262 / 334
第262話 そうと決まれば長居は無用
しおりを挟む
「……わかった。そうしよう」
ユキは渋々ながら了解する。
「ご理解ありがとうございます。では、あとの事は僕の方で動きますので、その経過については随時、田上課長へ連絡いたします」
よかった。説得、大成功。
佐野は心の中でガッツポーズをし、小躍りして喜ぶ。けれど顔にはそれをおくびにも出さず、口調も神妙かつ低姿勢である。
そして、わざとらしく腕時計をチラリと見て、『もうこんな時間ですか。そろそろ現場事務所へ戻った方がよろしいかと』的な表情を大げさに作る。
話が決まった以上、下手にここで長居をするとユキの気が変わってしまうおそれがあるからだ。
するとユキも佐野につられて自分の腕時計を見る。
「じゃあ、腹もいっぱいになったことだし、現場事務所に戻るか」
佐野の猿芝居が通じたのか、ユキが腰を上げる。
「はい。今日はご馳走になりまして、ありがとうございました」
佐野もユキへ丁寧に感謝を伝えたあと、席を立つ。
「うむ。でも今日のは内輪でのお祝いだから、正式な歓迎会は後日、設備課でするからな――あ、そうだ。ちょっと待て」
ユキが何か思いついたらしく、また席につく。
まずい。もはや心変わりか。佐野は焦る。
ユキは渋々ながら了解する。
「ご理解ありがとうございます。では、あとの事は僕の方で動きますので、その経過については随時、田上課長へ連絡いたします」
よかった。説得、大成功。
佐野は心の中でガッツポーズをし、小躍りして喜ぶ。けれど顔にはそれをおくびにも出さず、口調も神妙かつ低姿勢である。
そして、わざとらしく腕時計をチラリと見て、『もうこんな時間ですか。そろそろ現場事務所へ戻った方がよろしいかと』的な表情を大げさに作る。
話が決まった以上、下手にここで長居をするとユキの気が変わってしまうおそれがあるからだ。
するとユキも佐野につられて自分の腕時計を見る。
「じゃあ、腹もいっぱいになったことだし、現場事務所に戻るか」
佐野の猿芝居が通じたのか、ユキが腰を上げる。
「はい。今日はご馳走になりまして、ありがとうございました」
佐野もユキへ丁寧に感謝を伝えたあと、席を立つ。
「うむ。でも今日のは内輪でのお祝いだから、正式な歓迎会は後日、設備課でするからな――あ、そうだ。ちょっと待て」
ユキが何か思いついたらしく、また席につく。
まずい。もはや心変わりか。佐野は焦る。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる