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5話 なりきりプレイ?
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「今回バッドエンドしかないのは、始めからそう設計されていたのでしょうか」
恐る恐る聞いてみたら、三木さんは静かに首を横に振った。
じゃあ、何?
デバッグ不足? 時間が足りなくて、投げやりでゲーム発売した?
アレコレ予想している私の考えを読み取ったかのように、三木さんは話を続けた。
「プログラマーの能力は申し分ないはずです。開発期間も余裕を持っていました」
「じゃあ、何で……?」
「あえて言うなら、呪いでしょうか」
真顔でそんなことを言った三木さん。
ふざけているわけではなさそうだけど……。
「え? の、呪いですか?」
「それはさておき、このままでは我が社存続の危機です」
さておかないで?
会社存続の危機も大変なんだろうけど、私としては呪いの方が気になるよ。
平然と話を続けようとする三木さんの顔を、思わずまじまじと見つめてしまった。
「次作こそは、ハッピーエンドを迎えられるようにしないといけません。新作ゲーム開発のため、協力して頂けますか」
「……。確認なんですが、私はデバッグをしたらいいんですよね?」
仕事内容はデバッグとは聞いているものの、何だか不安になってきた。いきなり呪いとか言い出すんだもん。私も呪われたりしないよね?
「はい。ただお願いさせて頂きたいのは本格的なものでして、花井さんには実際に女子高生として学校に通い、恋をして頂くことになります」
「え。なりきりプレイですか?」
VRとか、そういうアレなのかな?
VRはまだプレイしたことがないんだけど、ゴーグルをつけると、ゲームの世界が現実のものみたいに感じられるって聞いたことがある。
「まあ、そうですね」
少し間があってから、三木さんは曖昧に言葉を濁した。
「その間、外部との連絡は絶って頂くことになります」
「ええ……」
外部と連絡出来ないの?
なんか……。不安しかないな。
「それを一年、ですか」
「一年と言いましたが、ハッピーエンドを迎えたら、その時点で終了して頂いて構いません」
「そうなんですか?」
「はい。現在はバッドエンドしか迎えられない仕様になっているため、ハッピーエンドへの道を模索して頂きたいのです」
「なるほど」
ん? それって、デバッグとはちょっと違うよね。不思議に思って首を傾げる。
だけど、三木さんがどんどん言葉を続けるので、私が口を挟む隙はなかった。
「あらかじめお伝えさせて頂きましたように、完了後は報酬と共に新しいお仕事を斡旋させて頂きます」
ものすごく怪しいけど、お給料ももらえるし、新しいお仕事も紹介してもらえる。
騙されてたとしても、どうせ無職。貯金もほとんどないし、彼氏もいないし、おまけに無能でコミュニケーション能力皆無のダメ女。失うものなんかないんだ。
「分か、りました。では、ぜひやらせて頂きたいです」
迷った末に、そう告げる。そうしたら、三木さんは身を乗り出して私の両手を握った。
「本当ですか! ありがとうございます、花井さん!」
「あはは……」
やんわりと手を離そうとしたけど、がっちりと握られていて外せない。無職の私の採用をこんなに喜んでくれるなんて、どれだけ困ってたんだろう。
「それでは、早速明日からお願いいたします」
「明日からですか?」
「本日からお願いしたいところですが、ご家族の方への説明やご準備もあるでしょうから」
急すぎるって意味で言ったんだけどな。
こっちが引き気味で話しても、強引に話を進めてくる三木さん。そんな彼と話していると、もう逃げられないことを実感する。
うう……。ちょっと怖いけど、いつまでも無職でいるわけにもいかないよね。
どうか無事にハッピーエンドを迎えて、まともな社会人になれますように。
恐る恐る聞いてみたら、三木さんは静かに首を横に振った。
じゃあ、何?
デバッグ不足? 時間が足りなくて、投げやりでゲーム発売した?
アレコレ予想している私の考えを読み取ったかのように、三木さんは話を続けた。
「プログラマーの能力は申し分ないはずです。開発期間も余裕を持っていました」
「じゃあ、何で……?」
「あえて言うなら、呪いでしょうか」
真顔でそんなことを言った三木さん。
ふざけているわけではなさそうだけど……。
「え? の、呪いですか?」
「それはさておき、このままでは我が社存続の危機です」
さておかないで?
会社存続の危機も大変なんだろうけど、私としては呪いの方が気になるよ。
平然と話を続けようとする三木さんの顔を、思わずまじまじと見つめてしまった。
「次作こそは、ハッピーエンドを迎えられるようにしないといけません。新作ゲーム開発のため、協力して頂けますか」
「……。確認なんですが、私はデバッグをしたらいいんですよね?」
仕事内容はデバッグとは聞いているものの、何だか不安になってきた。いきなり呪いとか言い出すんだもん。私も呪われたりしないよね?
「はい。ただお願いさせて頂きたいのは本格的なものでして、花井さんには実際に女子高生として学校に通い、恋をして頂くことになります」
「え。なりきりプレイですか?」
VRとか、そういうアレなのかな?
VRはまだプレイしたことがないんだけど、ゴーグルをつけると、ゲームの世界が現実のものみたいに感じられるって聞いたことがある。
「まあ、そうですね」
少し間があってから、三木さんは曖昧に言葉を濁した。
「その間、外部との連絡は絶って頂くことになります」
「ええ……」
外部と連絡出来ないの?
なんか……。不安しかないな。
「それを一年、ですか」
「一年と言いましたが、ハッピーエンドを迎えたら、その時点で終了して頂いて構いません」
「そうなんですか?」
「はい。現在はバッドエンドしか迎えられない仕様になっているため、ハッピーエンドへの道を模索して頂きたいのです」
「なるほど」
ん? それって、デバッグとはちょっと違うよね。不思議に思って首を傾げる。
だけど、三木さんがどんどん言葉を続けるので、私が口を挟む隙はなかった。
「あらかじめお伝えさせて頂きましたように、完了後は報酬と共に新しいお仕事を斡旋させて頂きます」
ものすごく怪しいけど、お給料ももらえるし、新しいお仕事も紹介してもらえる。
騙されてたとしても、どうせ無職。貯金もほとんどないし、彼氏もいないし、おまけに無能でコミュニケーション能力皆無のダメ女。失うものなんかないんだ。
「分か、りました。では、ぜひやらせて頂きたいです」
迷った末に、そう告げる。そうしたら、三木さんは身を乗り出して私の両手を握った。
「本当ですか! ありがとうございます、花井さん!」
「あはは……」
やんわりと手を離そうとしたけど、がっちりと握られていて外せない。無職の私の採用をこんなに喜んでくれるなんて、どれだけ困ってたんだろう。
「それでは、早速明日からお願いいたします」
「明日からですか?」
「本日からお願いしたいところですが、ご家族の方への説明やご準備もあるでしょうから」
急すぎるって意味で言ったんだけどな。
こっちが引き気味で話しても、強引に話を進めてくる三木さん。そんな彼と話していると、もう逃げられないことを実感する。
うう……。ちょっと怖いけど、いつまでも無職でいるわけにもいかないよね。
どうか無事にハッピーエンドを迎えて、まともな社会人になれますように。
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