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しおりを挟む結局何しに来たんだと思ったが、考えると頭が痛くなるのでそのまま眠りについた。
「アレン。見て」
授業中、小声でオリバーはノートの隅を指差して『見て見て』と言う。つい、目線がそこへいってしまい、見てしまった。
ノートの隅に描かれたクマの落書きを。
待って。オリバーそれはずるいって。マジ癒しの神様かよ。
「あ、私のクマの絵も見て!オリバーより上手く描けたの」
何を競っているのかわからないがヒロインちゃんも負けじとクマの絵を描いた。
うん、可愛い。二人ともずるいわ。
オリバーとヒロインちゃんは相変わらず、こんな感じで優しい。
胸が痛くなるが、また無視を続けた。二人ともごめんと何度も心の中で謝った。
まだまだ俺への悪い噂は続いており、学校ではこの通りいつものように過ごした。
そして、放課後。思ったより授業が早く終わったため、たまには俺もマリーのクラスに行ってみようかと思った。いつもはどこかで待ち合わせしているか、すでにマリーが俺のクラスにいるのが当たり前だった。マリーを驚かせよう。そう思い、マリーのクラスへと足を運んだ。俺のクラスとマリーのクラスは少し離れており、向かうまで時間が少しだけかかる。
そうして、廊下の曲がり角を曲がろうとした際、前を歩いていた誰かとぶつかってしまった。
ぶつかった反動で少しよろけてしまった。
「ご、ごめんなさい」
「チッ、前を向いて歩けって、お前…」
ぶつかった相手を見ると、これまた見覚えがあった。この顔…。俺様キャラのレオナルド・ベインだ。うん、間違いない。
あの生意気な幼少期を思い出すと腹が立つが我慢だ。てか、俺は謝ったのにお前も謝れよと思った。
「お前…マリーの双子の」
「そうですが、何か?」
早く、マリーに会いたかったため、素っ気なく対応したのが気に食わなかったのか舌打ちが上から聞こえてきた。
「生意気だな。お前に言いたいことがあったんだ。貴様がマリーに付き纏っているせいでマリーは全然、俺のことを見ないんだよ」
えー、そんなこと言われましても。それは自分の実力不足のせいでしょうが。人のせいにしないでいただきたい。
「あと、その目の色が気に食わない。イライラする」
会ったばかりなのにボロクソに言ってくれるね。意味わかんねぇ。理不尽極まりない。
「言いたいことはそれだけですか?じゃあ、俺はこれで」
これ以上、話を聞いてても時間の無駄だし俺がストレスたまるだけ。こういう輩は無視するのが一番。そう思って、奴の横を通り過ぎようとした時だった。強く腕を掴まれた。
「あの、なに?」
「ちょっと目を見せろ」
あのー、さっき俺の目の色気に食わないって言ったのになぜ見たい?
意味不明で草。
マリーよ。何でこんな奴、好きなんだ。
そう悪態もつけたくなる。
「嫌です」
丁寧に断ったが、両手で顔をおさえられ、無理やり上を向かされた。
くそ。俺にも力があれば…。
奴を見れば、じっと俺の顔を至近距離で凝視している。うん、やめろ。
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