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しおりを挟む「この子ったら何言ってるのかしら、ふふ。嫌われているわけないわ、人違いでもないよ」
「本当なんです。今日酷いこと言われたし…人違いとして思えなくて」
「きっと恥ずかしかったのよ。大丈夫、安心して。あんな情熱的な子他にいないわ」
情熱的…。全然安心できない。こちらとしては論外なんですけど。
「お母様まだ判断は早いかと…。いくら家柄が良くても俺にも選ぶ権利というものがありますし…それにそもそも男同士ですよ」
「性別は関係ないわ。大昔の話をしているの?まったくこの子ったら。冗談までいうようになったのね」
キッパリ言われるなんて思わなかった。しかも軽く古い人間扱いされた。ちょっと傷ついた。
「お、お母様に孫を見せてあげたいんです!」
「あら、妊娠できるわよ。最近勉強頑張ってると思ったらルアンもまだまだね~」
「そんな」
これでどうだ!と言わんばかりに言ったがあっさりと砕けた。男でも妊娠できるのかよ。異世界恐るべし。男性でも稀に妊娠できるらしい。母曰く俺にはその素質があるとのこと。いやその素質とやらやめてよ。『#男性妊娠』と注意事項書かないといけないじゃん。それが地雷の人もいるわけで。って俺は何を言ってんだ。メタ発言失礼。
じゃあつまりさ。理解したく無いが…待ってくれよ。落ち着かせてくれ。そしたらルアンが序盤で消える理由もしかしてダリルの婚約者になるため学園を辞めて新婚生活のために生きる物語になってんの?それだったらやめてください。生き地獄です。あ、考えるだけで目眩が…。
『お前はもうすぐ辞めることになるからな!』あれ負け犬の遠吠えだと思っていたんだが。第一印象最悪なんですけど。
それにああ言ったのってもしかしてこんな悪者は他で管理はできないから近くで見張っててやる正義感的なもの?婚約という偽りの関係を演じてまで。だってダリルのあの態度は好意的ではなかった。絶対裏があるはずだ。
「まあ、でもいくら恥ずかしかったとはいえ、うちのルアンに酷いことを言うなんてちょっと感心しないわ」
「そうなんです!酷いでしょ!!もっと言ってやってください」
母はやっぱり俺の味方だ。どう説得しようか考えていたが子供に酷いこと言うやつには黙ってられないよね。
「明日さっそくこの目で確かめるわ」
「あ、明日…?」
「ちょうど来ることになっているの」
そんなの聞いてないよ!あんまりだよ。希望の光が見えたと思ったら展開早すぎないですか。明日会うことは前から決まっていたことらしい。でも直前に言われるなんて困惑しかない。
ダリルだけでなく両親も来るそうで…母は着る服を何にしようか楽しそうにしてた。
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