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拾い物
しおりを挟む休日の午後、私はいつものように街を歩いていた。春の穏やかな日差しが心地よく、通りを行き交う人々もみな幸せそうに見えた。その時、ふと目の前で女性がスマートフォンを落とすのが見えた。瞬間的に彼女に声をかけようとしたが、彼女はすでに人混みに紛れて遠くへ消えていった。
落とされたスマートフォンは、新しい機種のようだった。ケースには花柄のデザインが施されており、持ち主の女性らしさが感じられた。私は一瞬ためらったものの、好奇心が勝り、そのスマートフォンを拾い上げた。
「どうしようか…」
女性を探して届けるべきだろうが、どこに行ったかも分からない。そこで、連絡先を見つけて本人に届けることができればと思い、電源ボタンを押した。すると、意外なことに画面にはすでに暗証番号が入力されており、ロックが解除された状態だった。
「ラッキーだな」
私は少し罪悪感を覚えつつも、好奇心に負けて中身を覗いてみることにした。メッセージアプリや連絡先を探していたが、何気なくギャラリーアプリを開いてしまった。そこには数百枚の写真が保存されていたが、その中のいくつかが異様だった。
「これ、なんだ…?」
最初は普通の風景写真や友人との写真だったが、スクロールを続けるうちに、異様な光景が現れた。暗い部屋の中で撮られたと思われる写真がいくつかあった。壁には見慣れないシンボルが描かれ、中央には奇妙な祭壇が設置されていた。そこに写っている人々の顔は不気味にゆがんでいた。
「これは、見てはいけないものだ…」
私は背筋に冷たいものが走り、慌ててスマートフォンを閉じた。このまま持っているのは危険だと感じ、すぐに警察に届けることを決意した。しかし、届ける前に、もう一度だけ確認しようと思い立った。もしかしたら、何かの間違いかもしれない。再度スマートフォンを開き、詳細を確認しようとしたその瞬間、画面が突然真っ暗になった。
「バッテリー切れか?」
私は電源ボタンを押し続けたが、スマートフォンはまったく反応しなかった。不安が胸を締め付け、警察に届けるために近くの交番へと急いだ。
交番に着くと、事情を説明してスマートフォンを手渡した。警官は一応の確認をし、私に感謝の言葉を述べた。
「これで終わりか…」
私はほっと息をつき、交番を後にした。しかし、あの写真のことが頭から離れなかった。家に帰る道すがら、ふと振り返ると、遠くからこちらをじっと見つめる女性の姿があった。彼女はあのスマートフォンの持ち主だろうか?一瞬、目が合った気がしたが、次の瞬間には彼女の姿は消えていた。
「あれは…何だったんだろう…」
それ以来、私は街を歩くときに注意深く周囲を観察するようになった。しかし、あの女性の姿を再び見ることはなかった。
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