23 / 87
23
しおりを挟む
イブラムの町のギルドはこれまで見たどの町のものよりも大きくて立派だった。
リューレルートの王都のギルドよりも立派というのは驚きだ。
国力の差なのか、ギルドや冒険者に対する扱いの差なのか。
ギルドや冒険者は基本どの国にも属さない。
代わりにどの国にも支部があるし、どの国の政治にも関わらない。例えば他国との戦争の際にも例えその国に拠点を持っていても徴兵は出来ない。傭兵を雇うように依頼をして金で冒険者を雇うことは出来るが、強制は出来ないのだ。
ギルドそのものに関しては完全な中立。
決してどの国の陣営にも属さない。
そのことによってその国の支部が危険に晒されるとしても。
百年以上に渡りそれを貫いてきたからこそ、ギルドはどの種族のどの国にも同じく存在する。
『あの王なら面白くないとか思ってそうだよな』
自国に居を持ちながらあくまでも中立を貫くギルドのやり方に不満を持って、粗雑な扱いをしているというのはあるかも知れない。
ギルドにいくら金があっても、結局土地を貸し出すのは国だ。
ギルドの中はこれまでと同じで入った正面にカウンター、壁には一面にクエストの依頼状が張り付けられている。
違うのはカウンターの数。
あと、職員と訪れている冒険者の数。
カティたちは受付と書かれたカウンターへと向かうが、周りの冒険者や職員の視線が痛い。
年よりも幼く見える少年に成り立てといった感のカティと、幼児であるフラウの二人連れである。
そりゃあ場違いなことこの上ないだろう。
フラウは宿で留守番してもらうことも考えたのだが、本人がどうにもカティから離れたがらないもので連れてきたのだが。
(やっぱりフラウには留守番しててもらった方が良かったかな)
〈イヤです!〉
思わず本音が漏れた途端ぎゅーっと足をつねられた。
「『・・・っ~!』」
加減は当然しているはずだが(してくれなければ肉が削がれかねない)それでも子供にはあり得ない力に、カティたちは悲鳴を押し殺して慌てて謝る。
冒険者登録はほんの10分程で済んだ。
文字が書けないため口頭で簡単な質問に答え、ギルドでの依頼の受け方やランクについての説明を受ける。
ランクは下からFからSSまで。
ランクによって受けられる依頼に差があり、当然ランクが高い程難しい依頼が割り当てられるがその分報酬もいい。
もちろんカティはランクFで登録された。
依頼をこなしたり魔物を討伐するとポイントが貯まり、ランクが上がっていく仕組みだ。
登録が終了するとギルドカードと呼ばれるものに血を垂らすのだが、それには特殊な魔方陣が組み込まれているらしく、カードの所持者が魔物を討伐すると自動的にその分だけポイントが加算される。
ギルドカードを持っていると国の行き来はすべて自由となり、ランクがC以上のカードなら関所の通行料が免除されたりする事もあるらしい。
登録料として銀貨5枚を支払い、貰いたてのギルドカードを大事にしまってギルドを出た。
『無くさないようにしないとな』
(本当だよ)
ギルドカードは所持者の血を垂らすことで他人には使用出来ないようになっているので無くしたからといっと誰かに悪用される心配はないが、再発行には金貨2枚も取られるのだ。
が、これでカティも冒険者の仲間入りである。
薬草等の買取も手数料を取られずにすむし、魔物を討伐したらそれもギルドで買い取って貰うこともできる。
クエストも受けることができるので、お金の心配がかなり減る。
中でもクエストの依頼の為であれば関所の通行料が半額になるというのが大きい。
旅を続けるのなら通行料は結構な出費になるから。
『じゃ、登録も無事済んだし、ヤルジの町に戻るか』
「ダンジョン!ダンジョンですー!」
「いや、今日はもう・・・」
『何言ってんだ!まだまだ一日は長いぜ!』
「フラウも早く行ってみたいです!」
ぐいぐい繋いだ手を引っ張られて、肩が抜けそうだ。
「痛い痛い痛い!分かったから行くから!」
「大丈夫ですよぅ。ご主人のことはフラウが守りますです」
情けないが、実際そういうことになるのだろう。
見た目推定5才児に守られる冒険者って・・・。
「よろしくお願いします」
いつか逆になる時はくるのだろうか。
『ムリかもなぁ。もともとのレベルが違うし』
佑樹の言葉に少し視界が歪んだ。
「ご主人さま?泣いてるですか?」
「泣いてないよ。ちょっとホコリが入っただけ」
そうホコリ。ホコリのせいだよ、きっと。
カティは涙に滲んだ目をこすりながら自分に言い訳した。
リューレルートの王都のギルドよりも立派というのは驚きだ。
国力の差なのか、ギルドや冒険者に対する扱いの差なのか。
ギルドや冒険者は基本どの国にも属さない。
代わりにどの国にも支部があるし、どの国の政治にも関わらない。例えば他国との戦争の際にも例えその国に拠点を持っていても徴兵は出来ない。傭兵を雇うように依頼をして金で冒険者を雇うことは出来るが、強制は出来ないのだ。
ギルドそのものに関しては完全な中立。
決してどの国の陣営にも属さない。
そのことによってその国の支部が危険に晒されるとしても。
百年以上に渡りそれを貫いてきたからこそ、ギルドはどの種族のどの国にも同じく存在する。
『あの王なら面白くないとか思ってそうだよな』
自国に居を持ちながらあくまでも中立を貫くギルドのやり方に不満を持って、粗雑な扱いをしているというのはあるかも知れない。
ギルドにいくら金があっても、結局土地を貸し出すのは国だ。
ギルドの中はこれまでと同じで入った正面にカウンター、壁には一面にクエストの依頼状が張り付けられている。
違うのはカウンターの数。
あと、職員と訪れている冒険者の数。
カティたちは受付と書かれたカウンターへと向かうが、周りの冒険者や職員の視線が痛い。
年よりも幼く見える少年に成り立てといった感のカティと、幼児であるフラウの二人連れである。
そりゃあ場違いなことこの上ないだろう。
フラウは宿で留守番してもらうことも考えたのだが、本人がどうにもカティから離れたがらないもので連れてきたのだが。
(やっぱりフラウには留守番しててもらった方が良かったかな)
〈イヤです!〉
思わず本音が漏れた途端ぎゅーっと足をつねられた。
「『・・・っ~!』」
加減は当然しているはずだが(してくれなければ肉が削がれかねない)それでも子供にはあり得ない力に、カティたちは悲鳴を押し殺して慌てて謝る。
冒険者登録はほんの10分程で済んだ。
文字が書けないため口頭で簡単な質問に答え、ギルドでの依頼の受け方やランクについての説明を受ける。
ランクは下からFからSSまで。
ランクによって受けられる依頼に差があり、当然ランクが高い程難しい依頼が割り当てられるがその分報酬もいい。
もちろんカティはランクFで登録された。
依頼をこなしたり魔物を討伐するとポイントが貯まり、ランクが上がっていく仕組みだ。
登録が終了するとギルドカードと呼ばれるものに血を垂らすのだが、それには特殊な魔方陣が組み込まれているらしく、カードの所持者が魔物を討伐すると自動的にその分だけポイントが加算される。
ギルドカードを持っていると国の行き来はすべて自由となり、ランクがC以上のカードなら関所の通行料が免除されたりする事もあるらしい。
登録料として銀貨5枚を支払い、貰いたてのギルドカードを大事にしまってギルドを出た。
『無くさないようにしないとな』
(本当だよ)
ギルドカードは所持者の血を垂らすことで他人には使用出来ないようになっているので無くしたからといっと誰かに悪用される心配はないが、再発行には金貨2枚も取られるのだ。
が、これでカティも冒険者の仲間入りである。
薬草等の買取も手数料を取られずにすむし、魔物を討伐したらそれもギルドで買い取って貰うこともできる。
クエストも受けることができるので、お金の心配がかなり減る。
中でもクエストの依頼の為であれば関所の通行料が半額になるというのが大きい。
旅を続けるのなら通行料は結構な出費になるから。
『じゃ、登録も無事済んだし、ヤルジの町に戻るか』
「ダンジョン!ダンジョンですー!」
「いや、今日はもう・・・」
『何言ってんだ!まだまだ一日は長いぜ!』
「フラウも早く行ってみたいです!」
ぐいぐい繋いだ手を引っ張られて、肩が抜けそうだ。
「痛い痛い痛い!分かったから行くから!」
「大丈夫ですよぅ。ご主人のことはフラウが守りますです」
情けないが、実際そういうことになるのだろう。
見た目推定5才児に守られる冒険者って・・・。
「よろしくお願いします」
いつか逆になる時はくるのだろうか。
『ムリかもなぁ。もともとのレベルが違うし』
佑樹の言葉に少し視界が歪んだ。
「ご主人さま?泣いてるですか?」
「泣いてないよ。ちょっとホコリが入っただけ」
そうホコリ。ホコリのせいだよ、きっと。
カティは涙に滲んだ目をこすりながら自分に言い訳した。
0
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる