚しかない。
「……まあ、いいか」
深く考えても仕方ない。とりあえず、今日一日、村の役に立てたのなら、それで十分だ。給料はもらえないが、代わりに食事と寝床を提供してもらっている。地球でのサラリーマン生活より、よほど心が軽い。
「リナさん、明日も手伝いますよ。できることならなんでも」
「うん! ありがとう、佐藤さん!」
リナがにっこり笑う。その笑顔に、亮の胸が少しだけ温かくなる。
夜になり、再びベッドに横たわる。二つの月は、今日も静かに光を放っていた。
「最強……か」
呟いてみる。でも、実感はまったく湧かない。ただの無職の元サラリーマン。それが自分の自己認識だ。
「明日はどんな一日になるんだろう」
窓の外から、虫の鳴き声が聞こえてくる。穏やかな夜。異世界に転生したというのに、不思議と不安はあまり感じなかった。むしろ、どこか解放されたような、そんな気分だった。
目を閉じ、意識が遠のいていく。今日一日の出来事が、ゆっくりと頭の中を巡る。満員電車。白い光。草原。村人たちの優しさ。リナの笑顔。
「……悪くないな、この世界」
最後にそんなことを思い、深い眠りに落ちていった。
(続く)
「はぁ……」
ため息が漏れる。隣のサラリーマンの肘が何度も肋骨に当たる。香水の匂いと汗の匂いが混ざった独特の臭いが鼻腔を刺激する。スマホの画面を眺める気力もなく、ただ天井の広告をぼんやりと見上げていた。新商品の清涼飲料水。楽しそうに笑うモデルたち。遠い世界の話だ。
「佐藤くん、今日も遅かったね。課長、また怒ってたよ」
同僚の声が頭の中でリプレイされる。いや、怒ってはいなかった。ただ溜め息をついただけだ。それなのに、なぜか自分が悪いことをしたような気分になる。これが社会人というものか。自分の人生、本当にこれでいいんだろうか。大学を出て、就活をして、内定をもらって、入社して、残業して、給料もらって、家賃払って、食費払って……。
電車がカーブを曲がり、体が大きく傾く。支えようとする手が誰かの背中に触れ、小さく謝罪の言葉を交わす。こんな日常が、あと四十年近く続くのかと思うと、胸が締め付けられるようだった。
「……最強になりたいな」
ふと、そんな子供じみた願望が頭をよぎる。漫画やアニメの主人公みたいに、誰にも縛られず、自分の力で道を切り開いていける存在。現実はそう甘くない。会議の資料一つ作るのにも、上司の顔色を窺い、先輩のやり方に倣い、お客様のご意向に沿わなければならない。自分の意思なんて、ほとんど通らない。
電車が次の駅に近づき、速度を落とし始める。ホームの明かりがトンネルの闇を切り裂いて差し込んでくる。その光が、なぜか普段より強く、白く輝いて見えた。
「あれ?」
違和感を覚えたのはその瞬間だった。周囲の喧騒が、かすかに遠のいていく。人の話し声、電車の走行音、スマホの通知音――すべてが水の中に沈めていくようにぼやけていく。代わりに、耳鳴りのような、いや、耳鳴りではない。もっと澄んだ、透明な音が聞こえてきた。
キーン――
視界が白く染まり始める。ホームの明かりが爆発したように輝き、まぶたの裏まで真っ白になる。
「うわっ!」
驚いて目を見開こうとするが、すでに視界は純白の世界に吞まれていた。体が浮いているような、沈んでいるような、不思議な感覚。重力の方向がわからなくなる。
「な、なんだこれは……」
声を出そうとするが、声帯が震えない。体の感覚が薄れていく。恐怖よりも先に、奇妙な安堵感が訪れた。これで、会社に行かなくて済むのかな。そんな馬鹿げた考えが頭をよぎる。
白い世界の奥から、ぼんやりとした人影が浮かび上がる。いや、人影というより、光そのものが人の形を取っているようだった。背が高く、やや細身。性別はわからないが、どこか優しげな雰囲気を纏っている。
「佐藤亮、二十六歳。地球出身。この三十二年間、誰一人傷つけることなく生きてきた稀有な魂」
声は直接頭の中に響いた。温かく、それでいて威厳のある声。神様の声って、こんな感じなのかもしれない、と亮はのんきに考えてしまう。
「えっ? 三十二年? 俺、二十六歳なんですけど……」
「魂の年齢である。肉体の年齢ではない。お前の魂は、幾多の転生を経て、この世に到達した。そして、その純粋さゆえに、我はお前を選びたまう」
光の存在がゆっくりと手を差し伸べる。その手のひらには、小さな星のような光の粒が輝いていた。
「この世界、アルテミアに転生せよ。そして、我より『絶対無双』の力を授けられん。この力はお前の意思に従い、お前をいかなる危機からも守り、いかなる願いも叶えるであろう」
「は、はい? 転生? 絶対無双? ちょっと待って、俺、今から明日の朝の会議の資料……」
「無用である。お前の前世の憂いは、すべて断ち切られた。新たな人生を歩むがよい」
光の粒が、ゆっくりと亮の胸元へと近づいてくる。触れると、温かい。それどころか、体の奥底から力が満ちてくるような感覚。だが、亮の頭の中は混乱そのものだった。
「待ってください! 転生って、死ぬってことですよね? 死にたくないです! まだ生きていたいです! 給料もそこそこもらえるし、好きなアニメも見られるし、たまには友達と飲みにも行けるし……」
「お前の魂はすでにこの世界を離れた。戻ることは叶わぬ」
「えっ? じゃあ、もう戻れないの? 会社はどうなるの? アパートの家賃は? スマホのローンは?」
「すべて、お前の前世の問題である。新たな世界で、新たな人生を築くがよい」
光が一気に強まり、視界が真っ白になる。体が分解されていくような、あるいは再構築されているような感覚。記憶が流れ、混ざり、新しい何かと融合していく。
最後に残ったのは、光の存在の優しい笑い声だった。
「安心せよ、佐藤亮。お前は最強である。ただ、それを自覚するには、少し時間がかかるであろうな」
***
意識が戻った。
まず感じたのは、柔らかい草の感触。背中がじんわりと地面に接している。空を見上げると、二つの月が浮かんでいた。一つは青白く、もう一つは淡いオレンジ色。どちらも地球の月より大きく、幻想的な美しさを湛えている。
「……ここは」
ゆっくりと体を起こす。周囲は草原。背の高い草が風に揺れ、虫のような生き物の鳴き声が聞こえる。空気は澄んでいて、都会の排気ガスの臭いはまったくない。むしろ、花の香りがほのかに漂っている。
「夢?」
頬をつねってみる。痛い。夢ではないらしい。
「あの光の人は……神様? 本当に転生させられたのか……」
記憶は鮮明だった。満員電車。白い光。光の存在。絶対無双の力。
「絶対無双……って、どういう力なんだ?」
とりあえず、立ってみる。体は軽い。むしろ、今まで重りをつけていたかのように軽やかだ。筋肉の一つ一つに、今まで感じたことのない力強さを感じる。
「とりあえず、歩いてみるか」
草原を歩き出す。足取りは軽やかで、疲れを感じない。一時間ほど歩いただろうか。やがて、草原の向こうに街道が見え、さらにその先に小さな集落らしきものが見えてきた。
「人がいる……よかった」
安堵しながら街道を歩く。やがて、集落の入り口に立つ看板が見えてくる。木製の看板には、奇妙な文字で何かが書かれている。読めない。だが、不思議と意味が頭に入ってくる。
「リバービュー村……か」
村の入り口には、木でできた簡素な門があり、その前に二人の男が立っていた。一人は鎧を着た兵士風の男。もう一人は農民風の格好をした年配の男だ。
「おや、旅人さんか?」
兵士風の男が声をかけてくる。亮の格好――スーツにネクタイ――を見て、少し怪訝そうな表情を浮かべている。
「あの……ここはどこでしょうか?」
「ここはリバービュー村だ。王都から南に三日の街道を下ったところにある。お前さん、どこから来たんだ? その格好は見たことないな」
「えっと……地球から来ました」
「ちきゅう? 聞いたことのない地名だな。難民か? 魔物に村を焼かれたのか?」
「いえ、違います。電車に乗っていて、光に包まれて……」
「光? もしかして、神々の導きか?」
年配の農民が身を乗り出す。
「神々の導きとは、時折、異郷から人を呼び寄せる光のことだ。十年に一度ほど、村に一人二人、そんな者がやってくる。皆、何かしらの才能を持っておる」
「才能? 俺には特に……」
「とりあえず、村長のところに連れて行こう。事情を話せば、何かしら手助けしてくれるはずだ」
兵士はそう言うと、亮を村の中へと案内し始めた。
村の中は活気に満ちていた。木造の家々が整然と並び、道を歩く人々は皆、明るい表情をしている。市場では野菜や果物、肉が売られており、いい匂いが漂っている。異世界とはいえ、どこかほっとするような、のどかな雰囲気だった。
「ところで、お前の名は?」
「佐藤亮です」
「サトウ・リョウ……か。変わった名前だな。俺はマルク、こいつは村の農民代表のトーマスだ」
「よろしくお願いします」
「ところでな、佐藤。戦えるか? 剣は使えるか? 魔法は?」
「え? 剣は高校の体育の授業以来です。魔法なんて使えませんよ」
「そうか……残念だな。最近、村の近くの森にゴブリンの群れが出没して困っておるんだ。できれば戦力になってほしかったのだが」
「すみません……」
亮は申し訳なさそうに頭を下げる。本当に、自分は何の役にも立たない凡人だ。異世界に転生したって、何も変わらない。いや、むしろ悪化した。少なくとも地球では、給料をもらえていたのに。
村長の家は、村の中央にある少し大きな木造の家だった。中に入ると、暖炉が赤々と燃えており、心地よい温もりに包まれる。村長は六十歳くらいの、白い髭をたくわえた優しげな老人だった。
「おお、新しい旅人が来たのか。ようこそリバービュー村へ」
村長はにこやかに迎えてくれた。
「私はこの村の村長、ハインリヒだ。話を聞こう。お前はどこから来たのだ?」
亮は、自分が満員電車で光に包まれ、目が覚めたら草原にいたこと。神様のような存在から「絶対無双の力」を授かったと言われたこと。しかし、その力が何かはわからないこと。すべてを正直に話した。
村長はしばらく考え込んだ後、静かに口を開いた。
「神々の導き……か。ならば、お前は特別な存在だ。だが、その力が何かは、お前自身が試してみなければわからない。まずは村にしばらく滞在するといい。食事と寝床は提供しよう。その代わり、できる範囲で村の仕事を手伝ってもらいたい」
「はい! ありがとうございます!」
胸の奥が熱くなる。こんなに優しくしてくれる人がいるなんて。地球では、新参者には冷たい目で見られるのが普通だったのに。
「ところで、佐藤。お腹は空いていないか? ちょうど夕食の時間だ。一緒にどうだ?」
「はい、ぜひ!」
村長の家で出された夕食は、シンプルながらも心のこもったものだった。スープにパン、チーズ、そして季節の野菜の煮物。どれも素材の味を生かした素朴な味付けだが、なぜか涙が出るほど美味しく感じられた。
「美味しいです。本当にありがとうございます」
「ほう、気に入ってくれたか。では、明日から村の仕事を手伝ってもらうとするか。まずは、井戸の水汲みから始めてみよう」
「はい、頑張ります!」
食事を終え、村長から与えられた小さな家の二階で、簡素なベッドに横たわる。窓から見える二つの月が、静かに光を放っている。
「俺、本当に異世界に来たんだ……」
現実感がない。明日目が覚めたら、自分のアパートのベッドで、目覚まし時計が鳴っているんじゃないか。そう思うほど、すべてが夢のように感じられた。
「絶対無双の力……って、結局なんなんだろ」
試しに、拳を握ってみる。特に変化はない。地面を蹴ってみる。跳躍力が上がったわけでもない。魔法を使うにはどうすればいいのかもわからない。
「やっぱり、ただのデマだったのかな。神様も、たまには冗談を言うんだな……」
少し落胆しながらも、ベッドの柔らかさに身を預ける。疲れていたのか、意識はすぐに遠のいていった。
***
翌朝、目が覚めた亮は、まず井戸の水汲みから始めた。木製の柄杓で水を汲み、桶に移す。単純作業だが、地球では経験したことのない労働に、最初は戸惑いながらも、徐々に慣れていく。
「佐藤さん、その桶、重くないですか?」
声をかけてきたのは、村の食堂で働く十五歳くらいの少女だった。名前はリナ。明るい茶色の髪を三つ編いにし、大きな瞳が印象的な少女だ。
「あ、大丈夫ですよ。意外と軽いし」
「え? あれ、普通の大人の男の人でも両手で持つのに苦労するんですよ?」
リナが不思議そうに首を傾げる。亮は桶を見つめる。たしかに、水が満タンに入った桶だ。地球なら、確かに重いはずだ。
「そういえば……軽いな」
昨日からずっと、違和感があった。スーツ姿で草原を歩いても疲れなかったし、この重い桶も片手で持てる。それに、朝起きたときも、まったく寝起きの悪さを感じなかった。むしろ、体が軽やかで、疲れという概念すら忘れてしまいそうだ。
「もしかして……これが絶対無双の力?」
試しに、近くの大きな岩に手をかけてみる。村の男たちが三人がかりでようやく動かせるという、直径一メートルほどの岩だ。
「うん……と」
力を込める。すると、岩はするすると地面を滑るように動いた。まるで、コロコロと転がる小石のように。
「わあ! すごーい! 佐藤さん、力持ちだね!」
リナが目を丸くして感心する。だが、亮の頭の中では別の考えが巡っていた。
「力持ち……だけじゃないな。昨日からずっと、疲れを感じていない。空腹もあまり感じない。視界も、以前より鮮明に見えるし……」
神様の言葉を思い出す。
『お前は最強である。ただ、それを自覚するには、少し時間がかかるであろうな』
「自覚する……か」
つまり、自分はすでに最強の力を持っているのに、それを認識していないということか。だから、岩を持ち上げても「ちょっと力持ち」程度にしか思わない。疲れを感じないのも「体調がいい日」程度にしか思わない。
「面白いな……」
亮は思わず笑ってしまった。まるで、自分が自分自身のことを一番わかっていないという皮肉。でも、悪い気分ではなかった。むしろ、これからどんなことが起こるのか、少し楽しみになってきた。
「リナさん、他に手伝えることありますか?」
「え? あ、うん! 市場の荷物運びを手伝ってくれると助かるな。村の外れにある倉庫から、市場まで野菜の箱を運ぶんだ。結構重いんだけど……」
「任せてください」
亮は軽々と野菜の箱を肩に担ぐ。リナが驚いた表情で見つめているのも気にせず、倉庫と市場を何往復もした。他の村人たちも、最初は怪訝そうな顔をしていたが、次第に亮の働きぶりに感心し始め、次々と仕事を依頼してくるようになった。
「佐藤さん、牛小屋の掃除お願い!」「井戸の浚渫手伝って!」「屋根の修理、高いところ登れる?」
どれも重労働のはずなのに、亮にとってはまるで遊びのようだった。疲れを感じないどころか、むしろ体を動かすのが楽しくなってくる。
「佐藤さん、本当にすごいね。まるで、何でもできるみたい」
夕方、再び食堂でリナが感心したように言う。亮は照れくさく頭を掻いた。
「いや、俺なんて大したことないですよ。普通にやってるだけです」
「普通じゃないよ! 昨日まで村にいた誰も、あんなにたくさん働けなかったよ」
「そうかな……」
亮は自分の手を見つめる。この手が、最強の力を持っているというのか。でも、自分にはまったくその自覚がない。ただ、ちょっと元気があるな、程度の感覚しかない。
「……まあ、いいか」
深く考えても仕方ない。とりあえず、今日一日、村の役に立てたのなら、それで十分だ。給料はもらえないが、代わりに食事と寝床を提供してもらっている。地球でのサラリーマン生活より、よほど心が軽い。
「リナさん、明日も手伝いますよ。できることならなんでも」
「うん! ありがとう、佐藤さん!」
リナがにっこり笑う。その笑顔に、亮の胸が少しだけ温かくなる。
夜になり、再びベッドに横たわる。二つの月は、今日も静かに光を放っていた。
「最強……か」
呟いてみる。でも、実感はまったく湧かない。ただの無職の元サラリーマン。それが自分の自己認識だ。
「明日はどんな一日になるんだろう」
窓の外から、虫の鳴き声が聞こえてくる。穏やかな夜。異世界に転生したというのに、不思議と不安はあまり感じなかった。むしろ、どこか解放されたような、そんな気分だった。
目を閉じ、意識が遠のいていく。今日一日の出来事が、ゆっくりと頭の中を巡る。満員電車。白い光。草原。村人たちの優しさ。リナの笑顔。
「……悪くないな、この世界」
最後にそんなことを思い、深い眠りに落ちていった。
(続く)
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