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ライアルの転機
(2)
「この授業では植物について説いていく。その前に、君は字の読み書きはできるか?」
「問題ない」
「そうか。疑問があればその都度質問するように」
「わかった」
生徒が頷くのを見て、ライアルはペンを取り出して教室の前方に大きく貼り付けられた白いボードに文字を書いていく。
教師が毎日行う当たり前の行為もライアルにとっては久しぶりである。しかし詰まる様子もなく実にすらすらと口とペンを動かしている。
「植物には様々な種類がある。食用になるもの、薬になるもの、毒になるものなど様々だが、我々は植物の助けなく生きていくことは不可能だと断言しておく。植物は光合成により我々に必要な酸素をつくり出すだけでなく、魔力の元になる『魔素』を排出してくれる貴重な存在だ」
女子生徒は教卓の真ん前の席に座り、黙って教師の言葉に耳を傾けている。
「俺の授業は基本的に植物を採取し、その効能を確認しつつ、医療や人々の生活の助けになる薬を作り出す為に実験を重ねるという流れになるのだが⋯⋯」
男は一度言葉を切り、生徒を見つめた。
「今の話を聞いて、まだ授業を受ける気があるのか?」
「なぜだ?」
「⋯⋯俺の研究内容は若い子たちには退屈らしいからな。君もそうじゃないかと思ったんだ」
「退屈という感覚がよくわからないが、私がライアルを選んだ理由はおまえが教師の中で最も濁りの少ない人間だったからだ。私のことは気にせず授業を続けろ」
思ってもいなかった返答に思わず聞き返す。
「濁りが少ない?どういうことだ?」
「そのままの意味だ。その人間が清らかなものかそうでないかは見ればわかる」
揶揄っているのかそれとも本気で言っているのか、彼女の微塵も動かない表情筋からは読み取れない。
「今日は座学で終わるのか?」
「いや、これからは採取に向かおう。話は移動しながらでもできるしな」
「わかった」
すっと立ち上がった生徒は教師の近くに寄ったが、その時彼の不自然な歩き方に違和感を覚えたようだ。
「その右足は?」
「ああ。⋯⋯昔の怪我の後遺症だ」
「治さないのか?」
「無茶を言うな。高位の治癒士に依頼すれば治るのだろうが、かかるのにはかなりの金が必要になる。今日を凌ぐので精一杯の俺にはとても⋯⋯」
そこまで言った時、生徒が突然足元にしゃがみ込んだ。
「どうした!?」
急に体調でも悪くなったのかと心配するライアルの右側の足を女子生徒の白く細い指が掴む。
次の瞬間、ライアルはバランスを崩して教壇の床に強かに背中を打ち付けていた。
「ッ!おい、何をしている!?」
右足首を掴まれたままの不格好な体勢でライアルは原因を睨んだ。暴れるが、そこでライアルはぎょっと顔色を変えた。掴まれている足にいくら力を込めようとも微塵も動かない。負傷している足とはいえ成人男性が本気で暴れているのに、それを少女は片手で止めている。
わけがわからなかった。とんだ怪力に心底ゾッとした。冗談にしてもタチが悪い。
更に声を張り上げようとしたところ、女子生徒は驚くべき行動に出た。
男のズボンの裾をたくし上げ、靴と靴下をするりと脱がし、顕わになった不健康な肌色の上に刻まれた歪な傷痕に口を付けたのだ。
「こ、こら、やめなさい!!」
男は混乱しながらも女子生徒から距離を取るため肘をついて上体を起こし、そのままずるずると後ろに下がろうとしたが、そのほっそりとした腕や指にどんな力が宿っているのか、びくともしない。
生徒が手を離してやっと自由を取り戻した男は慌てて立ち上がり、彼女から飛び離れた。
「いきなり何なんだ!!⋯⋯あ?」
怒りと混乱に満ちていた男の表情が次第に困惑へと変わった。
それもそのはず、彼は先程自分が二本足で後ろに飛んだことに気付いたのだ。今、彼は両方の足に均等に体重を掛けて立っている自分を自覚していた。
恐る恐る右足を前に出す。
痛みはなく、足の裏は硬い床の感触を捉えている。懐かしい感覚だった。
ハッと我に返った男は信じられない目で生徒を凝視した。
「君が⋯⋯治したのか?」
「そうだ」
堂々と肯定するその声や態度に驕ったものは感じない。
彼女にとってこの行為は特別なことではないのだと察するには十分過ぎた。
しかしこれはとんでもないことである。
男は、傷を治すなら高位の治癒士が治せると言ったが、それでも長年放置された骨の歪みの矯正と神経の修復には何度も何度も繰り返し通うことで少しずつ健康な足を取り戻していくという時間も金も掛かるやり方が普通である。
それに比べて彼女は傷痕に口を付けただけという五秒にも満たない僅かな時間で足を完治した。
男は背筋が粟立つのを感じていた。
それは未知の伎倆に対する恐れではなく、今後彼女に降りかかるであろう多くの災難を案じてのことだった。
「君はこの世界で最も優秀な治癒士と言っても過言ではないな」
男の賛辞に生徒はにこりともしなかった。
光の当たり具合によっては群青にも紅紫色にも見える宝石をはめ込んだような大きな瞳にじっと見つめられ、男は居心地の悪さを感じて身じろいだ。
あまりに綺麗な人間が黙って立っていると、まるで機械や人形を相手にしているような錯覚を覚える。
「どうやって治したのか訊いていいか?」
これ程の魔法だ。迂闊に口に出せないことを承知で尋ねる自分の意地悪さを自覚しながらも、男の中に芽生えた一抹の不安が背中を後押しした。
男の不安は見事的中し、彼女は考える素振りすら見せることなく答えた。
「おまえの中の魔素を操作し、患部周辺の治癒力を一時的に上昇させた」
「⋯⋯そんなことができるのか?」
「現におまえの足は治った」
「それもそうだが⋯⋯」
生徒がボードの上に壁付けされている時計を見上げた。真っ直ぐに下りた長い髪がさらりと揺れる。藍色と言うには薄く、白と断言するにはほんのりと色付いた不思議な配色である。透明感のあるそれを見た男は故郷の湖の水面を思い出した。陽光に揺れる水面がきらきらと眩しく、春の優しい陽射しの中でその光景を見ることが何より好きだったことも。
生徒が振り返る。
「採取に行こう」
「⋯⋯⋯」
「行かないのか?」
「いや⋯⋯ああ⋯⋯行く。行こうか」
懐かしい記憶に意識が飛んでいたのは、もしかしたら脳がこの状況を処理しきれず現実逃避に走ったからなのかもしれない。
教室の扉に手を掛ける生徒の後に続いた男は不自由のなくなった右足を見て言った。
「礼がまだだったな。ありがとう」
「ああ」
「この恩に報いてやりたいが⋯⋯情けないことに俺に差し出せるものは少ない」
「気にするな」
とは言われてもこれほどの魔法だ。高度な魔法ほど魔力を必要とし、消費する魔素も比例して多くなる。人は体の中にある魔素が極端に減ると体調不良を引き起こす。
ちらりと生徒の横顔を窺うが、色の白いことは白いのだが、特に無理をしている様子もなく確かな足取りで廊下を進んでいる。
見れば見るほど惹き込まれるような容姿だ。傾国の美女と言っても差し支えない。
その美女の背景が安っぽい廊下というのが何とも不釣り合いである。
──クスクス
ふと笑い声のした方に顔を向けると、二人組の女子生徒がこちらを見てヒソヒソと言葉を交わしていた。
男は自分の姿を見下ろし、納得して視線を外した。
どうやら安っぽい背景の中には自分も含まれているようである。
「問題ない」
「そうか。疑問があればその都度質問するように」
「わかった」
生徒が頷くのを見て、ライアルはペンを取り出して教室の前方に大きく貼り付けられた白いボードに文字を書いていく。
教師が毎日行う当たり前の行為もライアルにとっては久しぶりである。しかし詰まる様子もなく実にすらすらと口とペンを動かしている。
「植物には様々な種類がある。食用になるもの、薬になるもの、毒になるものなど様々だが、我々は植物の助けなく生きていくことは不可能だと断言しておく。植物は光合成により我々に必要な酸素をつくり出すだけでなく、魔力の元になる『魔素』を排出してくれる貴重な存在だ」
女子生徒は教卓の真ん前の席に座り、黙って教師の言葉に耳を傾けている。
「俺の授業は基本的に植物を採取し、その効能を確認しつつ、医療や人々の生活の助けになる薬を作り出す為に実験を重ねるという流れになるのだが⋯⋯」
男は一度言葉を切り、生徒を見つめた。
「今の話を聞いて、まだ授業を受ける気があるのか?」
「なぜだ?」
「⋯⋯俺の研究内容は若い子たちには退屈らしいからな。君もそうじゃないかと思ったんだ」
「退屈という感覚がよくわからないが、私がライアルを選んだ理由はおまえが教師の中で最も濁りの少ない人間だったからだ。私のことは気にせず授業を続けろ」
思ってもいなかった返答に思わず聞き返す。
「濁りが少ない?どういうことだ?」
「そのままの意味だ。その人間が清らかなものかそうでないかは見ればわかる」
揶揄っているのかそれとも本気で言っているのか、彼女の微塵も動かない表情筋からは読み取れない。
「今日は座学で終わるのか?」
「いや、これからは採取に向かおう。話は移動しながらでもできるしな」
「わかった」
すっと立ち上がった生徒は教師の近くに寄ったが、その時彼の不自然な歩き方に違和感を覚えたようだ。
「その右足は?」
「ああ。⋯⋯昔の怪我の後遺症だ」
「治さないのか?」
「無茶を言うな。高位の治癒士に依頼すれば治るのだろうが、かかるのにはかなりの金が必要になる。今日を凌ぐので精一杯の俺にはとても⋯⋯」
そこまで言った時、生徒が突然足元にしゃがみ込んだ。
「どうした!?」
急に体調でも悪くなったのかと心配するライアルの右側の足を女子生徒の白く細い指が掴む。
次の瞬間、ライアルはバランスを崩して教壇の床に強かに背中を打ち付けていた。
「ッ!おい、何をしている!?」
右足首を掴まれたままの不格好な体勢でライアルは原因を睨んだ。暴れるが、そこでライアルはぎょっと顔色を変えた。掴まれている足にいくら力を込めようとも微塵も動かない。負傷している足とはいえ成人男性が本気で暴れているのに、それを少女は片手で止めている。
わけがわからなかった。とんだ怪力に心底ゾッとした。冗談にしてもタチが悪い。
更に声を張り上げようとしたところ、女子生徒は驚くべき行動に出た。
男のズボンの裾をたくし上げ、靴と靴下をするりと脱がし、顕わになった不健康な肌色の上に刻まれた歪な傷痕に口を付けたのだ。
「こ、こら、やめなさい!!」
男は混乱しながらも女子生徒から距離を取るため肘をついて上体を起こし、そのままずるずると後ろに下がろうとしたが、そのほっそりとした腕や指にどんな力が宿っているのか、びくともしない。
生徒が手を離してやっと自由を取り戻した男は慌てて立ち上がり、彼女から飛び離れた。
「いきなり何なんだ!!⋯⋯あ?」
怒りと混乱に満ちていた男の表情が次第に困惑へと変わった。
それもそのはず、彼は先程自分が二本足で後ろに飛んだことに気付いたのだ。今、彼は両方の足に均等に体重を掛けて立っている自分を自覚していた。
恐る恐る右足を前に出す。
痛みはなく、足の裏は硬い床の感触を捉えている。懐かしい感覚だった。
ハッと我に返った男は信じられない目で生徒を凝視した。
「君が⋯⋯治したのか?」
「そうだ」
堂々と肯定するその声や態度に驕ったものは感じない。
彼女にとってこの行為は特別なことではないのだと察するには十分過ぎた。
しかしこれはとんでもないことである。
男は、傷を治すなら高位の治癒士が治せると言ったが、それでも長年放置された骨の歪みの矯正と神経の修復には何度も何度も繰り返し通うことで少しずつ健康な足を取り戻していくという時間も金も掛かるやり方が普通である。
それに比べて彼女は傷痕に口を付けただけという五秒にも満たない僅かな時間で足を完治した。
男は背筋が粟立つのを感じていた。
それは未知の伎倆に対する恐れではなく、今後彼女に降りかかるであろう多くの災難を案じてのことだった。
「君はこの世界で最も優秀な治癒士と言っても過言ではないな」
男の賛辞に生徒はにこりともしなかった。
光の当たり具合によっては群青にも紅紫色にも見える宝石をはめ込んだような大きな瞳にじっと見つめられ、男は居心地の悪さを感じて身じろいだ。
あまりに綺麗な人間が黙って立っていると、まるで機械や人形を相手にしているような錯覚を覚える。
「どうやって治したのか訊いていいか?」
これ程の魔法だ。迂闊に口に出せないことを承知で尋ねる自分の意地悪さを自覚しながらも、男の中に芽生えた一抹の不安が背中を後押しした。
男の不安は見事的中し、彼女は考える素振りすら見せることなく答えた。
「おまえの中の魔素を操作し、患部周辺の治癒力を一時的に上昇させた」
「⋯⋯そんなことができるのか?」
「現におまえの足は治った」
「それもそうだが⋯⋯」
生徒がボードの上に壁付けされている時計を見上げた。真っ直ぐに下りた長い髪がさらりと揺れる。藍色と言うには薄く、白と断言するにはほんのりと色付いた不思議な配色である。透明感のあるそれを見た男は故郷の湖の水面を思い出した。陽光に揺れる水面がきらきらと眩しく、春の優しい陽射しの中でその光景を見ることが何より好きだったことも。
生徒が振り返る。
「採取に行こう」
「⋯⋯⋯」
「行かないのか?」
「いや⋯⋯ああ⋯⋯行く。行こうか」
懐かしい記憶に意識が飛んでいたのは、もしかしたら脳がこの状況を処理しきれず現実逃避に走ったからなのかもしれない。
教室の扉に手を掛ける生徒の後に続いた男は不自由のなくなった右足を見て言った。
「礼がまだだったな。ありがとう」
「ああ」
「この恩に報いてやりたいが⋯⋯情けないことに俺に差し出せるものは少ない」
「気にするな」
とは言われてもこれほどの魔法だ。高度な魔法ほど魔力を必要とし、消費する魔素も比例して多くなる。人は体の中にある魔素が極端に減ると体調不良を引き起こす。
ちらりと生徒の横顔を窺うが、色の白いことは白いのだが、特に無理をしている様子もなく確かな足取りで廊下を進んでいる。
見れば見るほど惹き込まれるような容姿だ。傾国の美女と言っても差し支えない。
その美女の背景が安っぽい廊下というのが何とも不釣り合いである。
──クスクス
ふと笑い声のした方に顔を向けると、二人組の女子生徒がこちらを見てヒソヒソと言葉を交わしていた。
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