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誤算と誤解(続)
クラリス達が到着した時、王の間では、後ろ手に拘束されたセベールがアンソニーに伴われて、国王と宰相、騎士団長の前に引き出されているところだった。
「セベール。何か言うことはあるか」
国王が厳しい表情で問う。
「畏れながら、陛下。我が弟の容体は?」
「エラリーなら医師の手当を受けて休んでいる。今のところは大丈夫だ」
「それを聞いて安心いたしました」
「陛下、私からよろしいでしょうか?」
いつもと全く変わらず、少しも反省した様子のないセベールに、父であるキンバリー伯爵が、我慢できないと言った様子で、国王に発言の許可を願い出た。
「いいだろう」
「ありがとうございます。セベール、お前は自分が何をしたのかわかっているのか」
「これは父上。もちろんわかっていますよ」
セベールはにこにこと美しい笑みを浮かべながら答える。
「王の影を排除し、独断で行動した今回の件、許されることではないぞ」
キンバリー伯爵の叱責にも、セベールの表情は変わることがない。
「王命に背いた罰は如何様にもお受けいたします」
「はああ。お前という奴は……」
笑顔で答えるセベールに、キンバリー伯爵は深いため息をついた。
「セベール、わしはウィリアムの友人達を危険に晒す様な真似は許可しないと言ったはずだ。どうして今回このようなことになった?」
国王の問いにセベールが答えるより早く、ポールが反応した。
「ちょっと待ってくれ。俺達を危険に晒すような真似っていうのはどういうことだ?」
クラリスを背中に庇いながら、ポールが前に進み出る。
「すまないね、君達を囮にする様な真似をして。本当なら王宮内で捕えるつもりだったんだが。予定よりも騎士団の数が少なくてね。王宮外に逃げられてしまったのは誤算だったよ」
セベールが優美に微笑みながら答える。
「以前、そこのお嬢さん達が王宮に滞在していた時、王家に対する不満分子が面白いように釣れてね。今回もおかげで残党を一掃することができたよ」
「え……?私とお兄ちゃんが滞在していた時って……」
セベールの言葉にクラリスの表情に影が差す。
「……どういうことだ。ウィル、アンソニー、説明してもらおうか。お前達は、クラリスを囮に使っていたということか?!」
ポールが吠える。
「それは……!」
「違……!」
そんなつもりはなかったとはいえ、結果的に囮としてしまったことに違いはなかったため、ウィルもアンソニーも咄嗟に言い返すことができなかった。
「否定しないということは、真実だということか?!ウィル、てめえは、俺達が友人だからパーティーに招待したいと言った、あれも全部嘘か!俺達を、クラリスを囮にするために、あんなに強引に誘ったのか!」
激昂したポールがウィルの襟首を掴み、捩じり上げる。ウィルは何も言わず、されるがままだ。
「ポール、止めろ!」
ポールが拳をウィルの顔に叩き込もうとした時、アンソニーがウィルとポールの間に割り込み、すんでの所でポールの拳をその手のひらで受け止めた。
「アンソニー、てめえも知っていたのか?!知っていて、俺に、クラリスを守れと言ったのか?!」
怒りに任せてポールが反対の手でアンソニーを殴ろうとした時、ポールの背中にクラリスが抱きついた。
「ポールお兄ちゃん!もうやめて!ウィル様やアンソニー様を殴ったりしたら、ポールお兄ちゃんが処分されてしまうわ!」
クラリスの悲痛な声にポールの動きが止まる。
「クラリス……」
「ポールお兄ちゃん、もういいよ、もう帰ろう……私、帰りたい……」
泣きながらポールに縋り付くクラリスに、ポールは握りしめていた拳を下ろした。
「くそっ」
引きちぎるようにクラバットを外すと、床に叩きつける。
「俺達の服を返してもらおう。こんな茶番はもうたくさんだ。行こう、クラリス」
「っ!」
背を向けたポールとクラリスに、アンソニーは咄嗟に手を伸ばしたが、何も言えず、伸ばした手はそのまま宙に浮いた。
涙を流してしゃくり上げるクラリスと、その細い肩を抱いて王の間を出ていくポールとを止められる者は誰もおらず、その場をただ静寂が支配するばかりだった。
「セベール。何か言うことはあるか」
国王が厳しい表情で問う。
「畏れながら、陛下。我が弟の容体は?」
「エラリーなら医師の手当を受けて休んでいる。今のところは大丈夫だ」
「それを聞いて安心いたしました」
「陛下、私からよろしいでしょうか?」
いつもと全く変わらず、少しも反省した様子のないセベールに、父であるキンバリー伯爵が、我慢できないと言った様子で、国王に発言の許可を願い出た。
「いいだろう」
「ありがとうございます。セベール、お前は自分が何をしたのかわかっているのか」
「これは父上。もちろんわかっていますよ」
セベールはにこにこと美しい笑みを浮かべながら答える。
「王の影を排除し、独断で行動した今回の件、許されることではないぞ」
キンバリー伯爵の叱責にも、セベールの表情は変わることがない。
「王命に背いた罰は如何様にもお受けいたします」
「はああ。お前という奴は……」
笑顔で答えるセベールに、キンバリー伯爵は深いため息をついた。
「セベール、わしはウィリアムの友人達を危険に晒す様な真似は許可しないと言ったはずだ。どうして今回このようなことになった?」
国王の問いにセベールが答えるより早く、ポールが反応した。
「ちょっと待ってくれ。俺達を危険に晒すような真似っていうのはどういうことだ?」
クラリスを背中に庇いながら、ポールが前に進み出る。
「すまないね、君達を囮にする様な真似をして。本当なら王宮内で捕えるつもりだったんだが。予定よりも騎士団の数が少なくてね。王宮外に逃げられてしまったのは誤算だったよ」
セベールが優美に微笑みながら答える。
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「……どういうことだ。ウィル、アンソニー、説明してもらおうか。お前達は、クラリスを囮に使っていたということか?!」
ポールが吠える。
「それは……!」
「違……!」
そんなつもりはなかったとはいえ、結果的に囮としてしまったことに違いはなかったため、ウィルもアンソニーも咄嗟に言い返すことができなかった。
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激昂したポールがウィルの襟首を掴み、捩じり上げる。ウィルは何も言わず、されるがままだ。
「ポール、止めろ!」
ポールが拳をウィルの顔に叩き込もうとした時、アンソニーがウィルとポールの間に割り込み、すんでの所でポールの拳をその手のひらで受け止めた。
「アンソニー、てめえも知っていたのか?!知っていて、俺に、クラリスを守れと言ったのか?!」
怒りに任せてポールが反対の手でアンソニーを殴ろうとした時、ポールの背中にクラリスが抱きついた。
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「クラリス……」
「ポールお兄ちゃん、もういいよ、もう帰ろう……私、帰りたい……」
泣きながらポールに縋り付くクラリスに、ポールは握りしめていた拳を下ろした。
「くそっ」
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「俺達の服を返してもらおう。こんな茶番はもうたくさんだ。行こう、クラリス」
「っ!」
背を向けたポールとクラリスに、アンソニーは咄嗟に手を伸ばしたが、何も言えず、伸ばした手はそのまま宙に浮いた。
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