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キラキラ王子vs父兄セコム
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オストロー公爵家の庭園では、アリスを囲んで、男達がバチバチ火花を飛ばしていた。
「ウィリアム殿下。確か、私に用があるということでいらしたのでは?」
オストロー公爵が、にっこり微笑みながら、娘であるアリスをウィルから引き剥がす。
「ええ。もちろん公爵にもご挨拶に伺うつもりでしたよ。ただ、一週間も会えなかった婚約者に会いたいと逸る気持ちがおさえられなくて」
ウィルもにっこりと微笑み返す。
「だからと言って、未婚の男女の距離にしては近すぎますね」
長兄のエリックが冷静に言いながら、ウィルとアリスの間に立ちはだかる。
「いくら王太子殿下でも、うちの可愛いアリスに手を出すことは許可できん!」
その隣に次兄のマイクが、ムキムキの上腕二頭筋を見せつけながら立つ。
「ウィリアム殿下、そのピアスは…?」
マイクの隣に立った三男のカイルが、ウィルの耳に光るモノを目ざとく指摘する。
「ああ、これはブートレット公国で購入したアリスとお揃いのピアスです」
「「アリス?!」」
「「お揃い?!」」
父と次男、長男と三男の声が揃う。
四人の般若のような形相にも全くひるむことなく、ウィルは嬉しそうにアリスに声をかける。
「アリス、アリスの瞳と同じ黒曜石のピアスだよ。先ほど君に付けてあげたものと色違いの同じデザインなんだ。まあ、君の瞳よりも綺麗な宝石はこの世に存在しないけどね」
ウィルの声に、アリスは目の前に聳え立つ三兄弟の隙間から何とか顔を出そうとするが、父に「見なくていい!」と引き戻され、ウィルのピアスを確認することはできなかった。
「アリス、耳、見せて!」
カイルの声に、父と三兄弟が一斉にアリスの耳に注目した。
「……エメラルドに銀の装飾……」
「殿下のは、黒曜石に金の装飾だ……」
「デザインは全く同じ……」
三兄弟が呻くように呟く。
「お父様もお兄様達も、いい加減にしてください!酸欠になりそうです!」
自分よりも背の高い男性四人に囲まれて、さすがにアリスが息苦しさを訴える。
「はっ」
「すまない、アリス」
「アリスごめんね」
「大丈夫か?」
四人が少しアリスから離れた隙に、ウィルがサッとアリスの手を取り、自らの横に引き寄せた。
「「「「あっ!」」」」
「ほら、こうして並ぶとよくわかるでしょう」
ウィルの耳にはアリスの瞳が、アリスの耳にはウィルの瞳が、キラキラと光り輝いていた。
(な、何?!このバカップル全開のお揃いピアスは?!しかも家族の前で見せびらかすって……!え?何の罰ゲームよ、これ!)
あまりのことにアリスは口をはくはくとするだけで、声が出ない。
「ちょうどいい。今抱えている仕事が片付き次第、正式に求婚する予定だったが、その前に今この場で伝えさせて欲しい」
ウィルはアリスの前にスッと跪くと、アリスの右手を取った。
「アリス・ド・オストロー公爵令嬢。私と結婚してくれないか。一生私のそばにいて、共に歩んで欲しい」
「「「「っな!!!」」」」
「~~~!!!」
アリスがまたもキャパオーバーになりかけた所に、父のオストロー公爵の悲鳴にも似た叫びが聞こえた。
「だ、だめだ、アリスに結婚はまだ早い!」
「そうです!アリスはまだまだ私達の可愛い妹ですから!」
いつも冷静なエリックも珍しく声を上げる。
「そ、そうだ、アリスを部屋に閉じ込めて出られないようにしてしまえば……」
脳筋マイクが、すぐにでもアリスの部屋の窓に釘を打ち込みそうな勢いで、物騒なことを言う。
「マイク兄さん、それだけでは足りません。今すぐアリス専用の離れを作りましょう。我々以外誰も出入りできないような……」
カイルがドス黒い笑みを浮かべる。
そんな混乱を綺麗に無視して、ウィルはアリスに聞いた。
「アリス、返事は?」
ウィルがいつになく真剣な顔でアリスを見上げている。
「あ、あ、あの、私、その、まだ、心の準備が……」
「でも、イヤではないんだよね?」
「い、いや、ではないです……」
少し心配そうなウィルの問いに、アリスは素直に頷いた。
「良かった。じゃあ、アリスの心の準備が整うまで、返事は気長に待つとしよう」
(あ、あれ?私、イヤじゃない?ほんとに?なんで?)
ウィルはにっこり笑ってアリスの手にキスを落とし、立ち上がった。
そのそばではもちろん、今にもウィルに飛びかからんばかりの鬼の形相を見せる四人がいたが、後ろから聞こえてきた、凛とした声に、四人が揃って気をつけ!をした。
「あらあら、全員庭に出て何をしているのかと思えば」
「クレア!」
「「「母上!」」」
見ると、アリスの母のクレアがゆっくりとこちらに歩いてくるところだった。
「ウィリアム王太子殿下にご挨拶申し上げます」
ウィルとアリスの側に来ると、クレアは優雅にお辞儀をして、にっこり笑った。
「オストロー公爵夫人、お邪魔しています」
それを受けて、ウィルも微笑み返す。
クレアは真っ赤な顔で固まっているアリスと、アリスの手を握ったままニコニコしているウィルを交互に見た。
「ウィリアム殿下、アリスに贈り物をしてくださり、ありがとうございます。二人ともとてもお似合いですわ」
二人の耳元のピアスにすぐに気づき、母としてお礼を述べる。
「お礼など。私がアリスに贈りたかったのです」
「ふふふ。ところで、殿下、よろしければ夕食をご一緒にいかがかしら?もうすっかり遅くなってしまっていますわ」
空は既に夕焼け色に染まり、一日が終わろうとしている。
「ありがたいお誘いですが、帰ってからやることがありますので、今日のところはこれで失礼いたします」
「まあ、それは残念ですわ。またぜひゆっくりいらしてくださいね。アリス、殿下を馬車までお見送りして差し上げて」
「は、はい!お母様!」
母の指示にアリスは素直に従おうとするが、三兄弟がそれを止める。
「な、ダメです、アリスはもう家の中に……」
「母上、この男とアリスを二人きりにしてはいけません!危険です!」
「ウィリアム殿下、いい加減アリスの手を離してくだ……」
「……さあ、あなた達は家に戻って。あら、貴方もですわよ?」
クレアの圧に逆らえる男は、オストロー家にはいなかった。
「ウィリアム殿下。確か、私に用があるということでいらしたのでは?」
オストロー公爵が、にっこり微笑みながら、娘であるアリスをウィルから引き剥がす。
「ええ。もちろん公爵にもご挨拶に伺うつもりでしたよ。ただ、一週間も会えなかった婚約者に会いたいと逸る気持ちがおさえられなくて」
ウィルもにっこりと微笑み返す。
「だからと言って、未婚の男女の距離にしては近すぎますね」
長兄のエリックが冷静に言いながら、ウィルとアリスの間に立ちはだかる。
「いくら王太子殿下でも、うちの可愛いアリスに手を出すことは許可できん!」
その隣に次兄のマイクが、ムキムキの上腕二頭筋を見せつけながら立つ。
「ウィリアム殿下、そのピアスは…?」
マイクの隣に立った三男のカイルが、ウィルの耳に光るモノを目ざとく指摘する。
「ああ、これはブートレット公国で購入したアリスとお揃いのピアスです」
「「アリス?!」」
「「お揃い?!」」
父と次男、長男と三男の声が揃う。
四人の般若のような形相にも全くひるむことなく、ウィルは嬉しそうにアリスに声をかける。
「アリス、アリスの瞳と同じ黒曜石のピアスだよ。先ほど君に付けてあげたものと色違いの同じデザインなんだ。まあ、君の瞳よりも綺麗な宝石はこの世に存在しないけどね」
ウィルの声に、アリスは目の前に聳え立つ三兄弟の隙間から何とか顔を出そうとするが、父に「見なくていい!」と引き戻され、ウィルのピアスを確認することはできなかった。
「アリス、耳、見せて!」
カイルの声に、父と三兄弟が一斉にアリスの耳に注目した。
「……エメラルドに銀の装飾……」
「殿下のは、黒曜石に金の装飾だ……」
「デザインは全く同じ……」
三兄弟が呻くように呟く。
「お父様もお兄様達も、いい加減にしてください!酸欠になりそうです!」
自分よりも背の高い男性四人に囲まれて、さすがにアリスが息苦しさを訴える。
「はっ」
「すまない、アリス」
「アリスごめんね」
「大丈夫か?」
四人が少しアリスから離れた隙に、ウィルがサッとアリスの手を取り、自らの横に引き寄せた。
「「「「あっ!」」」」
「ほら、こうして並ぶとよくわかるでしょう」
ウィルの耳にはアリスの瞳が、アリスの耳にはウィルの瞳が、キラキラと光り輝いていた。
(な、何?!このバカップル全開のお揃いピアスは?!しかも家族の前で見せびらかすって……!え?何の罰ゲームよ、これ!)
あまりのことにアリスは口をはくはくとするだけで、声が出ない。
「ちょうどいい。今抱えている仕事が片付き次第、正式に求婚する予定だったが、その前に今この場で伝えさせて欲しい」
ウィルはアリスの前にスッと跪くと、アリスの右手を取った。
「アリス・ド・オストロー公爵令嬢。私と結婚してくれないか。一生私のそばにいて、共に歩んで欲しい」
「「「「っな!!!」」」」
「~~~!!!」
アリスがまたもキャパオーバーになりかけた所に、父のオストロー公爵の悲鳴にも似た叫びが聞こえた。
「だ、だめだ、アリスに結婚はまだ早い!」
「そうです!アリスはまだまだ私達の可愛い妹ですから!」
いつも冷静なエリックも珍しく声を上げる。
「そ、そうだ、アリスを部屋に閉じ込めて出られないようにしてしまえば……」
脳筋マイクが、すぐにでもアリスの部屋の窓に釘を打ち込みそうな勢いで、物騒なことを言う。
「マイク兄さん、それだけでは足りません。今すぐアリス専用の離れを作りましょう。我々以外誰も出入りできないような……」
カイルがドス黒い笑みを浮かべる。
そんな混乱を綺麗に無視して、ウィルはアリスに聞いた。
「アリス、返事は?」
ウィルがいつになく真剣な顔でアリスを見上げている。
「あ、あ、あの、私、その、まだ、心の準備が……」
「でも、イヤではないんだよね?」
「い、いや、ではないです……」
少し心配そうなウィルの問いに、アリスは素直に頷いた。
「良かった。じゃあ、アリスの心の準備が整うまで、返事は気長に待つとしよう」
(あ、あれ?私、イヤじゃない?ほんとに?なんで?)
ウィルはにっこり笑ってアリスの手にキスを落とし、立ち上がった。
そのそばではもちろん、今にもウィルに飛びかからんばかりの鬼の形相を見せる四人がいたが、後ろから聞こえてきた、凛とした声に、四人が揃って気をつけ!をした。
「あらあら、全員庭に出て何をしているのかと思えば」
「クレア!」
「「「母上!」」」
見ると、アリスの母のクレアがゆっくりとこちらに歩いてくるところだった。
「ウィリアム王太子殿下にご挨拶申し上げます」
ウィルとアリスの側に来ると、クレアは優雅にお辞儀をして、にっこり笑った。
「オストロー公爵夫人、お邪魔しています」
それを受けて、ウィルも微笑み返す。
クレアは真っ赤な顔で固まっているアリスと、アリスの手を握ったままニコニコしているウィルを交互に見た。
「ウィリアム殿下、アリスに贈り物をしてくださり、ありがとうございます。二人ともとてもお似合いですわ」
二人の耳元のピアスにすぐに気づき、母としてお礼を述べる。
「お礼など。私がアリスに贈りたかったのです」
「ふふふ。ところで、殿下、よろしければ夕食をご一緒にいかがかしら?もうすっかり遅くなってしまっていますわ」
空は既に夕焼け色に染まり、一日が終わろうとしている。
「ありがたいお誘いですが、帰ってからやることがありますので、今日のところはこれで失礼いたします」
「まあ、それは残念ですわ。またぜひゆっくりいらしてくださいね。アリス、殿下を馬車までお見送りして差し上げて」
「は、はい!お母様!」
母の指示にアリスは素直に従おうとするが、三兄弟がそれを止める。
「な、ダメです、アリスはもう家の中に……」
「母上、この男とアリスを二人きりにしてはいけません!危険です!」
「ウィリアム殿下、いい加減アリスの手を離してくだ……」
「……さあ、あなた達は家に戻って。あら、貴方もですわよ?」
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