日々の欠片

小海音かなた

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1/15『いつか、どんど焼き』

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「お、もう半月か。なんか早いね」
 食卓のお椀の中身を見て、彼が言う。
「そうだよー。そんですぐ年末になっちゃうんだよー」
「やだ、やめてよ怖い話」
「いまから耐性つけておかないと~」
「じゃあもういまから大掃除の準備する⁈」
「それは早い」
 “冗談言いましたよ”って顔で冗談を言う彼に、優しくツッコミを入れた。
 お椀の中には善哉と鏡開きしたお餅が入ってる。【小正月】のとき、その年の無病息災を願って食べる晴れの日のごちそう。
 地域によって違うらしいその風習を彼は私と一緒に暮らし始めてから知ったみたいだけど、私の実家では毎年の恒例行事になってる。
「お餅焼いたりするんだっけ」
「そうそう。門松とかしめ縄を焼く火でね」
「おもしろいよね。俺も見てみたい」
「そうだね、里帰りのタイミングが合えば」
「しちゃう? 一緒に、里帰り」
 いつもの、少しおどけた口調と可愛い笑顔に和みながら答える。
「そうだねぇ。今年はもうどんど焼き終わっちゃったから、来年以降かな~」
「っていうかさ……――」
 彼といるといつも楽しい。時間が経つのがあっという間だ。毎年あっという間に終わって始まって、それでもう何年になるだろう。親からはいつになったらーって言われるけど、私はいまのままでも十分幸せなんだよなー。
「――……ねぇ、聞いてる?」
「え、あ、ごめん。考え事してた」
「もー」
 彼は頬を膨らませてわざと怒った顔を見せる。その顔が可愛くてニヤニヤしちゃって、更に怒られるのが私たちの間の“あるある”だ。
「ごめんって。ちゃんと聞くからもっかい教えて?」
「いいよもう、恥ずかしい」
「……恥ずかしいこと言ってたんだ?」
「……またいずれ、ちゃんと言うから」
「? うん。じゃあ、機会があったら」
「まぁそこまでね? かしこまった感じじゃなくていいんだ。うん。ちょっとこう、こんな感じなんで安心してくださいねー的な?」
「……ごめん、なんの話?」
「いや、だから、その……これからも、一緒にいたいね、って」
「うん、そうだね」
 微笑んで返答したら、彼は微妙な笑顔でうなずいた。なんか彼の伝えたいことが私に伝わってなかったみたい。
 私はそういうの汲むのがあまり得意じゃないから、たまにこういうすれ違いが発生する。それでもやっぱり、彼と一緒にいる時間が、一番楽しくて幸せで、一番私らしくいられる。だから――
「今年も一年、よろしくお願いします」
 改めて頭を下げてみたら、
「こちらこそ、これからもよろしくお願いします」
 極上の笑みを浮かべて、彼も頭を下げてくれた。
 今年も、きっとこの先も、彼と一緒に幸せな時間が過ごせるんだって思うと嬉しくて、どんど焼きにあたってるときみたいに、身体も心も温かくなった。
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