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お花畑な妄想がイタすぎて頭が痛い。
しおりを挟むワタシは――マリエッタ・モンターニュ。17才。
子爵令嬢で心優しく健気で思いやりのある美少女、なワタシには憧れの人がいるの。
それはアレクセイ・ルード・クラリウス様。
この国、クラリウス聖王国の王太子殿下で同じ年の超イケメン!(キャッ)
均整のとれた長身に黒髪、神秘的な金色の瞳をした王子様♡ちょっと俺様な雰囲気がまたたまらないのっ。
最推しはアレクセイ殿下なんだけど、でもでも周りの側近候補の皆様もステキなのよね。
宰相様の御子息ウォルター・ギミング様は眼鏡の生真面目風な、でも実は腹黒キャラっぽいイケメンだし。公爵家の嫡男で将来の魔術師長候補と目されているらしいユリウス・レイフォート様は声が最高!耳元で囁かれたらゾクゾクしちゃいそうな色気のある声音なのよ。
セクシーボイスってヤツなの。
辺境伯家の御子息で殿下の学友件護衛でもあるルーディウス・オルトー様はガッチリ系の他とはまた違ったタイプのイケメンね。ワタシの好みからはホントは少し外れてるんだけど……でも女子人気はそれなり以上にある方だから、やっぱり捨てがたいわね。
うーん、でもでも本命はアレクセイ様よね?
だって王子様だし♡
やっぱりワタシみたいな完璧美少女には王子様がお似合いだわ!
はじめて殿下をお見かけしたのは一月ほど前。
ルクルシル魔術学院の入学式。
新入生代表として壇上に上がった殿下の凛々しいお姿に目がクギ付けになっちゃった!だってとってもステキだったんだもの。
でもね?殿下もワタシの方を見たの。
新入生はワタシも含めて100人ほどもいて、壇上に近い前列は高位貴族の人たちが割り当てられていた。おかげでワタシがいるのはずいぶん後ろ。
学院では身分は関係なく生徒はみんな平等だと聞いていたけれど、実際にはしっかり身分で差別されている。
こんなの間違ってる!って思うわ。
だって他のコたちはともかくワタシまで下位貴族のような扱いをされるなんて。
他のコたちとワタシは違うの。
今は確かに子爵令嬢かも知れないけど、すぐに高位貴族の婚約者になると決まっているのよ?
相手は最低でも候爵位以上。ううん、もしかしたら殿下かも。
目があったもの。
殿下はこんなにたくさんのお邪魔虫のなかからワタシを見つけてくれたのよ!
ヘンね。
すぐにでも殿下からお声がかかると思ってたのに、まだ一言もないなんて。
声をかけてくる男はたくさんいるけれど、どれもワタシにふさわしくない身の程知らずばっかり!!
まったく。伯爵家ですって?しかも嫡男でもないの?
あ、り、え、な、いっ!
ニキビ面のブ男も寄ってこないでよっ!
まあ、でもプレゼントは受け取ってあげるわよ。
安物だったらいらないけどね。
なんだか鬱陶しいイヤな女がいると思ったら殿下の筆頭婚約者候補だって女だった。
いつもいつも殿下につきまとっているかと思えばワタシにしたり顔で「身分をわきまえなさい」ですって。
わきまえるのはそっちの方でしょ!
所詮、候補のくせに。
きっと親の身分を笠に婚約者に収まろうとしているんだろうけど、殿下は拒否してるんだわ。
だから候補なのよ。
だって、殿下の婚約者になるのはこのワタシなんだもの。
――はい。なぁんて妄想を膨らませて悦に入っておりました。私。
イタイ。我ながら非常にイタイわ。
ないわ。コレ。
しかも殿下が私に声をかけないのは婚約者候補やその周りの取り巻きたちを警戒しているからだとか思っていた。
だから私が虐められていると知ればきっと助けてくれて、そばで守ってくれるって。
だから自作自演で虐められているフリをした。
足を引っ掛けられてコケたフリをしたり。
モノが失くなったと騒いでみたり。
あんまり殿下の反応が薄いものだから、いよいよ怪我を覚悟で階段落ちを仕掛けて……。
結果、体勢を崩して思い切り転がり落ち、しこたま頭を打ち付けて――私は『わたし』を思い出したのだ。
うん。頭が痛い。
いろんな意味で。
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