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しおりを挟む「そうじゃ。魔力が少ないみたいで鍛えたいらしい。それにエイデンの知り合いみたいだから別に良いじゃろう」
「てことは、ルアンがまたうちに来てくれるということですか?」
「そういうことじゃ」
「それを早く言ってください。嬉しいです」
ルアンがまた来てくれるということは、一緒にいられる時間がある程度確保できるということ。俺にとっては利点が大きい。そして仲良くなりたい。
実質キスを迫ったという行為を謝ってルアンの助けになる人になれたらそれでいい。許してくれるだろうか。いくら10歳でも許されることではないだろう。まだ10歳だから大丈夫じゃなくて、もう10歳。教養がないと思われただろうか。それにルアンを傷つけたかもしれない。今すぐにでも謝りたいがヘンリ爺さんのいる前でキスを迫りましたなんて言ったらかなり怒られるだろう。
「あの、帰っていいですか」
ルアンは気まずそうに玄関へ向かおうとしていた。それをすかさずヘンリ爺さんが止めにはいった。
「もう帰るとは水くさいこと言うじゃない。ゆっくりしていきなされ」
「俺、別にエイデンとは仲良くないんで…、弟子にはなりましたが学びたい時にまたここに来ます。体に気をつけてください。では」
仲良くない…か。グサリと突き刺さる。
「待て待て。何かの縁じゃ、もう少し話を聞きなさい。あとルアン、お前さんはF-10ということじゃが、さすがに今の段階で魔法は使うんじゃないぞ。すぐに枯渇して命が危ない」
「そこは十分理解してます。心配ありがとうございます」
ルアンは人より魔力量が少ない。命に関わることでもある。理解しているとは言っているがルアンはこの先無理しそうだから俺が隣で守ってあげたい。
…俺も強くなりたい。
それから、しぶしぶルアンはヘンリ爺さんの話を聞き、帰って行った。
「ヘンリ爺さん…」
「なんじゃ?」
「俺も強くなりたい。ルアンを守れるように」
ヘンリ爺さんは嬉しそうに『そうかそうか』と頷いた。
「だから俺も弟子にしてください」
頭を下げる。ヘンリ爺さんからは言葉でいろいろ魔法のことは聞いていたが実戦はほとんどない。人より魔力はあるということはわかったがどう使えばいいのかわからない。
「良いぞ。でも珍しいのぅ。エイデンにとってルアンは特別な子なんじゃな」
「そうです。ちなみに入学して最初に話しかけてきた子がルアンだったんです。俺の誕生日にルアンは自分が大切にしていたこのブレスレットくれたんだ。それにいつも頑張ってて…」
とても愛おしい。
「なるほど、そうじゃったのか。今度連れてきておいでとは言ったが、わしが先にルアンを連れてきてしまったのか。オホホ」
「本当に、そうですね。俺が先に紹介したかったです」
二人して笑い合った。
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