乙女ゲームのお邪魔お局に転生してしまった私。

「あっ・・・あの時の・・・」

「と、いうわけなので宇都宮さん、自分も一緒にスイミングスクール通いたいんですよ～」

翌日、舞ちゃんを見つけた相澤は自分もダイエットのためスイミングスクールに通いたいと話す。

「確かに相澤くん最近ちょっとぽっちゃりだもんね」

舞ちゃんの視線が相澤の二重顎に行く。

私―――というか城之内姫華の体は、太ると頬肉から付いていくタイプだけど、相澤は太ると顎から肉が付くタイプか。

太ると顔がでかくなるタイプはすぐにバレるから恥ずかしい。

かと言って体に出るタイプが良いかどうかは疑問だが。

「じゃあ3人で行きましょう、姫華さん」

「そうね、舞ちゃん可愛いから変な男がいたら相澤を犠牲にしてでもお逃げなさい」

「包丁で刺されそうになったら盾にしても良いよね？」

おっ、舞ちゃんもなかなかキツイねぇ。

「良いでしょ」

「自分の扱いが酷すぎますって～！！」

相澤が大きな声を出すと周囲の人間が一斉に彼を見る。

でも、「まーた相澤がやらかしたのか？」という眼差しが向けられているのよね。

ゲームではクレバーながら明るいお兄さんキャラだったのに、今はただのやらかし君・・・これから成長していくのだろうか？

まさか、城之内姫華の中身が変わったことで、他のキャラクターの性格にも影響を及ぼすかもしれない。

オバタリアン三人衆や浅井太郎には改心してもらいたいものだが、まともな性格のキャラクターがおバカキャラになったらどうすればいいの？










私たち3人はスイミングスクールに来ていた。

夜間のせいか社会人のような人が多い気がする。

「城之内さん！！自分、プールなんて高校の時以来ですよ！！」

「相澤、あんた泳ぎたくて仕方がない大型犬みたいよ」

彼の眩しい笑顔に、私は思わず苦笑する。

舞ちゃんも奴のはしゃぎっぷりが可笑しいらしい。

「早く泳ぎましょうよ！なんなら、競争でもします？」

本当に、尻尾を振っている犬のようだなと微笑んだその瞬間。





「舞さん！今日来てたんですね！」

後ろから若い男性の声が舞ちゃんを呼んだ。

舞さん・・・ということは、彼氏ではなさそうだけれども。

名前を呼んでいるところを聞くに、かなり親しそうな感じはする。

私も思わず振り返ると・・・そこには。

「あっ・・・あの時の・・・」

なんであの男がここに！？