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しおりを挟むあの今の話をちゃんと聞いてましたか。そりゃあ、好きですけどそれはあくまで推しとしてです。誤解を生みそうなので説明した方が良さそうだ。
「す、好きというかですね…応援してる推しと言えばわかりますか?決して親密な関係になりたいとか、見返りを求める感情ではないんです」
「ほぅ?好きなんじゃな」
お願いだからわかってくれ。と念じるも秒で散った。
「…はい。大きく言うとそういうことです」
俺の気持ちとは裏腹に理解してくれなかったので虚しく諦めた。
「しっかし、大事に育てたエイデンを傷つけられて悲しのぉ」
「うっ…」
それに関して何も言えない。わかっているから心を抉らないでくれ。
「ということで、エイデンと一緒に修行してくれんか?」
「え?」
今、一緒に修行って言った?
「わしからの願いはそれだけじゃ。いじめたとは言えど反省しているようじゃし、何よりエイデンが仲良くなりたがっておる」
「でも急に一緒と言われても…俺とエイデンは魔力の差が馬鹿みたいに桁違いだし」
「そこは安心しなされ。魔力は関係ないわい」
思わず、嘘つくなと言いそうなった。
「関係ないと言われてもちょっと…」
「ふむ…。これでも首を縦に振らぬか。じゃあ、とっておきのものを用意するから待っておれ」
ヘンリ爺さんは何やら探しに行った。数分後、本みたいなものを抱えて戻ってきた。
「な、何ですかそれ…」
「これはエイデンの小さい時の写真が詰まったアルバムじゃ」
「なにそれ見たいです」
「よし、決まりじゃな」
俺はまんまとヘンリ爺さんの策略に嵌ってしまった。でもオタクからしたら意地でも見たいですよね。写真を餌にされ、一緒に修行することが決まった。
さっそくアルバムをめくっていくと、原作では見れなかった小さい時の姿まで見れた。推し最高。エイデンはどの写真も絵になる。全部が奇跡の一枚と言っても過言ではない。見たものを脳内で保管できるタイプのオタクなので集中して見ていた。まぁでもいくら脳内で保管できると言ってもリアルに一枚くらい欲しいよな。やばいオタクですみません。一枚こっそりくすねてもバレないかな。いやいやそれはやめておこう。慌てて首を振る。俺の良心が降りてきた。アルバムを拝見させて頂けただけでも感謝だ。良からぬことを考えるな。
「はぁ…幸せだ」
アルバムを見終えて思った。目の保養でした。胸に手を当て余韻に浸る。
「ヘンリ爺さんありがとうございました。満足です」
「そうじゃろ?良かった良かった」
噛み締めながらアルバムをヘンリ爺さんに返した。推しの供給は栄養素の一つだと誰かが言っていたがまさにそうだと思う。
ヘンリ爺さん…本当何者だよって感じだ。
写真の撮り方すべてプロのカメラマンだよ。
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