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ch.107 深まる煩悶
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小群さんと漆原さんが後片付けを手伝っている間に、寮長が姿勢を正して私たちに向き直る。
「呂色さんにもプライバシーがあるんだから、あまりプライベートを暴くようなことはしちゃダメだよ」
寮長にたしなめられて、嵐山さんと鷹柳さん、そして私が肩を縮こまらせた。
寮長はなにか言いたげに私のほうを見たけど、なにも言わずに口を閉じた。
蜂谷さんと目配せをしているから、なにかを察したのかもしれない。
そんなにわかりやすいのかな、とますます反省する。
呂色さんは感情があまり読めないから、私が片思いしているように思えるかもしれない。実際そうだろうし、そう思われている方がいい。
寮長に叱られたあと、嵐山さんは鷹柳さんと渡瀬さん、富久山さんと4人でレク室に行った。色々と話したいことがあるのだろう。
ここに幸ちゃんがいてくれたらな……。
私はひとりで寂しい思いをしながら、自室へ戻った。
部屋に入った途端、それまでこらえていた涙が出て来た。
何度泣いたら、幸せになれるのだろう。
誰にも答えられない問いかけをどこかにしながら、私はまた泣いた。
ドアをノックする音で目が覚める。どうやら泣き疲れて眠っていたみたい。
スマホの時計を見ると、すでに消灯時間を過ぎていた。
こんな時間に誰だろう。
寮内は安全だと思い、寝ぼけていたのもあって深く考えずにドアを開けてしまった。
目の前に立っていた人を見て、反射的にドアを閉めてしまう。けれど、それを阻止するようにノブが引かれた。
「待って。話がしたい」
関西弁を使うその人はいつもの涼しい表情ではなく、どこか苦しそうな顔を見せていた。
「呂色さんにもプライバシーがあるんだから、あまりプライベートを暴くようなことはしちゃダメだよ」
寮長にたしなめられて、嵐山さんと鷹柳さん、そして私が肩を縮こまらせた。
寮長はなにか言いたげに私のほうを見たけど、なにも言わずに口を閉じた。
蜂谷さんと目配せをしているから、なにかを察したのかもしれない。
そんなにわかりやすいのかな、とますます反省する。
呂色さんは感情があまり読めないから、私が片思いしているように思えるかもしれない。実際そうだろうし、そう思われている方がいい。
寮長に叱られたあと、嵐山さんは鷹柳さんと渡瀬さん、富久山さんと4人でレク室に行った。色々と話したいことがあるのだろう。
ここに幸ちゃんがいてくれたらな……。
私はひとりで寂しい思いをしながら、自室へ戻った。
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誰にも答えられない問いかけをどこかにしながら、私はまた泣いた。
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こんな時間に誰だろう。
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