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諦められない
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「あ、兄上?!」
「やあ、エラリー。見舞いに来るのが遅くなってすまないね。今日やっと謹慎が解けたんだ」
エラリーが療養している客室にやってきたのはセベールだった。
王から赦しを得た直後、その足でエラリーの元を訪ねたのだった。
「兄上、その顔はいったい……」
いつもの麗しい美貌はどこへやら、両頬がリスの様にパンパンに腫れ、まるで別人のようになったセベールを見て、エラリーは言葉を失った。
「ああ、これは、エラリーの愛しのクラリス嬢にやられたんだよ」
セベールが楽しそうに言う。
「クラリス嬢に?!いったいどういうことだ?!」
セベールがエラリーに先ほどの出来事を説明すると、エラリーはいよいよ開いた口が塞がらないようだった。
「嘘だろ……あのか弱いクラリス嬢が、自らの手で兄上を張り倒したのか……?!信じられない……」
「いやあ、驚くよね。私も何が起きてるのか、最初は全く理解できなかったんだけどね」
どうやらにこにこと笑っているらしいセベールが言う。
「……それで、クラリス嬢はビンタ四発で兄上を許したのか」
「うん」
「なんて人だ……」
「あの子はいいね。ぜひ頑張ってエラリーのお嫁さんにするといいよ」
「っな!」
「この私を跪かせるだけの威厳もあるし、貴族としても十分やっていけるよ。エラリーが望むなら、しばらく伯爵家に閉じ込めておこうか?」
「~~!兄上!だから、そういう所ですよ!」
真っ赤になったエラリーが、優しい声で物騒なことを言うセベールを嗜めた。
コンコン。
「エラリー、俺だ、ポールだ。入るぜ」
ノックの音と声が聞こえたかと思うと、ドアが開き、ポールが顔を出した。
「もう!ポールお兄ちゃんたら!返事があるまで待ってから扉を開けなきゃだめでしょ!」
クラリスの可愛い声が聞こえ、ポールの後ろから、ウィル、アンソニーと一緒にクラリスが入ってくる。
「クラリス嬢!」
「……おい、エラリー、てめえ、クラリスの前に立ってる俺達は透明人間か」
綺麗に無視されたポールがジト目でエラリーを睨む。
「やれやれ、トニーといい、ポールといい、全く君達はクラリス嬢しか目に入っていないんだね」
ウィルが呆れたように言うと、先に客室にいたセベールに目を向けた。
「セベール殿もいらしていたんですね」
「ええ、クラリス嬢のおかげで謹慎が解けましたので」
「「え?!セベール殿?!」」
「セ、セベール様?!」
両頬パンパンのセベールに、アンソニー、ポール、クラリスが驚きの声を上げた。
「あ、私のせいだった……す、すみません!思いっきり叩いてしまいました!」
呆然としていたクラリスだったが、ハッとしたようにセベールに頭を下げた。
「ふふ。クラリス嬢、謝らないでください。私はあなたに感謝しているんですから。それより、あなたの手は大丈夫ですか?」
セベールがクラリスに向かってにこやかに微笑みながら尋ねる。
クラリスの右手はアンソニーによってグルグルに包帯が巻かれていた。
「あ、これは……大丈夫です!」
「クラリス嬢!その手は?!」
エラリーがベッドから飛び出ると、クラリスの手を取った。
「こんな小さな手で……言ってくれれば、俺が代わりに何発でも殴ったのに……」
「エラリー、何発でもって、それはいくらなんでもひどくないかい?」
エラリーの言葉に、セベールが苦笑する。
「エラリー様、起き上がって大丈夫なのですか?」
クラリスがエラリーを気遣う。
「俺の傷なんてかすり傷だ」
「おい、エラリー、いつまでクラリスの手を握ってるんだよ」
ポールが我慢できないといった様子で、クラリスの手を奪い取ると、エラリーとクラリスの間に割り込んだ。
「そういうポールだって、気安くクラリス嬢に触れないでいただきたい」
アンソニーが言って、ポールとクラリスの間に入り込む。
「あ、アンソニー、てめ!」
「そう言うアンソニーこそ、近すぎだ!ポール、お前も無理矢理クラリス嬢の手を取るんじゃない!」
アンソニー、ポール、エラリーの三人に囲まれ、クラリスは一気に顔に血が昇るのを感じた。
「やあ、エラリー。見舞いに来るのが遅くなってすまないね。今日やっと謹慎が解けたんだ」
エラリーが療養している客室にやってきたのはセベールだった。
王から赦しを得た直後、その足でエラリーの元を訪ねたのだった。
「兄上、その顔はいったい……」
いつもの麗しい美貌はどこへやら、両頬がリスの様にパンパンに腫れ、まるで別人のようになったセベールを見て、エラリーは言葉を失った。
「ああ、これは、エラリーの愛しのクラリス嬢にやられたんだよ」
セベールが楽しそうに言う。
「クラリス嬢に?!いったいどういうことだ?!」
セベールがエラリーに先ほどの出来事を説明すると、エラリーはいよいよ開いた口が塞がらないようだった。
「嘘だろ……あのか弱いクラリス嬢が、自らの手で兄上を張り倒したのか……?!信じられない……」
「いやあ、驚くよね。私も何が起きてるのか、最初は全く理解できなかったんだけどね」
どうやらにこにこと笑っているらしいセベールが言う。
「……それで、クラリス嬢はビンタ四発で兄上を許したのか」
「うん」
「なんて人だ……」
「あの子はいいね。ぜひ頑張ってエラリーのお嫁さんにするといいよ」
「っな!」
「この私を跪かせるだけの威厳もあるし、貴族としても十分やっていけるよ。エラリーが望むなら、しばらく伯爵家に閉じ込めておこうか?」
「~~!兄上!だから、そういう所ですよ!」
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コンコン。
「エラリー、俺だ、ポールだ。入るぜ」
ノックの音と声が聞こえたかと思うと、ドアが開き、ポールが顔を出した。
「もう!ポールお兄ちゃんたら!返事があるまで待ってから扉を開けなきゃだめでしょ!」
クラリスの可愛い声が聞こえ、ポールの後ろから、ウィル、アンソニーと一緒にクラリスが入ってくる。
「クラリス嬢!」
「……おい、エラリー、てめえ、クラリスの前に立ってる俺達は透明人間か」
綺麗に無視されたポールがジト目でエラリーを睨む。
「やれやれ、トニーといい、ポールといい、全く君達はクラリス嬢しか目に入っていないんだね」
ウィルが呆れたように言うと、先に客室にいたセベールに目を向けた。
「セベール殿もいらしていたんですね」
「ええ、クラリス嬢のおかげで謹慎が解けましたので」
「「え?!セベール殿?!」」
「セ、セベール様?!」
両頬パンパンのセベールに、アンソニー、ポール、クラリスが驚きの声を上げた。
「あ、私のせいだった……す、すみません!思いっきり叩いてしまいました!」
呆然としていたクラリスだったが、ハッとしたようにセベールに頭を下げた。
「ふふ。クラリス嬢、謝らないでください。私はあなたに感謝しているんですから。それより、あなたの手は大丈夫ですか?」
セベールがクラリスに向かってにこやかに微笑みながら尋ねる。
クラリスの右手はアンソニーによってグルグルに包帯が巻かれていた。
「あ、これは……大丈夫です!」
「クラリス嬢!その手は?!」
エラリーがベッドから飛び出ると、クラリスの手を取った。
「こんな小さな手で……言ってくれれば、俺が代わりに何発でも殴ったのに……」
「エラリー、何発でもって、それはいくらなんでもひどくないかい?」
エラリーの言葉に、セベールが苦笑する。
「エラリー様、起き上がって大丈夫なのですか?」
クラリスがエラリーを気遣う。
「俺の傷なんてかすり傷だ」
「おい、エラリー、いつまでクラリスの手を握ってるんだよ」
ポールが我慢できないといった様子で、クラリスの手を奪い取ると、エラリーとクラリスの間に割り込んだ。
「そういうポールだって、気安くクラリス嬢に触れないでいただきたい」
アンソニーが言って、ポールとクラリスの間に入り込む。
「あ、アンソニー、てめ!」
「そう言うアンソニーこそ、近すぎだ!ポール、お前も無理矢理クラリス嬢の手を取るんじゃない!」
アンソニー、ポール、エラリーの三人に囲まれ、クラリスは一気に顔に血が昇るのを感じた。
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