「君とは婚約破棄だ」と仰いますが、国の実務は全て私がやっていたのをお忘れですか?~追放された万能令嬢、冷徹辺境伯に才能ごと溺愛される~

eringi

文字の大きさ
13 / 30

第13話 契約結婚? いいえ、これは『就職』です

しおりを挟む
応接室の重厚なテーブルを挟んで、緊張感が漂っていた。
私の目の前には、やつれ果てた元近衛騎士団長のガロン卿。
隣には、腕を組んで厳しい表情を浮かべるジルヴェスター様。
そして、私はハイゼンベルク公爵家の筆頭執務補佐官として、冷徹な計算機のように思考を回転させていた。

「……ガロン様。状況は理解しました」

私は手元のメモに走らせていたペンを置き、顔を上げた。

「アークライト王国の現状は、国家破綻の一歩手前。結界の維持コストによる国庫の枯渇、商人たちの離反による流通の麻痺、そして王族への信頼失墜による民衆の暴動の兆し……。まさしく『詰み』の状態ですね」

ガロン卿が苦渋の表情で頷く。
「仰る通りです。……恥ずかしながら、今の王城にはこの危機を打開できる知恵者がおりません。財務大臣は『増税』しか言わず、宰相は『責任のなすりつけ合い』に終始しています」

「でしょうね。想像がつきます」

私はため息をついた。
有能な文官や騎士たちが次々と愛想を尽かして辞めていく中、残ったのはアレク殿下に媚びるだけのイエスマンばかり。
そんな組織が危機に対応できるはずがない。

「リーゼロット様。……やはり、貴女様に戻っていただくしか……」
「いいえ、戻りません」

私はきっぱりと拒絶した。
ガロン卿が絶望に目を伏せる。
しかし、私はすぐに言葉を継いだ。

「戻りませんが、助けないとは言っていません。……あくまで『ビジネス』として、アークライト王国に必要な物資と人材を提供しましょう」

「ビ、ビジネス、ですか?」

「はい。我がシルヴァーナ王国、およびハイゼンベルク公爵領は、アークライト王国に対し、緊急食料支援と結界維持用魔石の貸与を行います。……ただし」

私はニッコリと、商談における「殺し文句」を告げる時の笑みを浮かべた。

「対価として、アークライト王国の北部に眠る『未開発魔銀山』の採掘権を50年間、我が領に譲渡していただきます。また、関税の撤廃と、国境付近の通商ルートの独占権もいただきます」

「なっ……!?」

ガロン卿が絶句した。
魔銀山といえば、アークライト王国が「いつか開発する」と言って塩漬けにしていた虎の子の資源だ。
それを50年も譲渡するとなれば、実質的に国土の一部を切り売りするに等しい。

「そ、それはあまりにも……! 陛下が首を縦に振るとは思えません!」

「では、滅びればよろしいのでは?」

私の声は冷たかった。

「ガロン様。これは慈善事業ではありません。私は今、ハイゼンベルク家の利益を最優先に考える補佐官です。……それに、今の陛下や殿下に、開発する技術も予算もないでしょう? 我が領の技術で開発し、雇用を生み出した方が、結果的に民のためになります」

ガロン卿はぐぬぬと言葉に詰まり、やがて力なく項垂れた。
「……仰る通りです。今のままでは、宝の持ち腐れ以前に、国自体が消滅します……」

「交渉成立ですね。……ジルヴェスター様、この条件でよろしいでしょうか?」

私が隣の主君に尋ねると、彼は満足げに頷いた。

「ああ、完璧だ。君の言う通り、あの鉱山は以前から目をつけていた。だが、まさか向こうから頭を下げさせて手に入れることになるとはな。……君は本当に、優秀な『悪女』だよ」

「お褒めに預かり光栄です」

私たちは視線を交わし、微かに笑い合った。
この「共犯者」のような空気が、今の私には心地よかった。

「それと、もう一つ」
ジルヴェスター様がガロン卿に向き直った。

「ガロン卿。貴殿は騎士団を追放されたと言ったな?」
「……はい。陛下の無茶な命令に背いたため、解雇されました。今はただの浪人です」
「ならば、我が領で雇おう」

「え?」
ガロン卿が目を見開く。

「君のような忠義に厚い騎士を、野に放っておくのは損失だ。……それに、リーゼロットの護衛が必要だと思っていてな」

ジルヴェスター様は私を見た。

「彼女はこれから、アークライト王国との交渉の矢面に立つことになる。向こうが強硬手段――誘拐や暗殺を企てないとも限らん。彼女の顔を知り、かつ腕の立つ護衛が欲しい」
「わ、私などが……よろしいのですか?」

「君が適任だ。かつて彼女を守れなかった悔しさがあるなら、ここで晴らせ」

ジルヴェスター様の言葉に、ガロン卿の瞳に熱いものが宿った。
彼はその場に跪き、深く頭を下げた。

「……ありがたき幸せ! この命に代えても、リーゼロット様をお守りいたします!」

こうして、私たちは最強の護衛を手に入れた。
すべてが順調に進んでいるように見えた。
だが、ジルヴェスター様はまだ何か考えがあるようだった。

   * * *

ガロン卿が退出した後、応接室には私とジルヴェスター様だけが残った。

「リーゼロット」
「はい、閣下」
「今回の『救済案』、内容は素晴らしい。だが、一つだけ懸念がある」

ジルヴェスター様は真剣な表情で、指を組んだ。

「君の立場だ」
「立場、ですか?」

「ああ。君は現在、私の『筆頭執務補佐官』だ。だが、対外的には、アークライト王国から追放された元公爵令嬢に過ぎない。……向こうの国王や王子が、『婚約破棄は無効だ』『彼女は我が国の国民だ』と強弁した場合、国際法上、君の身柄を引き渡さざるを得なくなる可能性がある」

私は息を呑んだ。
確かにそうだ。
私がいくら「帰りません」と言っても、向こうが国家権力を使って「逃亡犯の引き渡し」を要求してきた場合、ハイゼンベルク公爵家といえども拒否し続けるのは難しい。
戦争になるリスクを冒してまで、一人の女性を匿う大義名分が必要なのだ。

「で、では、どうすれば……」
「簡単だ。君が『シルヴァーナ王国の国民』になり、かつ『アークライト王家よりも上位の権利を持つ者』になればいい」

ジルヴェスター様は立ち上がり、私の前まで歩いてきた。
そして、その青い瞳で私を真っ直ぐに射抜いた。

「リーゼロット。私と結婚しよう」

「……は?」

思考が停止した。
時が止まったような静寂の中、暖炉の薪がパチリと爆ぜる音だけが響く。

け、結婚?
今、この方は何を仰ったの?

「け、けけけ、結婚ですか!? わ、私と!? 閣下が!?」
私はパニックになり、椅子から飛び退いた。
顔が熱い。心臓が破裂しそうだ。

「お、お待ちください! そのような冗談を! 私は追放された身で、傷物で、しかも仕事中毒の可愛げのない女ですよ!?」
「傷物などではないし、仕事中毒なのは私も同じだ。それに、君は可愛い」

彼は真顔で即答した。
「冗談ではない。これが、君を最も確実に守り、かつアークライト王国に手出しさせない唯一の方法だ」

彼は一歩近づいてくる。私は一歩下がる。
背中が壁に当たった。逃げ場がない。

「私が君と婚約すれば、君は『ハイゼンベルク公爵家の次期夫人』となる。シルヴァーナ国王陛下の認可もすぐに取れるだろう。そうなれば、隣国の一王子ごときが君の所有権を主張することなど不可能になる」

「り、理屈は分かります! 分かりますが……!」

私は両手で顔を覆った。
「結婚というのは、その……愛し合う男女がするものではありませんか? 政略的な理由だけで、閣下の配偶者の座を汚すわけには……」

私の中には、まだアレク殿下とのトラウマがあった。
愛のない婚約。
便利な道具としての扱い。
もしジルヴェスター様との結婚も、彼にとって「便利だから」という理由だけだとしたら。
……それは、耐えられないかもしれない。
だって私は、この方のことが、もう――。

「リーゼロット」

私の心を読んだかのように、ジルヴェスター様が優しく私の手首を掴み、顔を覆っていた手を外させた。
至近距離で、彼の美しい顔が私を見つめている。

「勘違いしないでくれ。これは政略だが、私の本心でもある」
「え……」
「私は、君が欲しい。君の能力も、君の強さも、君の笑顔も。……全てを私のそばに置いておきたいんだ」

彼は私の髪を一房すくい、口づけを落とした。

「だが、君が『結婚』という言葉に抵抗があるなら、言い方を変えよう」

彼は悪戯っぽく笑った。

「これは『就職』だ」
「しゅう、しょく……?」

「ああ。君に『ハイゼンベルク公爵夫人』という役職に就いてもらいたい。業務内容は以下の通りだ」

彼は指を折りながら、淡々と、しかし熱っぽく語り始めた。

「一、私の隣で堂々と胸を張り、アークライト王国を見返してやること」
「二、領内の内政および財務の全権を掌握し、好きに改革すること」
「三、毎日三食、温かい食事を食べ、ふかふかのベッドで眠ること」
「四、……私が君を溺愛することを、甘んじて受け入れること」

一から三までは天国のような労働条件だ。
しかし、四番目。

「で、溺愛……ですか?」
「そうだ。これが最も重要な業務だ。私は君に触れたいし、贈り物をしたいし、甘やかしたい。それを拒否されると、私のモチベーションに関わる」

彼は真剣な顔で言った。
「どうだ? 好条件だろう? ブラック企業だった前職とは比べ物にならないはずだ」

私は呆気に取られ、それから吹き出してしまった。
「ふふ、あははは!」

なんて人だろう。
プロポーズを「就職」と言い換えて、私の警戒心を解こうとするなんて。
しかも、その条件が私にとって魅力的すぎる。

「……確かに、破格の待遇ですね。福利厚生が充実しすぎていて怖いくらいです」
「契約期間は『終身』だ。途中で辞めることは許さん」

彼の瞳には、深い愛情と、少しの不安が見えた。
断られるかもしれない、と思っているのだろうか。
こんなに完璧な方が。

私は深呼吸をして、姿勢を正した。
そして、彼の手を握り返した。

「……謹んで、お受けいたします」

私は微笑んだ。

「その『就職試験』、合格させていただけますか? 私、仕事には自信がありますが、妻としての業務は未経験ですので」
「即採用だ。……経験などいらない。君がそこにいてくれるだけで、私は満たされる」

ジルヴェスター様は私を強く抱きしめた。
逞しい腕の中、心臓の音が重なる。
「契約結婚」でも「就職」でもいい。
この温もりが嘘でないことだけは、私には分かっていた。

   * * *

翌日。
私たちは早速、「契約書」の作成に取り掛かった。
正式な婚約書類を作成し、シルヴァーナ王家へ提出するためだ。

「リーゼロット、この条文はどうだ? 『夫人は、毎朝夫による『おはようのキス』を受ける義務を負う』」
「却下です! それは業務外です!」
「むぅ、では『週に一度はデートに応じること』ならどうだ?」
「……それくらいなら、善処します」

執務室でキャッキャと(主にジルヴェスター様がはしゃいで)書類を作っていると、セバスチャンが呆れた顔でお茶を持ってきた。

「閣下、リーゼロット様。お熱いのは結構ですが、ガロン卿が出発の準備を整えてお待ちです」
「おっと、そうだったな」

ジルヴェスター様は表情を引き締めた。
ガロン卿には、私たちの婚約の事実と、先ほどの「救済案(という名の不平等条約)」を持って、アークライト王国へ戻ってもらうことになっている。
彼が「使者」として戻れば、アークライト側も無下にはできない。

「リーゼロット、手紙は書けたか?」
「はい。こちらに」

私は一通の封筒を差し出した。
宛先は、アレク殿下――ではなく、アークライト国王陛下だ。
中には、冷徹なまでの条件提示と、私とジルヴェスター様の婚約通知書が入っている。

「これを読んだ時の、彼らの顔が見ものですわね」
「ああ。……特にあの王子は、悔し涙で枕を濡らすだろう」

私たちは悪い顔をして笑い合った。

城の中庭で、ガロン卿が馬に跨り、敬礼した。
「必ずや、この書状を陛下にお届けし、合意を取り付けて参ります。……リーゼロット様、次に会う時は、貴女様は公爵夫人として、堂々と祖国へ凱旋してください」
「ええ、期待していますよ、ガロン様」

ガロン卿は颯爽と駆けていった。
雪晴れの空の下、私たちはその背中を見送った。

「さて、リーゼロット」
ジルヴェスター様が私の肩を抱いた。
「これで賽は投げられた。……あとは、向こうがどう出るかだが」
「泣きついてくるに決まっています。彼らにはもう、選択肢などないのですから」

私は確信していた。
あの国の人たちが、プライドを捨ててでもすがってくる未来を。
そしてその時こそ、私が本当の意味で「ざまぁ」を果たす時なのだ。

   * * *

【一方その頃】
アークライト王国、王城。

アレク王子は、執務室の窓際で爪を噛んでいた。
「遅い……まだ連絡がないのか……」

国王から「リーゼロットを連れ戻せ」と厳命されてから数日。
彼は何度も手紙を書き、使いを出そうとしたが、国境は雪と魔獣で閉ざされ、一般の伝令ではたどり着けない状態だった。
唯一の頼み綱であるガロン騎士団長も、行方不明(実際には追放済み)で連絡がつかない。

「殿下、ご報告を……」
カイルが恐る恐る入ってきた。
「なんだ! リーゼロットから返事が来たのか!?」
「い、いいえ。……商人たちが、ついに城門の前で座り込みを始めました。『金を払うか、王子を出せ』と……」

「ひぃぃっ!」
アレクは悲鳴を上げた。
国民からの支持は地に落ち、城の外に出ることさえ危険な状態だ。

「ど、どうすればいいんだ! ミナはどこだ! 僕を慰めてくれるはずだろう!」
「ミナ様は……『実家の父が危篤』とのことで、荷物をまとめて領地へ帰られました」
「なっ……!?」

嘘だ。
ミナの実家の男爵はピンピンしているはずだ。
つまり、逃げたのだ。
泥船から、いち早く。

「う、嘘だ……僕の愛が……僕の天使が……」
アレクは膝から崩れ落ちた。

「みんな、僕を置いていく……。僕は王太子だぞ……選ばれた人間なんだぞ……」

その時、廊下が騒がしくなった。
「開門! シルヴァーナからの使者だ!」
「元騎士団長のガロン卿だ!」

「ガロン!? 戻ってきたのか!」
アレクは弾かれたように立ち上がり、謁見の間へと走った。

謁見の間には、すでに国王と王妃、そして重臣たちが集まっていた。
その中央に、旅装のままのガロン卿が堂々と立っていた。

「ガロン! よく戻った! で、リーゼロットはどうした! 連れてきたんだろうな!」
アレクが叫びながら駆け寄る。

ガロン卿は冷ややかな目でかつての主君を見下ろし、一枚の羊皮紙を突き出した。

「リーゼロット様は戻られません」
「は……?」

「彼女は、ハイゼンベルク公爵ジルヴェスター閣下との婚約を発表されました。……これより彼女は、シルヴァーナ王国の公爵夫人となります」

「こ、婚約ぅぅぅーーッ!?」

アレクの絶叫が城内に響き渡る。
国王が顔面蒼白で玉座から立ち上がる。
「そ、それは真実か! アークライト家との婚約はどうなった!」

「殿下が破棄を宣言されましたので、無効です。……さらに」
ガロン卿はもう一枚の書類――私たちが作成した『救済案(不平等条約)』を広げた。

「ハイゼンベルク公爵家より、我が国への支援の条件が提示されました。……これを呑まなければ、国交断絶および食料輸出の全面停止を実行するとのことです」

その内容を聞いた瞬間、謁見の間は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
「魔銀山を渡せだと!?」
「関税撤廃!? 属国になれと言うのか!」
「しかし、断れば来月の小麦が入ってこないぞ!」
「餓死か、隷属か……!」

アレクは床にへたり込み、ガタガタと震えていた。
「嫌だ……嘘だ……リーゼロットは僕のことが好きだったはずだ……。あんな冷たい男と結婚なんて……僕への当てつけに決まってる……」

彼はまだ、自分の都合の良い妄想の中に逃げ込もうとしていた。
しかし、現実は非情に迫ってくる。

ガロン卿は、アレクに向かってトドメの一言を告げた。

「殿下。リーゼロット様からの伝言です」
「で、伝言……!? やっぱり、まだ僕に気があるんだな!?」
アレクが希望に顔を上げる。

「『新しい職場(・)は最高です。殿下も早く、自分に合ったお仕事(清掃員など)が見つかるといいですね』……以上です」

「ぶべらっ!!」

アレクは白目を剥いて泡を吹き、その場に気絶した。
国王の怒号と、重臣たちの嘆き声が渦巻く中、アークライト王国の崩壊へのカウントダウンは、いよいよ最終段階へと突入していった。

続く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

『婚約もしていないのに婚約破棄ですか? 〜岩塩で殴れば目が覚めます?〜』

しおしお
恋愛
「岩を売る田舎娘と婚約?そんなもの破棄だ!」 ――そう言い放ったのは、まだ婚約すら成立していないのに“婚約破棄”を宣言した内陸王国の王太子。 塩は海から来るもの。 白く精製された粉こそ本物。 岩塩など不純物の塊に過ぎない。 そう思い込んだ彼は、ハライト公国公爵令嬢ヴィエリチカを侮辱し、交易を軽んじた。 だが―― 王都に届くその“白い粉”は、すべてハライト産の岩塩から精製されたものだった。 供給が止まった瞬間、王国は気づく。 塩は保存であり、兵站であり、治療であり、冬越しの生命線であったことを。 謝罪の席で提示された条件はただ一つ。 民への販売価格は据え置き。 だが国家は十倍で買い取ること。 誇りを守るために契約を受け入れた王太子。 守られたのは民。 削られたのは国家。 やがて赤字は膨らみ、担保は差し出され、王国は静かに編入されていく。 処刑はない。 復讐もない。 あるのは――帰結。 「塩は、穢れを流すためのものです」 笑顔で告げるヴィエリチカと、 王宮衛生管理局へ配属された元王太子。 これは、岩塩を侮った物語の、静かな終着点。 --- もしアルファポリス向けにもう少し軽くする版も欲しければ、作ります。 それとも、 ・タグもまとめる? ・もっと煽る版にする? ・文学寄りにする? どの方向で仕上げますか?

婚約破棄? では、その誠実さはどちらに置いていらしたのですか?

鷹 綾
恋愛
「真実の愛を見つけた。君との婚約は破棄する」 そう告げられたのは、公爵令嬢セリシア・ルヴァリエ。 婚約中にもかかわらず、王太子レオンハルトは義妹ミレイナと密会を重ね、継母は裏で噂を流し、父はそれを黙認していた。 すべてを奪われ、四面楚歌―― けれど、セリシアは泣かなかった。 「婚約破棄はご自由に。ただし、不誠実の代償はお支払いいただきますわ」 証拠を握り、舞踏会で公開断罪。 王家を欺いた王太子は廃嫡。 義妹は社交界から追放。 継母は財産凍結。 父は爵位返上。 そして最後に縋りついたのは――かつて彼女を捨てた男。 「やり直せないか」 「誠実さを選ばなかったのは、あなたですわ」 振り向かぬ令嬢と、すべてを失った元王太子。 救済なし、後悔のみ。 これは、不誠実を踏み台にしようとした者たちが、 徹底的に転落する物語。 --

私に価値がないと言ったこと、後悔しませんね?

みこと。
恋愛
 鉛色の髪と目を持つクローディアは"鉱石姫"と呼ばれ、婚約者ランバートからおざなりに扱われていた。 「俺には"宝石姫"であるタバサのほうが相応しい」そう言ってランバートは、新年祭のパートナーに、クローディアではなくタバサを伴う。 (あんなヤツ、こっちから婚約破棄してやりたいのに!)  現代日本にはなかった身分差のせいで、伯爵令嬢クローディアは、侯爵家のランバートに逆らえない。  そう、クローディアは転生者だった。現代知識で鉱石を扱い、カイロはじめ防寒具をドレス下に仕込む彼女は、冷えに苦しむ他国の王女リアナを助けるが──。  なんとリアナ王女の正体は、王子リアンで?  この出会いが、クローディアに新しい道を拓く! ※小説家になろう様でも「私に価値がないと言ったこと、後悔しませんね? 〜不実な婚約者を見限って。冷え性令嬢は、熱愛を希望します」というタイトルで掲載しています。

真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?

ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」 建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。 だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。 「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」 宝石代、夜会費、そして城の維持費。 すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。 「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」 暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。 下着同然の姿で震える「自称・聖女」。 「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」 沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!

【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ
恋愛
 父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。 「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」  庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。  少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *) HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい! 色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー! ★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!  これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい! 【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)

婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜

nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。 「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。 だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。 冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。 そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。 「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

処理中です...