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かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
しおりを挟む──…り、せんぱい
なんか、聞こえる…気がする。
──…ご飯…ますよ、…てください
優しい声。
好き、だなぁ…
──………ですか?
「……起きないなら、キスしますよ」
「っ!?」
耳元で囁かれ、驚きで目を開く。
目の前には、千冬の蕩けるような笑み。
綺麗な顔…。
「伊織先輩、おはようございます」
「ち…、…は、はよ……」
朝から心臓がバクバクと忙しすぎる。
上体を起こして、呼吸を落ち着ける。
そうだ…、昨日、俺は千冬に告白して…、…キス、して……。
「朝ご飯できてますよ。早く起きてください」
「お、おぅ…。さんきゅ…」
千冬の顔をぼんやり見ながら、昨日のキスを思い出して、頬が熱を持つ。
頭も、ちょっと、ぼーっとする…。
「…先輩、そんな顔して」
「へっ!?な、何だよ」
千冬が俺の体の横に手をつく。
鼻先がつく距離で、綺麗な二重の下で、甘い栗色が細められた。
「……本当に、キス、して欲しいんですか?」
「え、…っ」
答えるより前に、唇に柔らかいものが触れる。
唇から、気持ちよさと幸福感が流れてきて、ゆっくり目を瞑った。
──ちゅ、
少しの間、触れていた唇は、優しく吸われて、微かなリップ音だけ残して離れていく。
千冬が小さくため息をついた。
「これ以上は、ダメですよ。…僕が、耐えられません」
「……、」
「伊織先輩」
名残惜しくて、無意識に手を伸ばす。
すると、千冬がその手を取り、指先にそっとキスを落とした。
「ゆっくり進めるって、昨日約束したばかりですよ」
「う、ん…」
「僕は、先輩がいいって言ってくれるまで、ちゃんと待ちます」
「……おう、」
「だから、…あんまり、煽らないでくださいね」
「煽ってなんか、ねぇけど」
そんなつもりはない。
少しムッとした口調で反論すると、千冬は眉を下げて困ったように笑った。
「知ってます。…そんなとこも、本当にかわいいです」
「はぁ?」
千冬は、俺の手を自分の頬に当て、うっとりした目で、頬擦りする。
きめ細やかですべすべの肌に、本当に俺と同じ男かと疑いたくなる。
「僕の恋人になってくれて、ありがとうございます」
「何だそれ…」
「一生、大事にします」
「…っ、」
そう言って長いまつ毛を伏せると、再び俺の手に唇を寄せた。
また鼓動が速くなる。
顔も手も、熱ぃ…。
「さあ、朝ご飯食べましょうか。起きれますか?」
「…ん。ありがとな」
千冬が顔を離し、俺の手を引いてくれる。
ベッドから降りて、千冬に向かい合って立つと、千冬はそのまま俺の手を胸の高さで持ち、恭しい態度で俺に微笑んだ。
「お席までご案内します。僕のお姫様」
「俺は姫じゃねぇから。くらえ!」
「ふふ、あ、やめてください!あはは」
調子に乗っているふわふわのピンク頭を、荒く撫で回してやる。
かわいいのはどっちだよ。全く。
千冬が楽しそうに笑うから、俺も一緒に笑う。
「わあ、いい匂いすんな」
「ホットサンドと、かぼちゃのポタージュですよ」
「それ聞いたら尚更腹減ったわ」
「ふふ、たくさん食べてください」
子供みたいに笑って、ジトっとした目で拗ねて、やたら俺の世話を焼いて。
なのに、たまに見せる甘い顔で、俺をクラクラさせる…。
「ありがとな、千冬」
「どういたしまして。伊織先輩に好きになってもらえるなら、いくらでも作りますよ」
「…もう好きだって、言ってんだろ」
「っ、そうでした。じゃあ、もっと好きになってもらうため、ですね」
「…そうかよ」
「大好きです、伊織先輩」
「………俺、も」
このかわいい後輩に、俺は、まんまと惚れさせられている。
──かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
おわり♡
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
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汐
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