「君とは婚約破棄だ」と仰いますが、国の実務は全て私がやっていたのをお忘れですか?~追放された万能令嬢、冷徹辺境伯に才能ごと溺愛される~

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第29話 真の結婚式、祝福の鐘は誰がために

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狂乱と喝采、そして幸福に満ちた結婚披露宴が終わり、夜も更けた頃。
最後の招待客を見送り、使用人たちに労いの言葉をかけ終えた私たちは、ようやく二人きりになることができた。

場所は、公爵夫妻の私室――つまり、今日から私たちの愛の巣となる、主寝室だ。

「……疲れたか? リズ」

重厚な扉が閉められ、外界の喧騒が遮断された瞬間、ジルヴェスター様が背後から私を抱きしめた。
その腕の力強さと、首筋にかかる熱い吐息に、披露宴の高揚感とはまた違う、甘く痺れるような緊張が走る。

「……いいえ。心地よい疲れですわ。……皆様の笑顔が、何よりの活力になりましたから」

私は彼の腕に自分の手を重ね、寄りかかった。
窓の外には月が輝き、雪解けのハイゼンベルク領を青白く照らしている。
部屋の中は暖炉の火が爆ぜる音だけが響き、テーブルには私たちのためだけに用意された最高級のワインと、二つのグラスが置かれていた。

「今日は、私の人生で一番長い一日だった。……そして、一番幸せな一日だった」

ジルヴェスター様は私をゆっくりと振り返らせ、熱っぽい瞳で見つめた。
その瞳には、隠しきれない情欲と、それを上回るほどの深い愛情が湛えられている。

「君があまりにも美しくて……披露宴の間中、他の男たちが君に見惚れているのが不愉快で仕方なかったよ。早く君を隠してしまいたくて、気が狂いそうだった」

「まあ。……嫉妬深いですわね、私の旦那様は」
「当然だ。君は私だけのものだ。……このドレスも、その髪飾りも、そしてその中身も」

彼は私の頬を撫で、そして顎をくいと持ち上げた。
唇が重なる。
式での誓いのキスよりも深く、貪るような口づけ。
私は彼の首に腕を回し、その熱に応えた。

「……ドレスが重いだろう。脱がせていいか?」

唇を離した彼が、掠れた声で囁く。
私は顔を赤らめながら、小さく頷いた。

「……はい。……お願いします、あなた」

ジルヴェスター様の手が、私の背中に回る。
『スターダスト・シルク』のドレスは、魔法で織られた特別なものだ。
彼が魔力を流すと、留め具がひとりでに外れ、光の衣が衣擦れの音と共に床へ滑り落ちた。

露わになった肌に、夜の空気が触れる。
けれど寒くはない。
彼の視線が、熱を持って私の全身を愛撫しているからだ。

「……綺麗だ」

彼はため息をつき、私を横抱き――いわゆるお姫様抱っこにした。
軽々と持ち上げられ、私は思わず彼の首にしがみつく。

「リズ。……覚悟はできているか?」
彼が天蓋付きの大きなベッドへと私を運びながら問う。

「……はい。……貴方様がプロポーズしてくださったあの日から、私の心も体も、全て貴方様のものです」

私が答えると、彼は嬉しそうに目を細め、私を柔らかいシーツの上に下ろした。
そして、覆い被さるようにして私を見下ろす。

「愛している。……言葉では足りないくらいに」
「私も……愛しています」

キャンドルの火が吹き消され、部屋は月明かりだけになった。
私たちは互いの体温を求め合い、魂を溶け合わせるように、深く愛し合った。
それは、書類上の契約でも、政治的な結びつきでもない。
男と女として、ただひたすらに相手を慈しみ、求め合う、真の結婚の儀式だった。

   * * *

翌朝。
小鳥のさえずりと共に目を覚ますと、隣にはまだジルヴェスター様が眠っていた。
普段は早起きの彼だが、昨夜は遅くまで……その、頑張りすぎたせいだろう。
整った寝顔は少年のようで、無防備だ。
長い銀の睫毛が、朝日に透けて輝いている。

(……私の、旦那様)

私はそっと彼に触れたくて、指先で頬をつついた。
すると、彼の手がすっと伸びてきて、私の指を捕まえた。

「……おはよう、奥様」
閉じていた目がゆっくりと開き、青い瞳が私を映す。
「いたずらっ子だな」

「おはようございます、旦那様。……起こしてしまいましたか?」
「いや。君の気配で目が覚めた。……最高の目覚めだ」

彼は私の手を引き寄せ、掌にキスをした。
そして、そのまま私を抱き寄せ、シーツの中で温め合う。

「……夢じゃないんだな」
彼が私の髪に顔を埋めて呟く。
「君が私の腕の中にいて、私の妻になった。……幸せすぎて、怖い」

「夢ではありませんよ。……ほら」
私は左手をかざした。
薬指には、ミスリルの指輪が光っている。
「この指輪が、私が貴方様のものである証です」

「そうだな。……一生離さない」

私たちは朝の光の中で、しばらくまどろみを楽しんだ。
「起きなければいけませんわ。今日は『鐘』の儀式がありますもの」
「……あと五分。いや、十分」
「子供みたいですね」
「君が甘やかすからだ」

そんな甘いやり取りさえも、幸せでたまらなかった。

   * * *

『鐘』の儀式。
それは、ハイゼンベルク領に古くから伝わる、結婚式の翌朝に行われる重要な伝統行事だ。
領主夫妻が揃って、城の最上階にある『氷狼の鐘』を鳴らすことで、領土の守り神に結婚を報告し、領民たちに新たな時代の到来を告げるというものだ。

身支度を整えた私たちは、城の塔へと向かった。
私は公爵夫人としての正装――ハイゼンベルク家のカラーである深い青のドレスを纏い、ジルヴェスター様も正装の軍服を着ている。

塔の頂上には、巨大な銀色の鐘が吊るされていた。
その表面には精緻な狼の彫刻が施され、冷たく澄んだ空気を纏っている。

「準備はいいか、リーゼロット」
ジルヴェスター様が、鐘に繋がれた太い綱を手に取る。
「はい。……二人で鳴らすのですね」

私もその綱に手を添えた。
彼の手が、私の手の上から優しく、力強く重なる。

「この鐘の音は、領内の隅々まで響き渡る。……私たちの愛と、この領地の繁栄を約束する音だ」
「ええ。……鳴らしましょう。私たちの未来のために」

「せーの!」

カーン、カーン、カーン……。

二人の力で引かれた綱が、鐘を揺らした。
澄み渡った、どこまでも高く美しい音色が、朝の空気に溶け込んでいく。
その音は、城下町へ、広がる農地へ、ガレン鉱山へ、そして遠くの山々へと広がっていった。

塔の上から見下ろすと、鐘の音を聞いた領民たちが、家から出てきて空を見上げ、手を振っているのが見えた。
「おめでとう!」
「万歳!」
風に乗って、祝福の声が聞こえてくる。

「聞こえるか、リズ。……あれが、私たちが守るべき人々の声だ」
「はい。……とても温かい声です」

私は涙ぐみながら、ジルヴェスター様に寄り添った。
この鐘の音は、祝福の音だ。
私たちの結婚を祝い、平和を喜び、豊かな未来を信じる人々の希望の音。
それは、何にも代えがたい美しい音楽だった。

   * * *

【一方その頃】
遠く離れたアークライト王国の跡地――今はハイゼンベルク領の経済的属国となった、名ばかりの王都。

その郊外にある国際連合司法監獄の独房で、アレク・グレイシスは膝を抱えていた。

「……うるさい」

彼は耳を塞いだ。
幻聴が聞こえるのだ。
カーン、カーン、という、結婚式を告げる鐘の音が。

「うるさい、うるさい! やめろ! 鳴らすな!」

アレクは独房の壁に頭を打ち付けた。
今日は彼が勝手に設定した「リーゼロットとの結婚式」の予定日だった。
もし彼が道を踏み外さなければ、今頃は華やかなファンファーレと、国民の歓声に包まれ、美しい花嫁とキスをしていたはずの日だ。

だが現実には、聞こえてくるのは鐘の音ではない。
看守が鉄格子を警棒で叩く、乾いた金属音だけだ。

「おい、404番! 点呼だ! 返事をしろ!」

「……あ、あう……」
アレクは虚ろな目で看守を見上げた。

「なんで……なんで僕はここにいるんだ……」
「罪を犯したからだ。忘れちまったのか?」
看守は冷ややかに言い放つ。

「今日は良い天気だぞ。隣のハイゼンベルク領じゃあ、公爵様の結婚式で祝い酒が振る舞われてるらしい」

その言葉は、どんな拷問よりも深くアレクの心を抉った。

「結婚式……リーゼロットの……」

「おうよ。新聞見たか? すげぇ美人な奥方様だ。……お前さんが捨てた元婚約者だって噂だが、本当かねぇ? あんな女神様を捨てるなんて、よっぽど目が腐ってたんだろうな」

看守の嘲笑。
アレクは言葉も出なかった。
目が腐っていた。その通りだ。
一番近くにあった宝石を石ころだと思い込み、泥の中に投げ捨てた。
そして、それを拾い上げ、磨き上げ、世界一の至宝にしたのがジルヴェスターだった。

「う、うわぁぁぁぁっ!」

アレクは絶叫した。
後悔、嫉妬、絶望。
それらがどろどろに混じり合い、彼の精神を蝕んでいく。

その時、遠くの空から、風に乗って微かに鐘の音が聞こえた気がした。
それは幻聴かもしれないし、本当に風が運んできたのかもしれない。

『祝福の鐘は誰がために』。

その鐘は、新しい時代を築く者たちのためには祝福を。
そして、過去にしがみつき、愛を侮辱した者には、終わりの弔鐘として響いていた。

アレクは冷たい床に突っ伏し、耳を塞いでも消えないその音に怯えながら、長い長い刑期の一日目を過ごすしかなかった。
彼を待っているのは、あと7300日の孤独な夜だけだ。

   * * *

鉱山の奥深く。
ミナ・パープルもまた、休憩時間に空を見上げていた。
地下坑道から地上の空は見えない。
だが、監督たちが話している噂話が、通気口を通って聞こえてきたのだ。

「公爵様の結婚式、すごいらしいよ」
「リーゼロット様のドレス、星空みたいに光ってたって」
「私たちにも祝い金が出るんだってさ! ありがてぇなぁ」

ミナは、泥と煤で真っ黒になった手を見つめた。
かつては高価なネイルで飾られていた爪は割れ、肌は荒れ放題だ。

「……結婚式、か」

彼女は乾いた笑いを漏らした。
自分が夢見ていた場所。
自分が着るはずだったドレス。
自分が浴びるはずだった称賛。

「……バカみたい」

彼女は呟いた。
誰かを蹴落として手に入れた幸せなんて、所詮は砂上の楼閣だったのだ。
リーゼロットは、誰かを蹴落とすのではなく、自分の手で居場所を作り、周りを幸せにすることで、本物の幸福を手に入れた。
その差は、天と地ほどもあった。

「さあ、休憩終わり! 働け!」
監督の怒声が飛ぶ。

「はいはい、やりますよ……」
ミナはツルハシを手に取った。
以前のような金切り声はもう上げない。
ただ、黙々と石を掘る。
その背中は、以前よりも少しだけ逞しく、そして寂しげだった。
彼女もまた、この冷たい地下で、自分の犯した罪と向き合い続けるしかないのだ。

   * * *

再び、ハイゼンベルク領の『氷狼の鐘』の塔。

鐘を鳴らし終えた私たちは、手すりに寄りかかり、眼下に広がる領地を眺めていた。
春の陽気に誘われて、雪解けの大地には緑が芽吹き始めている。
遠くにはガレン鉱山の煙、苺農園のガラスハウスの輝き、そして活気に満ちた城下町が見える。

「美しい眺めだ」
ジルヴェスター様が言った。
「だが、この景色が美しいのは、君が隣にいてくれるからだ」

「あら、口がお上手になりましたわね、旦那様」
「君への愛を語るためだけに、詩集を読み漁ったからな」

彼は悪戯っぽく笑い、私の腰を引き寄せた。

「リーゼロット。……これから、忙しくなるぞ」
「ええ。分かっております」

アークライト王国の再建(管理)、領内の新産業の育成、そして……公爵家の跡継ぎ問題。
やるべきことは山積みだ。
でも、不思議と重荷には感じない。
一人で背負っていた時とは違う。
二人でなら、どんな重荷も半分こにできる。そして喜びは二倍になる。

「覚悟はいいか? 私の補佐官兼、最愛の妻よ」
「もちろんです。……どこまでもお供しますわ、私のボス兼、最愛の夫よ」

私たちは春風の中でキスをした。
鐘の余韻が、まだ空気に溶けている。
それは、私たちの長い長い幸せな物語の、始まりの合図だった。

空は青く、未来は明るい。
かつて「可愛げがない」と捨てられた令嬢は今、世界で一番「可愛がられる」公爵夫人として、最高のハッピーエンドを迎えたのだった。

「さあ、戻りましょうか。……ハンスが、お祝いの特別ランチを用意して待っていますよ」
「ああ。……だがその前に、もう一度だけ」

「んっ……」

祝福の鐘の音は止んだが、二人の愛の鐘は、これからもずっと、高らかに鳴り響き続けるだろう。

続く
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