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下がります。もっと下がります。
しおりを挟む電車に乗るために、私は地下鉄の駅へと急いでいた。いつものように混雑したホームを避け、エレベーターを使うことにした。目指すは4番線。エレベーターのボタンを押し、ドアが閉まるのを待った。
エレベーターには私以外誰もいなかった。軽く息を吐き、壁に寄りかかる。このエレベーターは通常すぐに目的地に着くはずだった。しかし、今回は違った。ドアが閉まり、少しの振動とともに動き始めたが、いつまで経っても止まる気配がない。
ふと気が付くと、エレベーターの中が妙に静かだ。普段なら聞こえる機械の音も、今は全く感じられない。不安が胸に広がり始めた。
「何が起こっているんだ?」
私は思わず呟いた。外の景色を見るためにエレベーターの小窓を覗き込んだが、そこには何も見えなかった。黒い霧が漂い、視界を完全に遮っている。
時間が経つにつれ、不安は恐怖へと変わっていった。やがて、エレベーターは徐々に速度を落とし、ついに停止した。ドアがゆっくりと開く。私は一歩を踏み出すことをためらったが、好奇心が勝り、外に足を踏み出した。
目の前に広がっていたのは、地獄のような光景だった。赤く燃え上がる空、焼け焦げた大地、耳をつんざくような叫び声。人々が苦しみ、逃げ惑う姿がそこにあった。彼らの顔は恐怖と絶望に歪んでいる。
「ここは一体…?」
私の問いに答える者は誰もいない。ただ、地獄のような風景が広がっているだけだ。何とかして戻ろうと振り返ると、エレベーターのドアは消えていた。私は完全に閉じ込められてしまった。
焦りと恐怖が頂点に達した時、地獄の住人たちの一人が近づいてきた。その顔は恐ろしく、瞳には暗い光が宿っていた。彼はゆっくりと口を開いた。
「ようこそ、永遠の苦しみへ」
私は後ずさりしようとしたが、足がすくんで動けない。彼の言葉が頭の中で反響する。逃れられない、永遠の苦しみ。絶望が私を包み込み、視界が暗くなった。
目が覚めた時、私は再びエレベーターの中にいた。だが、今度はそれが動いていないことに気づいた。外を見ると、そこには普通の駅の風景が広がっていた。安堵の息をつき、エレベーターのドアが開くのを待った。
だが、ドアが開くと同時に、再び地獄の光景が目の前に広がった。私は永遠に、この恐怖のループから逃れることができないのだ。
心の底から恐怖が沸き上がり、私は叫び声を上げた。しかし、その叫び声はエレベーターの閉ざされた空間に吸い込まれ、外の誰にも届くことはなかった。エレベーターは再び動き出し、私をさらなる絶望へと運んでいった。
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