「嫉妬に苦しむ私、心はまさに悪役令嬢」ー短編集

『むらさき』

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はじめに、嫉妬に苦しむ作者より

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 今朝、ニュースを見ていると、気になる記事がありました。

「嵐が新会社設立 朝から歓喜の声」

 あのアイドルグループ「嵐」が新会社を設立したということです。これは、活動再開か?とか思いつつ、連名でコメントを出してて、「やっぱり5人そろってて、素敵だなー」と思いました。

 今の30代~40代からしたら歓喜なのでしょう。嵐が活動再開とは。そんなことでSNSを読んでいると、

 噂では会社の所在地は、恵比寿ガーデンプレイスタワーらしいと、あくまで噂ですが...

 恵比寿ガーデンプレイスタワーって...アルファポリスの所在地じゃん!!!

 しかも、「アルファポリス」は19階で、「株式会社嵐」は?

 まあ、公式(アルファポリス)からの通達とかはない(当たり前である)。

「クラスメートでイケメンの彼」が隣になったけど、全く意に介していないヒロイン...

 そんなポジションを気取っているのか(そんなわけない)。

「アルファポリス」の社員は、偶然でも生のMJや生のニノ、生の相葉君、大野君、櫻井君を見れるのか...

 なんだそれは...羨ましい。


 ◇

 私は某出版社に勤める編集者。今、1階に荷物を取りに行って、受け取りのサインをしたが、荷物が思ったより大きかった。

「段ボール一箱だから大丈夫だよ」

 そう言われてきたけど、中身は本だ。軽いわけがない。

 軽く持ち上げると、頑張ればいける重さだった。しかし、少し歩くと徐々にそれが気のせいだと気づく。腕が痛い。もう一歩も進めない。

(もう無理、恥ずかしいけど、誰かを呼ぼう)

「すいません。大丈夫ですか?」

 若い男性の声が聞こえる。振り向くと、そこにいたのは、あのアイドルグループのメンバーMJだった...

 ◇

 羨ましい。なんだ。妄想だと断言できない。十分にあり得る展開だ。普通ならスルーするが、あのMJ。ファンの間で、天使と言われるほど性格もイケメンな彼だ。困っているなら、男性女性問わず救うハズだ...

「目立たない出版社に勤める私。しかし先日同じビルにアイドルグループが引っ越してきた」

 なんだ。このゴリゴリの恋愛小説は。しかも現実にあり得る。

 ◇

 私は、出版社に勤めている。普段はなんの気持ちの高ぶりもなく、淡々と仕事をしているが、今日、今日はあのニノがYoutubeの動画撮影に来る。

 それは1週間前だった。社内の掃除をするように唐突に連絡があった。

 詳しい事情を小耳に挟むと、あのニノが

「同じビルにいる出版社に行ってみた」という企画で来るらしい。

(確かに、ニノはゲームが好きだがまさか、出版社に直接くるなんて)

 ◇

 十分にあり得る。あり得過ぎる。

 アイドルグループの会社が恋愛小説に強い出版社のビルに転居してきたとか、もうシチュエーションだけでヤバい。

 鴨がネギを背負ってきたようなものだ。

 ◇

 仕事で疲れて、エレベータに乗っている私。扉が開く。誰か来た。顔を見ると、翔君だった。

 エレベータの中には、二人っきり。

 ◇

 もはや、役得だ。しかも、自分たちは何もせずにあっちから、アプローチが来るなんて、悪役令嬢の気持ちが分かってきた。この気持ち、何かにぶつけ...昇華させなくては。

 そうだ、小説を書こう。
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