サークル合宿に飛び入り参加した犬系年下イケメン(実は高校生)になぜか執着されてる話【※更新お休み中/再開未定】

日向汐

文字の大きさ
28 / 31
教育実習2週目

いい加減、怒りますよ

しおりを挟む
「…、…?…、」

なんだ…?、うるせぇ

「……、……!…。」

俺の家の場所なんて聞いて、どうすんだよ。

「…、…。……!」

…………
……

…やっと静かになった。

てか身体痛ぇ。頭も痛ぇ。

……眠い…。















「伊織先輩!?開けてくださいっ!」
「!?、~っ…、」

ガタガタいう音と、呼び声に飛び起きると、窓から射す明るい日差し。
そして、背中に痛み。

…なんだここ。
あ?
俺、玄関で寝たのか?


「伊織先輩っ!大丈夫ですか!?」

玄関ドアが焦ったようにノックされる。
痛む怠い体に鞭を打って、立ち上がり、ドアを開ける。

「あ、良かっ……酒くさっ!」
「………だれ?」
「っ、千冬ですよ!もう!誰のせいだと思ってるんですか!」
「………」

ドアの前にいたのは、ピンク頭に、黒い服のパンク女子。
スラッと伸びた長い脚に、小さな顔。
オーバーサイズのトップスは、ゴツゴツしたデカい絵が描かれていて、弛むトップスの裾の下には、ダメージの入ったショートパンツの裾が見えている。
黒のキャップを被った頭は、ピンクの髪が後ろで短く縛られ、指でズラした黒いマスクから、可愛らしくも整った顔を覗かせる。

「あんま他の人に見られたくないので、…入れてください」
「あ、おう…」

…美少女かと思ったわ。







「ここが…、伊織先輩の部屋、なんですね…」
「おう。適当に寛いどけよ。シャワー行ってくるわ」
「!、は、はい…」

何で千冬がいるのか、なんでそんな格好をしてるのか、それも不明だが、とりあえず風呂だ。身体が汗でベタついて気持ち悪ぃ。

微妙に痛む頭と、軋む身体で、風呂場に向かう。途中、ローテーブルの脇に置かれた、空き缶の入ったゴミ袋を見て、やっと昨晩のことを思い出した。

昨日、俺は、マキさんにキスされた。
マキさんに、キス……


──愛してる、伊織


「うわぁああ、ッ、痛ってぇぇ!?」
「っ!?だ、大丈夫ですか!?」

首筋を手で押さえたまま、よろけて壁に頭をぶつける俺。急いで脱衣所に駆けつけてくれたパンク女子。

「………悪ぃ。なんでもねぇ」
「……なら、早く入ってきてください」

眉間に皺を寄せて、脱衣所を出る千冬。

……ほんとに、なんであんな格好してんだ?アイツ。








熱いシャワーを浴びて、身体の不快感もマキさんのモヤモヤも、流れ落ちていく。
昨日は酔ってたし、マキさんもちょっとおかしかったんだろう。せ、セックスは…やり過ぎだけど、好きだって思ってもらえるのは、ありがてぇことだし、嫌われてるよりずっといいはずだ。
うん、そうに決まってる。

体を拭いて部屋に戻ると、千冬の姿は無かった。
トイレかと思っていたら、スマホにメッセージが来ていた。

〈近くのコンビニにいます。出かける支度できたら来てください〉

「あ、」

そうだ。
今日は土曜。
ミスコン用の服を買いに行くんだった。
数日前に、学校で双子に、千冬と買いに行ってこいと言われたことをやっと思い出した。

千冬、実家住みだったよな?
わざわざこっちまで迎え来てくれたのか…。

申し訳ない気持ちが湧き上がり、心の中で千冬に謝りながら、急いで支度を始める。

──ゴツン!、カラン、カラン

「痛ってぇ~!」

バタバタと部屋の中を動き回っていたせいで、途中、ローテーブルの角に足をぶつけた。
その拍子に、ゴミ袋を倒し、昨日の空き缶が散乱する。

急いでる時に限って。


「くっそ、最悪……あ?」

散らばった空き缶に、目を疑う。
そこにあるのは、俺の飲んだレモンサワーと、マキさんが飲んでたハイボールだけ。

ハイボールの空き缶を手に取って、控えめに書かれた文字を読む。


“ノンアルコール”


「…ノンアルコール…?え、このハイボール、ノンアル…!?」

空き缶を漁っていた手が止まる。


は?
じゃあ、昨日のマキさんは……?


途端に、顔が熱くなる。

マキさん、昨日のあれ、全部シラフだったのか…?


「………。と、とりあえず、今は急がねぇと…」

落ち着かない気持ちを押し込めるように、散らばった空き缶をゴミ袋に押し込んだ。

胸のドキドキはおさまらないまま、俺は家のドアを閉めた。











千冬はコンビニの前で待っていた。

「千冬、悪ぃ」
「目は覚めましたか、伊織先輩」
「ああ。あと今日の約束も、すっかり忘れてた。すまねぇ」
「はぁ。そんなことかと思いました。とりあえず、行きましょう」

千冬に促され、歩き始める。
買い物といえば、駅の方に行くことになるから、駅行きのバス停に向かう。

「にしても、お前のその服装、何?」
「……」
「似合ってるけど。一瞬、女かと思った。千冬って女装趣味あんのか?」
「……いい加減、怒りますよ」
「……すみません」

丸い目を不機嫌そうに細めた千冬に、早々に白旗を挙げる。
コイツは怒らせたら絶対ぇ怖いタイプな気がする。

「女装するのは、伊織先輩でしょ。男二人で女性服を見ると不審がられるかもしれないからって、この格好で行くよう弟達に言われて…」
「なるほどな。じゃあそれはシュンかハルの服なのか?」
「あ、…いえ」
「…?」
「これは、……その…、」
「?」
「……バンドの…」

頬を赤くして目を逸らす千冬。
バンド?
バンドって、あの音楽のやつか?

「バンドやってたのか?知らなかった」
「…去年、地元の友人に頼まれて、助っ人で入って、そこからズルズル続けてるだけです」
「へぇ!音楽できたんだな?すげぇ」
「ほ、他の人には、ぜったい、内緒にしてください!」
「なんでだよ?」
「……全然、有名とかじゃないんですけど…、」
「おう?」
「……いつの間にか、ガールズバンドってことになっちゃってて…」
「………」

やっぱ女装じゃねぇか

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
続編・番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

地味な俺は、メイクしてくるあいつから逃げたい!!

むいあ
BL
___「メイクするなー!帰らせろー!!」___ 俺、七瀬唯斗はお父さんとお母さん、先生の推薦によって風上高校に入ることになった高校一年生だ。 風上高校には普通科もあるが、珍しいことに、芸能科とマネージメント科、そしてスタイリスト科もあった。 俺は絶対目立ちたくないため、もちろん普通科だ。 そして入学式、俺の隣は早川茜というスタイ履修科の生徒だった。 まあ、あまり関わらないだろうと思っていた。 しかし、この学校は科が交わる「交流会」があって、早川茜のモデルに選ばれてしまって!? メイクのことになると少し強引な執着攻め(美形)×トラウマ持ちの逃げたい受け(地味な格好してる美形)

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

人気アイドルが義理の兄になりまして

BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

眠りに落ちると、俺にキスをする男がいる

綿毛ぽぽ
BL
就寝後、毎日のように自分にキスをする男がいる事に気付いた男。容疑者は同室の相手である三人。誰が犯人なのか。平凡な男は悩むのだった。 総受けです。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...