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攻略対象者揃い踏み?
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「はああ、つ、疲れたー!今日は一日が長かった~。何でこんなにてんこ盛りなのよ~」
店の手伝いを終え、ようやく就寝前の貴重な自由時間になり、クラリスはベッドに突っ伏していた。
学園高等部の授業初日は、S階にいる全員がクラリスに挨拶しに来たんじゃないかというぐらい、休み時間の度に自己紹介をされ、全員の顔と名前を覚えるだけでぐったり疲れてしまった。
「新学年スタート時は二週間の猶予期間があって本当に良かった…これで課題山盛りとかだったら、寝る暇なかったわ……」
王立学園の高等部では、新学年がスタートしてから二週間はいわゆる『お試し期間』となっている。割り振られたクラスが本当に自分のレベルにあっているのか確認し、合わないと思えば異議申し立てができる貴重な期間だ。そのため、通常は一コマ九十分で五コマまであるはずの授業が三コマまでで、日々の課題も最小限に抑えられていた。
「お昼休みなんて休んだ気しなかったもんね……」
二コマ目が終わり、クラリスがどこでお弁当を食べようかと考えていると、アリスが迎えに来た。
「クラリスさん、一緒に食堂に行きませんこと?」
「あ、私、お弁当なんです。食堂は、その、ちょっと敷居が高くて……」
比較的安価な価格に設定されているとはいえ、生徒のほとんどが貴族の高等部の食堂は、クラリスにとっては高級レストランと同等だった。
「まあ、私も今日はお弁当を持って参りましたの!大丈夫ですわ、ここの食堂は席だけの利用もできますのよ」
「そうなんですか?では、アリス様がご迷惑でなければ、ぜひご一緒させてください」
断る理由もなく、クラリスはアリスと仲良く食堂へ向かい、向かい合わせで座ると、お弁当を広げた。
と、いつの間に来ていたのか、ウィルが現れ、にっこり笑って言った。
「私も一緒にいいかな?」
クラリスとアリスが何かを返す前に、ウィルは当然のようにクラリスの隣の椅子を引いた。
「……ウィル様、何をなさっているのですか?」
ウィルが腰掛ける前に、アリスが低い声で問いかける。
「何って、一緒に昼食をとろうと思っただけだよ?」
「だからってどうしてクラリスさんのお隣にお座りになろうと?クラリスさんの隣は私の席ですわ!私の席と代わってくださいませ!」
「どうして?私は空いている席に座ろうとしただけど?」
「空いている席ならここ以外にもたくさんありましてよ!あちらでもそちらでも、お好きな所にお座りになれば?!」
「あ、あの、お二人とも……」
いつになく怖い顔のアリスとキラキラ笑顔を崩さないウィルが、クラリスの隣の席を巡って言い合っているうちに、最初の自己紹介でクラリスを怒らせたエラリーがシラッとその席に座った。
「クラリス嬢、先ほどは失礼なことを言ってすまなかった」
「エラリー様!か、顔をお上げください!もう怒ってはいません」
「悪気はなかったと言っても、それが一番悪いのだろうな。君を傷つけるつもりはなかったんだが」
「……エラリー様のお近くにいらっしゃるのはきっとみんな身分の高い女性で、綺麗な手をお持ちの方ばかりなのでしょう。ですが、私のような平民の女性はみんなこのような手をしているのが当たり前です。エラリー様がお屋敷のメイドさん達の手をご覧になれば、おわかりになるかと思います」
「……」
「ですが、もう過ぎたことです。私の方こそ失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした」
そう言って頭を下げるクラリスにエラリーは何も言えず、ただその美しい金髪を見つめるだけだった。
店の手伝いを終え、ようやく就寝前の貴重な自由時間になり、クラリスはベッドに突っ伏していた。
学園高等部の授業初日は、S階にいる全員がクラリスに挨拶しに来たんじゃないかというぐらい、休み時間の度に自己紹介をされ、全員の顔と名前を覚えるだけでぐったり疲れてしまった。
「新学年スタート時は二週間の猶予期間があって本当に良かった…これで課題山盛りとかだったら、寝る暇なかったわ……」
王立学園の高等部では、新学年がスタートしてから二週間はいわゆる『お試し期間』となっている。割り振られたクラスが本当に自分のレベルにあっているのか確認し、合わないと思えば異議申し立てができる貴重な期間だ。そのため、通常は一コマ九十分で五コマまであるはずの授業が三コマまでで、日々の課題も最小限に抑えられていた。
「お昼休みなんて休んだ気しなかったもんね……」
二コマ目が終わり、クラリスがどこでお弁当を食べようかと考えていると、アリスが迎えに来た。
「クラリスさん、一緒に食堂に行きませんこと?」
「あ、私、お弁当なんです。食堂は、その、ちょっと敷居が高くて……」
比較的安価な価格に設定されているとはいえ、生徒のほとんどが貴族の高等部の食堂は、クラリスにとっては高級レストランと同等だった。
「まあ、私も今日はお弁当を持って参りましたの!大丈夫ですわ、ここの食堂は席だけの利用もできますのよ」
「そうなんですか?では、アリス様がご迷惑でなければ、ぜひご一緒させてください」
断る理由もなく、クラリスはアリスと仲良く食堂へ向かい、向かい合わせで座ると、お弁当を広げた。
と、いつの間に来ていたのか、ウィルが現れ、にっこり笑って言った。
「私も一緒にいいかな?」
クラリスとアリスが何かを返す前に、ウィルは当然のようにクラリスの隣の椅子を引いた。
「……ウィル様、何をなさっているのですか?」
ウィルが腰掛ける前に、アリスが低い声で問いかける。
「何って、一緒に昼食をとろうと思っただけだよ?」
「だからってどうしてクラリスさんのお隣にお座りになろうと?クラリスさんの隣は私の席ですわ!私の席と代わってくださいませ!」
「どうして?私は空いている席に座ろうとしただけど?」
「空いている席ならここ以外にもたくさんありましてよ!あちらでもそちらでも、お好きな所にお座りになれば?!」
「あ、あの、お二人とも……」
いつになく怖い顔のアリスとキラキラ笑顔を崩さないウィルが、クラリスの隣の席を巡って言い合っているうちに、最初の自己紹介でクラリスを怒らせたエラリーがシラッとその席に座った。
「クラリス嬢、先ほどは失礼なことを言ってすまなかった」
「エラリー様!か、顔をお上げください!もう怒ってはいません」
「悪気はなかったと言っても、それが一番悪いのだろうな。君を傷つけるつもりはなかったんだが」
「……エラリー様のお近くにいらっしゃるのはきっとみんな身分の高い女性で、綺麗な手をお持ちの方ばかりなのでしょう。ですが、私のような平民の女性はみんなこのような手をしているのが当たり前です。エラリー様がお屋敷のメイドさん達の手をご覧になれば、おわかりになるかと思います」
「……」
「ですが、もう過ぎたことです。私の方こそ失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございませんでした」
そう言って頭を下げるクラリスにエラリーは何も言えず、ただその美しい金髪を見つめるだけだった。
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