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32 他人行儀

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「おはようございます。父上様、母上様。お話があります。ディランさんとのお付き合いがダメになりました。俺ではダメみたいです。ディランさんが悪いのではないです。俺がダメなんです。本当にすみません」

 また心配をかけてしまうな。なんで上手くいかないのだろう。こういう運命なんだろうな。

「えっ、ちょっとどうしたの?」

「そうだぞ、なんでそんなことになっているんだ」

「詳しい話は、後で私が話すね」

「ごめんね、ミランちゃん」

「ところでディランお兄様は?」

「あら、そうね。いつもならもう・・」

「遅れてすみません。おはようございます」

「ディラン、あなた大丈夫?」

「えっ、はい、いや」
 
 まだ、ディランさんの顔を見るのはつらいけど笑え。笑って挨拶しよう。元に戻るだけだ。

「おはようございます。ディランさん」

「ゼ、ゼロ」

 やっぱりつらい。顔が見れないから。胸元を見て挨拶した。まだ笑うのは無理だった。

「すみません、今日は、食欲がないので、失礼します」
 


「うっうっ」
 泣くな。仕方ないんだ。分かっていたこどじゃないか。家族として受け入れてもらえただけ幸せなんだ。恋人なんか望むべきじゃない。俺は愛される人間ではないんだ。愛し愛されることは俺には無理なのかもしれないな。
 家族として名前を貰えただ幸せなんだ。迷惑かけないようにしよう。
 ディランさんのことが好きな気持ちは、封印だ。家族になろう。


 はぁー。好きな人と家族になるってどうすればいいんだよ。好きになってもらえたのにな。好きって気持ちってどうやって無くすんだ。今まで恋愛なんてしたことがないから分からない。これって失恋かぁ。失恋しちゃったんだ。辛いな痛いな、心臓ってこんなに痛くなるだ。こんなに近くにいるのに忘れること出来るのか?忘れないといけないんだよな。こんなことになるなら恋なんてしなければ良かった。
 初恋はやっぱり実らない。本当だったな。初恋と失恋経験出来ただけ良かったのかも。




コンコン

「ゼロ、入ってもいい?」

「いいよ。ミランちゃん」

「ねぇ、ほんとにこれでいいの?」

「ごめんな。さっき、嫌なこと説明させて」

「それは、いいんだけど。これでいいの?ディランお兄様のことまだ好きなんだよね?」

「そうだね、まだ好きだと思うけど、もう終わり。忘れたい。だから、この話は終わり」

「終わりでいいの?」

「そう。終わり。終わりにした。恋人の好きから家族の好きにいつかなるよ、たぶんね」
 こういう結果が運命だったんだ。今は無理でもそのうちに大丈夫になる。
 異世界で初恋と失恋経験した。日本では考えられないことだからここで経験出来て良かったと思える日がいつか来たらいい。
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