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20話 夢か現実か

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「きゃあああああ!!」

 叫び声と共に、私は飛び起きる。
 周りを見渡すと、ゲームの中の世界の私の部屋だった。
 
 あ、あれ? さっきのは、夢?
 でも、潤くんに刺されたあと。バッドエンドがどうのこうのって、一瞬だけ表示されたような気がするんだけどな……。
 
 ちょうど目覚ましアラームが鳴り出したスマホを手に取る。スマホには、「五月十五日 火曜日 七時」と表示されていた。

 今日って、五月十五日だった……?
 昨日がそうだったような?

「杏ー、ごはんできたよ」

 しばらく考え込んでいたら、一階からお母さんの声が聞こえてきた。

「はーい。今行くー」

 返事をして、一階に降りていく。

 ◇

 結局昨日潤くんに刺されたのは夢だったのかな。
 悠真と話したかったけど、あいにく今日は日直で早く行ってしまったらしい。

 仕方なく一人で学校まで来て、下駄箱のところで靴を脱ぐ。

「おはよう、杏ちゃん」

 後ろから、誰かに声をかけられる。

「おは、……ひっ」
 
 私は振り向いて、反射的に挨拶を返そうとした。でも。

 その人の顔を見た瞬間、心臓が止まりそうになってしまった。

 センターパートに分けた黒髪。色が白くて、そっけない印象の塩顔だけど、笑うと人懐っこい雰囲気になる。
 
 ……潤くん!!

「杏ちゃん? どうしたの?」

 不思議そうに私を見つめる潤くん。
 昨日私を刺したはずなのに、無かったことになってるみたい。

 どうなってるの?
 やっぱりあれは、ただの夢だったのかな?

 でも、何かおかしくない?
 付き合ってからは、潤くんは私を「杏」って呼んでた。でも、さっきはちゃん付けだったよね。それに、好感度もこころなしか減ってるような。

 もしかして、付き合ったの自体なかったことになってる?

 そんなことを考えている間にも、いつものテキストボックスが目の前に出てくる。
 
→朝から潤くんの顔なんて見たくなかった。
 潤くんに会えて嬉しい。
 何でもないよ?

 この中から選ぶの?
 無難に考えたら、下二つのどっちかなんだろうけど。

 顔を上げると、潤くんがにっこりと笑いかけてきた。
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