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第202話 そこまでいけば、もう変態プレイの域である 

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 佐野の思案は続く。
 相手は大手ゼネコンだ。高学歴のエリートしか採用しない。仮に中途採用であっても、数々の大きな現場を総括してきた猛者じゃないと無理だろう。
 しかも自分は今や業界の間で鼻つまみ者となっている古山建設の元社員。
 ユキの会社は、その古山建設の星崎とキャバ嬢のレイナによって甚大な被害を被ったのだ。
「でも、それならどうして、こんなことになったのか」
 床に置かれた自分のネーム入りの作業服に目を向ける。
 もし入社したら、間違いなく周りから白い目で見られる。そしていいようにこき使われ、嫌がらせの対象になるのは想像にたやすい。
「これでは古山建設の二の舞ではないか。それよか、もっとひどいではないか」
 しかも、そのみじめな自分の姿をユキに見られながらの毎日である。そこまでいけば、もう変態プレイの域である。
「耐えられない……」
 佐野は身震いする。
 最初はユキへ電話をすることばかりに気をとられ、浮き足たっていた。
 けれど世知辛い現実と向き合っているうちに、その考えは急速に萎えた。結果、入社を辞退する方向へと傾いていく。
 しかも、ユキはそんなひどい扱いを受ける自分を見たいがために、会社へ呼んだのではないか―― これらの疑念が次から次へと頭に浮かび、なおさらスマホの操作を躊躇してしまう。
「ちょっと待て! 落ち着け!」
 自分の頬を軽くペチペチと叩く。
「こんな風にグダグダと悩んでいるくらいなら、先に労働基準監督署へ行こう。古山建設の女性社員達が路頭に迷う前に手を打つんだ。そうだ! そっちの方が先決だ!」
 佐野はスマホを内ポケットにしまうと、足早に玄関へと向かうのであった。







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