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研究員見習いになれました

第32話 数少ない友人②

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「そういえば、シェルシェーレ様は研究所で誰か良い殿方を見つけたりはなさっていないのですか?」

噂の話の後、カトリーヌと雑談を続けていると、カトリーヌが質問してきた。

「いやー特にいないし、結婚はいいかな…せっかく自由を勝ち取ったばかりだし。」
「シェルシェーレ様は、もし今の仕事を続けたまま結婚できるとしたら、結婚したいとお考えですか?」
「うーん…正直どっちでもいいかな…私と結婚したがる変人もそうそういないと思うし。」

自由 > 結婚というだけで、別に絶対結婚したくないということはないけど、結婚するためにわざわざ行動する気は皆無だ。

「そうなんですか?シェルシェーレ様程の方はそうそういらっしゃいませんのに、勿体ない…」
「ハハ、そういってもらえると嬉しいよ。そういうカトリーヌこそ、縁談話とかないの?」
「えっと…私は…その…」

カトリーヌは急に口ごもる。

「あれ、何かあったの…?」
「い、いえ!そういう訳ではなく…実は、気になっている殿方が1人いまして…」
「おおいいね!どんな人なの?」
「それが、その…ルーカス様です!!」

…おっと?

「ルーカスって、ルーカスお兄様…ルーカス・シュバルツのこと?」
「はい、そうですわ!」
「そうか…ルーカスお兄様か…」

確かに、カトリーヌはたまに私たちの屋敷にも遊びに来ており、ルーカスお兄様とも面識がある。

でも、ルーカスお兄様にお世辞にも女性に惚れられる要素があっただろうか。良い人ではあるけど、男の友達しか寄ってこないタイプだと思っていた。

「ちなみに、ルーカスお兄様のどこが良いの?」
「それはもう、他の殿方と違って変に取り繕うことなく、ありのままでいらっしゃるところですわ。」
「なるほど…」

一般的にはそれを"空気が読めない" "自分勝手" と言うのだろうけど、カトリーヌはさすが私とも仲良くできるだけあって考え方も違うようだ。

「それなら、お父様にカトリーヌ宛にルーカスお兄様の縁談を持ちかけるように言っておくよ。」
「そ、そんな!私のような者がルーカス様となんて…」

こちらから言わせれば、"ルーカスお兄様のような者がカトリーヌとなんて…" なんだけどね。

「まあまあ、ルーカスお兄様もあんまりモタモタしてると婚期逃すから絶賛お嫁募集中だし、1回縁談受けてみるくらいいいでしょ。」
「そういうことなら…」

カトリーヌは頬を赤らめ、俯いてモジモジしている。

あー可愛い。正直ルーカスお兄様の奥さんには勿体ないけど、カトリーヌが兄嫁になるのは悪くない。

よし、早速今日屋敷に戻るので、そこでお父様に打診しておこう。
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