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しおりを挟む「ルアン…もしかして魔力のこと調べているの?俺知ってることが一つあるんだけど」
「なにが」
俺のことを気にせず横で本を読み続けるルアン。一応、返事はしてくれるみたいだ。
「すぐにできることだけど、一時的にという限定付きで魔力が増える方法」
「え?」
ルアンは、さっきまで集中して読んでいた本を閉じ、すぐに教えてと言いたげな顔をしている。そんな方法があったら知りたいよね。自身の魔力のことを気にしているルアンのために俺なりに調べた。調べても効率の良いものがなかったため、最終手段ヘンリ爺さんに聞いてみたら魔力が増える意外な方法を教えてくれた。他言無用と言われたが今回ばかりは大目にみてほしい。
「魔力はね。実は他の誰かからもらうことができるんだ」
「はぁもらうだって?そんなふざけたこと聞いたことがないぞ。そんなことできるわけないし、魔力を何だと思ってるんだ」
信じられないという気持ちはわかる。俺も最初そうだったから。
「でももらう相手は限られているんだ」
「ふーん、一応聞くが例えば?」
「例えば魔力が多い人から…口付けしてもらうとか」
「は?」
「魔力レベルがA-3以上の人からしかもらえないって条件だけど」
「そんなやついるか?…あ、」
「気づいた?俺、人より魔力多いみたいで」
「自慢挟むな」
「違うよ!でもね、魔力は貴重だからあげたりもらったりすることは基本的に禁止とされているんだけど…、その俺が言いたいのは…」
「禁止…まあ、当たり前か。で、何が言いたい?」
「その!…た、試してみない?」
「なにが?」
「ルアンと俺で!」
「…は?」
魔力は命に関わるため、本に載っていないのは当然である。しかし、俺は魔力が人より多いため少し減ったくらいでは大丈夫だと過信している。だから、この方法を俺はルアンと試してみたい。本当かどうかは試さないとわからない。
俺はルアンの役に立ちたい。ルアンは魔力を増やしたい。利害一致だと思った。
「だめ?」
「無理」
「実際にやってみないとわからないし、信じてくれないじゃん」
「禁止されてるんだろ!?しかも口付けって」
「禁止でも俺はしてみたい」
「いや、だから…」
「ルアンに俺の魔力をあげたい」
「は、破廉恥だぞ!いくら魔力をあげると言ってもな!そういう行為は大切な人とするもんだー!」
真っ赤な顔してその場から逃げてしまった。
…ん?は、破廉恥?
一人、図書館に取り残され、一瞬何が起こったのかわからなかった。
…っ!
徐々に自分の発言が普通じゃないことを実感してくる。や、やってしまった。冷静になって気づいたら俺、大胆なこと言ってた。後悔してももう遅い。ルアンと仲良くなりたい一心でなんてことを。
引くどころじゃ済まされないだろう。いくら魔力のためとはいえルアンの気持ちを考えないでキスの強要とか…最低だし、犯罪に値するかもしれない。ありえない。
頭を抱え、これからどう仲良くなるから悩む俺だった。
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