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休暇を楽しもう?
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「こんにちは、クラリスさん」
「アリス様!いらっしゃいませ!」
お昼のピークの時間が過ぎ、客足が途絶えたタイミングでアリスが食堂に入ってきた。
「今日のおすすめをいただけるかしら?」
アリスがにっこり微笑んだ。
年に三回ある学力試験のうち、二度目の試験が昨日終わったばかりだった。試験が終わると学生達は二週間の休暇に入る。
この休暇の間は王宮の研究室に通うと決めていたアリスは、クラリスを誘い、一緒に王宮に行くことにしたのだった。
せっかくなので昼食はクラリス達の食堂でクラリスと一緒に取りたいと言ったのも、もちろんアリスだ。
「アリス様、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。私まで便乗させていただいて」
「何をおっしゃるの。クラリスさん達の食堂のお食事は本当に美味しいんですもの。それに、お休みの間もクラリスさんに会えるなんて嬉しいですわ」
実際、アリスは上機嫌だった。
(お休みの間、クラリスちゃんを独り占めできるなんて!)
二週間の休暇の過ごし方は、みんなバラバラだった。
ジャンとイメルダは、ジャンが婿入りすることになるブルーム子爵領の視察に、エラリーは、後継者にと打診されたアルセー辺境伯領の見学に、そして、ポールはブートレット公国に里帰りすることになったためだった。
(ウィル様とアンソニー様は王宮でお仕事だろうし、王宮からの帰りには話題のスイーツを食べに行くって約束したし、ようやく誰にも邪魔されずにクラリスちゃんとゆっくりおしゃべりできるわ!)
アリスは終始ニコニコしながらクラリスと二人、食事を終え、意気揚々と王宮に向かった。
=======================
王宮に向かう馬車の中で、クラリスは数日前のポールとのやり取りを思い出していた。
「え?ポールお兄ちゃん、公国に帰っちゃうの?!」
「ああ。とは言っても一週間ぐらいだけどな。ちょっと母さんの様子を見に行ってくるよ」
「おばさん、具合が良くないの?」
「まあ、多分ちょっと疲れが溜まってるとか、そんなことだと思うぜ。だから、心配するな」
「ならいいんだけど……」
ポールの明るい声にも、クラリスの表情は晴れない。
「……ポールお兄ちゃん、ちゃんと帰ってくるよね……?」
「クラリス……!」
不安そうにポールを見つめるクラリスの姿に我慢ができず、ポールは思わずクラリスをギュッと抱き締めた。
と、その時、食堂のキッチンの扉が開き、黒い笑顔を浮かべたフレデリックが入って来ると、ポールをクラリスからベリッと引き剥がした。
「ポール?ここでクラリスに手を出そうとはいい度胸だな?」
「あー、悪い、悪い、クラリスが可愛すぎてつい」
幼馴染のどす黒い笑顔に、ポールはすかさず両手をあげて降参した。
「クラリス、大丈夫だ。俺はすぐに帰ってくるからな。泣かないで待っててくれよな」
クラリスの頭をわしゃわしゃと撫でながら、ポールはとびきりの笑顔を見せる。
「もう、子供じゃないんだから、泣いたりなんかしないわ」
子供扱いされて拗ねるクラリスを暖かく見つめるポールにフレデリックが聞いた。
「ポール、馬車の手配は済んだのか?」
「ああ、それが、ディミトリの馬車に一緒に乗せてもらうことになったんだ」
「「ディミトリ様の馬車に?!」」
兄妹が驚きの声をあげる。
「こないだ会った時に手紙のことを聞かれてな。里帰りするって言ったら、乗せていってやるって」
「ディミトリ様って公国のお世継ぎなんだろ?そんな人と二日も同じ馬車って、お前、大丈夫なのか?」
フレデリックが信じられないという顔をする。
「ポールお兄ちゃんなら平気そうだけど」
ウィル達に対してのポールの態度を知っているクラリスは、びっくりしながらも納得した顔で頷く。
「ディミトリならそんなに気を遣わなくても大丈夫だろ。それより、あいつにはクラリスを諦めてもらうよう、ちゃんと話をしないといけないからな。ちょうどいい機会だ」
「なっ……!諦めてもらうも何も、ディミトリ様は本気であんなことをおっしゃったわけじゃ……」
「……あんなこと?」
クラリスの言葉に、フレデリックのシスコンスイッチがまたしてもオンになった。
=====================
「クラリスさん、クラリスさん?」
アリスの問いかけに、クラリスはハッともの思いから覚める。
「あ、すみません!私ったらボーっとしてしまって……!」
「いいんですのよ。お疲れでしたら、少しお休みになったらどうかしら(クラリスちゃんの寝顔が拝める?!)」
「いいえ、大丈夫です!すみません、乗せていただいているのに、ぼんやりしてしまいました」
「何か気になることでもありまして?」
「あ、いえ、ちょっとポールお兄ちゃんのことを考えていただけです」
「ああ、今日から里帰りでしたわね。いつも一緒にいるポールさんがいなくて、寂しいのかしら?」
「え!いえ、寂しいなんて!そんなこと……」
クラリスは慌てて否定しながらも、自分の内に確かにある感情に戸惑っていた。
「あ、着いたようですわね」
馬車が到着し、扉が開いた。
そこにいたのは、二人の到着を今か今かと待ち構えていた、アリス以上にご機嫌なウィルとアンソニーだった。
「アリス様!いらっしゃいませ!」
お昼のピークの時間が過ぎ、客足が途絶えたタイミングでアリスが食堂に入ってきた。
「今日のおすすめをいただけるかしら?」
アリスがにっこり微笑んだ。
年に三回ある学力試験のうち、二度目の試験が昨日終わったばかりだった。試験が終わると学生達は二週間の休暇に入る。
この休暇の間は王宮の研究室に通うと決めていたアリスは、クラリスを誘い、一緒に王宮に行くことにしたのだった。
せっかくなので昼食はクラリス達の食堂でクラリスと一緒に取りたいと言ったのも、もちろんアリスだ。
「アリス様、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。私まで便乗させていただいて」
「何をおっしゃるの。クラリスさん達の食堂のお食事は本当に美味しいんですもの。それに、お休みの間もクラリスさんに会えるなんて嬉しいですわ」
実際、アリスは上機嫌だった。
(お休みの間、クラリスちゃんを独り占めできるなんて!)
二週間の休暇の過ごし方は、みんなバラバラだった。
ジャンとイメルダは、ジャンが婿入りすることになるブルーム子爵領の視察に、エラリーは、後継者にと打診されたアルセー辺境伯領の見学に、そして、ポールはブートレット公国に里帰りすることになったためだった。
(ウィル様とアンソニー様は王宮でお仕事だろうし、王宮からの帰りには話題のスイーツを食べに行くって約束したし、ようやく誰にも邪魔されずにクラリスちゃんとゆっくりおしゃべりできるわ!)
アリスは終始ニコニコしながらクラリスと二人、食事を終え、意気揚々と王宮に向かった。
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王宮に向かう馬車の中で、クラリスは数日前のポールとのやり取りを思い出していた。
「え?ポールお兄ちゃん、公国に帰っちゃうの?!」
「ああ。とは言っても一週間ぐらいだけどな。ちょっと母さんの様子を見に行ってくるよ」
「おばさん、具合が良くないの?」
「まあ、多分ちょっと疲れが溜まってるとか、そんなことだと思うぜ。だから、心配するな」
「ならいいんだけど……」
ポールの明るい声にも、クラリスの表情は晴れない。
「……ポールお兄ちゃん、ちゃんと帰ってくるよね……?」
「クラリス……!」
不安そうにポールを見つめるクラリスの姿に我慢ができず、ポールは思わずクラリスをギュッと抱き締めた。
と、その時、食堂のキッチンの扉が開き、黒い笑顔を浮かべたフレデリックが入って来ると、ポールをクラリスからベリッと引き剥がした。
「ポール?ここでクラリスに手を出そうとはいい度胸だな?」
「あー、悪い、悪い、クラリスが可愛すぎてつい」
幼馴染のどす黒い笑顔に、ポールはすかさず両手をあげて降参した。
「クラリス、大丈夫だ。俺はすぐに帰ってくるからな。泣かないで待っててくれよな」
クラリスの頭をわしゃわしゃと撫でながら、ポールはとびきりの笑顔を見せる。
「もう、子供じゃないんだから、泣いたりなんかしないわ」
子供扱いされて拗ねるクラリスを暖かく見つめるポールにフレデリックが聞いた。
「ポール、馬車の手配は済んだのか?」
「ああ、それが、ディミトリの馬車に一緒に乗せてもらうことになったんだ」
「「ディミトリ様の馬車に?!」」
兄妹が驚きの声をあげる。
「こないだ会った時に手紙のことを聞かれてな。里帰りするって言ったら、乗せていってやるって」
「ディミトリ様って公国のお世継ぎなんだろ?そんな人と二日も同じ馬車って、お前、大丈夫なのか?」
フレデリックが信じられないという顔をする。
「ポールお兄ちゃんなら平気そうだけど」
ウィル達に対してのポールの態度を知っているクラリスは、びっくりしながらも納得した顔で頷く。
「ディミトリならそんなに気を遣わなくても大丈夫だろ。それより、あいつにはクラリスを諦めてもらうよう、ちゃんと話をしないといけないからな。ちょうどいい機会だ」
「なっ……!諦めてもらうも何も、ディミトリ様は本気であんなことをおっしゃったわけじゃ……」
「……あんなこと?」
クラリスの言葉に、フレデリックのシスコンスイッチがまたしてもオンになった。
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「クラリスさん、クラリスさん?」
アリスの問いかけに、クラリスはハッともの思いから覚める。
「あ、すみません!私ったらボーっとしてしまって……!」
「いいんですのよ。お疲れでしたら、少しお休みになったらどうかしら(クラリスちゃんの寝顔が拝める?!)」
「いいえ、大丈夫です!すみません、乗せていただいているのに、ぼんやりしてしまいました」
「何か気になることでもありまして?」
「あ、いえ、ちょっとポールお兄ちゃんのことを考えていただけです」
「ああ、今日から里帰りでしたわね。いつも一緒にいるポールさんがいなくて、寂しいのかしら?」
「え!いえ、寂しいなんて!そんなこと……」
クラリスは慌てて否定しながらも、自分の内に確かにある感情に戸惑っていた。
「あ、着いたようですわね」
馬車が到着し、扉が開いた。
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