0(ゼロ)同士の恋愛  ほんとは愛されたい。【完結】

mamaマリナ

文字の大きさ
27 / 52

27 ディランの悩み

しおりを挟む
 昨日もゼロとデートをした。初デートから1ヵ月は経過した。だが、手を繋ぐことしか出来ない。手を繋ぐだけで本当に満足なんだが、キ キスもしたいと欲が出てきてしまった。アランに色々教えてもらっているし、ゼロもあれについて聞いていたから、いつかはと思っているが、いつのタイミングでキスに進めていいのかわからない。一般的に、最後までというのは婚約者同士やかなり付き合いの長い者たちかそういうお店だという認識なんだが、その間がわからない。

 つい唇を見てしまう。あの小さな可愛い唇が動く度にドキドキし、一緒にご飯を食べる時にチラッと見える舌が赤くて、下半身がグッとなりそうになる。なりそうになるだけで、かろうじてなってはいない。たまに危ないこともあるが。

 キスはどのタイミングでしたら良いのだろうか?いきなりして嫌われないだろうか?ぐちゃぐちゃと考えているうちに毎回デートが終わってしまう。俺はなんてへたれ何だろう。いや、1ヵ月では、早いのかもしれないし。



「はぁー、どうしたら」

「ディランどうしたんだ?何か困り事でもあるのか?」

 しまった、仕事中だった。でも、隊長なら経験豊富そうだし。聞いてみようか、でも、みんなが当たり前に経験していることを聞くなんて…。いや、聞こう、恥を捨てよう。

「隊長。あのー、隊長のファーストキスはいつですか?」

「俺のか?かなり前だからなぁ。17ぐらいか?」

「えっそんなに早かったんですか?」

「遅い方だぞ。あぁ、そういうことか。あの美人さんと付き合いだしたんだったよな。街で噂になってるよな」

「いや、はい、そうです。付き合って1ヵ月です」

「それでキスに悩んでいるのか?お前まだなのか?」

「はい。恥ずかしながら、ファーストキスさえまだのため、どのタイミングでキスをして良いのかも」

「あー、キスはけっこう気軽にする奴が多いぞ。貴族だから、まあ、最後まではなかなかしないが、キスぐらいなら会ったその日とかもあるぞ」

「へっ えっ、エーッ。うそ」

「マジだ。目が合って見つめ合う時があったらさりげなくだ。まぁ、不意打ちもいいがな」

「そんな高度なこと出来ません」

「とりあえず、なんか良い雰囲気の場所に行って、ふと無言になり見つめ合ったらする」

「俺、で、できますかねぇ?」

「やるしかないだろうが。キスしたいんだろう。美人さんの可愛い唇が欲しいだろう。たぶん柔らかいぞ」

「うっ、はい。頑張ります」

「はぁーデカイ図体して情けない。魔獣の時は、先頭に立つ癖に」

「それとこれは違います」

「まぁ検討を祈る」

「キスしたら嫌われませんか?」

「あのなー、嫌いな奴にされたら嫌われるが、お前と付き合っているんだろ。お前のことが好きなら大丈夫だ」

「そうですか。心配で」

「お前が不安になるのも分かるが、相手はお前のことが好きなんだからそういう態度でずっといると嫌われるぞ。自信が無さすぎるのは、イヤって」 

「うっ、痛いです」

「まあ、頑張れよ。男気みせろ」

「はい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

処理中です...