君に伝えたい言葉

マキノトシヒメ

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美鈴編

四月

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 最近はあまりやっていなかったんだけど、以前は神社の人でお花見もやっていました。
 参加人数が揃わなかったり、昨今は感染症の影響で自粛したりで、今年ついに六年ぶりに復活しました。

 その事で確認に行ったら、翔太宛で大輔さん、裕美さんの結婚式の招待状が届いていて、即出席で返信。でも、六月…大丈夫かしらん。
 お父さんが神社関連以外のことでも何でもかんでも取り入れようとするから、ジューンブライド関連でも何かやったりしないか、不安だわー。

 それはさておき、うちの花見はお酒なしで、ゆっくり花を愛でるのと、花より団子を楽しむのが目的だから、うちでもお重にいろいろ詰めて持っていきます。
 町内で一番桜の木が多いのは花町公園で、神社からはちょっと距離があるんだけど、自動車の手配をしてくれていたので、行程は楽でした。当の桜は七分咲きというところかな。天気もいいし、ゆっくり過ごすにはいい日になったわ。
 青沼さんや佐川さんのご家族も参加して、かなりの大所帯になっちゃったけど、まだ満開じゃないからか、全体的な人出は多くなくて、ちょうどよかった。

 お昼ご飯を食べ終わって、残りのおかずやお菓子でゆったりとしていた時に、翔太から声をかけてきた。
「美鈴」
「なに?」
「ちょっと公園の中の桜を見てこないか?」
「いいわよ」
 公園の中の桜並木を二人で並んでゆっくりと歩く。その中に満開に近い木があって歩みがもっとゆっくりになる。
「美鈴」
「うん?」
 目線は桜の木に向けたままで翔太が話しかけてくる。
「去年の夏に…、結婚を申し込んだわけだけど」
 うん。去年の夏のキャンプで、あの観光船のトラブルで、あたしも翔太のことを想っているのがわかって、結婚って言ってくれたとき、戸惑いもあったけど、嬉しかったのは間違いなかった。
「その…、松蔭さまも、美春さんも交際は認めてくれてはいるんだけど、ええと、こ、婚約をちゃんと」

 つまり…、これって、正式なプロポーズよね。
 さっき翔太が言ったように、去年の夏に告白されたときの言葉が「結婚」だったし、お互い結婚を前提にしているけど…、嬉しい。
 嬉しい、嬉しい。言葉にできないくらい嬉しい。
「うん、うん」
 ああだめ。顔が火照ってるのがわかる。でも、翔太の顔を見たら、翔太も真っ赤になってる。
「来週、時間取れるかな」
 予定は特にない。ないわよね。
「うん。多分、大丈夫」
「婚約指輪を見に行かないか」
 その時、あたしはどんな動きをしたんだろ。気が付いたら、翔太が手を握っていて、また歩き出していた。
 翔太が何か言っていたけど、あたしは翔太にもたれかかって、そのまま歩いていた。
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