嫌われ者の僕

みるきぃ

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完璧な幼なじみ

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僕は数秒間、何が起きたかわからなかった。突然、副会長さんにキスされ、突然、会長さんに捕まった。突然すぎて、僕は頭の整理が追いつかない。



「ちょっと、神影どういうことですか?」



「ただ、捕まえただけだ」



「…っ、よりよって」



「何か問題があるのか?」



「…問題も何もなぜあなたが彼を捕まえる必要が」



「ただの暇つぶし」



「そんな理由で…っ」




副会長さんは拳に力を込めた。すると、遠くからタッタッと速い足音が聞こえ、それがだんだんこちらへと近づいてきた。




「あーおーい!!!もう終わっちまっただろーーーー!どこ行ってたんだよ!!!」



どーんっと飛びつき、抱き締められた。






「は、花園くん…っ?」



「俺が捕まえてやるって言ったのに!!!!」



抱きしめる力が強くなり、苦しくなる。





「あー!!もうこれ邪魔だな!むかつく!外せよ!」


副会長さんと繋がっている手錠を見てそう言い、それを思いっきり引っ張り破壊した。





「み、瑞希…?」


「貴之!俺の許可なくあおいを連れ回すなよな!たくっ…おかげであおいを捕まえ損ねたぞ!」


はぁ、と大きなため息をつく。




「ん?神影もいたのか!急に現れて驚かせんなよな!!」



「ずっといたぞ」




花園くんは、会長さんを今気づいたらしい。前にもこんな光景を見たことがあったと思った。



「ちなみに俺様がこいつを捕まえたから。いくら、ペアだからと言って捕まえた者に権利はある」




「はぁーーー!!?なんだよそれッ!!あおい!お前、俺じゃなく神影に捕まったのか!?」




花園くんは、僕の肩を掴んで前後に揺らし、爪を立てた。



「あおいは俺が…っ俺が捕まえるつもりだったのに!」




「は、花園くん…っごめっ」



「こればかりは謝っても許さないぞ」




花園くんは、態度だけではなく声を聞いただけでも怒っていることが伝わってくる。



「とりあえず、俺様が捕まえたから」



会長さんは、僕と花園くんを引き離しそう言った。




「神影、こればかりは納得いきません」


副会長さんも間に入って腑に落ちないような感じだった。





「俺とあおいを引き離して何をするんだ!最低だぞ!!絶対、あおいに何もするなよ!」



「こいつをどうしようがそんなのどうでもいいだろ」




「どうでもよくないぞ!俺とあおいは将来を誓い合った仲だから邪魔するな!もしかして、またあおいに酷いことするのか!許さないぞ」




「……へぇ。将来を誓い合った仲ね」



「そうだぞ!あおいを好きにしていいのは俺だけって生まれる前から決まっているんだ!だから神影が入る隙間なんて1ミクロンもないぞ!」



目の前で僕の頭ではわからないことが繰り広げられていた。



「まあ、そんなことどうでもいい。じゃあ、俺様はこれで帰る」




そう一言、言って僕の横を過ぎ去るとき小さな声で『4時に図書館』とそう告げた。4時に…図書館?なんか、怖いこと命令されちゃうのかな…。不安になる。会長さんはどうして僕なんかを捕まえたんだろう。





「あー!もう腹立つッ!!全然楽しくない!あおい行くぞ!」




「あのっ…ちょ、」


手首を掴まれ、歩き出す花園くんに引かれる形になった。




「あの待ってください」



反対側から花園くんに掴まれていない方の手を副会長さんに掴まれた。




「あおいに触るなって何回言えばわかるんだ!」



バシッー


と、音がなりすぐさま副会長さんの手は花園くんによってはたかれる。




「副会長さん…っ手」



はたかれた衝撃で副会長さんの手の甲は赤くなっていた。痛そう。




「あおいッ!行くぞ!!」


花園くんは、強引に足を進めて行く。





「ちょ、ちょっと待って、花園くんっ」


僕は足を止めようとするがそんなのお構えなしに花園くんは進む。





「黙れよ」


「っ、」



急に花園くんの声のトーンが低く冷たくなった。



「黙って歩け。俺の言うこと聞けよ…ッ!」





ビクッ

「…、」




その途端、僕は怖くなって体が凍りつく。



「わっ」


急に花園くんに簡単に肩に担がれ足が宙に浮いた。



「は、花園くんっ…おろして」


「嫌だ!」



花園くんは僕の言葉を無視して担ぎながら足を進めていく。




ど、どうしよう…こわいっ。確実に花園くんが怒っていると雰囲気からして伝わってくる。そのまま僕は花園くんの寮室へと連れて行かれた。




───
─────
───────

………。




ドンッ!



「んんっ、」



花園くんは自分の寮室に入るなり玄関のドアに僕を乱暴に押し付けて深くキスをした。



「あおい…っ、あおいっ」



熱い吐息が顔にかかり、また何度も何度も繰り返しキスをされる。頭も固定され、背中らドアで身動きがとれない。




「んっ、や、めっ…ン」



どうして…僕にキスをするの?もう僕たちは親友同士じゃなくなったはずのに…。どうしてまたこんな…。



ガシッ

すると、急に髪を掴まれる。その途端、痛みが走る。




「俺のこと好きなくせにやめてとか言うなっ!あおいは俺だけの言うこと聞けばそれでいいんだよッ!」



「は、花園くん…っ、ご、ごめっ、」


髪の毛が掴まれてとても痛くて…花園くんが…っ、怖くて涙が出てくる。体の震えも止まらない。



「あおいごめん!俺またあおいに…、少し冷静になれなかった。もう俺…あおいのことになると正気でいられない」


ゆっくりと髪をはなし、頭を撫でた。





ビクッ


「んっ」

花園くんは軽く僕の目元にキスを落とした。




「あおいは俺がいないと生きていけないくせに俺を拒んだりするから悪いんだっ。あおいは俺以外の奴とは似合わない。俺無しじゃいられないようになれ」



「は、花園くん…?なに言って」


「本当のこと言ってるだけだろ!!そんなに怯えるな!」



そして、またキスをしようとする花園くんの口を両手で押さえる。





「…あおい?」

イラついた口調で僕の名前を呼ぶ。




「花園くん…キ、キスはもう」



前にも言ったようにこれ以上、花園くんを傷つけるわけにはいかない。もう花園くんは僕と関わるといつも花園くんらしくなくなって苦しめちゃう。だから、キスをして親友同士にまた戻るのは僕も苦しい。だから、花園くんにもわかってほしくて言おうとしたが逆効果だった。




「ああああああああああああああもうなんだよ!許さない許さない許さない!!!!!」



今までに見たことないくらい発狂する花園くん。僕の腕を掴み、今度は力強く両腕を上にあげられ押さえつけられる。




「花園くん…?やっ!ま、待って…んんっ」



僕が花園くんの口を押さえていた手なんて何の意味なんてなく、あっさり唇を奪われた。





「どうして!どうして!!酷いぞ!俺、あおいのことになると正気じゃいられないって言った!!俺を拒むなって言った!!」


何であおいはそれをわからないんだ!と言ってシャツの中に花園くんの手が侵入していくる。




や、やだ…怖い。

「花園くん…っうむ」


手で口が塞がれた。


「あおいはすぐ目を離すと他の男にしっぽふって俺を怒らせる!むかつくむかつくむかつく!!!」


「んんっふ!」




シャツのボタンを外していく。


「誰にも触られせるな」


「イッ」

僕の首、鎖骨の方を噛んでいく。



「好きだ好きだあおい…っ」


「んっ、い、痛い…」


「今日あおいを俺のものさせて?」



花園くんは目は笑っていなく、口角があがっていた。そして、僕のズボンに手をかけ、脱がそうとする。僕は花園くんの力が弱まった瞬間、そこから逃げるかのように今いる玄関から走って廊下を抜け、ソファに隠れた。




「逃げるなんて酷いぞ。あぁ、そっか。鬼ごっこの続きね。やっぱりあおいは俺に捕まれたいんだ」


ふふっと嬉しそうに笑う花園くん。





「は、花園くん…へ、変だよ…っ?」


「俺はいつも通りだぞ」


「…っ」


いつも通りなんかじゃない。笑顔なのにとても苦しそうな顔。僕がまた花園くんにそんな顔させている。





「はい捕まえた」


ビクッ

「…っ!」

肩に手が置かれる。



「ねぇ、捕まえたんだから言うこと聞いてもらうぞ」


怖い。震えがおさまらない。



「ぼ、僕と…花園くんは関わらない方が、いい。絶対、その方がっ」



パシンッー

気づけば頬に痛みがはしる。

え…、っ



頬を叩かれたのは今回が初めてではなかった。





「はぁ?俺とあおいが関わらない方がいい?どの口で言ってんだよ。悪いお口だな。また塞がれたい?冗談だとしてもさすがに今のは怒る。あおいは俺の運命の相手なんだ」


「…っ」


「ははっ、痛かった?涙目でかわいーなあおいは」


花園くんは僕の眼鏡をゆっくり外しながら、そう言った。花園くんが今どんな顔しているのか怖くてみれない。それに丁度いい具合に視界がぼやけていて、少しだけ恐怖を薄めてくれる。


けど、花園くんが何を考えているのかわからなくて怖いのは何も変わらない。






「本当は結婚してからって決めてたけどもう無理。なぁ…あおい。俺とエッチしよ」



「は、花園くん…っ?、や、やめ…お願い」





「ははっ、あおいは純粋だもんなー。大丈夫安心しろよな!俺とエロいことするだけだから」


俺たちはこれからめでたく結ばれるんだぞ!と訳のわからないことを言う。



「っ」

こわい。


だ、誰か…、助けて…ゆう。脳裏にいるはずもないゆうの顔を思い浮かべる。





「ねぇ、それ以上やめてくれる?胸糞悪いから」




『ただいま、あおい』とそう言って突然、現れた彼。…う、嘘。僕は一気に涙が溢れる。僕が会いたくてたまらなかった人。



「ゆう…っ」



「てめぇどこから!」

花園くんの怒鳴る声が響く。





「玄関、鍵開いてたよ。あおい、おいで」


ゆうは落ち着いた雰囲気で僕を呼ぶ。…うそじゃないよね?本当にゆう?急なことに頭が追いつかない。けど、ゆうが前にいることが僕にとって嬉しくてさっきまで怖かった気持ちも吹き飛ばしてくれる。そのままゆうのところにいこうとしたけど花園くんに阻止された。




「あおい!俺から離れようとするな!…クソッ!これからあおいと気持ちいいことしようと思ってたのに邪魔しやがって!!」



「さっきからあおいに変なこと言わないでくれる?しかもあおいの頬赤くなってるし暴力振るうって最低だよね」



「っ!そ、それはあおいが悪いから…っ。俺のこと大好きなくせに他の男にしっぽふるから」



「あおいはそんなことしない。でも暴力振るったことは事実だよね?本当やること低能。それに君の方があおいのこと大好き過ぎるんじゃない?変な妄想ばかりして気色悪いんだけど」



「妄想ってなんだよ!!いくらあおいの幼なじみでも怒るぞ!突然現れて好き放題言いやがって!!確かに俺はあおいこと大好きだぞ!俺たちは両思いだから当たり前だろ!」


なっ!あおい、と僕に話を振る花園くん。



ビクッ

「えっ…?」


「いいから頷けよ!!」


また、怒鳴る花園くんに怖くて震えが止まらず、どうすることもできなくて視線を下に向けた。





「ほらあおいも困ってる。それに俺には無理矢理あおいに変なことしてたように見えたけど。てか早くあおいから離れてくれる?」



そう言うと、ゆうの方から近づいて僕の腕を掴み、花園くんを蹴って引き離した。






「ああああ!!!もうクソ!!!あおいに触るな!!」


花園くんが拳をゆうに向かって振った。だけど、すぐにゆうはその拳を受け止めて、花園くんの腕をひねる。




「ッ!や、やめろ!痛いだろ!最低だ!!」



「…お前なんか死ね」



ゆうが小さな声で何か言ったあと、僕に少し下がっててと言う。その言われた通りに僕は下がった。




「あおい!こっちに来い!!こんな奴の言うことなんて聞かなくていい!」



「…っ」


こ、怖い




「あおい。外で待っててすぐ行くから」


「ゆう…っ」


「大丈夫。俺はもうあおいのそばから離れないよ」



こんな状況でも僕なんかに優しく言葉をかけるゆうに涙が出る。それなのに僕は助けられてばかりでやっぱり何をしても周りに迷惑かける。





「あおい…?俺が悪かったからどこにも行くな」


「は、花園くんごめんね…。僕は…君と友達になる資格なんてない…からっ」



ぎゅっと唇を噛み、走って玄関に走る。



もう消えたい。



「あおい!待てよ!!!」



花園くんの声が響いてくるがそれを無視して、外に出る。そのまま僕は崩れるかのように地面に腰がついた。





──────
─────────
────────────


……。



僕はその場で体育座りをしながら小さく身を屈めていた。




ガチャッ─

数秒して、すぐにゆうが出てきた。僕は立ち上がってゆうに駆け寄る。


「ゆう…っ!」


出てきたゆうに僕は迷惑だとわかっていても抱きついた。





「あおい…大丈夫だった?」


僕は無言でゆうに抱きつきながら首を縦に振る。




「そっか。なら良かった。遅くなってごめんね?」


「ゆうお帰りっ。…は、花園くんは?」


「あぁそれなら大丈夫だよ。話をつけてきたから」



…なら良かった。花園くん苛立っていて、怖かったから…。



「本当?ごめんね…ゆうまで巻き込んでしまって」


自分は逃げるという最低なまねをしたことに本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。すると優しく僕の頭を撫でゆうも抱きしめ返してくる。




「いいんだよ気にしないで。怖かったね」

と、優しく僕はの背中を摩るゆう。



「…っ。あ、ありがとう…」


ゆうの温もりを感じる。それだけで安心する。



「ゆ、ゆうどうして、僕が花園くんの部屋にいるって…わかったの?」


前にもすぐ飛んで来てくれて助けてもらうばかり。


「あぁそれはね、あおいが寮室にいなかったからもしかしてと思って来てみたんだ。でも本当来て良かった。それより頬大丈夫?」



僕の頬を優しく触れて心配そうに見つめるゆう。



「そ、そうなんだ。本当にありがとう…っ。ぼ、僕は大丈夫だよ平気。…ゆうはケガしてない?」


喧嘩とかなってケガさせてしまってたら本当に申し訳ない。



「ケガしてないよ。とりあえず、念のため頬冷やそっか」



ゆうはそう言って僕の手を引いた。しばらく会っていなくても相変わらず、ゆうは優しかった。その後、寮室に帰り、ゆうはタオルを濡らし僕の頬に当て冷やしてくれた。




「あおい、また怖い思いさせてごめんね」


「そ、そんなことないよ!ゆうが謝ることじゃないから…心配かけてごめんなさい」



ゆうに心配させるつもりなんてなかった。






「俺はあおいが大切だからそんな悲しい顔しないで?」



「ゆ、ゆう…」



そんな優しい言葉を僕にかけてくれる。胸が痛い。






「あおいは笑った方が似合ってるよ」


「え…?」



ほら、笑って、と僕の口の両端をゆうは人差し指であげた。




「ほら、可愛い」


「…っ」



涙が出てきそう。僕は優しくされると涙が出てしまう。すると、ぎゅっと抱きしめられる。




「ゆ、ゆう?」


「急にごめんね。ずっとあおいに会いたくて我慢できなかった。離れるってこんな寂しいものなんだね」



いつになくゆうの声が弱々しい。ゆうも僕と同じこと考えていたことに心が温かくなった。





「ゆうがいない間、ずっとゆうのことばかり考えてた。僕は一人で上手く料理なんてできなくて…夜は眠れなくて…っ。ゆうに今まで助けられていたことを知った」



「あおい…」


「早く会いたいなんてわがままなこと考えていた…。今ゆうが隣にいることがこんなにも嬉しい」



「可愛いこと言うね。あおいからそんなこと言われて俺の方がすっごく嬉しいよ。幸せな気分だ」



「…っ」


ゆう、ありがとう。ゆうの体温が伝わってきて温かくて気持ちいい。






「あ、そうだ。首大丈夫?」


「く、首?」



「ここに歯形ついているから…痛い?」



僕の首と鎖骨の方を触るゆう。そこはさっき花園くんに噛まれた箇所だった。少し痛いけど、これくらい平気。



「だ、大丈夫だよ!ありがとう」


「でも痕が残ったらいけないから手当するね」



ゆうはそう言って、消毒液と包帯を持ってきて丁寧に巻いてくれた。



「消毒しみなかった?首に包帯って少し大袈裟かもしれないけど」



「大丈夫だよ!まさか手当してくれるなんて思ってなかったからありがとう」



どういたしまして、と優しく微笑み、ゆうは余った包帯な消毒液を片付けた。






「はい、これ眼鏡落ちていたよ」


ゆうはそう言って僕に眼鏡を渡してきた。そうだった。さっき花園くんに取られて眼鏡の行方がわからなかったんだ。




「ありがとう…何から何まで感謝しきれないよ」


ゆうから眼鏡を受け取ってさっそく掛け直す。





「ふふ、あおいにお礼されるなんて気持ちいいね」



ゆうは本当優しい。助けられてばかりだから今度は僕がゆうの助けになりたいと強く思った。でも実際、何をしてもだめだめな僕。いつも裏目に出てしまう。周りを幸せにしたい。僕の力でみんなを笑顔にしたい。そんな欲が出てしまうけどまずこんな性格を直さないとだめだよね。やっぱり、僕なんかが簡単に変われないのかなって考えてしまう。




「どうしたの何か考え事?」



「え、あっ、ちょっと…ゆうの助けになる強い人間になりたいなって考えてて」


言ってて少し恥ずかしくなった。





「あおいは今のまんまで十分すぎるよ」



「え?」



ゆうは僕の頭を撫でて、そんなこと考えていたんだねと柔らかい口調で言った。




「あおいが隣にいるだけ俺は落ち着くし、助けられているよ。いつも自分のことよりも相手のことばかり思っているあおいの優しさは俺だけが知っていたいくらい。…なんて欲張りだね」



「や、優しいだなんて言ってくれるのゆうだけだよ。僕よりゆうの方がずっと優しい。それに頭良くてかっこよくて料理も美味しくて本当にすごくて」




「あおいに褒められて今日は本当ついてる」




慌てて口を押さえる。しゃ、喋りすぎたかな…。久しぶりすぎてまだまだゆうと話したい。




「だから、あおいは心配しなくていいよ。俺はいつもあおいから元気をもらってるから」



「ゆう…」



「あおいと離れている時は本当に寂しくて1秒でも早く会いたかった」



久しぶりのゆう。本当にこうやってまた隣で話せるって不思議な感じ。ゆうも僕と同じように会いたいと思ってくれていたことに嬉しかった。




「あ、そうだ。帰ってきたばかりなのに急でごめんだけど、ちょっと先生のところ行かないといけないんだ」




用事で結構休んじゃったからね、と残念そうに少し眉を曲げた。



「遅くなると思うけど話が終わったら、また一緒にゆっくりたくさん話そう」



「うん!」



そして、ゆうは僕の頭を軽く撫で部屋から出た。また、こうやってゆうと話せることに安心する。こんなに一緒にいない日は初めてだった。僕が中学三年生でゆうが高校一年生の時はゆうは寮室があるのに毎日学園から帰ってきて僕の今日の出来事とか聞いてくれたり、ゆうの話を聞いたりして毎日過ごした。


会わない日なんてなかったくらい一緒にいた。学園から毎日帰ってきてくれてきっと大変だっただろうなと申し訳ない気持ちになった。


ゆうが先生のところへ行って何時間か経過した。そういえば遅くなるって言ってたっけ。






僕はソファーに腰を下ろして倒れこむ。今日は疲れたな…。朝から鬼ごっこをして…あっ。『4時に図書館』そして会長さんに捕まってそう言われたのを思い出した。現在の時間は3時57分。あと3分しかない。ゆうと会えてすっかり忘れてしまっていた。

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