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第一章 異世界にこんにちは
5. 健康食品売れるかな
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5.健康食品売れるかな
村人が持ってきてくれた水でファンを洗い流して、一緒に持ってきてくれたタオルみたいな布でふきあげていたら、村長や他の村人が俺に恐々と近寄ってきた。
そして、ファンを通して俺に向かって口々に何か言ってきた。特に何かを責める感じではなかった。
『 わかったよ。あのね、このあめをなめてみたいんだって。 』
「分った。じゃあ、ここにいる方々一人一個ずつ試供品で上げるけど、気に入ったら売りますよ、って言ってくれるかい。」
俺がそう言うと村人たちが一斉に手を出してきた。
俺が飴をそれぞれに手渡すと、俺を引っ叩いた女性とお婆さんが俺の開け方を真似して慎重に袋を開けていた。
そして、飴を取出して矯ためつ眇すがめつ見つめていたが、徐おもむろに飴を口に入れた。
歓声を上げ笑顔になった二人の女性達を見て、飴を食べていない男性陣は一斉に飴の袋を懐ふところに入れてしまった。
別に毒じゃないのに。それとも疑ってるのかな、食べるの嫌なんだろうか。
俺が食べてみせても、まだ安心していないのかな。
でも、こういう時は女性の方が物怖ものおじしないんだ。
二人ともコロコロと口の中で飴を転がして嬉しそうにしている。
村長はと見ると、二人以上に慎重に袋を開けて飴を口に入れていた。
孫のカイトリルはそれを見ていたが、彼も意を決したようにして自分も口に入れていた。
そして、驚いたようにほかの男性陣に何か言うと、男性陣はそれぞれ頷いていた。
俺がじっとその様子を見ていると、村長がファンに何か言っていた。
『 いいよ。あのね、みんなめずらしいからおうちにもってかえるんだって。うたがってるわけじゃないからきをわるくしないでくれ、って。 』
はあ。そうか。お土産にするのか。まあ、いいけど。疑ってるわけじゃないってのは分ったので安心した。
それにしても、女性二人に喜ばれたんなら、うまくいけばこれを元手に商売できるかな~。
でも、ここにあるサンプル品すべてを売ったとしても、微々たるものだからそんな儲もうけは出ないだろうし、何より次は仕入れる事出来ないから、違うものを仕入れなきゃいけないな。村人にマーケティングして需要と供給のバランスを知って・・・。あ、貨幣価値も知らなきゃ。言葉もわからないし、文字も勉強しなきゃ。外国語は英語しか習ってないけど、知らない言語を習うのは好きだ。しっかり勉強しよう。
「分りました。ただ、ここで商売しても良いでしょうか。これを売って当座の生活費にしなきゃいけませんし。泊まるところとか、食費とか必要ですし、働く場所もあれば斡旋あっせんしてもらいたいんですが。」
俺が一気にそう言うと、ファンは困ったように俺を見て
『 そんなにいっぺんにいったらわからないよ。ひとつかふたつずついって。 』
と言うので、一回に一つということを繰り返して通訳してもらった。
そこで俺自身について、今後どうすればいいか聞いてある程度分かった。
俺の身柄は、明日にはサラジェン伯という領主の衛兵が来るので、それまでは村長の責任で司祭の預かりとなるため、寝泊まりは神殿となる。
それまで掛かる生活費は、神殿へ奉仕することで相殺とする。
商売に関しては商業協同組合への登録が必要なので、領主との謁見後許可があれば商売出来るが、何にしても領主へ謁見してから身の振り方が決まる。
とまあこんなところらしい。
まあ、そうだよね~。
よその世界から来た得体の知れない人間を、すんなり働かせる訳ないよね~。
でもまあ、明日領主さんの兵士が来るまでは比較的自由みたいだ。
そのかわり、と言ってはなんだけど、監視の意味も含めてファンが傍にいることになった。
俺としてはすごく助かる。
言葉が分からない所に一人放りだされても困るから。
ファンがいれば話し相手になるし、言葉も少しずつ覚えられるかも。
メモ帳は営業用に数冊あるから、まずは名詞から覚えていって、文章構成を知るようにしないと。
取りあえずは自分のこれからについて、どうするかが分かったからホッとした。
と、安心したら、トイレに行きたくなってきた。
「ファン、便所に行きたいから連れて行ってって、言って貰えないかな。」
『 いいよ。そんちょさん、べんじょいきたいって。 』
ファンがそう言うと、カイトリルが手招きをして外に連れ出してくれた。
「でけ~!!背ぇ高っ!」
思わず声が出てしまった。
そう。ここの人達って皆んなガタイがいいんだ。女性が俺と同じくらいだ。
さっきまで寝転がってたから背の高さとか分んなかったけど、カイトリルは俺より頭一つ分くらい高いから、2mはありそうだ。
俺だってこれでも172Ccmあるんだけど。まあ、体重は60Kgだからやや痩せてるけど、ガリガリってほどでもない。
はあ。こっちの人たちは栄養がいいんだな。
健康食品とかいらない感じがする。血色も良いし、栄養バランスが良いのかもしれないな。
地球の欧米人は肉やチーズが主体だから、日本人より体格がいいもんな。
近頃では日本人の食文化が欧米化してるから、体系が欧米化してるみたいだけど、まだまだ彼らに比べると食べる量が違う。
なので、欧米人より肥満になる割合は、栄養過多に見えるけどまだまだ日本人は少ないって何かで読んだっけ。
って、何分析してんだ。
でも、健康食品って売れるかな。不必要みたいだったら、商売になりそうにないな。
こうなったら、領主様に謁見した後、ほかに働き口を見つけなきゃいけないだろうな。
なんか手に職がついてたら良かったけど、特にないもんなぁ。
とか思っていたら、庭みたいな所の隅に連れて行かれた。
ありゃ、トイレって建物内にないのか。う~ん、こんな自然の庭みたいなところでするのか。
大の場合はどうなるんだ。
そう思いながら木に向かって用を足していると、肩にファンが来て言った。
『 イチローはちっさいの? 』
え~、俺の息子を見てそう言う?
ちょっとショックを受けた俺だった。
『カイよりちっさいよ。マーサとせがおんなじくらいだね』
あ、良かった。背丈のほうね。
ちょっと安心しました。
村人が持ってきてくれた水でファンを洗い流して、一緒に持ってきてくれたタオルみたいな布でふきあげていたら、村長や他の村人が俺に恐々と近寄ってきた。
そして、ファンを通して俺に向かって口々に何か言ってきた。特に何かを責める感じではなかった。
『 わかったよ。あのね、このあめをなめてみたいんだって。 』
「分った。じゃあ、ここにいる方々一人一個ずつ試供品で上げるけど、気に入ったら売りますよ、って言ってくれるかい。」
俺がそう言うと村人たちが一斉に手を出してきた。
俺が飴をそれぞれに手渡すと、俺を引っ叩いた女性とお婆さんが俺の開け方を真似して慎重に袋を開けていた。
そして、飴を取出して矯ためつ眇すがめつ見つめていたが、徐おもむろに飴を口に入れた。
歓声を上げ笑顔になった二人の女性達を見て、飴を食べていない男性陣は一斉に飴の袋を懐ふところに入れてしまった。
別に毒じゃないのに。それとも疑ってるのかな、食べるの嫌なんだろうか。
俺が食べてみせても、まだ安心していないのかな。
でも、こういう時は女性の方が物怖ものおじしないんだ。
二人ともコロコロと口の中で飴を転がして嬉しそうにしている。
村長はと見ると、二人以上に慎重に袋を開けて飴を口に入れていた。
孫のカイトリルはそれを見ていたが、彼も意を決したようにして自分も口に入れていた。
そして、驚いたようにほかの男性陣に何か言うと、男性陣はそれぞれ頷いていた。
俺がじっとその様子を見ていると、村長がファンに何か言っていた。
『 いいよ。あのね、みんなめずらしいからおうちにもってかえるんだって。うたがってるわけじゃないからきをわるくしないでくれ、って。 』
はあ。そうか。お土産にするのか。まあ、いいけど。疑ってるわけじゃないってのは分ったので安心した。
それにしても、女性二人に喜ばれたんなら、うまくいけばこれを元手に商売できるかな~。
でも、ここにあるサンプル品すべてを売ったとしても、微々たるものだからそんな儲もうけは出ないだろうし、何より次は仕入れる事出来ないから、違うものを仕入れなきゃいけないな。村人にマーケティングして需要と供給のバランスを知って・・・。あ、貨幣価値も知らなきゃ。言葉もわからないし、文字も勉強しなきゃ。外国語は英語しか習ってないけど、知らない言語を習うのは好きだ。しっかり勉強しよう。
「分りました。ただ、ここで商売しても良いでしょうか。これを売って当座の生活費にしなきゃいけませんし。泊まるところとか、食費とか必要ですし、働く場所もあれば斡旋あっせんしてもらいたいんですが。」
俺が一気にそう言うと、ファンは困ったように俺を見て
『 そんなにいっぺんにいったらわからないよ。ひとつかふたつずついって。 』
と言うので、一回に一つということを繰り返して通訳してもらった。
そこで俺自身について、今後どうすればいいか聞いてある程度分かった。
俺の身柄は、明日にはサラジェン伯という領主の衛兵が来るので、それまでは村長の責任で司祭の預かりとなるため、寝泊まりは神殿となる。
それまで掛かる生活費は、神殿へ奉仕することで相殺とする。
商売に関しては商業協同組合への登録が必要なので、領主との謁見後許可があれば商売出来るが、何にしても領主へ謁見してから身の振り方が決まる。
とまあこんなところらしい。
まあ、そうだよね~。
よその世界から来た得体の知れない人間を、すんなり働かせる訳ないよね~。
でもまあ、明日領主さんの兵士が来るまでは比較的自由みたいだ。
そのかわり、と言ってはなんだけど、監視の意味も含めてファンが傍にいることになった。
俺としてはすごく助かる。
言葉が分からない所に一人放りだされても困るから。
ファンがいれば話し相手になるし、言葉も少しずつ覚えられるかも。
メモ帳は営業用に数冊あるから、まずは名詞から覚えていって、文章構成を知るようにしないと。
取りあえずは自分のこれからについて、どうするかが分かったからホッとした。
と、安心したら、トイレに行きたくなってきた。
「ファン、便所に行きたいから連れて行ってって、言って貰えないかな。」
『 いいよ。そんちょさん、べんじょいきたいって。 』
ファンがそう言うと、カイトリルが手招きをして外に連れ出してくれた。
「でけ~!!背ぇ高っ!」
思わず声が出てしまった。
そう。ここの人達って皆んなガタイがいいんだ。女性が俺と同じくらいだ。
さっきまで寝転がってたから背の高さとか分んなかったけど、カイトリルは俺より頭一つ分くらい高いから、2mはありそうだ。
俺だってこれでも172Ccmあるんだけど。まあ、体重は60Kgだからやや痩せてるけど、ガリガリってほどでもない。
はあ。こっちの人たちは栄養がいいんだな。
健康食品とかいらない感じがする。血色も良いし、栄養バランスが良いのかもしれないな。
地球の欧米人は肉やチーズが主体だから、日本人より体格がいいもんな。
近頃では日本人の食文化が欧米化してるから、体系が欧米化してるみたいだけど、まだまだ彼らに比べると食べる量が違う。
なので、欧米人より肥満になる割合は、栄養過多に見えるけどまだまだ日本人は少ないって何かで読んだっけ。
って、何分析してんだ。
でも、健康食品って売れるかな。不必要みたいだったら、商売になりそうにないな。
こうなったら、領主様に謁見した後、ほかに働き口を見つけなきゃいけないだろうな。
なんか手に職がついてたら良かったけど、特にないもんなぁ。
とか思っていたら、庭みたいな所の隅に連れて行かれた。
ありゃ、トイレって建物内にないのか。う~ん、こんな自然の庭みたいなところでするのか。
大の場合はどうなるんだ。
そう思いながら木に向かって用を足していると、肩にファンが来て言った。
『 イチローはちっさいの? 』
え~、俺の息子を見てそう言う?
ちょっとショックを受けた俺だった。
『カイよりちっさいよ。マーサとせがおんなじくらいだね』
あ、良かった。背丈のほうね。
ちょっと安心しました。
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