【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐

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かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい2

見せつけられてるわぁ…

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 かわいい美形の後輩が、
      俺にだけメロい 2

⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆




「どうぞ、プリンとクッキー…です」
「え?伊織、なんやねんこれ?」
「話って、これぇ?」
「いただこう」


月曜日。時刻はちょうどお昼時。
俺は晴れて恋人同士になった千冬と共に、カゲヤン達を一ノ宮キャンパスの学食に呼んでいた。
昨日千冬とデパートで買ってきた、ちょっといいデザートをカゲヤン達に配る。


「いや、これは…ささやかなお礼…っつうか…」
「僕たち、恋人同士になりました。先輩達のおかげです。本当にありがとうございます」
「ちょ、千冬…!」


歯切れの悪い俺に代わって、千冬が三人に報告を完了させる。
こいつ、恥ずかしくないのか…!?
俺はなんか小っ恥ずかしいんだけど?
赤い顔で千冬の服の端を引っ張ると、千冬が眉を下げ、優しく微笑む。


「恥ずかしいんですか?ふふ。僕は、幸せですよ」
「っ…」


そして俺の手にそっと触れた。
栗色の瞳が、甘く俺を見つめる。


「………ボク達、見せつけられてるぅ?」
「られてるな」
「あー、スイーツ食う前から甘ったるいんやけど」


ブチブチ言いながらもプリンの蓋を開けて早速食べ始める三人。
俺と千冬も、自分たち用に買った分を開けて食べ始める。


「まあ良かったな。これで俺達も一安心や」
「だねぇ。お幸せにね」
「末長く爆発しろ」
「爆発?」


マンティスの謎発言に突っかかっているとキリがないから、気にはなるけどスルーする。
三人の朗らかな表情を見る限り、祝福されてるのはちゃんと伝わる。
隣をチラリと見ると、スプーンを口に運んだ千冬と目が合い、ちょっと照れて、緩む頬が熱を持つ。
そのまま目だけで三人を見上げて口を開いた。


「…ありがとな、三人とも。…その、これからも、よろしくな…?何か、俺が協力できることがあったら、言ってくれな」
「何~?改まってぇ?」
「伊織、顔が緩み過ぎ…」

「あっ!ハイハイ!あるある!」


マンティスが何か言いかけながら、千冬の方を一瞬見て、素早く顔を逸らす。
その横で、カゲヤンがスプーンを咥えたまま元気に手を上げた。


「学祭来てやぁ!部活で販売やんねん。買うてや!」
「へぇ?カゲヤンって部活なんだっけ?」
「うぉぉいッ!山岳部やで!?『岳斗(がくと)』の『岳』は、『山岳』の『岳』やろ」
「岳斗?」
「俺の名前やろが!影山岳斗ォ!ったく、お前らなァ…」


カゲヤンの渾身のツッコミにみんなで笑う。
カゲヤンの言う学祭とは、来月にある大学祭のことだ。
俺は部活もサークルもやってねぇし、関係ないから行くつもりなかったけど、頼まれたからには行くしかねぇよな。


「わかった、行くわ」
「僕も行きます」
「それならアニ研にも来るといい」
「あー、マンティスはアニメ研究会だっけ?」
「そうだ。アニ研にも金を落としていってくれ」
「やらしぃな~、その言い方」
「なら、ボクも剣道部のステージ披露あるから観にきてよぉ」
「おう、多分行くわ」
「ちょっとぉ、多分って何?さっきまでのしおらしさはどうしたのぉ?」
「ははっ、…あ、」


マロをからかって笑っていると、スプーンのプリンを誤って服に落としてしまった。
慌てて近くのペーパータオルで拭き取ろうとすると、余計汚れが広がってしまう。
あー…。


「悪ぃ、千冬。これ、千冬の服なのに」
「「「ブッ」」」
「大丈夫ですよ。今から僕の家戻って着替えますか?」
「「「ブフッ…」」」
「いや、そこまで時間ねぇし、上着羽織れば見えねぇからいいわ。洗濯して返すな」
「そのままでも良いですよ?とりあえず、濡れタオルで拭きましょう。お手洗い行きましょうか」
「おう、分かった」
「先輩たち、少し伊織先輩を借りますね」
「「………どうぞ」」
「見せつけられてるわぁ…」


カゲヤンが何かボヤくが、俺は、千冬に手を引かれて席を立つ。

近くのトイレまで行くも、千冬はそこを通り過ぎて、階段を登っていった。


「トイレ行くんじゃねぇの?」
「ここは混んでますから、2階上の空いてるところへ行きましょうか」
「ああ、確かにな」


食堂から離れるにつれて、人の声も気配も消えていく。
千冬の言う通り、2階上のフロアは人気がなく、トイレも誰1人いなかった。
静かなトイレは、少し寒々しい印象を受ける。ていうか、実際ちょっと空気が冷たい。
…千冬に手を繋がれてる俺は、あったけぇけど…。


「伊織先輩、こっち向いてください」
「ん」


千冬は洗面所でハンカチを濡らすと、俺の服の裾に触れる。
長いまつ毛を伏せたまま、静かに尋ねる。


「服の中に、手、入れても良いですか…?」
「おう…、えっ!?」


よく考えないまま返事をした瞬間、千冬が更に一歩近づき、服の裾に手をかけた。


「何っ…、」
「すぐ、終わらせますから」


動揺する俺を置いて、千冬の手が、服の裏側をスルスルと登った。
千冬の肘に引っかかった裾がたくし上げられていき、ひんやりした空気が服の中に入り込む。
身体がビクッと跳ねた。


「っ、」
「…寒いですか?」
「…大丈夫、」


千冬の手が汚れ部分まで到達すると、内側から服を押さえながらハンカチで丁寧に拭き取ってくれる。

目の前には、柔らかいピンクの髪と、俯く千冬の整った顔。


「……お前、ほんとに世話好きだよな…」


汚れた服を拭いてもらうなんて、ガキっぽいか?と、少し冷静になった頭が考え始める。
微妙な恥ずかしさを千冬の世話好きのせいにしようと呟くと、視線を上げた千冬と目が合った。

ち、近ぇ…。


「…伊織先輩、」
「な、なんだよ?」
「………僕以外に、可愛い顔…見せないでほしいです」
「……は?」


静かに零された言葉にびっくりする。
カワイイカオ?
何の話だ。

ゆっくりと距離を詰める千冬に後退りすると、背中に冷たい壁が当たる。
千冬はさらに距離を縮め、唇が触れるギリギリのところでやっと止まった。

長いまつ毛の下で、甘い栗色の瞳が切なげに俺を見る。


「僕だけのものに、したいんです……」
「っ、」
「そんなこと言ったら、僕のこと、嫌いになっちゃいますか…?」


服の内側に入れられた手を首元から出し、俺の顎に添える。
服が引っ張られて、身体ごと千冬に引き寄せられるような感覚になった。


──ちゅ


そして、優しい口付け。
柔らかい唇の感触に、頬がじんわり熱くなる。


「ち…ふ、ゆ…、誰か、来るかも……」
「…少しだけ、ですから…」


再び唇が合わされ、俺の抗議ごと飲み込まれてしまう。


「……僕の、伊織先輩、です…」
「…っ、」


唇が離れ、千冬を見上げると、うっとりした瞳と目が合った。
服の中にあった手を引き抜き、服の裾を整えると、しなやかな指先が優しく頬を撫でた。


「伊織先輩…」


千冬の腕が、背中に回る。


「次に会えるのは、水曜のバイトですよ…」
「そうだな」
「……寂しいです」


掠れた声が呟く。


「水曜なんて、明後日だろ」
「………」


俺の言葉に、千冬が俺の首元に擦り寄った。
肌にあたる髪が、くすぐったい。
腕の力が強まって、千冬の体温が俺の体を侵食していく。


「千冬、……今日、寝る前に電話する」
「!、本当ですか?」
「おう」
「ふふ、嬉しいです」


ようやく身体が解放され、目の前には、照れたように微笑むかわいい後輩がいた。


「ほら、そろそろ戻らねぇと、アイツらに置いてかれる。戻ろうぜ」
「はぁ…、はい。分かりました」


千冬に手を繋がれ、トイレを出る。

きゅっ、と握られた手に、幸せを感じた。







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