24 / 71
24
しおりを挟む俺はなんて馬鹿なことをしたんだ。合わす顔もないがすぐにでも謝りたかった。しかし残念なことに次の日は学校が休み。休みなんて早く終わってくれてないかなと思った。ルアンに会って話がしたい。
「はぁ…」
「エイデンおにぃちゃん、どうしたの?」
休みの日は、家から近い孤児院の手伝いをしている。主に子どもの世話や掃除等をやっている。
浮かない顔をしてる俺に気づいたのか、ミサというよく懐いてくれる女の子が心配してきた。態度に出てしまったのは申し訳なかった。全然、集中できていない。
「ミサちゃん心配させてごめんね」
何でもないよ、と言いながら頭を撫でた。
「だいじょうぶだよ!おまじないかけてあげるね。げんきになれ~!」
ミサちゃんはそう言って抱きしめてくれた。こんな小さな女の子にまで心配かけるなんて、どうしたんだろ本当に。
「…ただいま」
ルアン、気になる子と仲良くなるにはどうしたらいいのか。それにどうやって謝ればいいのか。ヘンリ爺さんに助言をもらうことにしよう。自分で考えても答えが見つからない。
「また孤児院の手伝いでもしてきたんじゃな。全く休みの日は休むもんじゃぞ」
俺は自分の目を疑った。とうとうルアンのことを考え過ぎて、幻覚でも見えてしまっているのだろうか。
「え、え…っ」
ルアンは俺を見て驚いている。え、現実?
「あ、そういや自己紹介がまだじゃったな…わしは名はヘンリと言って、こいつはエイデンじゃ」
ヘンリ爺さんはルアンに俺を紹介する。待って、何これどういうことだ。会いたかったルアンが今、目の前にいる。しかもいつもとは違う平民を装うような服装で帽子を被っている。そんな姿も可愛い…じゃなくて平常心、平常心。冷静になれ。
「どうして、ルアンがここに…?」
とりあえず、現状把握だ。
「なんじゃ、知り合いだったのじゃな。お前さんはルアンというのか」
「ここお前んち?」
ルアンから俺に話しかけてくれた。無視されるか他人のフリされるかと思ったから嬉しい。
「そうだよ。まさかルアンがいるなんて驚いた」
態度は平然としているがルアンは気まずそうな顔をしている。そうだよな。魔力を理由に口付けを迫られた相手なんだから。とりあえず、ヘンリ爺さんどこか行ってくれないかな。ルアンと二人で話がしたい。そして謝りたい。
「ルアンは、わしを助けてくれたんじゃ」
「また倒れたんですか!」
なるほど、それでルアンがここにいるのか。ヘンリ爺さんはよく倒れる。だから心配だ。
「そう心配するじゃない。いつものことじゃ。少し休んだから治るやつだろうから大丈夫じゃ。ちなみにルアンはわしを助けてくれたから、お礼として弟子にしたぞ」
「で、弟子ですか?」
なぜ、いつの間にそんな関係になってるの。俺よりルアンと一緒にいられるなんていくらヘンリ爺さんでも羨ましい。
1,307
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!
椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。
ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。
平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。
天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。
「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」
平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる