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37話 気になること
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◇
それから一週間が過ぎ、文化祭も目前に迫った十月下旬の木曜日。報告も兼ね、悠真と下校していた。
「ふーん。いいね」
広夢くんの好感度が上がってきたことを伝えたら、悠真は大して興味なさげに言う。
「悠真って、一成先輩以外はあんまり興味ないよね」
なんだか気になって、つい言葉に出してしまった。
もちろん協力も応援もしてくれるけど、一成先輩以外の男子の時は一歩引いてるというか。潤くんはもちろん言うまでもないし、広夢くんみたいな非の打ち所がない人でさえ、あまり乗り気じゃないみたい。
「僕が興味あるかどうかは関係ない。大事なのは、杏が誰を攻略したいかだよ」
「うーん……。今は、広夢くんかなぁ」
潤くんはありえないし、一成先輩は彼女持ちだし。
他にめぼしい男子もいないし。
て、消去法で選んでるみたいで申し訳ないけど、広夢くんに魅力を感じてるのは本当。この前のサッカーの試合の時の広夢くん、すっごくかっこよかったし。でも、……。
「気になることでもあるの?」
私の気持ちを読み取ったかのように、悠真が真顔で聞いてくる。
「千夏ちゃん――友達が、もしかしたら広夢くんを好きかもしれなくて」
「本人がそう言ったの?」
「そうじゃないけど……」
千夏ちゃんはむしろ私と広夢くんの仲を応援してくれているし、千夏ちゃんが広夢くんを好きなのかどうか本当のところは分からない。でも絶対何かはある気がするんだよね。
言葉の途中で言い淀んでしまい、うつむく。
「だったら、気にしなくていいんじゃない。攻略だけ考えなよ」
軽く息をついてから、悠真が横目で私を見る。
「そ、だよね」
「うん」
悠真が力強く頷く。
ゲームなんだし、攻略対象を好きな友達のことまで気にしてたら、いつまでも攻略できない。心を鬼にして、広夢くん攻略に徹するべきだよね。
なんとなくモヤモヤした気持ちがありならも、それからも広夢くんルートに入れるようがんばる日々を送った。
それから一週間が過ぎ、文化祭も目前に迫った十月下旬の木曜日。報告も兼ね、悠真と下校していた。
「ふーん。いいね」
広夢くんの好感度が上がってきたことを伝えたら、悠真は大して興味なさげに言う。
「悠真って、一成先輩以外はあんまり興味ないよね」
なんだか気になって、つい言葉に出してしまった。
もちろん協力も応援もしてくれるけど、一成先輩以外の男子の時は一歩引いてるというか。潤くんはもちろん言うまでもないし、広夢くんみたいな非の打ち所がない人でさえ、あまり乗り気じゃないみたい。
「僕が興味あるかどうかは関係ない。大事なのは、杏が誰を攻略したいかだよ」
「うーん……。今は、広夢くんかなぁ」
潤くんはありえないし、一成先輩は彼女持ちだし。
他にめぼしい男子もいないし。
て、消去法で選んでるみたいで申し訳ないけど、広夢くんに魅力を感じてるのは本当。この前のサッカーの試合の時の広夢くん、すっごくかっこよかったし。でも、……。
「気になることでもあるの?」
私の気持ちを読み取ったかのように、悠真が真顔で聞いてくる。
「千夏ちゃん――友達が、もしかしたら広夢くんを好きかもしれなくて」
「本人がそう言ったの?」
「そうじゃないけど……」
千夏ちゃんはむしろ私と広夢くんの仲を応援してくれているし、千夏ちゃんが広夢くんを好きなのかどうか本当のところは分からない。でも絶対何かはある気がするんだよね。
言葉の途中で言い淀んでしまい、うつむく。
「だったら、気にしなくていいんじゃない。攻略だけ考えなよ」
軽く息をついてから、悠真が横目で私を見る。
「そ、だよね」
「うん」
悠真が力強く頷く。
ゲームなんだし、攻略対象を好きな友達のことまで気にしてたら、いつまでも攻略できない。心を鬼にして、広夢くん攻略に徹するべきだよね。
なんとなくモヤモヤした気持ちがありならも、それからも広夢くんルートに入れるようがんばる日々を送った。
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