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学園生活再開!
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「クラリス嬢、こちらにどうぞ」
「クラリス、こっちこっち!」
「クラリス嬢、今日のデザートは苺のショートケーキだ」
クラリスが学園に復帰してから早一ヶ月。昼休み恒例のクラリスの隣の席争奪戦が今日も繰り広げられていた。
「私はアリス様とイメルダ様の間に座らせていただきます!」
クラリスがそう宣言すると、アリスが喜んで自身の隣の椅子を引く。
すると、今度は誰がクラリスの正面に座るかで、小競り合いが始まった。
ウィル、アリス、クラリス、イメルダ、ジャンと一列に並んだ五人は、揉める三人を無視して食事を進めた。
「三人とも早く食べないと、昼休み終わっちゃうよ~」
いつまでも座らない三人に、呆れたジャンが声をかけるのもお約束だった。
「そう言えば、ウィルとアリスの婚約発表パーティーまでもう一ヶ月切ったね。準備は順調?だいぶ無理のあるスケジュールだと思うけど」
ジャンがデザートを食べながら、のんびりと聞く。
「ああ、もちろん。うちの王宮の使用人達は優秀な者が揃っているからね」
ウィルがアンソニーを見ながらニッコリと笑った。
「……皆、ウィル様の無茶ぶりに慣れてしまっているだけです」
椅子取りゲームに負けたアンソニーが憮然と答える。
「アリス、今日は衣装の試着をする日だからね。授業が終わったら一緒に帰ろう」
「で、ですが、今日は生徒会の会合の日では……?」
(だから、距離感バグってるから!近い、近い!
ジリジリと近づいてくるウィルと何とか距離を取りながら、アリスは首を傾げた。
「それなら優秀な副会長にお任せしてるから大丈夫だよ。優秀な補佐も三人いるしね」
その言葉にアンソニーがジト目でウィルを見た。
=========================
「まあ!なんてお綺麗なんでしょう!」
授業が終わるやいなや、ウィルに王宮へと拉致られたアリスは、王都一と名高い服飾師のミアロー氏のドレスの試着をさせられていた。
色鮮やかなエメラルドグリーンの、光沢のあるタフタをたっぷりと使ったエンパイアラインのドレスは、メリハリのあるアリスの身体によく似合っていた。
「どこか苦しかったり、緩かったりするところはないかしら?」
「いいえ、ぴったりですわ」
アリスも女の子だ。綺麗なドレスを着ればテンションも上がる。
ドレスは裾に向かって銀糸で細かい刺繍が施されており、動く度にふわふわと揺れてとても綺麗だ。
「さすがはミアロー氏ですわ!」
アリスが嬉しそうに褒め称えた。
コンコン
「私だ。入ってもいいかな?」
ウィルの声にミアローが反応した。
「まあ、王太子殿下ですわ!さ、早くドアを開けて差し上げて!」
ドアを開けて頭を下げている侍女に笑顔で頷いてから、ウィルは真っ直ぐアリスの元に進んだ。
「これは、何て美しい……」
「どうでしょう、殿下。今期一の自信作ですわ!」
呆然とアリスを見つめるウィルの横でミアローが鼻を膨らませる。
「ウィ、ウィル様、まだ試着の途中ですわ」
ウィルにじっと見つめられて、アリスは顔を赤くして視線を逸らした。
「とても綺麗だよ、アリス」
ウィルは赤くなったアリスの顔に手を当てると、自分の方に顔を向ける。至近距離でウィルと見つめ合う形になり、アリスの顔がさらに赤くなった。
「美し過ぎて他の男には見せたくない。この胸元や背中はもう少し隠した方がいいんじゃないか。できれば首元まで全部」
上半身はビスチェスタイルになっているため、露出度は高めだ。至近距離で肌を見られているかと思うと、アリスはまたも沸騰しそうになった。
「何をおっしゃるんですか、殿下!アリス様の美しいデコルテを隠すなんて、美に対する冒涜です!」
「だが、これではアリスの肌を他の男共に晒してしまうではないか。何とか隠してくれ」
ウィルは有無を言わさない笑顔を浮かべた。
「~~もう!わかりました!もう!殿下ったら、狭量な男は嫌われますよ!」
不敬とも取れる言葉を吐くと、ミアローは銀糸でできた繊細なレースを持って来て、アリスの胸元に当てた。
「こうやってレースで覆うのはいかがでしょう?」
「うん、それでも少し透けて見えるのが気になるが、そこは我慢しよう」
「じゃあ、殿下は外に出てください。急いで手直ししますから」
ミアローに追い出されるようにして、ウィルは部屋の外に出た。ドアを閉めた途端に、ミアローの怨嗟の声が中で響いた。
「もう!あの、腹黒殿下が!後一ヶ月しかないっていうのに!」
その声にフッと笑うと、ウィルは執務室へと足を向けた。
(驚いたな。あんなに美しくなるなんて)
アリスが美しい少女であることはもちろん知っていたし、アリスのことを愛するようになってからは更にそう思うようになっていたのだが。
(あんなに滑らかな肌を隠し持っていたとは)
大きく開いた胸元は艶々と輝き、華奢な背中の肌も見るからに滑らかで、思わず触れたくなってしまった。人前でなかったなら、間違いなく触れてしまっていただろう。
(あれはだめだ。他の男共には絶対に見せられない。あんな真っ赤になった顔も私以外には見せないで欲しい)
ミアローは生物学的には男だが、中身は乙女で夫もいることから、男としてはカウントしていないのでまだいい。
(アリスは私の婚約者だと皆に知らしめるためのパーティーだが……誰にも見せずに隠しておきたくなったな。もういっそのこと王宮に隠し部屋でも作ろうか)
自らの独占欲に自分で驚きながら、ウィルは執務室のドアを開けた。
(そういえば、トニーは愛しのクラリス嬢との時間を満喫しているかな?)
苦労性の側近のジト目を思い出し、ウィルは一人笑った。
「クラリス、こっちこっち!」
「クラリス嬢、今日のデザートは苺のショートケーキだ」
クラリスが学園に復帰してから早一ヶ月。昼休み恒例のクラリスの隣の席争奪戦が今日も繰り広げられていた。
「私はアリス様とイメルダ様の間に座らせていただきます!」
クラリスがそう宣言すると、アリスが喜んで自身の隣の椅子を引く。
すると、今度は誰がクラリスの正面に座るかで、小競り合いが始まった。
ウィル、アリス、クラリス、イメルダ、ジャンと一列に並んだ五人は、揉める三人を無視して食事を進めた。
「三人とも早く食べないと、昼休み終わっちゃうよ~」
いつまでも座らない三人に、呆れたジャンが声をかけるのもお約束だった。
「そう言えば、ウィルとアリスの婚約発表パーティーまでもう一ヶ月切ったね。準備は順調?だいぶ無理のあるスケジュールだと思うけど」
ジャンがデザートを食べながら、のんびりと聞く。
「ああ、もちろん。うちの王宮の使用人達は優秀な者が揃っているからね」
ウィルがアンソニーを見ながらニッコリと笑った。
「……皆、ウィル様の無茶ぶりに慣れてしまっているだけです」
椅子取りゲームに負けたアンソニーが憮然と答える。
「アリス、今日は衣装の試着をする日だからね。授業が終わったら一緒に帰ろう」
「で、ですが、今日は生徒会の会合の日では……?」
(だから、距離感バグってるから!近い、近い!
ジリジリと近づいてくるウィルと何とか距離を取りながら、アリスは首を傾げた。
「それなら優秀な副会長にお任せしてるから大丈夫だよ。優秀な補佐も三人いるしね」
その言葉にアンソニーがジト目でウィルを見た。
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「まあ!なんてお綺麗なんでしょう!」
授業が終わるやいなや、ウィルに王宮へと拉致られたアリスは、王都一と名高い服飾師のミアロー氏のドレスの試着をさせられていた。
色鮮やかなエメラルドグリーンの、光沢のあるタフタをたっぷりと使ったエンパイアラインのドレスは、メリハリのあるアリスの身体によく似合っていた。
「どこか苦しかったり、緩かったりするところはないかしら?」
「いいえ、ぴったりですわ」
アリスも女の子だ。綺麗なドレスを着ればテンションも上がる。
ドレスは裾に向かって銀糸で細かい刺繍が施されており、動く度にふわふわと揺れてとても綺麗だ。
「さすがはミアロー氏ですわ!」
アリスが嬉しそうに褒め称えた。
コンコン
「私だ。入ってもいいかな?」
ウィルの声にミアローが反応した。
「まあ、王太子殿下ですわ!さ、早くドアを開けて差し上げて!」
ドアを開けて頭を下げている侍女に笑顔で頷いてから、ウィルは真っ直ぐアリスの元に進んだ。
「これは、何て美しい……」
「どうでしょう、殿下。今期一の自信作ですわ!」
呆然とアリスを見つめるウィルの横でミアローが鼻を膨らませる。
「ウィ、ウィル様、まだ試着の途中ですわ」
ウィルにじっと見つめられて、アリスは顔を赤くして視線を逸らした。
「とても綺麗だよ、アリス」
ウィルは赤くなったアリスの顔に手を当てると、自分の方に顔を向ける。至近距離でウィルと見つめ合う形になり、アリスの顔がさらに赤くなった。
「美し過ぎて他の男には見せたくない。この胸元や背中はもう少し隠した方がいいんじゃないか。できれば首元まで全部」
上半身はビスチェスタイルになっているため、露出度は高めだ。至近距離で肌を見られているかと思うと、アリスはまたも沸騰しそうになった。
「何をおっしゃるんですか、殿下!アリス様の美しいデコルテを隠すなんて、美に対する冒涜です!」
「だが、これではアリスの肌を他の男共に晒してしまうではないか。何とか隠してくれ」
ウィルは有無を言わさない笑顔を浮かべた。
「~~もう!わかりました!もう!殿下ったら、狭量な男は嫌われますよ!」
不敬とも取れる言葉を吐くと、ミアローは銀糸でできた繊細なレースを持って来て、アリスの胸元に当てた。
「こうやってレースで覆うのはいかがでしょう?」
「うん、それでも少し透けて見えるのが気になるが、そこは我慢しよう」
「じゃあ、殿下は外に出てください。急いで手直ししますから」
ミアローに追い出されるようにして、ウィルは部屋の外に出た。ドアを閉めた途端に、ミアローの怨嗟の声が中で響いた。
「もう!あの、腹黒殿下が!後一ヶ月しかないっていうのに!」
その声にフッと笑うと、ウィルは執務室へと足を向けた。
(驚いたな。あんなに美しくなるなんて)
アリスが美しい少女であることはもちろん知っていたし、アリスのことを愛するようになってからは更にそう思うようになっていたのだが。
(あんなに滑らかな肌を隠し持っていたとは)
大きく開いた胸元は艶々と輝き、華奢な背中の肌も見るからに滑らかで、思わず触れたくなってしまった。人前でなかったなら、間違いなく触れてしまっていただろう。
(あれはだめだ。他の男共には絶対に見せられない。あんな真っ赤になった顔も私以外には見せないで欲しい)
ミアローは生物学的には男だが、中身は乙女で夫もいることから、男としてはカウントしていないのでまだいい。
(アリスは私の婚約者だと皆に知らしめるためのパーティーだが……誰にも見せずに隠しておきたくなったな。もういっそのこと王宮に隠し部屋でも作ろうか)
自らの独占欲に自分で驚きながら、ウィルは執務室のドアを開けた。
(そういえば、トニーは愛しのクラリス嬢との時間を満喫しているかな?)
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