239 / 334
第239話 今度は劣化と言われてしまう
しおりを挟む
「だから今のうちに買っておかないと、どんどん劣化するから早く買えと」
ユキが言う。
「劣化……」
腹がへると失恋の古傷が疼いてイライラし、根性曲がりがなおさら強化されるのは分かるが、その表現はかなりとんでもない。
「で、根拠については、俺はこのように説明した」
ユキは佐野の困惑をよそに続ける。
「古山建設は確かにブラック企業だが、そんな中にも優秀な技術者はいる。でも、就職難を理由に、惰性と我慢で勤務しているうちに、ろくでもない上司や経営者によって潰されて、結果、施工ミスを連発するような使い物にならない技術者へと落ちぶれてしまう。あるいは、高度な技能と正義感、そして負けん気の強さは温存できても、上司の失態の責任をなすりつけられ、問答無用で解雇されてしまう――これはみんなもご存じの、例のシュレッダー事件だ。けれどその技術者は幸いにもすぐに他社から声がかかり、無事に転職できた。そしてまた、別の一例――これが佐野さんのケースだ」
お買い得商品、劣化と来て、次は何と言われるのか。佐野は戦々恐々である。
ユキが言う。
「劣化……」
腹がへると失恋の古傷が疼いてイライラし、根性曲がりがなおさら強化されるのは分かるが、その表現はかなりとんでもない。
「で、根拠については、俺はこのように説明した」
ユキは佐野の困惑をよそに続ける。
「古山建設は確かにブラック企業だが、そんな中にも優秀な技術者はいる。でも、就職難を理由に、惰性と我慢で勤務しているうちに、ろくでもない上司や経営者によって潰されて、結果、施工ミスを連発するような使い物にならない技術者へと落ちぶれてしまう。あるいは、高度な技能と正義感、そして負けん気の強さは温存できても、上司の失態の責任をなすりつけられ、問答無用で解雇されてしまう――これはみんなもご存じの、例のシュレッダー事件だ。けれどその技術者は幸いにもすぐに他社から声がかかり、無事に転職できた。そしてまた、別の一例――これが佐野さんのケースだ」
お買い得商品、劣化と来て、次は何と言われるのか。佐野は戦々恐々である。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる