巻き込まれた村人はガチャで無双する?

黒田悠月

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 町の外に出て最初に出会ったのはプニプニで小さなゲームお馴染みのアイツ、主人公が旅に出てまず一番に戦闘を行うスライム×2だ。

『マジもんはやっぱり可愛くはないな』

 ぐにょぐにょブニブニの流動体の身体はギョロリとした二つの目玉が付いた奇妙な物体。
 しかもその目玉がくっついたり離れたり、あちこち動いてるものだからはっきり言って気持ち悪い。

(まあ、これなら遠慮なく戦えるけど)

 元々この世界で村人として生きてきたカティは一応魔物との戦闘経験はある。もっとも戦ったのは父親や村の大人でカティの行ったことは倒した後の魔物の解体だけだったりするが。
 それでも獣の形をしたものや人に似た姿を持ったゴブリン等もその中には含まれ、多少のグロテスクには耐性がある。
 むしろ地球で日本という平和な土地で狩りや戦闘はもちろん、肉も加工したものしか目にしたことのない佑樹の方が戦闘に忌避感がありそうなもので。
 修行修行言っていてもいざとなれば二の足を踏むのでないか。とカティはこっそり考えていたのだが。

『よし。あんまり近づき過ぎんなよ。カマイタチの範囲はおよそ5メートルだから、離れたまま一方的に攻撃するんだ。発動のキーは教えた通り「切り裂け」これ言うだけでいいから』

 全然いつもと変わらない、軽い口調だ。

(佑樹はその、忌避感とかないわけ?)
『ん?あ、俺なんかこっち来てからそういう感覚とかすっげー薄いから、ほとんどナンも感じないから。多分人間でも普通にイケる。だから、遠慮なくやってくれ』
(・・・へ?)

 突然の衝撃告白に一瞬思考も身体も停止する。

『ボーッとしてんな!気づかれた来るぞ!』

 頭の中を怒鳴り声が響く。
 ハッと我に帰ると、スライムたちが身体をうごめかせ、全身をバネのようにしならせると一気に飛び上がった。
 スライムの主な戦闘方法は体当たりだ。
 その後倒れた獲物にのしかかり強い酸性の粘膜で溶かして吸収する。体力が低く攻撃されるとすぐに死ぬので弱い魔物扱いされているが、実のところその粘膜は自身の5倍以上に広がり人間はもちろん2メートル級の魔物でも30分もあれば完全に溶かしてしまう。だかがスライムと侮ると痛い目にあうのだ。

「わわわっ!」

 カティは大慌てでスライムの突進を避けると、走って距離を取った。
 スライムが素早い動くのは体当たりする一瞬だけ、それ以外はのろのろ地面は這っている。

 3メートル程距離を取ると、カティはスライムに向き直った。

(いくぞ!)

「『切り裂け!』」

 頭の中で風の刃をいくつもイメージしながらスライムに向けて腕を上げる。

 すると不可視の刃がスライムの少し後で地面に生えた草を刈った。

「・・・あれ?」
『下手くそ』
(んなこと言ってもまだ慣れてないんだから仕方ないだろ!)

 またスライムが体当たりしようと突進してくるのを走って避け、今度はカマイタチを連発する。

「『切り裂け!』『切り裂け!』『切り裂け!』」

 いくつも連続して出現した風の刃は周りの草を無意味に刈り取りながらもスライムたちの身体を擦った。
 ポンッと音を立ててスライム×2が破裂する。

「はあ、はあ、やった・・・」
『ごくろーさん』

 力が抜けるまま、その場に座り込みさっそくステータスを確認する。
 残念ながら、レベルアップはなかった。
 ガチャポイントがわずかに1上がっていた。
 スライム2体で1なので、1体0.5ポイント。
 ショボい。

『こりゃまともにガチャるまで先は長そうだな』

 魔力を確認すると20減っている。
 4回カマイタチを使用したので1回魔力を5消費するらしい。
 不可視なので断定はできないが、1回につき50センチ程度の刃が5~7本出現するようだ。
 カティの魔力が250なのであと40回以上使える計算になる。
 だが先程のように連発しているとあっという間に使いきってしまうだろう。
 まずはきちんと敵に当てる練習が必要だろうか。

 その後カティはその場でカマイタチのコントロールの練習をしてから、何度か場所を移動しては遭遇した魔物との戦闘をバタバタと繰り返した。
 毎回ヒヤヒヤしつつも遠距離から攻撃ができるおかげで怪我もなくやり過ごす。
 魔力が半分を切ったところで、町の近くに戻り鑑定のスキルを使い薬草等の売れそうな草花を摘みまくる。
 山盛りになったのでいったんアイテムボックスにそのまましまい、宿で種類別に仕分けることにした。
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