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第276話 謎の爆笑
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佐野は、恐る恐る横目でユキを見る。その奇妙な声の発生源がユキであるからだ。
「……!」
佐野は仰天して目を白黒させる。
何とユキは、両手を口に当て、必死で笑いをこらえている。しかも両肩を上下に細かく震わせ、足踏みまでしているのだ。
なぜだ。ここは爆笑する場面ではないはずだ。普通は怒るか軽蔑するかのどちらかだろう。
佐野は、いぶかりながら首をかしげ、凝視するのも気まずいので、とりあえず再びスマホへ視線を戻す。
体の両面にかいた別々の汗は、屋外という環境ゆえ、少しずつ引き始めていた。
一方、鈴木の沈黙は相変わらず続いている。
どうしたものか――佐野は途方に暮れる。
でも、このままではらちがあかない。こちらから話を切り出して決着をつけてしまおう。途中で通話を切られても、それは自分が悪いのだからあきらめよう。そして今は、ユキに関しては横に置いておこう。
このように腹を決めた佐野は重い口を開く。
「……あのさ、鈴木」
だが、そう言った途端、スマホからとてつもなく小汚い鼻水をすする音が盛大に聞こえてきた。
「……!」
佐野は仰天して目を白黒させる。
何とユキは、両手を口に当て、必死で笑いをこらえている。しかも両肩を上下に細かく震わせ、足踏みまでしているのだ。
なぜだ。ここは爆笑する場面ではないはずだ。普通は怒るか軽蔑するかのどちらかだろう。
佐野は、いぶかりながら首をかしげ、凝視するのも気まずいので、とりあえず再びスマホへ視線を戻す。
体の両面にかいた別々の汗は、屋外という環境ゆえ、少しずつ引き始めていた。
一方、鈴木の沈黙は相変わらず続いている。
どうしたものか――佐野は途方に暮れる。
でも、このままではらちがあかない。こちらから話を切り出して決着をつけてしまおう。途中で通話を切られても、それは自分が悪いのだからあきらめよう。そして今は、ユキに関しては横に置いておこう。
このように腹を決めた佐野は重い口を開く。
「……あのさ、鈴木」
だが、そう言った途端、スマホからとてつもなく小汚い鼻水をすする音が盛大に聞こえてきた。
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