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34話 文化祭の出し物

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 ◇◇◇

 悠真が勉強を教えてくれたかいもあり、今回のテストはなんとか赤点と補修を免れた。

 期末テストが終わったら、すぐに夏休み。

 部活に入っていない私の用事と言えば、時々バイトがあるくらい。……のはずだったんだけど。

 今のうちに一年と二年の復習をしておこうと悠真に言われ、勉強、夏休みの課題、勉強、課題、勉強……と勉強漬けの毎日を送っている。

 たぶん現役高校生だった頃よりも、たくさん勉強してると思う。

 バイト先が同じ一成先輩は彼女と上手くいってるみたいだし、新しい攻略対象に出会う気配もない。

 攻略期間があと半年ぐらいしかないのに、今からでも間に合うのかは少し不安。

 だけど、悠真の話では基礎パラメーターが高い方が好感度も上がりやすいみたい。

 今は、とにかく自分磨きをがんばっている。
 それに、悠真が勉強に付き合ってくれるからか、わりと毎日楽しいかも。

 ◇◇◇

 毎日のように悠真と一緒にいた夏休みも終わり、二学期が始まった。

 始業式が終わった次の日のHRでは、十月の文化祭に向け、出し物の話し合いが早速始まった。

 学級委員の広夢くんが中心となって、クラスのみんなで何をやりたいか意見を出し合い、最後は投票で決めることに。

 黒板に書かれているのは、
 カフェ、お化け屋敷、お好み焼き、クレープ……

 うーん、クレープかなぁ。
 今食べたいからという安直な理由でクレープに投票した結果、投票でもクレープを出すことに決まった。

 その後は役割分担を決めて、私は飾り付けの班になった。

 同じ班には、千夏ちゃんもいる。
 それから、……。

「よろしくっ」

 私たちと同じ飾り付け班になった広夢くんが白い歯を見せ、ニカっと笑う。

「よ、よろしくね」

 やっぱり、さわやかでかっこいい。

 一成先輩も正統派ヒーロー枠かなと思ったものの、広夢くんもけっこうメインヒーロータイプだよね。

 相変わらず広夢くんの好感度は低いまま。
 新しい攻略対象もそろそろ探さないと本気でマズイけど、まずは文化祭、成功するといいな。
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