6 / 39
石崎、お前にはがっかりだよ。
しおりを挟む
「74キロか・・・1か月でこれなら上出来か」
私が城之内姫華に転生してから約1か月。
5月になった今は・・・全身筋肉痛でロボットになりそうです。
何せ、ゴールデンウイーク中も犬っころこと相澤快彦から公園に呼び出され、ジョギングコースを走らされていたから。
そして、周りの人から「何アレーママ活?」「出張パーソナルトレーナーとか?」とヒソヒソされることもあった。
誰も私たちが会社の先輩後輩だとは思うまい。
「そもそもなんでゴールデンウィークにあんたがここにいるのよぉおおお!!」
「実家に帰るとクソデブになっちゃうんですよぉ~!速く走って!まだいけますよね!?」
そうだった、実家から逃げてきたから帰省なんてこいつには縁がなかった。
「天気のいい日は毎日走りましょうねぇ~!!」
「暇人がぁーっ!!」
いや、私も彼氏も友達もいないし暇人なんだけどね。
また別の日は、「バドミントンしましょう!!」とバドミントンセットを持ってくることも。
カコーン
「ほら打ち返してくださいね~!!」
「あっコラ遠くに飛ばすなよっ!」
ベシャ
「クソッ!」
などという過酷な運動もあった。
こんな感じでゴールデンウィーク中はしごきにしごかれ、デブからガッチリ体型になった。
体重の減りもそこそこだが、筋肉が付いたように思う。
ちなみに、ジャージを新調した。
痩せてドラえもんカラーのジャージがブカブカになったから・・・ではない。
バドミントンで転びまくって汚れたり穴が開いたからである。
ブランド物のジャージを買おうとしたら、相澤が
「まだまだこれから痩せるだろうし、今はまだ安物でもいいと思いますよ~!格安の殿堂とか!」
と言われた、確かに一理ある。
格安の殿堂でメンズのジャージを購入したところ、股間にファスナーが付いているのを買ってから気付いてしまった。
私にはファスナーを開けて出すナニはないけれども、まぁ良いか。
ゴールデンウィークが終わり、会社に出勤したところ、なんだか妙な視線を感じる。
「姫華嬢!いやぁ~痩せたねぇ~」
そう声を掛けてきたのは、他部署の窓際族のジジイこと浅井 太郎。
このジジイは失言が多くて、皆から嫌われている。
しかし、ある有力者のコネ入社だとの噂で表立って対立する者は少ない。
ちなみにこれは公式情報である。
豆知識だが、ルートによっては卑眼蚊と組んで主人公の恋路を妨害し、主人公を我が物としようとする勘違い野郎である。
「浅井さん、おはようございます。お久しぶりですね」
コイツとつるむとロクでもないことになりそうだ。
「姫華嬢、もしかして好きな男でもできたのか?」
ニチャァっとした笑顔をこちらに向けてくる。グロ注意。
うわっ・・・やっぱり気持ち悪いなコイツ。
「やだぁ浅井さん。女が皆、男のために痩せたり着飾ったりするわけじゃないんだけどね?浅井さんは洗練された大人の男性だから、そんなことよぉーくご存じでしょ?」
ねちっこく言葉を紡いだ後にフッ、と厭味ったらしく鼻で笑ってやる。
「そうですよ!!城之内さんは、メタボリックシンドロームから脱却するために痩せたんですよ!?浅井さん・・・でしたっけ?も痩せてはいらっしゃるけど、城之内さんみたいに健康のために努力した方が良いですよ!歳なので!!」
おい相澤。そうだけどそうじゃねぇんだよ!!
何勝手に色々喋っちゃってんの!?
まぁ、最後に浅井のジジイに一発かましたから許してやるけど。
「今時の子は、礼儀がないんだな・・・」
とたじろくジジイに、
「老害も礼儀ないですけどね!!」
と返す相澤に、ジジイは怒りを露にしながらもそそくさと逃げていく。
老害、という言葉に私は思わず吹き出した。
部署がちょっと和やかな雰囲気になった刹那。
「相澤」
咎めるような声に空気が凍る。
石崎顕が、顔をしかめて犬っころを見つめる。
「浅井さんに対して無礼だぞ」
えっ何こいつ!?確かに相澤は浅井のジジイに失礼かましたけどさ・・・先に吹っ掛けてきたのはジジイでしょ?
私は黙って相澤が怒られるのを見ているわけにはいかなかった。
「石崎さん。それをあなたが言うのはどうかと思いますけど」
うわーっ空気が余計ピリついてきた。でも退くわけにはいかない。
「彼が浅井さんに無礼を働いたのは、浅井さんが私にセクハラをしたからです。
【痩せた】【好きな男ができたか?】は紛れもないセクハラです。
私がセクハラを受けても、浅井さんを諫めなかったあなたに、相澤くんが咎められる筋合いはありませんよ。
むしろ、上の者を恐れてヘーコラして若輩者をいじめるもっとも嫌われるタイプの中間管理職、ね。
相澤くんを無礼だと咎めるよりも、角を立てずにハラスメントを諫める言葉の返し方を教える方がよっぽど有意義では?
セクハラから女性社員を守ろうとする彼の行動は称賛に値します。
彼のような男性が増えることこそ、女性社員が働きやすい会社となり生産性も上がるというもの。
言葉のチョイスはあまり褒められたものではありませんでしたが、ね」
石崎、お前にはがっかりだよ。
時代錯誤の男尊女卑野郎かよ!
しかも老害のセクハラには目を瞑ってるくせに、若者には高圧的になりやがって!
「行くよ」
「はい!城之内さん!」
でも言い返されたら怖いからとりあえず今は犬っころ連れて逃げる~♪
いや、クビになったり別の部署に追いやられるのもそれなりに怖いけど。
「私が主人公だったら、あんな野郎絶対に選ばない・・・」
「え?なんか言いましたか城之内さん?」
転生前から、「お前は気が強いのか弱いのかよくわからない」って言われてたのよね・・・。
私が城之内姫華に転生してから約1か月。
5月になった今は・・・全身筋肉痛でロボットになりそうです。
何せ、ゴールデンウイーク中も犬っころこと相澤快彦から公園に呼び出され、ジョギングコースを走らされていたから。
そして、周りの人から「何アレーママ活?」「出張パーソナルトレーナーとか?」とヒソヒソされることもあった。
誰も私たちが会社の先輩後輩だとは思うまい。
「そもそもなんでゴールデンウィークにあんたがここにいるのよぉおおお!!」
「実家に帰るとクソデブになっちゃうんですよぉ~!速く走って!まだいけますよね!?」
そうだった、実家から逃げてきたから帰省なんてこいつには縁がなかった。
「天気のいい日は毎日走りましょうねぇ~!!」
「暇人がぁーっ!!」
いや、私も彼氏も友達もいないし暇人なんだけどね。
また別の日は、「バドミントンしましょう!!」とバドミントンセットを持ってくることも。
カコーン
「ほら打ち返してくださいね~!!」
「あっコラ遠くに飛ばすなよっ!」
ベシャ
「クソッ!」
などという過酷な運動もあった。
こんな感じでゴールデンウィーク中はしごきにしごかれ、デブからガッチリ体型になった。
体重の減りもそこそこだが、筋肉が付いたように思う。
ちなみに、ジャージを新調した。
痩せてドラえもんカラーのジャージがブカブカになったから・・・ではない。
バドミントンで転びまくって汚れたり穴が開いたからである。
ブランド物のジャージを買おうとしたら、相澤が
「まだまだこれから痩せるだろうし、今はまだ安物でもいいと思いますよ~!格安の殿堂とか!」
と言われた、確かに一理ある。
格安の殿堂でメンズのジャージを購入したところ、股間にファスナーが付いているのを買ってから気付いてしまった。
私にはファスナーを開けて出すナニはないけれども、まぁ良いか。
ゴールデンウィークが終わり、会社に出勤したところ、なんだか妙な視線を感じる。
「姫華嬢!いやぁ~痩せたねぇ~」
そう声を掛けてきたのは、他部署の窓際族のジジイこと浅井 太郎。
このジジイは失言が多くて、皆から嫌われている。
しかし、ある有力者のコネ入社だとの噂で表立って対立する者は少ない。
ちなみにこれは公式情報である。
豆知識だが、ルートによっては卑眼蚊と組んで主人公の恋路を妨害し、主人公を我が物としようとする勘違い野郎である。
「浅井さん、おはようございます。お久しぶりですね」
コイツとつるむとロクでもないことになりそうだ。
「姫華嬢、もしかして好きな男でもできたのか?」
ニチャァっとした笑顔をこちらに向けてくる。グロ注意。
うわっ・・・やっぱり気持ち悪いなコイツ。
「やだぁ浅井さん。女が皆、男のために痩せたり着飾ったりするわけじゃないんだけどね?浅井さんは洗練された大人の男性だから、そんなことよぉーくご存じでしょ?」
ねちっこく言葉を紡いだ後にフッ、と厭味ったらしく鼻で笑ってやる。
「そうですよ!!城之内さんは、メタボリックシンドロームから脱却するために痩せたんですよ!?浅井さん・・・でしたっけ?も痩せてはいらっしゃるけど、城之内さんみたいに健康のために努力した方が良いですよ!歳なので!!」
おい相澤。そうだけどそうじゃねぇんだよ!!
何勝手に色々喋っちゃってんの!?
まぁ、最後に浅井のジジイに一発かましたから許してやるけど。
「今時の子は、礼儀がないんだな・・・」
とたじろくジジイに、
「老害も礼儀ないですけどね!!」
と返す相澤に、ジジイは怒りを露にしながらもそそくさと逃げていく。
老害、という言葉に私は思わず吹き出した。
部署がちょっと和やかな雰囲気になった刹那。
「相澤」
咎めるような声に空気が凍る。
石崎顕が、顔をしかめて犬っころを見つめる。
「浅井さんに対して無礼だぞ」
えっ何こいつ!?確かに相澤は浅井のジジイに失礼かましたけどさ・・・先に吹っ掛けてきたのはジジイでしょ?
私は黙って相澤が怒られるのを見ているわけにはいかなかった。
「石崎さん。それをあなたが言うのはどうかと思いますけど」
うわーっ空気が余計ピリついてきた。でも退くわけにはいかない。
「彼が浅井さんに無礼を働いたのは、浅井さんが私にセクハラをしたからです。
【痩せた】【好きな男ができたか?】は紛れもないセクハラです。
私がセクハラを受けても、浅井さんを諫めなかったあなたに、相澤くんが咎められる筋合いはありませんよ。
むしろ、上の者を恐れてヘーコラして若輩者をいじめるもっとも嫌われるタイプの中間管理職、ね。
相澤くんを無礼だと咎めるよりも、角を立てずにハラスメントを諫める言葉の返し方を教える方がよっぽど有意義では?
セクハラから女性社員を守ろうとする彼の行動は称賛に値します。
彼のような男性が増えることこそ、女性社員が働きやすい会社となり生産性も上がるというもの。
言葉のチョイスはあまり褒められたものではありませんでしたが、ね」
石崎、お前にはがっかりだよ。
時代錯誤の男尊女卑野郎かよ!
しかも老害のセクハラには目を瞑ってるくせに、若者には高圧的になりやがって!
「行くよ」
「はい!城之内さん!」
でも言い返されたら怖いからとりあえず今は犬っころ連れて逃げる~♪
いや、クビになったり別の部署に追いやられるのもそれなりに怖いけど。
「私が主人公だったら、あんな野郎絶対に選ばない・・・」
「え?なんか言いましたか城之内さん?」
転生前から、「お前は気が強いのか弱いのかよくわからない」って言われてたのよね・・・。
2
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる