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1、可もなく不可もない俺の退屈で平和な日常
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成績や運動神経はそこそこ、中肉中背。特技もないし、夢中になれるものもない。
つまり、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の高校二年生。それが俺、中野良典《なかのよしのり》だ。
「なんか面白いことないかな~」
「だな~」
もう口癖のようになっていることを呟くと、前の席に座っていた南啓介《みなみけいすけ》からもいつもと同じような相槌が返ってくる。
中学から一緒の南との間では、もう何十回、何百回と繰り返されたやりとり。二年になって新しいクラスに変わっても、相変わらず俺たちは進歩がない。ああ、今日も退屈で平和だ。
そんな退屈で平和な愛すべき俺の日常を変えたのは、南の一言だった。
「なあなあ。じゃあさ、お前高島美穂《たかしまみほ》に告ってみたら?」
「はあ? なんでだよ。秒でフラれるだろ」
いきなり何の脈絡もなくそんなことを言い出され、思わず真顔になってしまう。
「意外とそうでもないかもよ? 高島さんってハードル高すぎて、逆に告る男いなさそうじゃん」
「無理だって」
教室の真ん中でクラスメイトに囲まれている高島さんを南がチラリと見たので、俺も何気なくそちらを見る。
ポニーテールがよく似合っている高島美穂は、うちのクラスの学級委員で、部活はバレー部。身長はたぶん160センチ前後で、スタイル良し、顔良し。
ほら、昔から学年に一人くらいはいたよな? 勉強も運動も出来て、顔まで良いのに、性格まで良くて、みんなから好かれてるやつ。高島さんはまさにそれなわけ。
みんな大好き高島さんに俺みたいなド平凡なモブが告白しようだなんて恐れ多い。
高島さんに告白するなら、それこそ高田恭《たかだきょう》みたいなやつじゃないと。高島さんと同じようにたくさんの女子と男子に囲まれて笑っている高田を見ると、相変わらず今日も顔が良かった。
高田は、男版高島さんみたいなやつだ。
バスケ部のエースで、成績優秀、身長は180センチ超で、顔良し性格良しと、非の打ち所がない。
高島さんと高田って仲良いし、そのうちあの二人が付き合いそう。高島さんと高田がくっつかなくても、カーストトップの方々は同じレベルの人同士でくっつくだろうし、その他大勢の俺なんて相手にもしないと思う。
「え~。でも、高島さんに彼氏いるって聞いたことないけどなぁ。今がチャンスかもよ」
「ないって。そもそも、俺高島さんのこと好きなわけじゃないし」
「はあ? じゃあお前高島さんに告られたら断るのかよ?」
「それは付き合うけど。高島さんから告られて断る男いないだろ」
即答すると、だろ?と勝ち誇ったような顔をしてくる南に無性にイラついた。その顔やめろ。
「もし万が一おっけーもらえたら、最高。フラれても、あの高島さんに告る勇気があるなんてって尊敬されるぞ?」
「されねーし、億が一にも成功しねーよ」
面白がってるのか何なのか知らないけど、やたら絡んでくる南を適当にあしらっていると、南はぐいっと体を寄せてきた。
「人生変えたいんじゃないの? このままだと、一生平凡で退屈なままだぞ」
南からそんなことを囁かれ、思わず息をのむ。全てに置いて平凡で平均値な自分を変えたいとは思ってたし毎日のように言ってるけど、実行する気は特になかったというか……。
そこまで考えて、つくづくびびりで退屈な自分に嫌気がさす。
「俺、高島さんに告白するわ」
そして何を血迷ったのか、気がつくと俺はそう口にしていた。
つまり、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の高校二年生。それが俺、中野良典《なかのよしのり》だ。
「なんか面白いことないかな~」
「だな~」
もう口癖のようになっていることを呟くと、前の席に座っていた南啓介《みなみけいすけ》からもいつもと同じような相槌が返ってくる。
中学から一緒の南との間では、もう何十回、何百回と繰り返されたやりとり。二年になって新しいクラスに変わっても、相変わらず俺たちは進歩がない。ああ、今日も退屈で平和だ。
そんな退屈で平和な愛すべき俺の日常を変えたのは、南の一言だった。
「なあなあ。じゃあさ、お前高島美穂《たかしまみほ》に告ってみたら?」
「はあ? なんでだよ。秒でフラれるだろ」
いきなり何の脈絡もなくそんなことを言い出され、思わず真顔になってしまう。
「意外とそうでもないかもよ? 高島さんってハードル高すぎて、逆に告る男いなさそうじゃん」
「無理だって」
教室の真ん中でクラスメイトに囲まれている高島さんを南がチラリと見たので、俺も何気なくそちらを見る。
ポニーテールがよく似合っている高島美穂は、うちのクラスの学級委員で、部活はバレー部。身長はたぶん160センチ前後で、スタイル良し、顔良し。
ほら、昔から学年に一人くらいはいたよな? 勉強も運動も出来て、顔まで良いのに、性格まで良くて、みんなから好かれてるやつ。高島さんはまさにそれなわけ。
みんな大好き高島さんに俺みたいなド平凡なモブが告白しようだなんて恐れ多い。
高島さんに告白するなら、それこそ高田恭《たかだきょう》みたいなやつじゃないと。高島さんと同じようにたくさんの女子と男子に囲まれて笑っている高田を見ると、相変わらず今日も顔が良かった。
高田は、男版高島さんみたいなやつだ。
バスケ部のエースで、成績優秀、身長は180センチ超で、顔良し性格良しと、非の打ち所がない。
高島さんと高田って仲良いし、そのうちあの二人が付き合いそう。高島さんと高田がくっつかなくても、カーストトップの方々は同じレベルの人同士でくっつくだろうし、その他大勢の俺なんて相手にもしないと思う。
「え~。でも、高島さんに彼氏いるって聞いたことないけどなぁ。今がチャンスかもよ」
「ないって。そもそも、俺高島さんのこと好きなわけじゃないし」
「はあ? じゃあお前高島さんに告られたら断るのかよ?」
「それは付き合うけど。高島さんから告られて断る男いないだろ」
即答すると、だろ?と勝ち誇ったような顔をしてくる南に無性にイラついた。その顔やめろ。
「もし万が一おっけーもらえたら、最高。フラれても、あの高島さんに告る勇気があるなんてって尊敬されるぞ?」
「されねーし、億が一にも成功しねーよ」
面白がってるのか何なのか知らないけど、やたら絡んでくる南を適当にあしらっていると、南はぐいっと体を寄せてきた。
「人生変えたいんじゃないの? このままだと、一生平凡で退屈なままだぞ」
南からそんなことを囁かれ、思わず息をのむ。全てに置いて平凡で平均値な自分を変えたいとは思ってたし毎日のように言ってるけど、実行する気は特になかったというか……。
そこまで考えて、つくづくびびりで退屈な自分に嫌気がさす。
「俺、高島さんに告白するわ」
そして何を血迷ったのか、気がつくと俺はそう口にしていた。
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