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3章 証拠と証明
第11話 見つけた証明
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魔獣を退治し、無事行商人を隣村に送り届けたカナイチ達。
「いやいや、どうもありがとうございます」
隣村は商売で賑わっており、多くの商人と客がいた。
「ここはエルニアと街が繋がっている物資の中継地点になっておりまして、ここで食糧や冒険に必要な道具を買ってくれる旅人とか多い。
エルニアからは早朝から行けば朝の活気に間に合うくらいに近くにあるのですが、あの森を通らないと辿り着けないのですよ。
加えて早くしなければいい場所が他の商人に取られてしまいますし」
「へぇ~」
「人が集まると言うことは自然と商売が成り立ちのですよ。
ほら、あそこに宿屋がたくさんあるでしょ?
他にも酒や情報がたくさん揃っている酒場とかもあります」
「本当だ。
みんな楽しそうですね」
「何せ、珍しい品物を手に入れるチャンスでもありますからね!
おっと、それでは私はここで商売しておきます」
「それでは帰る時には呼んでくれれば」
「いえいえ、私は今日ここで商売してその後で飲んでからにします。
また他の冒険者を雇って帰りますよ。
でも、皆さんのおかげで無事に辿り着くことができました。
ありがとうございます」
「いえ、それが俺達の仕事ですから」
「これが依頼を達成したと証明する書類です」
アルベルトはその書類を受け取った。
「それではこの村を楽しんでくださいね」
そう言って行商人はいそいそとその場を後にした。
「ねえ。
せっかくだし、ここで色々見て回ろうよ」
「そうじゃな。
ワシらは元々気分転換のために来たようなものだし、それにあの金もまだ使ってないからな」
メリッサとメルヴィンは楽しそうに笑った。
「……いいわね」
「そうだな」
「あ、アルベルトとティーナはこっそりデートしててもいいわよ。
あの事件のせいでしなかったんでしょ?」
「メリッサ!」
「きゃー!」
顔を真っ赤になってアルベルトはメリッサを追い回す。
「いいんじゃない、カナイチ?
あの事件のことは少し忘れて楽しみましょうよ」
「うん、そうだね……」
だが、カナイチはどこか上の空でもあった。
まだ、見落としがあるような気がして考え続けているのだ。
「……もう」
そんなカナイチにアドランは呆れる。
そして、それぞれ村を散策し始めた。
「……メルヴィンは速攻で酒場に向かったわね」
「情報よりも酒よね……
あのおっさん」
「ま、まあ、気分転換でいいんじゃないか?」
その時、カナイチはその酒場近くの空き瓶回収場所を目にした。
「どうしたの?」
「いや。
ここ毎週月曜日朝の七時に回収するんだって」
そう言ってカナイチは看板を指して読み上げる。
「へぇ~」
すると、見回りしていた男がやってきた。
「こら」
「へ?」
「ここは毎週月曜日に瓶を回収するから今捨てたらダメだよ」
「違いますよ、捨てようとかしてません」
男に言われてアドランは言い返した。
「そうか、それはすまない。
けど、最近曜日を守らずに捨てる者がいるからな。
こうして注意しないといけないんだ」
「早めに捨てたらダメなんですか?」
「そりゃダメさ。
瓶を盗む者もいるし、もし割れたらその瓶は凶器にもなるからね。
野良魔獣もたむろすることがあるから下手に置けないんだ」
「へぇ~」
「……毎週月曜日朝の七時に回収するんですね?」
「ああ、そうだよ」
「……で、時間や曜日通りにしないとおじさんが注意をする?」
「まあ、俺に限らず見回りなら誰でも注意するね」
「……先週の月曜日はどうだったのですか?」
「先週?」
「誰かが捨てようとして注意されたりとかは?」
「いや、誰も注意されてないよ。
注意されたら目立つし、されていたら村の人も目に入るさ」
「……へぇ……
ありがとうございます」
そう言ってカナイチはその場を去り、アドランはその後を付いて行く。
「ねえ、カナイチ。
何か気付いたの?」
「……いや、まだ何にも」
「そう」
そして、カナイチとアドランはアルベルト達に合流する。
「ん?
逸れてたか?」
「いえ、ちょっと」
「……アドランちゃん、こっちに来てみて」
「どうしたのですか、ティーナさん?
わっ、そのポーチかわいい」
「そうでしょ」
そう言ってアドランとティーナはそれぞれポーチを見せ合いっこして笑っていた。
「おい、カナイチ。
これ見てみろよ」
「え?
これは靴ですね」
「カッコ良さそうだろ?」
「僕はこっちですね」
「おっ、それもカッコいいじゃねえか」
「この靴なら滑りにくいですし、硬いので物を蹴りやすそう」
「……どういう基準だよ、カナイチ」
そう言ってそれぞれ買い物を楽しむ。
「……アルベルト、これはどう?」
そう言って見せたのは布製の服だった。
「に、似合うんじゃない?」
「……なら買うわ」
即決だった。
「あの二人もやっと気持ち切り替えたね。
相変わらずお熱いことで」
そう言ってメリッサは笑う。
「でも、あ~ああ……」
「ん?
どうした、メリッサ?」
「いや、あの時が懐かしいなって」
「あの時?」
「ほら、ヴェン音楽隊のことよ。
あの事件が起きる前にあれで賑わっていたじゃない」
「あ、ああ……」
「……確かに町の人も楽しそうに笑い合っていたものね」
「あの事件が起こらなかったらまだまだあれで話題が持ちきりだったし、あたしだって頭の中で聞き返したのに……
あの事件のせいでめちゃくちゃよ」
「そうだな……
あの事件が起きてからみんな事件の方を話すようになったし、誰もヴェン音楽隊のことを語るやついないからな」
「……しょうがないわよ。
人は楽しいことよりも残酷な方に印象残しやすいし……
身近に起きた事故なら尚更……」
「そうね……
私達はカナイチの依頼でいなかったから聞けなかったのは残念だったよね」
「そうだね」
カナイチは空を見てヴェン音楽隊のことを思い馳せていた。
そこにいたらその音楽に聴き惚れて、他の冒険者と語り合っていただろう。
「……ん?」
カナイチは空から事件現場になった森の方へ目を移る。
「……!」
その時、カナイチはまるで電撃を受けたかのように閃き、目を見開き始めた。
「……カナイチ」
「そうか……」
「え?」
「そうだったんだ……
犯人が戦えない人だと気付いたら……
真っ先に気付かないといけないことだったんだ……
僕が迂闊だった」
「ど、どう言うこと?」
「アルベルトさん!」
「わっ!
な、何だ、カナイチ?」
「ティーナさんやメリッサさんでもいいですけど、グラットンベアを討伐してギルドに報告した後か、前に馬車通りませんでしたか!?」
「馬、馬車!?
い、いや、あの時は事件のショックで頭がいっぱいで……」
「うん」
「くっ!」
カナイチは酒場の方へ走ろうとする。
「……待って!」
「ティーナさん?」
「……見たわ。
マリナさんに報告してギルド前に待っている間に顔は見えなかったけど馬車は通ったわ」
「本当ですか!」
カナイチはティーナに詰め寄る。
「ほ、本当よ……
頭を下げたから私も一礼してーー」
すると、段々とカナイチはニヤリと笑った。
「カナイチくん?」
「どうした、カナイチ?
何かに気付いたのか?」
「カナイチ、まさか」
「……そうだよ、アドラン。
見付けた!
彼女が犯人だと証明する方法!」
「っ!?」
「本当なの!?」
「マリナさん達はもう証拠はないと諦めていたんだぞ!?」
「でも、あったんだ……
エルニアの町で彼女だけが被害男性を運んだとしか思えないものが!」
「そ、それは?」
「それよりも急がないと!」
カナイチは慌てたように森に入ろうとする。
「ま、待て、カナイチ!
俺達には何が何だか!」
「時間がないんだ!
僕が見付けたその証明には時間制限がある!
それは少しずつ確実になくなりつつあるんだ!
それが消えたらもう二度と彼女が犯人だと証明することができなくなってしまう!」
「!」
「わかったわ!
急いで帰ろう!
道中、襲いかかってくる魔獣は私が何とかするから!」
「頼むよ、アドラン!」
「ま、待て!
俺達も!」
「メリッサはここでメルヴィンと一緒に待機して!」
「わ、わかったわ!」
カナイチとアドランが全速力で走って、その後をアルベルトとティーナが追いかける。
「いやいや、どうもありがとうございます」
隣村は商売で賑わっており、多くの商人と客がいた。
「ここはエルニアと街が繋がっている物資の中継地点になっておりまして、ここで食糧や冒険に必要な道具を買ってくれる旅人とか多い。
エルニアからは早朝から行けば朝の活気に間に合うくらいに近くにあるのですが、あの森を通らないと辿り着けないのですよ。
加えて早くしなければいい場所が他の商人に取られてしまいますし」
「へぇ~」
「人が集まると言うことは自然と商売が成り立ちのですよ。
ほら、あそこに宿屋がたくさんあるでしょ?
他にも酒や情報がたくさん揃っている酒場とかもあります」
「本当だ。
みんな楽しそうですね」
「何せ、珍しい品物を手に入れるチャンスでもありますからね!
おっと、それでは私はここで商売しておきます」
「それでは帰る時には呼んでくれれば」
「いえいえ、私は今日ここで商売してその後で飲んでからにします。
また他の冒険者を雇って帰りますよ。
でも、皆さんのおかげで無事に辿り着くことができました。
ありがとうございます」
「いえ、それが俺達の仕事ですから」
「これが依頼を達成したと証明する書類です」
アルベルトはその書類を受け取った。
「それではこの村を楽しんでくださいね」
そう言って行商人はいそいそとその場を後にした。
「ねえ。
せっかくだし、ここで色々見て回ろうよ」
「そうじゃな。
ワシらは元々気分転換のために来たようなものだし、それにあの金もまだ使ってないからな」
メリッサとメルヴィンは楽しそうに笑った。
「……いいわね」
「そうだな」
「あ、アルベルトとティーナはこっそりデートしててもいいわよ。
あの事件のせいでしなかったんでしょ?」
「メリッサ!」
「きゃー!」
顔を真っ赤になってアルベルトはメリッサを追い回す。
「いいんじゃない、カナイチ?
あの事件のことは少し忘れて楽しみましょうよ」
「うん、そうだね……」
だが、カナイチはどこか上の空でもあった。
まだ、見落としがあるような気がして考え続けているのだ。
「……もう」
そんなカナイチにアドランは呆れる。
そして、それぞれ村を散策し始めた。
「……メルヴィンは速攻で酒場に向かったわね」
「情報よりも酒よね……
あのおっさん」
「ま、まあ、気分転換でいいんじゃないか?」
その時、カナイチはその酒場近くの空き瓶回収場所を目にした。
「どうしたの?」
「いや。
ここ毎週月曜日朝の七時に回収するんだって」
そう言ってカナイチは看板を指して読み上げる。
「へぇ~」
すると、見回りしていた男がやってきた。
「こら」
「へ?」
「ここは毎週月曜日に瓶を回収するから今捨てたらダメだよ」
「違いますよ、捨てようとかしてません」
男に言われてアドランは言い返した。
「そうか、それはすまない。
けど、最近曜日を守らずに捨てる者がいるからな。
こうして注意しないといけないんだ」
「早めに捨てたらダメなんですか?」
「そりゃダメさ。
瓶を盗む者もいるし、もし割れたらその瓶は凶器にもなるからね。
野良魔獣もたむろすることがあるから下手に置けないんだ」
「へぇ~」
「……毎週月曜日朝の七時に回収するんですね?」
「ああ、そうだよ」
「……で、時間や曜日通りにしないとおじさんが注意をする?」
「まあ、俺に限らず見回りなら誰でも注意するね」
「……先週の月曜日はどうだったのですか?」
「先週?」
「誰かが捨てようとして注意されたりとかは?」
「いや、誰も注意されてないよ。
注意されたら目立つし、されていたら村の人も目に入るさ」
「……へぇ……
ありがとうございます」
そう言ってカナイチはその場を去り、アドランはその後を付いて行く。
「ねえ、カナイチ。
何か気付いたの?」
「……いや、まだ何にも」
「そう」
そして、カナイチとアドランはアルベルト達に合流する。
「ん?
逸れてたか?」
「いえ、ちょっと」
「……アドランちゃん、こっちに来てみて」
「どうしたのですか、ティーナさん?
わっ、そのポーチかわいい」
「そうでしょ」
そう言ってアドランとティーナはそれぞれポーチを見せ合いっこして笑っていた。
「おい、カナイチ。
これ見てみろよ」
「え?
これは靴ですね」
「カッコ良さそうだろ?」
「僕はこっちですね」
「おっ、それもカッコいいじゃねえか」
「この靴なら滑りにくいですし、硬いので物を蹴りやすそう」
「……どういう基準だよ、カナイチ」
そう言ってそれぞれ買い物を楽しむ。
「……アルベルト、これはどう?」
そう言って見せたのは布製の服だった。
「に、似合うんじゃない?」
「……なら買うわ」
即決だった。
「あの二人もやっと気持ち切り替えたね。
相変わらずお熱いことで」
そう言ってメリッサは笑う。
「でも、あ~ああ……」
「ん?
どうした、メリッサ?」
「いや、あの時が懐かしいなって」
「あの時?」
「ほら、ヴェン音楽隊のことよ。
あの事件が起きる前にあれで賑わっていたじゃない」
「あ、ああ……」
「……確かに町の人も楽しそうに笑い合っていたものね」
「あの事件が起こらなかったらまだまだあれで話題が持ちきりだったし、あたしだって頭の中で聞き返したのに……
あの事件のせいでめちゃくちゃよ」
「そうだな……
あの事件が起きてからみんな事件の方を話すようになったし、誰もヴェン音楽隊のことを語るやついないからな」
「……しょうがないわよ。
人は楽しいことよりも残酷な方に印象残しやすいし……
身近に起きた事故なら尚更……」
「そうね……
私達はカナイチの依頼でいなかったから聞けなかったのは残念だったよね」
「そうだね」
カナイチは空を見てヴェン音楽隊のことを思い馳せていた。
そこにいたらその音楽に聴き惚れて、他の冒険者と語り合っていただろう。
「……ん?」
カナイチは空から事件現場になった森の方へ目を移る。
「……!」
その時、カナイチはまるで電撃を受けたかのように閃き、目を見開き始めた。
「……カナイチ」
「そうか……」
「え?」
「そうだったんだ……
犯人が戦えない人だと気付いたら……
真っ先に気付かないといけないことだったんだ……
僕が迂闊だった」
「ど、どう言うこと?」
「アルベルトさん!」
「わっ!
な、何だ、カナイチ?」
「ティーナさんやメリッサさんでもいいですけど、グラットンベアを討伐してギルドに報告した後か、前に馬車通りませんでしたか!?」
「馬、馬車!?
い、いや、あの時は事件のショックで頭がいっぱいで……」
「うん」
「くっ!」
カナイチは酒場の方へ走ろうとする。
「……待って!」
「ティーナさん?」
「……見たわ。
マリナさんに報告してギルド前に待っている間に顔は見えなかったけど馬車は通ったわ」
「本当ですか!」
カナイチはティーナに詰め寄る。
「ほ、本当よ……
頭を下げたから私も一礼してーー」
すると、段々とカナイチはニヤリと笑った。
「カナイチくん?」
「どうした、カナイチ?
何かに気付いたのか?」
「カナイチ、まさか」
「……そうだよ、アドラン。
見付けた!
彼女が犯人だと証明する方法!」
「っ!?」
「本当なの!?」
「マリナさん達はもう証拠はないと諦めていたんだぞ!?」
「でも、あったんだ……
エルニアの町で彼女だけが被害男性を運んだとしか思えないものが!」
「そ、それは?」
「それよりも急がないと!」
カナイチは慌てたように森に入ろうとする。
「ま、待て、カナイチ!
俺達には何が何だか!」
「時間がないんだ!
僕が見付けたその証明には時間制限がある!
それは少しずつ確実になくなりつつあるんだ!
それが消えたらもう二度と彼女が犯人だと証明することができなくなってしまう!」
「!」
「わかったわ!
急いで帰ろう!
道中、襲いかかってくる魔獣は私が何とかするから!」
「頼むよ、アドラン!」
「ま、待て!
俺達も!」
「メリッサはここでメルヴィンと一緒に待機して!」
「わ、わかったわ!」
カナイチとアドランが全速力で走って、その後をアルベルトとティーナが追いかける。
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