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1話 どんな選択肢を選んでも、失敗エンドになるゲーム
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これからもずっと良い先輩でいてください。
今すぐ目の前から消えてください。
→ずっと前から好きでした。
「ずっと前から好きでした」一択でしょ。
そのために、今日の卒業式までがんばってきたんだから。
一つ年上の先輩が卒業するまでの二年間。
勉強部活アルバイト自分磨きに励みながら、大好きな先輩との会話やデートも欠かさなかった。
満を持して、いざ私はその言葉を口にする。
「ずっと前から好きでした」
すると、目の前に立っているブレザーを着た先輩は迷惑そうにため息をつき、口を開いた。
「俺は好きじゃない」
……へ? は? 嘘、だよね?
そんなことってある?
だって、先輩に好かれるような女の子を目指して頑張ってきたし、デートの時も良い感じだったのに。
どこで私は選択を間違えた?
もう一回。もう一回だけやり直させてぇ……!
◇◇◇
「ああああ! フラれるの、これで何回目? どうなってるの?」
途中までは良い感じだったのに、最後の最後でフラれること十回目。あまりにも腹が立ってゲーム機を放り投げそうになったけど、どうにか堪えて、電源を切るだけに留めておいた。
無職引きこもりの今の私の唯一の楽しみは、ゲームをプレイすること。それで、今一番ハマっているのがさっきまでやっていた現代学園物乙女ゲーム。
聞いたことのない会社が出してるゲームだったけど、面白そうだったから買ってみたら、何回やってもバッドエンドになるんだよね。こう何回も何回もフラれると、ゲームとはいえメンタルにくる。
ん~……、出来れば攻略法は見ずに自力でやりたいんだけどなぁ。仕方ないかぁ。
ベッドの上に寝転びながら、スマホを操作して攻略方法を探す。
どれだけ探しても、攻略方法は見つからなかった。その代わり、某有名ショッピングサイトの恐ろしいレビュー欄を見つけてしまった。
まだ発売して二週間なのに、☆1のレビューが五十個以上もつけられている。
『ここの会社のゲームはもう二度と買いません』
『どんな選択肢を選んでもバッドエンドになる』
『バグゲークソゲー。ちゃんとデバッグしてから発売してください』
しかも、コメント欄は非難の嵐。
……失敗したなぁ。発売日買いなんてやめて、様子見てから買うべきだった。
レビューを眺めていると、ヴーヴーとスマホのアラーム音が鳴る。スマホをタップしたら、「十四時 面接」と表示されていた。
そういえば、今日再就職の面接があったんだ。
あんまり気分が乗らないけど、すっぽかすわけにもいかない。
胸の辺りまで伸びた艶のないピンクブラウンの髪を一つにしばってから、化粧ノリの悪い顔に軽くメイクをする。
半年間引きこもってる間に、髪もバサバサ肌もボロボロになっちゃったな。ほとんどの時間をゲームに費やしてるからかもしれないけど、……。
こんな生気のない顔で行ったら、面接落とされそうだな。なんて思いながらも、スウェットからグレーのスーツに着替える。
リビングにいるお母さんに一声かけてから、私は家を出た。
今すぐ目の前から消えてください。
→ずっと前から好きでした。
「ずっと前から好きでした」一択でしょ。
そのために、今日の卒業式までがんばってきたんだから。
一つ年上の先輩が卒業するまでの二年間。
勉強部活アルバイト自分磨きに励みながら、大好きな先輩との会話やデートも欠かさなかった。
満を持して、いざ私はその言葉を口にする。
「ずっと前から好きでした」
すると、目の前に立っているブレザーを着た先輩は迷惑そうにため息をつき、口を開いた。
「俺は好きじゃない」
……へ? は? 嘘、だよね?
そんなことってある?
だって、先輩に好かれるような女の子を目指して頑張ってきたし、デートの時も良い感じだったのに。
どこで私は選択を間違えた?
もう一回。もう一回だけやり直させてぇ……!
◇◇◇
「ああああ! フラれるの、これで何回目? どうなってるの?」
途中までは良い感じだったのに、最後の最後でフラれること十回目。あまりにも腹が立ってゲーム機を放り投げそうになったけど、どうにか堪えて、電源を切るだけに留めておいた。
無職引きこもりの今の私の唯一の楽しみは、ゲームをプレイすること。それで、今一番ハマっているのがさっきまでやっていた現代学園物乙女ゲーム。
聞いたことのない会社が出してるゲームだったけど、面白そうだったから買ってみたら、何回やってもバッドエンドになるんだよね。こう何回も何回もフラれると、ゲームとはいえメンタルにくる。
ん~……、出来れば攻略法は見ずに自力でやりたいんだけどなぁ。仕方ないかぁ。
ベッドの上に寝転びながら、スマホを操作して攻略方法を探す。
どれだけ探しても、攻略方法は見つからなかった。その代わり、某有名ショッピングサイトの恐ろしいレビュー欄を見つけてしまった。
まだ発売して二週間なのに、☆1のレビューが五十個以上もつけられている。
『ここの会社のゲームはもう二度と買いません』
『どんな選択肢を選んでもバッドエンドになる』
『バグゲークソゲー。ちゃんとデバッグしてから発売してください』
しかも、コメント欄は非難の嵐。
……失敗したなぁ。発売日買いなんてやめて、様子見てから買うべきだった。
レビューを眺めていると、ヴーヴーとスマホのアラーム音が鳴る。スマホをタップしたら、「十四時 面接」と表示されていた。
そういえば、今日再就職の面接があったんだ。
あんまり気分が乗らないけど、すっぽかすわけにもいかない。
胸の辺りまで伸びた艶のないピンクブラウンの髪を一つにしばってから、化粧ノリの悪い顔に軽くメイクをする。
半年間引きこもってる間に、髪もバサバサ肌もボロボロになっちゃったな。ほとんどの時間をゲームに費やしてるからかもしれないけど、……。
こんな生気のない顔で行ったら、面接落とされそうだな。なんて思いながらも、スウェットからグレーのスーツに着替える。
リビングにいるお母さんに一声かけてから、私は家を出た。
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