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第五章〜悲しき戦い〜
第92話 〜終戦〜
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ヒイロとヴァンジャンスの戦いは、すでに1時間を超えていた。2人の周りにはヴァンジャンスが出したと思われる兵器の残骸が溢れ、また天王をはじめとした王城の中にいた兵士達も、その2人の戦いに釘付けだった。
「どうしたよ、ヴァンジャンス!もうバテてきたんじゃないのか?さっきの勢いはどうした!」
「……さっきから馴れ馴れしく名前を呼ぶな!お前こそどうなんだ!俺の本気はまだまだこれからだ!」
さらに戦闘は激しさを増す。
「お前はどうして大事な記憶を忘れてしまってる……お前の中に忘れちゃいけない人達がいるはずだ!」
「貴様に関係ない!今の俺の記憶にないと言うことは……それだけのことだったということ……今の俺に復讐よりも大切なものなどないわ」
「……バカやろう。こっちはお前の昔も全部聞いてんだよ……つらいよな。俺の前世で、嫌でもお前のような子どもを見てきたよ。子どもは親を選べない……そして、そんな親でも子どもにとっては唯一の家族……。そして世の中には、何も知らない生きることに必死な若者を……騙して道具のように使い捨てにするクソッタレな会社……クッ」
ヴァンジャンスはまた原因不明の頭痛に襲われる。
「クッ……そうだ……!!そして苦しみながら死んだ俺はこの世界にやってきた。ここも同じだ。生まれた時から親は知らねぇし、弱かった俺はクソな大人どもの言いなりに奴隷のように過ごした!それから……」
「……そう、それからだよ。お前はある人達に出会ったんだ。絶望から救い出してくれたんだろ?人の優しさや温もりを知ったんだろ……お前は何のために年寄りのための施設を作ったんだヴァンジャンス!」
「施設……?年寄り?っがぁ……」
さらに頭痛が激しくなる。ヴァンジャンスは自分の中で何か大切なことを忘れている気がする……
「おじいさん、おばあさんに世話になったんじゃないのか?その人は自分達を犠牲にしてまで、お前を育ててくれたんじゃないのか!大切な恩があったんじゃないのか?お前が今も生きているのはその人達のおかげなんだろ……」
ヒイロの言葉がさらにヴァンジャンスの頭に響く。
「チガウ……俺は自分だけの力で生きてきた……自分だけを信じて……この世界を……そして前の世界も全てに復讐するために……」
「違う!お前は出会ったんじゃないのか、ある悲しい老人達に……そこで教えてもらったんだろ……人の優しさや温もりに!孤独や絶望以外の大切なものをもらったんじゃないのか!?」
「優しさや温もり……俺は何をしてもらった……」
ヴァンジャンスの動きが止まる。
「前世も今の世界も辛い記憶ばかりだったかも知れないが、それを乗り越えられるほど大切なものをもらったんだろ!それを思いだせ、この大バカやろう!」
ヒイロはそのまま刀を捨て、思い切りヴァンジャンスの顔面を殴る。ヴァンジャンスはマシンアーマーの上からのため、ダメージはほとんど無かったが、その衝撃なのか、ヴァンジャンスは忘れていた記憶を全て思い出した。
「俺は……」
ヒイロは再び刀を拾い、構える。
「……やっと思い出したか。お前の大切なものはなんだ?俺にとっての子ども達のような存在が、お前の心の中にもあるんだろう?」
ヴァンジャンスはそれまでの前世や子どもの頃の絶望……極限の空腹感や孤独、心身に追い込まれた疲労だけの記憶から、山の中で出会った老人達の顔や声が溢れ出てきた。それはとても暖かく、優しい記憶……。
(くっ……まぁいい、私の目的は達成された……本体に戻る良いタイミングか……)
その瞬間、何かスッと抜けるようにヴァンジャンスの身体が一瞬軽くなる。
「クソ馬鹿野郎だなオレは……ヒイロ、もう一度俺を殴れ……」
「あぁ!何度でも殴ってやる大馬鹿クソヤロウ!」
ヴァンジャンスはヒイロに殴られた瞬間、ヴァンジャンスもヒイロを殴り返す。
「ヒイロ……お前はやはりムカつくクソ野郎だ……ついでだ、この際どっちが強いかはっきりさせてやる……」
「っいたぁ!?お前が殴れって……まぁいい、俺もお前がムカつく。だが、仕方ないからお前のことを今度は俺がすべて受け止めてやるよ!」
ヒイロはヴァンジャンスが記憶を戻したことに何故か嬉しくなり、顔がにやけていた。
「全力で行くぞ……。マテリアライズマジック 《ファイナルウェポン マキシマム レーザーキャノン》」
ヴァンジャンスの前に大きなレーザー砲が現れる。ヒイロも投げた刀を拾い構え直す。
「スタンバイ……」
「奥義……」
「《アルティメット マキシマム フル バースト》」
「《万物一閃》」
ヒイロとヴァンジャンスの間を一瞬輝く閃光がはしる。
周りの兵や天王がその閃光に目を伏せ、再び目を開けるとヴァンジャンスのレーザー砲とマシンアーマーが斬られて爆発した。ヴァンジャンスもアーマーおかげが胴が真っ二つにならなかったがその威力に倒れ、気を失いかけていた。ヒイロの奥義は斬りたいもの……その巨大なレーザーとヴァンジャンスのアーマーのみを斬ったのだ。
「目が覚めたかバカやろう……。当分そこで大人しく寝てろヴァンジャンス」
「……悪かった……な……クソッタレ…」
ヴァンジャンスはそのまま、気を失った。ヒイロは、天王の方を見る。天王の顔は既に何かの覚悟を決めていたようだった。
「天王さん……悪いがこれで終わりだ。あなたも一緒に諦めてくれ。これ以上の犠牲を出したくない……ただ……そのかわりあなたが死んでも、あなたの夢も志しも俺とこのヴァンジャンスはちゃんと理解してる。俺たちが時間をかけて、あなたの意志を引き継ぐから。あなたもあなたを慕った人達へ、ちゃんと伝えてあげてくれ」
「……そうだな……あぁ……わかった」
天王は既に一人で立っていることも出来ないのか、近衛兵に体を支えられていたが、その眼差しだけは強かった。
「天王様……私も……あなたの意志を継がさせてください……」
「ふぅ……さてと……最後の仕上げと行きますか……」
同時刻、ジョーバン街道ではナタリ渓谷での勝敗の決着が知らされ、トキオ文明国が決死の突撃を仕掛けた直後だった。その突撃に不意を突かれ、大ダメージを受けたイバール国防衛軍はもはやマッスルン、シルフ、グラン、ナットしか立っていなかった。そしてその3人にシキは《ガロス》を率いて、決着をつけようとしていた時だった。
「待ってくれー!!」
ヒイロが転移魔法で戦場が一望できる丘の上に、ある人物達を連れて現れる。だが、誰もヒイロのことに気付かず、戦闘は激しく繰り広げられていた。ヒイロは大きく息を吸い、叫ぶように神獣召喚で《神獣イフリート》を呼んだ。
「出番だ!!イフリートさん。この戦闘の真上で大きく派手に奥義をぶちかましてくれ」
「派手なことならオレに任せろぉぅ!!ハーハハッハッハ!奥義ぃ 《獄炎乱舞》」
イフリートは笑いながら、激しい戦闘を繰り広げているイバール国軍とトキオ文明国軍の上空にド派手な花火のように大きな爆発が鳴り響く。その大きな爆発音と衝撃に、意識のある全員の動きがとまり、頭上を見上げる。
「みんな!こっちを見てくれ!」
一瞬、静まりかえった戦場にヒイロの声が響き、全員が丘の上にいるヒイロの方へ注目する。
「もう戦争は終わりだ。両軍ひいてくれ」
ヒイロの姿にグランやシルフは納得する。イバール国軍はほとんど動けないものの、ナットはグランが肩を貸し、シルフが魔法で意識のあるを立たせ、マッスルンが倒れている何人もの部下や冒険者達を抱え、下がっていく。
だが、トキオ文明国は進軍を停止しているものの、退がる気配はなかった。そして、我に戻ったシキが怒鳴るようにヒイロに訴える。
「神降ろしのヒイロだな。何故、お前が勝手に決める!我々に撤退の意思はない!我々は天王様の意思のもと、世界を統一しなければならないのだ!」
「あなたが総司令官のシキか……わかってる。その理由も理解してるから、ほら……俺からじゃなく、この人からの話しを聞いてくれ」
地面へと着地したヒイロは、転移の空間を開ける。そして、その空間の中から、宰相と近衛兵に支えられた天王が姿を見せる。
「て、天王様!?」
シキは天王の姿を見て驚きを隠せなかった。
「シキよ、すまなかった……。もういいのだ、話しはついた。お前が大事にしていた、たくさん部下を死なせてしまったな……」
シキは、天王の言葉に崩れ落ちる。
ヒイロのところにナットやグラン、シルフが集まってくる。マッスルンは何故か後方でポーズを決めている。
「ありがとう、みんな。話しはついた。」
「話しがついたって……お前……」
「ナット、これで終わるなら終わりにしましょう。敵も味方ももう十分戦って、たくさん傷付いたわ」
「……シルフの言う通りじゃな。もうわしも一歩も動けんわい」
「……わかった。ヒイロ!後で詳しく話しを聞くからな!とりあえず今は、仲間の傷の手当と後始末だ。おい!戦争が終わったことを、ナタリ渓谷や各国に伝えてくれ。急ぎでな!」
総司令官のシキも乗っていた戦車から降り、天王のもとへと駆け寄る。
「天王様……お身体は大丈夫なのですか!?それに……どうして……もう良いのですか?夢は諦めてしまわれたのですか?」
「そう言うことでない。余が間違っていたのじゃ。余が死んでもお前達がいる。シキよ、余の代わりに宰相や、ヴァンジャンス、そこのヒイロと申す者とともに、私の夢と志しを引き継いでくれんか?」
「天王……様……」
シキは再び、そこで倒れ込み、ひざまずきながら嗚咽する。
こうして、イバール国攻防戦は幕を引いた。トキオ文明国はこの戦争で敗戦を受け入れ、トチギル国とフクール国を返還し、イバール国に謝罪をする。天王は全ての責任を取って退位することとなった。後継者はこれからまた決めていくとのこと。
この戦争で、イバール国では冒険者100名近くの死者とそれ以上重傷者をだし、その中の3割の冒険者が引退を余儀なくされた。ヒイロはナットと共に、死者の遺族と引退した冒険者のケアを国の協力のもと、最後まで行っていった。
またトキオ文明国でもおそらく1000人以上の死者を出し、重傷者も同じぐらい出たが、全て国で補償していった。
そして、全世界で2度とこのようなことが起きないように世界会議で平和宣言をし、多くの犠牲の上に受諾されたのだった……。
「どうしたよ、ヴァンジャンス!もうバテてきたんじゃないのか?さっきの勢いはどうした!」
「……さっきから馴れ馴れしく名前を呼ぶな!お前こそどうなんだ!俺の本気はまだまだこれからだ!」
さらに戦闘は激しさを増す。
「お前はどうして大事な記憶を忘れてしまってる……お前の中に忘れちゃいけない人達がいるはずだ!」
「貴様に関係ない!今の俺の記憶にないと言うことは……それだけのことだったということ……今の俺に復讐よりも大切なものなどないわ」
「……バカやろう。こっちはお前の昔も全部聞いてんだよ……つらいよな。俺の前世で、嫌でもお前のような子どもを見てきたよ。子どもは親を選べない……そして、そんな親でも子どもにとっては唯一の家族……。そして世の中には、何も知らない生きることに必死な若者を……騙して道具のように使い捨てにするクソッタレな会社……クッ」
ヴァンジャンスはまた原因不明の頭痛に襲われる。
「クッ……そうだ……!!そして苦しみながら死んだ俺はこの世界にやってきた。ここも同じだ。生まれた時から親は知らねぇし、弱かった俺はクソな大人どもの言いなりに奴隷のように過ごした!それから……」
「……そう、それからだよ。お前はある人達に出会ったんだ。絶望から救い出してくれたんだろ?人の優しさや温もりを知ったんだろ……お前は何のために年寄りのための施設を作ったんだヴァンジャンス!」
「施設……?年寄り?っがぁ……」
さらに頭痛が激しくなる。ヴァンジャンスは自分の中で何か大切なことを忘れている気がする……
「おじいさん、おばあさんに世話になったんじゃないのか?その人は自分達を犠牲にしてまで、お前を育ててくれたんじゃないのか!大切な恩があったんじゃないのか?お前が今も生きているのはその人達のおかげなんだろ……」
ヒイロの言葉がさらにヴァンジャンスの頭に響く。
「チガウ……俺は自分だけの力で生きてきた……自分だけを信じて……この世界を……そして前の世界も全てに復讐するために……」
「違う!お前は出会ったんじゃないのか、ある悲しい老人達に……そこで教えてもらったんだろ……人の優しさや温もりに!孤独や絶望以外の大切なものをもらったんじゃないのか!?」
「優しさや温もり……俺は何をしてもらった……」
ヴァンジャンスの動きが止まる。
「前世も今の世界も辛い記憶ばかりだったかも知れないが、それを乗り越えられるほど大切なものをもらったんだろ!それを思いだせ、この大バカやろう!」
ヒイロはそのまま刀を捨て、思い切りヴァンジャンスの顔面を殴る。ヴァンジャンスはマシンアーマーの上からのため、ダメージはほとんど無かったが、その衝撃なのか、ヴァンジャンスは忘れていた記憶を全て思い出した。
「俺は……」
ヒイロは再び刀を拾い、構える。
「……やっと思い出したか。お前の大切なものはなんだ?俺にとっての子ども達のような存在が、お前の心の中にもあるんだろう?」
ヴァンジャンスはそれまでの前世や子どもの頃の絶望……極限の空腹感や孤独、心身に追い込まれた疲労だけの記憶から、山の中で出会った老人達の顔や声が溢れ出てきた。それはとても暖かく、優しい記憶……。
(くっ……まぁいい、私の目的は達成された……本体に戻る良いタイミングか……)
その瞬間、何かスッと抜けるようにヴァンジャンスの身体が一瞬軽くなる。
「クソ馬鹿野郎だなオレは……ヒイロ、もう一度俺を殴れ……」
「あぁ!何度でも殴ってやる大馬鹿クソヤロウ!」
ヴァンジャンスはヒイロに殴られた瞬間、ヴァンジャンスもヒイロを殴り返す。
「ヒイロ……お前はやはりムカつくクソ野郎だ……ついでだ、この際どっちが強いかはっきりさせてやる……」
「っいたぁ!?お前が殴れって……まぁいい、俺もお前がムカつく。だが、仕方ないからお前のことを今度は俺がすべて受け止めてやるよ!」
ヒイロはヴァンジャンスが記憶を戻したことに何故か嬉しくなり、顔がにやけていた。
「全力で行くぞ……。マテリアライズマジック 《ファイナルウェポン マキシマム レーザーキャノン》」
ヴァンジャンスの前に大きなレーザー砲が現れる。ヒイロも投げた刀を拾い構え直す。
「スタンバイ……」
「奥義……」
「《アルティメット マキシマム フル バースト》」
「《万物一閃》」
ヒイロとヴァンジャンスの間を一瞬輝く閃光がはしる。
周りの兵や天王がその閃光に目を伏せ、再び目を開けるとヴァンジャンスのレーザー砲とマシンアーマーが斬られて爆発した。ヴァンジャンスもアーマーおかげが胴が真っ二つにならなかったがその威力に倒れ、気を失いかけていた。ヒイロの奥義は斬りたいもの……その巨大なレーザーとヴァンジャンスのアーマーのみを斬ったのだ。
「目が覚めたかバカやろう……。当分そこで大人しく寝てろヴァンジャンス」
「……悪かった……な……クソッタレ…」
ヴァンジャンスはそのまま、気を失った。ヒイロは、天王の方を見る。天王の顔は既に何かの覚悟を決めていたようだった。
「天王さん……悪いがこれで終わりだ。あなたも一緒に諦めてくれ。これ以上の犠牲を出したくない……ただ……そのかわりあなたが死んでも、あなたの夢も志しも俺とこのヴァンジャンスはちゃんと理解してる。俺たちが時間をかけて、あなたの意志を引き継ぐから。あなたもあなたを慕った人達へ、ちゃんと伝えてあげてくれ」
「……そうだな……あぁ……わかった」
天王は既に一人で立っていることも出来ないのか、近衛兵に体を支えられていたが、その眼差しだけは強かった。
「天王様……私も……あなたの意志を継がさせてください……」
「ふぅ……さてと……最後の仕上げと行きますか……」
同時刻、ジョーバン街道ではナタリ渓谷での勝敗の決着が知らされ、トキオ文明国が決死の突撃を仕掛けた直後だった。その突撃に不意を突かれ、大ダメージを受けたイバール国防衛軍はもはやマッスルン、シルフ、グラン、ナットしか立っていなかった。そしてその3人にシキは《ガロス》を率いて、決着をつけようとしていた時だった。
「待ってくれー!!」
ヒイロが転移魔法で戦場が一望できる丘の上に、ある人物達を連れて現れる。だが、誰もヒイロのことに気付かず、戦闘は激しく繰り広げられていた。ヒイロは大きく息を吸い、叫ぶように神獣召喚で《神獣イフリート》を呼んだ。
「出番だ!!イフリートさん。この戦闘の真上で大きく派手に奥義をぶちかましてくれ」
「派手なことならオレに任せろぉぅ!!ハーハハッハッハ!奥義ぃ 《獄炎乱舞》」
イフリートは笑いながら、激しい戦闘を繰り広げているイバール国軍とトキオ文明国軍の上空にド派手な花火のように大きな爆発が鳴り響く。その大きな爆発音と衝撃に、意識のある全員の動きがとまり、頭上を見上げる。
「みんな!こっちを見てくれ!」
一瞬、静まりかえった戦場にヒイロの声が響き、全員が丘の上にいるヒイロの方へ注目する。
「もう戦争は終わりだ。両軍ひいてくれ」
ヒイロの姿にグランやシルフは納得する。イバール国軍はほとんど動けないものの、ナットはグランが肩を貸し、シルフが魔法で意識のあるを立たせ、マッスルンが倒れている何人もの部下や冒険者達を抱え、下がっていく。
だが、トキオ文明国は進軍を停止しているものの、退がる気配はなかった。そして、我に戻ったシキが怒鳴るようにヒイロに訴える。
「神降ろしのヒイロだな。何故、お前が勝手に決める!我々に撤退の意思はない!我々は天王様の意思のもと、世界を統一しなければならないのだ!」
「あなたが総司令官のシキか……わかってる。その理由も理解してるから、ほら……俺からじゃなく、この人からの話しを聞いてくれ」
地面へと着地したヒイロは、転移の空間を開ける。そして、その空間の中から、宰相と近衛兵に支えられた天王が姿を見せる。
「て、天王様!?」
シキは天王の姿を見て驚きを隠せなかった。
「シキよ、すまなかった……。もういいのだ、話しはついた。お前が大事にしていた、たくさん部下を死なせてしまったな……」
シキは、天王の言葉に崩れ落ちる。
ヒイロのところにナットやグラン、シルフが集まってくる。マッスルンは何故か後方でポーズを決めている。
「ありがとう、みんな。話しはついた。」
「話しがついたって……お前……」
「ナット、これで終わるなら終わりにしましょう。敵も味方ももう十分戦って、たくさん傷付いたわ」
「……シルフの言う通りじゃな。もうわしも一歩も動けんわい」
「……わかった。ヒイロ!後で詳しく話しを聞くからな!とりあえず今は、仲間の傷の手当と後始末だ。おい!戦争が終わったことを、ナタリ渓谷や各国に伝えてくれ。急ぎでな!」
総司令官のシキも乗っていた戦車から降り、天王のもとへと駆け寄る。
「天王様……お身体は大丈夫なのですか!?それに……どうして……もう良いのですか?夢は諦めてしまわれたのですか?」
「そう言うことでない。余が間違っていたのじゃ。余が死んでもお前達がいる。シキよ、余の代わりに宰相や、ヴァンジャンス、そこのヒイロと申す者とともに、私の夢と志しを引き継いでくれんか?」
「天王……様……」
シキは再び、そこで倒れ込み、ひざまずきながら嗚咽する。
こうして、イバール国攻防戦は幕を引いた。トキオ文明国はこの戦争で敗戦を受け入れ、トチギル国とフクール国を返還し、イバール国に謝罪をする。天王は全ての責任を取って退位することとなった。後継者はこれからまた決めていくとのこと。
この戦争で、イバール国では冒険者100名近くの死者とそれ以上重傷者をだし、その中の3割の冒険者が引退を余儀なくされた。ヒイロはナットと共に、死者の遺族と引退した冒険者のケアを国の協力のもと、最後まで行っていった。
またトキオ文明国でもおそらく1000人以上の死者を出し、重傷者も同じぐらい出たが、全て国で補償していった。
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