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ぎゅわんぶらぁ?九尾比丘尼(3) 宝くじその2
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将矢は何を思うところがあるのか、えらい勢いで走ってきている。普段特に運動をしていない将矢にとっては、全力疾走に等しいスピードではなかろうか。
「比丘尼様! 比丘尼様! 九尾比丘尼様! く・お・び・く・に・さ・まぁ!!」
九尾比丘尼のいる部屋の戸を乱暴に開けると、手にしていた紙を差し出した。更に何か言おうとはしているが、息が荒くぜいぜいと言うだけで言葉が出ていない。
「なんじゃ、朝っぱらから。(ピー)みたいにはしゃぎおって」
九尾比丘尼から…とても書くことができないのが出てきました。
「そんな(ピー)じゃないですよ。(ピー)かもですけど」
「また前みたいに(ピー)とか(ピー)とか(ピー)とかじゃなかろうな」
やめい! 書いてる方が鬱陶しいわ。
「まあよかろう。で、何じゃというんじゃ」
「そうです。これ、これですよ」
「ロト7か」
「これ、自分で好きな数字を選べるんですよ。当たり番号が分かっていれば、それ選べるんですよ。一等最高六億円。しかも今はキャリーオーバーが二十億超えてるから、一等最高十億円ですよ」
「はあ…」
九尾比丘尼の顔は、失望、落胆、何を今更、お前頭大丈夫か、てやんでえすっとこどっこい、といったものが混ざりあった表情に…。
「なるわけなかろうが! どういう顔をすればそれが混ざった顔になるというのじゃまったく」
「…で、ダメですか?」
「確かに、当選番号というか、当選の数字は7個じゃな。37個中の7個」
「よくご存じで。てことは、また何か変なものが出てくると…」
「一枚三百円が十億円。まさに夢の如くよのう。ふふふ…」
遠い目…してますねえ。
「比丘尼様ー! 目が虚ろになってますよ」
「欺瞞的不確定性」
「は?」
「その言葉自体は、言ってみればわしの造語じゃがな。普通の宝くじは発行枚数が決まっておる。一組十万枚掛けること組数。これが一ユニットで、通常は組数は二桁じゃが、人気のあるものは組数が三桁になったり、ユニット数が増やされる」
「まあ、それが普通の宝くじですねえ」
「話はそれるが、スクラッチも発行枚数が決まっておる」
「そうですよね。出来上がったものを削るのですから。出来た以上は削ってなくても結果は決まってる。賞金に換金するかしないか。削って当選していても換金しなければ削っていないのと同じ」
「じゃが、ロトやナンバーズは記入用紙その物には、何の価値もない。購入する者が数字を選び、それが印刷されて始めて当落の価値が付くんじゃ」
「あ…なんか、話の筋が見えてきたような」
「そうなんじゃ。有効となる発行部数は当落の価値が付いたもの。それは発行が締め切られるまで分からん。不確定要素なんじゃ。宝くじの最初に言ったな。出現が確定的なものなら確率は高いと」
「そ、そりゃあ、誰も買わなければ出現しないことになりますが、それはありえないでしょう。誰かが一つでも買えばいいんですから…そういう意味じゃないんですね」
「発行部数が定まっておらぬということは、全体像、出現の総数が定まっておらん。確定しておらんという事じゃ。普通の宝くじでもユニット数が追加された途端、予想が変わるのじゃ。番号の内容自体は変わらんというのにな」
「なるほど。全く同じものであるのに複数個作ったら変わる。それで欺瞞的ですか」
「ロトの番号を観たとき、ホイホイと買いに行ったら、次の瞬間には変わっておる。いつまでたっても変わり続ける。疲れたわ」
「て、買いに行ってたんですか。いや、それでも発売期間ギリギリなら、概ねの発売数は出てるんですから、一等は無理でも、一つや二つ違いの三等とか四等なら…」
「ふふ。ギリギリで予想を観ても、また次の瞬間には全体の予想数字がごっそり変わるのじゃー」
「使えねー」
「比丘尼様! 比丘尼様! 九尾比丘尼様! く・お・び・く・に・さ・まぁ!!」
九尾比丘尼のいる部屋の戸を乱暴に開けると、手にしていた紙を差し出した。更に何か言おうとはしているが、息が荒くぜいぜいと言うだけで言葉が出ていない。
「なんじゃ、朝っぱらから。(ピー)みたいにはしゃぎおって」
九尾比丘尼から…とても書くことができないのが出てきました。
「そんな(ピー)じゃないですよ。(ピー)かもですけど」
「また前みたいに(ピー)とか(ピー)とか(ピー)とかじゃなかろうな」
やめい! 書いてる方が鬱陶しいわ。
「まあよかろう。で、何じゃというんじゃ」
「そうです。これ、これですよ」
「ロト7か」
「これ、自分で好きな数字を選べるんですよ。当たり番号が分かっていれば、それ選べるんですよ。一等最高六億円。しかも今はキャリーオーバーが二十億超えてるから、一等最高十億円ですよ」
「はあ…」
九尾比丘尼の顔は、失望、落胆、何を今更、お前頭大丈夫か、てやんでえすっとこどっこい、といったものが混ざりあった表情に…。
「なるわけなかろうが! どういう顔をすればそれが混ざった顔になるというのじゃまったく」
「…で、ダメですか?」
「確かに、当選番号というか、当選の数字は7個じゃな。37個中の7個」
「よくご存じで。てことは、また何か変なものが出てくると…」
「一枚三百円が十億円。まさに夢の如くよのう。ふふふ…」
遠い目…してますねえ。
「比丘尼様ー! 目が虚ろになってますよ」
「欺瞞的不確定性」
「は?」
「その言葉自体は、言ってみればわしの造語じゃがな。普通の宝くじは発行枚数が決まっておる。一組十万枚掛けること組数。これが一ユニットで、通常は組数は二桁じゃが、人気のあるものは組数が三桁になったり、ユニット数が増やされる」
「まあ、それが普通の宝くじですねえ」
「話はそれるが、スクラッチも発行枚数が決まっておる」
「そうですよね。出来上がったものを削るのですから。出来た以上は削ってなくても結果は決まってる。賞金に換金するかしないか。削って当選していても換金しなければ削っていないのと同じ」
「じゃが、ロトやナンバーズは記入用紙その物には、何の価値もない。購入する者が数字を選び、それが印刷されて始めて当落の価値が付くんじゃ」
「あ…なんか、話の筋が見えてきたような」
「そうなんじゃ。有効となる発行部数は当落の価値が付いたもの。それは発行が締め切られるまで分からん。不確定要素なんじゃ。宝くじの最初に言ったな。出現が確定的なものなら確率は高いと」
「そ、そりゃあ、誰も買わなければ出現しないことになりますが、それはありえないでしょう。誰かが一つでも買えばいいんですから…そういう意味じゃないんですね」
「発行部数が定まっておらぬということは、全体像、出現の総数が定まっておらん。確定しておらんという事じゃ。普通の宝くじでもユニット数が追加された途端、予想が変わるのじゃ。番号の内容自体は変わらんというのにな」
「なるほど。全く同じものであるのに複数個作ったら変わる。それで欺瞞的ですか」
「ロトの番号を観たとき、ホイホイと買いに行ったら、次の瞬間には変わっておる。いつまでたっても変わり続ける。疲れたわ」
「て、買いに行ってたんですか。いや、それでも発売期間ギリギリなら、概ねの発売数は出てるんですから、一等は無理でも、一つや二つ違いの三等とか四等なら…」
「ふふ。ギリギリで予想を観ても、また次の瞬間には全体の予想数字がごっそり変わるのじゃー」
「使えねー」
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